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みよ!我が魔法を!このD魔導士たる…ほっとけ!

いらっしゃいませ。

 騎士団長殿に剣術を習う事により、今後生きていく上で必須であろう剣の扱いの目途が立った。脱走予定だからとにかく基礎を確実にマスターし、後は練習あるのみ。

 

 おいら、剣より槍がいいのだが…

 早速、ザックさんに相談したら短槍を渡された。構え、突きなどのあしらい方を習っているのだが…どうもへっぴり腰、腰が入らんのだよ…。

 

 ということで、次はいよいよ魔法だ!ふふふ。伊達に”大魔導士”じゃないぞ!…ほっとけぇ!えぐえぐ。

 再びザックさんに相談だ!

  

 「う~ん、ミツル殿、魔法か。うちの団員には治療師くらいしかいないぞ?」

 「…魔術師部隊なかったっけ?ほら、あのクソ爺ぃ…オウンだっけか?そこ。」

  「ああ、オウン殿のところだが…多分、人、出さんぞ?トワ殿ならともかく…ミツル殿には教えないと思う…」

 「せこい爺ぃだなぁ。トワ君呼んでよ。」

 さもありなん…おいら、邪魔者のようだし?

 「ええ~俺、魔法なんか教わらんでも良いや。たぶん使えるようになるぞ。」

 「なんですと!これだから勇者は…」

  「一応、治癒師呼ぶか?」

 「…お願いします。何よりも重要な魔法になると思いますので。生きていく上で…」

  「ちょっと待っててくれ」

 騎士団長使ってすいません!でも、お願いします!

 …。

 

 「トワ君はどうよ?」

 「う~ん。何とかなりそうなんだよね。ほら、ラノベでイメージと科学とかって鉄板じゃん?…ほら!」

 そういうと指先に火を灯す…

 「反則だな、おい…それ、飛ばしたりできるの?」

 「いや、まだだな。でも剣に纏わせたり出来ればいいと思う。やっぱ剣だよなぁ。」

 ぶんぶんと剣を振るトワ君。流石剣道有段者。奇麗なもんだ。だが!

 「…そこは魔法だろうよぉ~ロマンだろぉ~」

  「ん?待たせたな。こいつはルーシュだ。昨日も居たろ?」

 「昨日はマメの治療ありがとうございました。ミツルといいます。治癒魔法、ご指導ください。」

  「ルーシュです。…本当に、おじさん覚えるの?手遅れじゃ ”こつん!” 痛い…なんです?団長?」

  「教えて差し上げろ。しっかりな。今日明日のお前の仕事だ。」

  「…はいはい。トワ様はいかがします?」

 「そうだね。座学…原理とか決まりとか?ことわりっての?そういうの教えて。」

  「理ですか…ミツル殿は?」

 「全部。最初から。」

  「…全部て…良いでしょう…座学からいきましょうか。」

 

 …神云々の話が出なくてよかったわ。なんでも体内に流れている魔力というものを操り、様々な事象を起こすことをいうそうだ。

 まずは魔力を感じること。そしてつま先から頭のてっぺん、指先まで回す。と。おいらの場合、すぐに分かった。下腹部からマイ・Jrのあたりにもやもやぁ~っと。…欲求不満じゃないぞ。…たぶん。

 よっしゃ、回す…ぞっと!

 「お?…うおぅ…す、すごい…お?おおおお!」

 血管の壁をひっかっく感覚?血も押し出す感じ?体温があがってそうだ!

 「お、おい、大丈夫か?ルーシュさん!おっさん爆発しないか!なんか、光ってるぞ!」

  「わ、わかりませんよぉ~~~こ、こんな事例!」

 「おっさん!爆発するなら他所でしてくれ!」

 物騒な…

 「…君たち…失礼じゃないかね…」

 「おっさん!すげー光ってんぞ。」

 「ふふふ。おいら!『降臨』!」

  「み、ミツル殿、そ、それを指先に火を出すイメージで。」

 お!回復魔法でなく、放出系の火の魔法か!いいの?行っちゃうよ!ルーシュさん!

 「ふっ、大魔導士の力を…みよ!いでよ!火の竜!」

 ”ポフ”

 指先から轟々と火炎!…ではなく、蝋燭の火のように…

 は?あれれ…ライター?

 「…しょぼいな…おっさん…しかも、中二患ってんのか?」

 ほっとけ!

