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いざ! 宝物庫へ!

いらっしゃいませ~

 「実況生中継! ただいま宝物庫に侵入しております! お、おお! こ、これは!」

 「……おっさん……何やってんだ? うるさいし」

 「いや、何となく? ……まさか、許可出るとはねぇ」

 「まぁあね」

 ダメもとで、もはやシャレで…… 「国の宝物見せて?」 って王に申請したらすんなり通った。宝物庫の中に入れてくれたよ……

 

 重厚な扉が開け放たれ、大小のガラス製? のケースが並ぶ。あの照明は魔道具だろうか、煙の出ない、明かりがそれらのガラスケースを照らす……

 だが、予想通り、碌な物ない……ガラスケースは、ほぼ空っぽ。あってもガラクタばかりだ。一点一点鑑定しては見たが、ノーヒット・ノーラン。お宝? スカスカやないか~い!

 魔法の世界の大国といわれる国だ。少しは期待したのだが……まぁ、あの王様だしぃ?

 それにお金は別所、金庫って。

 ……よく考えれば、当たり前かぁ。

 あとは、王や王妃なんかの私室にあるものだね。こじんまりした宝石箱とか?

 にしても、ほんとに金目の物ないなぁ。

 大丈夫か? この国? 大丈夫じゃないから、勇者召喚なんかするんだろうなぁ~。

 もう少し調べてみようか。まさに、掘り出し物があるかもしれん。

 

 部屋の隅に積まれた、金属板。こんなものが宝物庫に?

 この金属板なんだ? くすんでるけど。インゴット? にしては薄い。版板? ちょこっとパクるか……ドキドキ。

 「書士さん、これって何?」

  「さあ、昔からあるんですが……加工できないらしくて……」

 ふぅ~ん、あ! そだ。こんな時こそ”鑑定”の出番だ!


 ・アダマンタイト合金。……古の技が光る逸品! 現在、その製法、配合比率は失われている。

 

 ……おぅ! 謎金属、キター! 鉄板のファンタジー金属! 鉄じゃぁないがな! 鑑定できないのか? ここの書士は?

 「少しもらってもいい?」

 ドキドキ。”欲しい”って顔に出ないように……俺のターン! スキル、鉄面皮発動ぉ!

  「多分大丈夫だと思いますよ? こんなところに積んであるから金になりそうもないし? 上役に伺い立ててきます……お待ちを」


 ……。

 

 戻ってきた。早いな。

  「了承が出ました。5枚の譲渡が可能です」

 全部で30枚くらいか? もっとくれても良いんじゃない?

 「てか、これってなんです?」

  「さて? 鑑定できないんですよ。鍛冶師が見ても解らず……加工もできない。しかし鑑定をはじくのだからと貴重な物だろうと。それで、ここに保管してあったのですよ。何年か前に商人に査定させたとか……安かったのでこのまま放置されてます」

 ふ~ん。で、5枚か! ケチくさ!

 「ありがとうございます。ほかに金属は?」

  「工廠ですね。そういったものは」

 ……ですよね。他に何かいいモノ……ないかなぁ。

 

 「う? うわぁ~! 剣が! 剣がぁ~~~! ぷくす」

 突然、宝物庫に響く、トワ君の声。

 やってる、やってる。良い剣見つけたのかな?

 トワ君が良い剣あったら一芝居打ってかっぱらうって言ってたもんな。

 にしても……随分と大根だな……大根役者……。それでも書士さんはびっくりしてる。 

  「ゆ、勇者殿!」

  「ひぃ。人を! 騎士を!」

  「封鎖を!」 「誰かぁ!」

 ……大騒ぎだわ。

 「あ……この剣も……くぅううう苦しい……俺の右目が~」

 二振り目かい! ……よかったね。しかし……右目がどうのと……君も中二じゃん?

 「人を呼ぶのは待って! 呪いかもしれない!」

 おいらも茶番……寸劇に参加する

  「「は、はい!」」

 びびってるなぁ。ふふふ。

 あ、アダマンタイトの残りもついでにパクっちゃおっと。テヘ。

 トワ君もどさくさ紛れに収納にイン!

