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尊き血。

 「ま、マサイよどうにかせよ!其方が持ってきた話だろう!」

 大慌てのお貴族様。書類偽造。王の名を騙り、その動かぬ証拠をおいらに取られ、相手がヴァートリーと聞く…もう既に詰んでんじゃん。武力に訴えようとも、冒険者連中は離反。残るは、ギルド長らしき人物と職員さんが二人。貴族様の私兵たちだ。

  

 「は、はい!し、子爵様ぁ!お、お任せください!『迷宮の光』よ!お前たちの資格も停止するぞぉ!命令不履行 「結構だ。」 …はぁ?お、お前たち?なにを?」

 「結構だと言った。口座凍結でも除名でもするといい。義理で席だけ置いておいたに過ぎん。勿論、トラヴィスのギルドから貴殿に抗議も来るだろうがな」

 とエレン。

 「おう!凍結結構!チャラだな!おれ、借入金(借金)しかねぇし?」

 とパテンス。胸張って言うなよ…返せよ…借金…。

  「俺も引き出してるから大丈夫だ。だって、”あの町”にはギルド無いから。てか、ヴァートリーのあるし?金持ちだし?」

 とカルネラ君。うん。うちは冒険者ギルドお断りだもんな。

  「おれは一寸預けてるが…なぁに、パテンスに補填してもらうわ。」

 とスタック

  「な!おい!スタック!」

  「…。」

 …バクラどん…なんか言えよ…

  

 「き、きさまら…み、身分を証明するものだぞぉ!こ、国境だって!」

 狭いギルドの中だけで生きて来た者。立派なギルド信奉者へと。それだけが生き方じゃないのだがね。

  「マサイ、この役立たずめ…よい。お前たち!この者らを捕えよ。」

  「チタノタ子爵。我らは治安部の者。少し待っていただきたい。ヴァートリー商会。その書類。私に見せてはくれぬか?」

 「…そちらの”手下”にですか?握りつぶすおつもりで?」

  「王命…国のためと招集されてな。私達は国軍…国に仕えている。私はこの隊を預かるビコスと申す。そこの兵の10名が私の部下だ。私の判断で部下の命運が決まる…信じてくれとしか言えん。」

 私兵ではない…と。

 「ほう。良いだろう。おっさん。」

 …。トワ君…

 「わかった。どうぞ。」

  「ありがとう…。」

  

 「それを早く!早くこちらに持てぃ!これ!聞いているのかぁ!」

  「隊長!」「隊長?」

  「…チタノタ子爵以下、マサイらを拘束せよ!」

  「な!貴様!警備部の小役人の分際で!」

 ”ざっ”と私兵の者達5人が主人の前にと前に出る。その手は、剣の柄に置かれ…

 

 「お待ちください!私兵の方々も動かぬように!チタノタ子爵は明らかに”反逆罪”に問われましょう!手を出されると同様の罪科に問われますぞ!忠誠を尽くされるのも結構ですが、”国家反逆罪”はご家族のみならず一族全てに累が及びますぞ!」

 

 そのビコス殿の叫びに私兵の連中の動きも止まる。貴族なら、当主が責任…というのもあり得るが…一般人ならば即、一族郎党皆斬首だろう。…怖ぁ!

  「私兵の方、手をお貸しください。”罪人”の捕縛です。子爵殿も大人しく。これ以上、無体を通しますと一族まで。お家にも影響が出るでしょう。」

  「ふ!ふざけるでないわ!お前たちもこのような時のために飼ってるのだぞ!えええい!皆、斬ってしまえぃ!」

  「チタノタ様、多勢に無勢…大人しくしてください…」

  「な、なにぃ!敵は向こうぞ!こ、このぉ!不忠者がぁ!」

  「が、我慢してくださいぃ。お、俺達にも家族が…」

  「み、皆、向こうについています…そ、それに、死にたくねぇ…」

  「や、やめよ!ぶぅ、無礼者めぇ!無礼者!そ、そうじゃ!そのマサイが全てじゃ!わ、わしは知らん!やめよ!やめ…うぐぐぅ、い、痛い!ほどけぇほどけぇ!」

  「し、子爵様ぁ!し ”ざざぁ” うぐぐ!痛い、止め ”ぎゅ” うぎゅあぁ…」

 チタノタ子爵殿と、マサイの二人は組み伏せられ、縄で自由を奪われる。これにて一件落着かね。


 「ビコス殿。もう行って良いか?」

  「はい。このまま我々はバニキュラに帰ります。お騒がせしました。」

 「…大丈夫かい?」

  「…はい。おそらくは。」

  「いいでしょうか。ミッツ様。私はマランタ家のもの、アーサーと申します。私なりに経緯を書き留めておきました。これを国に。貴殿らに責が及ばぬように。先の冒険者たちにも。その一助になりましょう。」