  「ミツル殿…精一杯です?もっと、こう…ぼうう!って。」

 ふん!ふん!!ふん!!!出んがな…。

 「魔法の詠唱とかってあるの?なんか秘密…とか?」

  「ええ。ありますよ。イメージしやすいようにするために各流派によって違いますけど。」

 「なら、特には詠唱は必要ないと…後は気合か?どれ。ふん!ふん!!行くぞ!でろぉ~ファイアーーー!ファイラ!メラ!」

 ”ポポフぅ”

 …ライター?…ありゃ?イメージイメージ…

 「とりゃ!」

 ”ぷしゅー”

 …長くなった?火力強めのライター?…

 「やるなぁ!おっさん!く、く…」ぎゃはは。

 爆笑やめ!

  「ミツル殿、精一杯です?それ?クク…」

 「ルーシュ殿まで…」

  「でも、どこに行ったのでしょう?あの膨大な魔力?無駄に光って終わり?」

 無駄言うなや!魔力?と思われる物なら、まだ体内を巡ってる…

 「ん?あるよ。ここに。」

 ふいぃーーーんってな感じで再び、魔力を回して見せる。

 ふっ、おいらの太陽炉がうなってるぜ!ガン〇ムOOは甥っ子と観たわ。結構ハマったもんだ。

  「…もしや…身体強化系?」

 「ルーシュ殿それは?」

  「論文によると、主に獣人族が得意にしてる魔法と言われています。まぁ、彼らは無自覚でやってるようですが…身体能力を上げる魔法ですよ。足が速くなったり、力が強くなったり、防御力があがったりと。そういった効果があります。我等ですと、ワークライとか?」

 「ふ~ん。…よし…イメージは紫光…」

 「おっさん?…まさか!…アレやるのか?」

 そう!太陽炉搭載!であれば!

 「ふっ…トラ〇ザム!」

 「…おっさん…」

 周りの魔力が紫に輝く…おおおお!トラン〇ムや!

 「狙い撃つぜぇー!…ト〇ンザム!必殺!反復横跳び!!」

 しゅぴぴぴぴぴぴぴぴ…恐ろしい速さの反復横跳び!

 おおお!すげーーー遠心力?慣性の法則でぶっ飛びそうだ!

 「…ふぅう…どうよ?」ふっ!

  「す、凄い身体強化ですね…維持時間にもよりますが、上位冒険者も夢じゃないですね。魔力は大丈夫ですか?」

 「ええ。全然大丈夫ですよ?トランザ〇!ほら。」

 再び紫の魔力に包まれる。

  「…す、すごい…無限の魔力ですね…底なしですか…」

 「おっさん、ゴキブリみたいだったぞ…ちとキモかったわ。黄色ならスーパーサ〇ヤ人だな。」

 「ええ!そこ!Gって…もっと良かったとこあるでしょうよ!うん?…野菜人それもいいな…」…

 

 「ふぅ。驚きました。王にちゃんと報告すれば待遇もよくなると思います 「いや、黙っててよ。お願い。信用できないんだよ。あの王は。豚じゃん。」 …いいのですか?美女侍らせられるかもですよ?」

 「…」

 美女…ムチムチ…むちむち…ムチムチ?

 「おっさん?なんだその間は。」

 いかん!いかん!

 「…。……もちろんさ。」

 「なんだよ、再びの間は。未練たらたらだな…」

 ああ…油断すると、頬に熱いものが流れてしまうぅ…むちむち…。

 「でも、ルーシュさんの立場もあるでしょうし、報告してもいいよ。恨まないからさ」

  「…大丈夫ですよ。どうせ俄かには信じないでしょうし。でも団長には報告しますよ。」

 「そりゃしょうがないよ。」

 話が分かる。御世話おかけします!

 

 …その後、魔力の鍛錬法を教えてもらう。イメージはばっちりなんだけどなぁ~化学知識もあるし…なぜに、初級レベルなのか…まぁ、無いよかまし程度と思うか…。

 身体強化はいけそうだな。

 それから、毎日治癒魔法をしっかり教えてもらった。が、こちらも初級程度だ…。少しでも鍛えて、生存力を高めねば!

