お久しぶり!公爵様
明けましておめでとうございます…。コロナ渦の中ではございますが。本年もよろしくお願いします。
ハルも目を覚ましたので宿に戻る。
「…お父ちゃん、お腹減った…」…。
いっつも腹ペコキティちゃんだな…。
「昼寝したからかな?夜は御馳走だから軽くなぁ。」
「…うん!」
「…屋台いく。ついてこい。ハル。」「うん。姉!」
…気を付けて…うん?レスト殿が付いて行ってくれるようだ。任せていいな。
宿に到着。
ははぁ。さっきの騒ぎはこれかぁ。
宿の入り口に翻る公爵家の旗。ライル様の御到着のようだ。
町の貴族か?役人か。多くの人たちが押しかけてきている。あ、もちろんお隣にね。
「おかえりなさぁ~い!ミッツさ~ん。公爵様、御到着されたわよぉ。」
魔窟の…いや、宿の看板娘?のアンさん。声でか!半落ちしてたハルちゃんがビクッとなる…。
「ええ。隣りバタバタしてますね。流石重鎮。今晩の料理だけど…」
「大丈夫でしょう?ミッツさんの持ち込みはいっつも弩級ですしぃ。大人数のパーティ開けるくらいよぉ。」
「ま、後でミディさん所に顔出してみるよ。少しゆっくりしてから風呂頂くかな。」
「こっちで公爵様に話しておくわねぇ。ご招待で良いのかしらぁ?」
「もちろん。お願いします。」…。
休憩前に食堂へ…ほう。仕込みは始まってるな。凄い香りだ。宿のお客も居るからなぁ。大変だ。
”ぐきゅるるるぅぅ…”うん?
「…いい匂いで腹減った…」「…うん。腹減った。」
「ははは。そうだねぇ。でももうちょい我慢だよ」
””きゅるり…””
…腹の虫で返事かよ…仕方ないなぁ…
「後で干物あげるからね…ミディさんちょっといい?」
「あらぁ!ミッツさん、おかえりなさぁ~い。公爵到着されたわよぉ~なんでも馬車すっ飛ばして急いで来たって。」
「あらまぁ。まだバタバタしてるようでお会いしていませんけど。で、夕食なのですが…材料足ります?」
「もちろん。充分よぉ。昨日、ビルック仕入れに行ってたし。マリアさんも呼んだんでしょう?大丈夫。大丈夫。あ!宿のお客にもシャコ出すわ。先に言っておくわね。」
「それは構わないけど…一緒?」
「まさかぁ~場所は別々よぉ。ミッツさん達はお隣でね。」
だよなぁ。公爵様の警護もあるしね。
「期待しておいてくださいな。ねぇ、ビルック。」
「はい。お師。そうだ。父さん、グソクムシ…ある?あったら売ってくれません?」
「うん?あるよ。何匹?」
「冷凍試してみたいんです。生と茹でたのと…5匹ずつくらい。」
「甲殻類は比較的冷凍に強いからね。いい着目点だ。大きいものは魔法で素早く凍らせてからの方が良いかもしれないね。」
”収納”から20匹出す。もっと出しても良いのだが…結構でかい。場所取るしな…。
「多いです…よ?父さん?」
「お金も要らない。余ればここの皆で食べるといい。ご馳走してあげなさい。」
「…はい。ありがとうございます。父さん。」
「…お兄、そんなブツより腹減った…筋肉お化けの前に私にご馳走して!」「…うん。腹減った。」
「うん?じゃぁ、このお菓子持って行って。」
「「わぁ~い!」久しぶりの兄の焼き菓子だ!」
”さくさくさく…”
って、もう食ってるのかい!ほらほら慌てると…ちゃんと自前で飲み物持参のようだ…。
「あらあら。ビルック…その前にコレ食べられるの?…丸虫は食べられないわよ?」
「丸虫とは別ですよ。見た目は一寸、アレですが…美味ですよ。お師。ふふふ。」
「そ、そう?…顔…目と口が…イヤねぇ。」…。
ふふふ。後はお任せ。夜に期待だな!