 上手く行ったようだね。


 ……

 

 「おっさん二振りGETだぜ~!」

 そういって自慢げに収納からだすトワ君。

 一本は白い刀身に赤い線。セラミック刀? 鍔にあたる部分に白色の魔石。それを囲むように優美な装飾。柄の部分にも魔石がついてる? 綺麗な一振りだね。

 もう一本は……ダメじゃん。こんなの……真っ黒な刀身……鍔の部分がオオカミの口のようなギザギザが前に出てる。ソードブレイカーってやつか? で柄頭には、鳥の爪が白い魔石を鷲掴みしてるディテール。禍々しい感じだ。

 「……ご苦労様、これ、おいらの?」

 「ん? おっさんもいるんか? これ一応、魔剣の類だ。使えないぞ。たぶん?」 

 「……おいらは普通のでいいです」

 どだい、おいらは槍使いだ! ふふふ。魔槍がおいらを呼んでいる!……どこでしょうか? 魔槍さん!

 「お金なかったけど良しとするか」

 「お金は金庫だよ……てか、剣はもらえたの?」

 「一応、宝物庫の書士に伺いたててもらってる。呪われてるかも~ってw。んじゃ、金庫いくか?」

 「GJ! 金庫はやめておこう……これだけケチなんだ。期待できんし、警備も多そうだ」

 「そか? なら、あとは召喚陣ぶっ壊してトンズラだな」

 「で、どこを目指そうかね?」

 「偽名で王都で冒険者活動できないかなぁ?」

 「無理っしょ。最前線の町でBランク取ってからのがよいかなぁ。ほら、ゴタゴタしてて紛れやすそうだし? とっとと、他国に逃亡すんべ」

 「むむむ……」

 

 そうだ……最初に言っておこう……

 「そだ。トワ君。この世界、どうにも命が軽い。これから動物、魔物、人を”殺して”生きていくことになると思う……。おいら弱いから負担がどうしてもトワ君に。情けないけど 「そんなことないさ! おっさんの存在は助かってるよ……一人だったら……」 ……。」

 「ありがとう。これから二人で”覚悟”を固められたらいいともう。あと一点、重要なこと。勝てそうにない敵にエンカウントしたら一人でダッシュで逃げてくれ。 「え?」 絶対の……マジ約束だ。おっさん半世紀生きてんだぜ! 最近はトワ君とつるんで濃い時間をすごした。結構満足してるんだぜ~まじで。感謝もしてる」

 「おっさん……」

 「約束してくれるね。おっさんの覚悟さ。ふふ。さぁ! ここは任せろ! 先に行け! ってね」

 「おっさん……わかった。で……心の叫び、は?」

 「ええ~マジだよ。かっこいいだろう! 変な顔すんなよトワ君。あはははは。まだまだ死なないぜ!  巨乳ちゃんがおいらをまっている!」

 「な、泣いてねえし。でも覚悟か……だよなぁ。……人を殺すってどうなのだろう……か……」

 「まぁ、異世界初心者であるおいら達に手加減なんてできないよ。油断したら、お・わ・り。殺さないとお・わ・り。ゲームみたいに”復活の呪文”で復活なんかできないし。なにより斬られたり刺されたら超痛そうだしね」

 「うん……そうだね」

 「世知辛いね~」

 「うん」

 ……この世界で生きていく……こういうことなんだろう。覚悟……か

 

 

 「おはやう」

 「ミツルさん、おはよう」

 ?

 うん? 

 お外は大変いい天気なのに、曇天模様のトワ君。らしくないぞ! 君は、お日様だ!

