平穏な一日。日常の風景 Ⅱ
おばんです。本日二話目。
久し振りにビルックと厨房に立つ。
「よし。何作るか…よしロースト…ブロック肉ある?腿でもいいや。…鹿かこれ。まあいいか」
「うん。」
「じゃ、これくらいに切り出してっと。塩をスリスリと。で放置。コショウってあったっけ?」
「うん、粉にする?」
「ああ。それもスリスリだ。みんなの分、これで足りる?」
「う~ん。あと、3倍くらい?」
…マジかよ…
「…食うなぁ…ビルック毎日たいへんだな。ご苦労様、ありがとう。」
「ううん。楽しいよ!みんな手伝ってくれるし」
「そうか…じゃあ、残りも塩、コショウ、スリスリだ。ソースは…いらんか?どれどれ。」
「そーす?」
「料理の仕上げにかけるんだ。この肉の塊は火を通して、且つ、半生、薄くスライスして食う。さて、もう一味!どうする?」
「う~ん」
「コショウもいい。このネギを刻んだのを乗っけてもいい。甘い汁をかけてもいい」
「フルーツ、香味野菜、ハーブ…ワイン…ハチミツ…」
「いいね。作ってみな。失敗してもいい。成功の糧だ。」
「…うん」
手並み良いな…リンゴ、玉ねぎもどき、セロリ…ハーブか?をみじん切り、軽く炒めてワイン煮…ハチミツで甘味調整?にんじん?どう…すりおろし?ほほう。頭の中に”これ”って味が決まってるんだな…
「とりあえず煮詰めてっと。」
「よし、焼くか!」
「フライパンだね」
「ああ二つ並ぶか?」
「大丈夫。いつもやってるよ」
「…だな。」
なにせ、半端ない量だものなぁ。
二人並んで焼く。
「こんだけ分厚いと上下10…8分で、サイドは4分ずつで行ってみよう」
「生々しいよそれだと」
「やってみよう。取りあえず。」
”じぃう~~~~~~~~”…
「で、焼きあがったらこの葉っぱで包んでと。ぴっしりな。で、この鍋の中へ並べていく…蓋閉めてタオルで覆って、よし!次焼くぞー」
”じう~~~~~”
この作業を繰り返す、すべてが焼きあがったので放置だ。
「余熱で調理だ。30いや、50分したら切ってみよう。」
「うん。ソースにこの肉汁入れたら…」
「いいかもな。油がないほうが良いかもしれん。父ちゃんには重い。つぎは野菜いこう。」
「スープにする?」
「いや、今日はダイレクトに食わす。これくらいの棒状にきって、白菜はこれくらい。茹でて塩掛けておしまいだ。」
「わかった…でも、食べるかなぁ?」
「あいつらは野菜が嫌いらしい。ビルックの優しさもいいが、どんな物か?どんな味か?食べ方は?…知らんといけないだろ?勉強だ。」
「わかった」
「それとも、獣人、肉食系は野菜駄目なのか?」
「ううん?バランス良い方がいいです。肉ばかりだと便秘になるって言ってた」
母ちゃんかな?頭撫でり。
「そうか、今日は野菜食わすぞ!」
「おー!」
「あら、親子で気合入ってるじゃ…これ食べさせるの?ダイレクト!」
そう言いながら、スティックニンジンに手を伸ばすセツナっち…
”こりこりこり…”つまみ食いは、料理人の特権なんだが。
「そう。本来の味、知っておいた方がいいだろう?それに、野菜食わんから。今日は野菜食わん奴は肉抜きじゃ!餓えてしまえ!で、ビルック味見。」
「うん。薄くってどれくらい?5mm前後?」
「任せるよ、厚みでも味変わるから試してみ」
「あ、赤いけど硬い?焼けてるの?…もむもむ…もうちょい厚いと…」
「ローストビーフ?」
「ディアー?鹿肉だ。奇麗な赤身だわ」
「美味しそうね。」
「夕ご飯に出すよ」しっし。
「…味見は?」
「厨房の特権で~す。お引き取りを。」ぺこり
「…ワイン用意して待ってるわよ!」…
「邪魔者は消えた…で、どうよ?」
「もう少し焼く時間短くてもよかったかも。美味しいです!これなら…」
ソースの調整か?
「父さん、そーすどうでしょう?」
「どれどれ。」
ほう。いい香りだ…こちらの世界発、果物以外、料理の甘酸っぱい。肉ちょい火通り過ぎたな。だが、合うな…ワインが欲しい。こいつは天才か!
「いいな…もう少し煮詰めてとろみをつけるか…」
「いいとおもう。酸味が飛ぶから仕上げにレモン少し入れてみるよ。」
「やるのぉ~お主!」
撫でくり。
夕食タイム。案の定、ぶー垂れてるお子ちゃま達。肉ガン見だ。
「今日の夕ご飯はビルックと父ちゃんが作りました。文句がある悪い子は…餓えてしまえぇ~」
{ひぃ!}
「おっさん…」
「まぁ、半分冗談だ。これから先、生きていくと、いろんなものを食べる。本来の味を知らんと話にならん。し、勿体ない。」
「…俺ら、屑野菜とか食わされてたぞ?」「おう。味なら知ってる」
…おふぅ…お、重いよぉ…ライ、カイ…。でもよく考えたら、他の子だって…
「…ま、まぁ、その、なんだ。いろんなものを食え!楽しいぞ。例えば、人参てこんな味なんだ!ってな。肉巻いて食ってもいいぞ。このソースもいい。とにかく…おまえら野菜もっと食え!。お腹にう〇こ詰まって死んじゃうぞ!」
「「うそだぁー」」
「ほんとよ。野菜の中に出やすくなる成分があるのよ。…毎日出てない子はいねぇかぁ~~~~?」
「「ひぃ、お、俺でてるもん」も、もりもりだぞ!」
ないす!セツナっち!
「…姉貴…」
「良し、食べよう!」
{いただきます…}
「あれ?人参あまい?」であろう!
「「この葉っぱうまい?」」シソ?
「大根しゃりしゃりして美味しい?」黒いけどな。
「トマトこのまま食べるの?…”かぷり”すっぱ!」
「だろう!野菜は美味しい!わかったかい?」
「すっぱい!」
「「肉のが美味い」」
「よしアスパラの先っぽに肉巻いてソースをタラり。食ってみろ」
「「うんま!」」
「だろ~」
「わたちも!」
なかなかにうまくいったね。
「今日は茹でたけど、焼いても美味しいんだぞ。特にこの芋なんか焼いたら…」
「ええ。誰にもあげないわ…欲しければ命がけで来るのね…」殺!
{ひぃ!}
「セツナっち…」
「…姉貴…嫌われるぞ」
「はっ!じょ、冗談よぉ~それだけ美味しいってことよ~」
手遅れだな。
…野菜パーティは成功だね。これでちょっとは野菜の消費量が上がるといいね。健康にもいいし。
「明日は、朝食後、ピクニックへいくぞ!魔の森の浅いとこだ。全員参加ね。」
「「父ちゃん狩り?」」
「だよ。」
「「やったー」」
狩猟民族だな。DNAなのか?
本日もおつきあいありがとうございました。