未だ厨房に釘付けのラグとハルを装備して部屋に。お邪魔だからな。
「…すごい…筋肉お化け…」「…うん。」
調理中の物を見ての感想かな?忘れてるようだけど、昨日の夜も食べたんだよ?筋肉お化けのお料理を。
「…お父ちゃん、あれが修業?」
「場所によっても違うだろうけどね。ここじゃそうだね。はぁ、お腹減ったなぁ。」
「「…うむ!」」
部屋でくつろいでいると、セツナっちもご帰還だ。
「お帰り。」
「ただいま。おじさま。隣り、賑やかだけど?なにあれ?」
「ああ、公爵殿が到着したようだ。後で紹介できるよ。」
「ふ~ん。隣りもここの建物なの?」
「それがさぁ。」
…ザックリと公爵の”美食倶楽部”の説明をする。ミディさんの腕に惚れて作ったと。貴族呼んでの美食三昧ってね。
「へぇ。何処の世界にもいるのねぇ。グルメ?って。美味しいは正義だけどぉ。」
呆れ顔のセツナっち。
<ふむ。面白そうではあるな。我も会員にしてもらおうか。>
「はぁ?ルー…ま、好きにすれば?」
「ははははは、まぁ、特に娯楽が少ないこの世界だ。ありっちゃありだろう?」
「そうねぇ…うん?そういえば、ノリナにも”美食伯爵”がいたわね!ふふふ。」
<うむ。中々に蘊蓄のある人物であったな。>
「へぇ!それは初耳!」
美食…までは行かぬとも食べることと料理は大好きだ。そういう御仁とは交流を持ちたいものだな。
”がやがやがや…”うん?”とんとん”
『ミッツさ~ん、公爵様がご挨拶をと』
「あらら。来ちゃった?」
「公爵?ま、来ちゃったんでしょ?御通して。」
『はい』…
「やぁ、公爵殿、ご苦労様です。」
さすが愛妻家(…好き勝手するための口実ともいう…)の公爵殿。奥方を同伴されたようだ。
「ミッツ殿、先日はお世話になり申した。おかげさまで事なきを。」
「いえいえ。お世話になってますから。」
「して、そちらのお方が?」
「そうです、トワ君の姉上。セツナ嬢です。こちらはこの国の公爵のライル殿」
「初めまして。セツナよ。おじさまやトワがお世話になっているようね。感謝を」
「い、いえ。こちらこそ。大変世話になっております。”勇者”セツナ様。此度の来訪我が国として歓迎いたします。」
跪き、頭を垂れる公爵様…大げさだって。
「ありがとう。…もう。おじさまが何吹き込んだか知らないけどぉ。普通にしてくださいます。」
「…ありのままに…だけど?」
「そこら辺…じっくり聞きたいわねぇ。お・じ・さ・ま♡」
<ふん?主は悪名高き”勇者”殿であろうが。今更、一つ二つ凶状が追加されたとて、どうということはあるまい。>
「はぁ?私、ここじゃ何もしていないのだけれど?魚食べに来ただけだしぃ。」
<まだ…であろうが?>
「しないわよ!」
ぽかんとセツナっちとルー殿とのやり取りを見やる公爵夫妻と御付の方々…。そういやルー殿紹介してなかったわ…。
「あ…ドラゴンのルージュ殿です。人語を操る高位ドラゴン殿です」
<うむ。よろしくな。>
「…は、はいぃ!竜様におかれましても 「あなた…」 …良くおいで下された。…。」
びっくりどっきりドラゴン様だわなぁ。
<うむ。して、ライルとやら。我も”美食倶楽部”なる集まりに混ぜてはくれぬか?>
「は?はいぃ?そ、それは?」
…その日より、美食倶楽部入口。公爵殿の紋章旗の上にルージュ旗がはためくこととなる。