 「ん? どした? ”おっさん”じゃないの? なんか変なの食った? 拾い食いはダメだぞぉ!」

 「してねぇし。いや、俺なんかこっち来て舞い上がってたんだと思う。力みなぎってたし。 「ふむふむ」 下手したら初日、串刺しでアウトだったかもしれないしね」

 「まぁ、そだね~」

 「で、昨日話したこと良く考えてみたんだ。遊びじゃないって、死んじゃったらコンティニューないって。復活の呪文も。ミツルさんてのも覚悟の一つさ」

 「……そっか」

 トワ君の頭をガシってみる。

 「お、おっさん?! 俺、ガキじゃないよ、やめれ~」

 悪くないな……おいらも家庭をもってたら、これくらいの子供いても全然普通なんだよなぁ。めちゃ反抗期だろうけど。なんとか守りたいものだ。

 「覚悟軽いなぁ~もう、”おっさん”かぁ~」

 「あ……」

 「いいよ~”おっさん”のほうが本調子だ! むしろしっくりくる。ミツルさんは奥さんに取っておこうとおもう!」 

 「じゃぁ、もう……2度と呼ばれること……ないな……」

 はぁうぅうう!

 「うっさいわ! 今にみてろよ! えぐえぐ……」

 ”ははははは”

 そう、笑っていきたいね。……君は、おいらの太陽さ。


 パンをかじりながら、朝のミーティング。

 トワ君もいつも通りに結界を張る。用心に越したことはないからね。

 「で、トンズラ計画は? トワ君の案、聞かせてよ?」

 意味深に頷き、

 「三日後……召喚陣を破壊してその混乱に乗じて城を脱出。そのまま東門を突破! 魔の森に潜伏。その後大回りして西に進み小国群の小さい町で偽名で冒険者登録。って感じ?」

 「……突っ込み所満載だな。どうやって破壊する?」

 「それは抜かりなし。この空っぽの魔石におっさんが魔力を暴発寸前まで込める。で、結界魔法で包んで収納。現場で設置で時限式魔力爆弾の完成! 後は、ダッシュで逃げて結界解除! ちゅどーん! ってわけさ」

 ……どこで拾ってきたんだ? 魔石? なんぞそれは?

 「トワ君はっちゃけてるなぁ。で、魔石? 危険だし。おいらも 「魔石は宝物庫から頂いた。おっさんは充填まで。俺ひとりなら何とかなるよ。爆風乙なんてヤでしょ?」 おおぅ……」

 「……じゃ、城は良しとして、東門は 「強行突破だろ?」 ……だよね~」

 「その後は”魔の森”かぁ。ぶるぶる。怖いでござる。」

 「深淵部にいかなければOKでしょ。文献によると?」

 森かぁ……深部とかって人が勝手に決めてるんだろう? 魔物さんから見たら関係なかろうに? はぁ……そこで野宿せにゃならんのか! 死んじゃうかも?

 「そか……野宿? ……テントないな 「パクってきたよ、寝袋も。問題、無ぁし!」 は?」

 「輜重輸送部隊の備品、馬車ごとサクッと。ほかにも倉庫から小麦粉? パンみたいなのとか? 片っ端に?」

 「いつの間に……お主。さすがの手癖の悪さだな」

 「おっさん風にいうと……ほっとけ! ふふふ」

 「にしても……無限収納かぁ。良いなぁ。おいらのぺナ取れないかなぁ」

 「レベルアップすればとれんじゃね?」

 「レベル……あるんか?」

 「さぁ? で、東からだと南の獣王国に逃げたと見せかけての、西に移動、小国群のどこぞの町で、身ぐるみ剥がされました~荷物も身分証も無いの~ヘルプ~って侵入。冒険者として成り上がる! 完璧!」

 「はいはい」

 「? 本気だよ。Bまでサッサと上げて、あちこち見て回るんだぁ。この世界を!」

 ワクワクさんだなぁ。ふふふ。

 年相応ってわけか。って、おいらだって観て回りたい! 特に、獣王国とか魔王国とか。エルフもいいなぁ。エロフ? おお! たぎるぜ!

 「聞いてるか? おっさん?」

 「ん? ああぁ、心が羽ばたいていたよ……」

 「……ハニトラ、特に性病、気をつけろよ……死んじゃうぞ?」

 「トワ君!」

 見透かされているのである。さすが勇者様!

本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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[気になる点] 8話ではまだ収納ペナルティがかかってて12話ではゴブリン戦で収納から剣を10本取り出してる ペナルティいつ取れた?
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