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一振りのナイフ

 面倒ごとがあったけど、何とか、予定通りにバニキュアに到着。ここでは3日の滞在予定となる。

 『海色の手綱』連中は引っ越しの準備となる。なので、もう少し時間も取れるよ?っていったのだが、

  「荷物なんてそんなにないですって。所詮は冒険者稼業ですし。」

 ということで、変更なしの3日とした。

 

 『迷宮の光』の連中は休暇。で、おいら達は、恒例の”酒宴”だ。

 しかもアーサー君、チェルシーちゃん同伴で。宿に残そうとしたんだが、あ、もちろん、お師さん達を護衛に付けて万全に。だが、「…付いてまいります!」チェルシーちゃんの決意有る謎威圧と恐怖のギャン泣き(この子は泣きそうには無いが…)を恐れて同行を許した…。

 

 「楽しいかい?」

 小さなお口でドワーフ製の極太腸詰と奮闘中のチェルシーちゃん。ナイフ、フォークもあるのだが…おいら達を真似たがる。ま。かじりついた方が何倍も美味いがね。

  「はい。普段聞くことのできないお話。料理もおいしいですし。晩餐会なんかの何倍も楽しいですわ。」

 「…あそ。」

 ほんとうに8歳か?この子。

  「晩餐会ですと、友人を…なんて言いながら、派閥の子女があてがわれますの。おねしょするような子供ばかりでしょ。つまりませんの。…まぁ、お兄様も大して変わりませんけど。」

 おふぅ…お兄ちゃんにも流れ弾が…そのアーサー君は老師の打った”銘品”のナイフやら剣を見て大興奮している…まぁ、男なんてこんなもんだよ…うん。

  

 「老師様。そのナイフ。譲ってはいただけませんか?代価は家から届けさせますので。」

  「ん?お嬢さんには早い…な。」

 とギブリ師。彼が打ったものだろう。

  「いえ。貴族に生まれた身。自決用のナイフ、私、まだ持っていないの。ですがこれほどのナイフ。死ぬ前に3人は道連れにしてやる覚悟です。」

 …おいおい…

  「しかしだな…ん?じい様?」

 ずいと、老師が前に出る。

 「うむ。さすがマランタ公爵家の姫じゃ。ギブリよ。光栄なことじゃぞ。御手に合せて拵えを。の。主の仕事じゃぞ。」

  「うむ…解った…受けよう。」

 「ほれ、丁度いい。ミッツ殿もおるしの。ダンジョン潜って、砂漠も越えてきたというのじゃ。宝石くらいいくらでも持っていよう?最後を飾るしなじゃ。良いものをのぉ。死して尚、その覚悟を美しく知らしめるくらいの。」

  「ありがとうございます!老師様!」

 …。おふぅ…良いのか?

 「チェルシーちゃん?そういうのは…お父上と十分話し合ってだね。」

  「あのナイフ職人で御高名なギブリ師の逸品。この機会を逃しては、求めることはできませんもの!これ以上の物はありませんわ。貴族子女の嗜みでございます。ミッツ様。」

 「…老師?」

 「そういうもんじゃ。マランタ公爵家は、あれで武門の家での。王家の剣といわれちょる。汚され、人質になるくらいならの…まぁ。そういう生物じゃての。」

  「それに俺が言うのも何だが、ミッツ殿と一緒じゃ無きゃ、コレは売らん。我ながらよくできた一振りだ」

 「わかった。…そうだな。必要な物があったら言ってくれ。」

 って、酒宴の席じゃ重いよぉ…


 造られた当時は、『聖女の慈悲』と銘打たれたナイフだったが、『マランタ家の逆鱗』と呼ばれるように…誰の仕業かは別のお話…


 「ふ~ん。ほんとチェルシーはちっこいのにシッカリしているなぁ。アーサーも欲しい?」

 「おいおい!トワ君。飴玉じゃないんだから!」

 ナイフだぞ!おい!

  「私は鍛錬し、武をおさめ。父上のように細剣の使い手に。最後は敵陣に躍り込み、この身がバラバラに腕一本になるまで戦います!」

 …おふぅ。もうイヤ。

 

 そう言えば、アーサー君。フィリキを出てからパテンスに教えを乞うてるようだが。ヤンの扱い(主に刀身を隠し間合いを支配する戦法。中国拳法みたいな自在剣)より”騎士”風の技のが好みなのかな。

 おいら的にはヤンの剣術のが好みだけど。卑怯?大いに結構!生きててなんぼだ!

 

 「ふ~ん。朝の鍛錬。真面目にするといい。チェルシーもでるか?道連れが2倍、3倍にはなるだろうさ。」

 おいこら。

 「ほっほ。そりゃいいわい!お嬢、扱い方は知っていって損はないぞい。」

 …老師…面白がってないか?

  「はい!トワ様!」

  「ミッツ殿。そういうものです。われらエルフでも同様。多少魔法が使えますが…世知辛いものです。」

 「ユード殿…ま、暗い話はここまで!そうそう、ユード殿!外海越えて来ていた方々、褐色ムチムチ美女のエルフ族でしたぞ?」

  「は、はぁ?本当ですか!確か別れし支族…外界を越えてと…まさか!さっそく王都にいかねば!…うん?ミッツ殿場所は?」

 

 なんでも古代に分かれた種族とか?

 ダークエルフ?と聞いたら…

 「…ミッツ様もですか…勇者様達、異世界の方々はなぜか、謎の種族ダークエルフというものが好きですから…はぁ…。エルフすらいない世界なのでしょう?」

 と呆れられてしまった…そんな呼び名のエルフはいないと…

 こちらのエルフは闇落ちしていないようだ。ダーク…”闇”だもんな…ははは…

 「それを言うなら”悪魔”神の手先のゼクス教。”ダーク人族”でしょうか?十分…神の元に行けぬくらいの”闇落ち”でしょうに?」

 と。…まったくその通りだわな。で、なんでも、調べて森林国に報告するそうだ。

 請われたので商会宛てに”紹介状”を書いた。話しが大きくなったな。

 おいら的には、ぼいんぼいんで盛り上がると思ったが…エルフは(性的に)枯れてるからなぁ。はぁ…。(子供がいるのだぞ!アホ!…ミツルの良心)


 子供達も疲れていたのだろう。宴が終わるころには既に夢の中。

 チェルシーちゃんも子供らしく、よだれ垂らして寝てら。ふふふ。これが本来の姿だろうに。業深きことだよなぁ。チェルシーちゃんとアーサー君をおぶって宿に向かう。ん?

  「父さん…」

 「おう。雹、ご苦労様。どう?」

  「不穏な勢力なんかはいないよ。例の貴族も無事に檻に入ったよ。この町は安全グリーンだね。」

 「ありがとう。宴会出られなかったな。」

  「平気。トワ兄の事だから明日もいくでしょ?その時ナイフ買うから大丈夫。」

 …ナイフ買いに行くのかい…。

 「おう…気を付けてな。夜も町を回るのかい?」

  「ええ。安全の為。…にね。」

 「すまないなぁ。雹。」

  「全然。気にしないでよ。父さん。」

 はぁ。重いわ…。

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