 そう言って紋章の入った書簡をビスコ殿に渡すアーサー君。

  「マランタ…公爵家の…あ、アーサー様、ありがとうございます。」

  「いえ、良く任務を成し遂げられました。皆さん」

  {はっ!}

  「ま、マランタ家だとぉ…」

  「チタノタ子爵殿。貴族らしからぬ行動。王も肩を落されましょう。同じ王国貴族として残念です。」

  「う、うぐぐぅ…」

 …立派ですぞ。アーサー殿。その心、忘れないようにね。

  

 …。

 

 「で。何時までついて来るんだい?君達。」

 「いやはや。もう、海岸には下りないのかね?」

 少々チャラそうな雰囲気の細剣使い?なぜに細剣使いには皆、気障っぽい野郎が多いのだ?(ヴァンを筆頭にパテンスやら…。…偏見)?鉄板か?

 「なんだ?旦那ぁ?俺の顔になんかついてるか?」

 …まぁいい。彼を頭に5人の男。見るからに盾使いと斥候が一人。後は剣士と狩人かな。攻撃力に力をおいたパーティだ。

 「うん?貴公も我らが魔道具か何かを使ってるとでも思っているのかな?」

 「いや。…魔道具であってほしい…と思っている。が…アンタら”勇者”様だろう?」

 「なんでそう思う?」

 「アンタらもそうだが、そこの獣人…いや、魔族か?…その『迷宮の光』にしたって…それに周辺を固める獣人達恐ろしい手練れだ…そちらのエレン殿だったか?彼に言われなくとも尻に帆を立てて逃げるつもりだったさ。」

 ほう。お師さん達にも気が付いているか…

 「ああ。俺が一応。その”勇者”様だ。で?一戦交えてみるか?」

 「冗談だろう?そんな気は毛先ほどにも無いよ。でだ。これも何かの縁。俺達のチームも仲間…傘下に入れてはくれないかい?そちらさんの『迷宮の光』もそうなんだろう?俺たちゃ、護衛任務を得意としているチームだ。もうギルドもうんざりでね。」

  「おいリーダー名ぐらい名乗れよ。俺は盾職のドゥラティだ。で、こいつが斥候のキアネア、フックシー兄弟、剣士のコンコロ-ルだ。」

 「申し遅れた。俺が、このパーティ『海色の手綱』のリーダー、パレアセアと申します。」

 「う~ん。どうしたモノか…トワ君。」

 「構わんが、うちにで何すんだ?給料…でるのか?」

 出すのはトワ君、アンタじゃ。おいらは知らん。

 「そうだね。護衛任務がありゃ良いんだが…」

  「『迷宮の光』さんとこと同じような。」

  「ほぅ。我らと同じことを?」

 もう。ドネリーどん。すぐムキになるんだから。剣呑、剣呑。

 「エレン達は”ダンジョン部”だぞ?ダンジョン調査とお宝回収だ。並の腕じゃ死んじゃうぞ。」

  「ダンジョンぶ?なあんだそりゃ。」

 とドゥラティ殿。だよなぁ。彼が副リーダーのようだね。

 「う~ん…もちろん、購入するから、装備の提供とか?恐ろしく上等な装備だしな。傘下身内価格なら助かる。」

 とパレアセア殿。ほう良く分かったな。偽装(傷やら、汚し)してるのに。

 「ふ~ん。面白いな。パレアセア殿は”鑑定”持ちかい?」

 「ええ。隠してもしょうがないですから。上位の”品評”と言う物です。私のは人には使えませんがね。」

 へ~そんなスキルもあるんだ。

 「じゃ、買い付けなんかもできる?」

 「ご期待に応えるように努力しましょう。」

 とかるく腰を折る…気障きざ野郎!…お貴族さんの出かねぇ。

 「ふ~ん。ま、いいか。来るなら来るで構わないけど、裏切るなよ。本拠地はノリナ国だぞ。それと”鑑定”は受けてもらうからな。これで良いか?おっさん。」

 「ん?トワ君の思う通りでいいよ。」

 どうせ執行部に丸投げだろうけど。輸送隊やら、買い付け隊は正直助かるな。いくらあってもいい。

 「当然だな。では、よろしくお願いしますよ。勇者殿」

 「ああ。トワだ。よろしく頼む」

 

 てなわけで、『海色の手綱』が傘下?に加わった。彼らの活動拠点はバニキュアだそうで、そこで荷物などをピックアップするという。フックシーとコンコロ-ルは世帯持ちだそうだ。…ふん!

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