 …。 

 

 朝は剣術の修練。とにかく基礎を学ぶ。午後は情報収集と魔法の修練。主に瞑想をおこなっている。

 トワ君は探検と称して城内を徘徊してるようだ。

 毎夜、寝る前に”ふっふっふ。今日の戦利品じゃ”と、どこぞでかっぱらってきたかしれない品々を並べる。窃盗品評会なるものが催される…なかなかに手癖が悪い勇者様である。

 本人曰く慰謝料との事だが…まぁ。先方も何にも言ってこないからいいだろう。

 

 彼曰く、宝物庫に侵入する経路を探しているとか…。そんなものより、脱出の経路を探してほしいものだ。

 ある日など、軍事倉庫を見つけたと、武器を大量にかっぱらってきた…どうすんだよ。それ。

 着々と脱走の準備を調えつつ何とか今日も生き残ったな。

 

 そうそう、初日以降、いけ好かない、王やクソオウンぃと顔を合わすことがない。放任だ。いいのかそれで。

 こちらから会う気はないからいいんだが…なにか良からぬことを画策してそうで落ち着かん。

 

 …。

 

 …なんやかんやで、この世界に来て2か月が過ぎた。

 もちろん!今日も生きています!ごっちゃんです!

 

 毎日の鍛錬の成果か、酒なし、地球に比べて質素な食事、毎日の運動。この規則正しい生活が、ナイスミドルのおいらの腹から脂肪を削ぎ落としていく。腕も、足も引き締まってきた。

 …ような気がする。

 

 トワ君も若さ爆発!おいら以上に効果あり!もう腹筋なんかバッキバキだよ。…若いって…いい…。

 未だに行われる、ハニトラ攻勢にも負けず、精神共々鍛えてるようだ。

 おいら?ハニトラモーションなし!(涙)。ほんとアホだよなぁ。トワ君じゃなく、おいらに仕掛けりゃ、成功するのに。(おいおい)

 それにしても、こんなおっさんに、同郷ってだけで付き合ってくれるトワ君、本当に良い子やぁ。おいらが今生きてるのは彼のおかげといっても過言ではないな。

 やれることは少ないが、そのやれることを磨こう。そして万一の時は、肉壁になるくらいはね。

 

 今日も清々しい風が吹き抜ける、訓練場。

 第二騎士団の鍛錬を横目に、剣を振る。

 訓練…第二騎士団以外見ることはない…声すら聞こえてこない…。第三騎士団は国境が任地のようだからここにはいないのだろうが…。第一騎士団…お貴族騎士団と聞く…鍛練なんかしないのかね。 

 

 「で、おっさん、剣のほうは?」

 「まぁ、何とか振れるくらい?槍のがいいかも。まぁ、お手並みは、お察っしだね。」

 「ふ~ん。槍…かぁ。で、魔法は?」

 「だれが魔導士じゃい!ってか、つっこんでくれんの?その目はやめて…。初級の水・火・土・回復はいけそう。氷、風はまぁまぁですぜ親分」

 トワ君のジト目に怯む、おいら。ノリよ。ノリ!

 「…おっさん、クーラー魔法極めてたもんな。実際、魔力量すげえよな。恐怖の自家発電w?」

 

 クーラー魔法!こっち暑いです…。で部屋の中にどでかい氷を作って風魔法で部屋の空気を攪拌、ひんやり~って寸法だ。朝まで風回しても、四六時中まわしても魔力は尽きなかったよ。

 「うん、コいてはないけど、体の芯、体幹、から溢れる感じなんだよなぁ。自家発電。トワ君に譲渡もできそうだし。魔力電池としていかが♡」

 「キモぉ。でも試してみる価値ありだな。ここでは内緒だぞ。」

 「そだね~切り札の一つになるといいね。」

 


 そして、さらにひと月。

 今日もバッチリ生きています!ごっちゃんです!

 脱出の準備も着々と。特に剣術、魔法の向上に使った。

 ナイスミドルな、ぽっちゃりボディがさらに絞れてきた!

 …気がする!

 魔法の鍛錬の瞑想のおかげで体内に保持するキャパは相当増えた気がする。

 魔法自体は相変わらず初級のみだがな。

 トワ君は相変わらずバッキバキだよ。

 

 「で、おっさん、そろそろトンズラ計画をたてようじゃない。やり残しある?」

 結界魔法を張り、脱出計画について語りだす

 「やり残し?そりゃぁメイドのお姉ちゃんと…。うそです。ごめんね…う~ん、本も読んだし。鍛錬方法も学んだ。…そうさねぇ…!…トワ君さぁ、ここの召喚陣どう思うよ?」

 「?召喚陣そりゃ、気に入らんね。アレがある限りここの豚がつけあがる。」

 そう!ただトンズラするだけというのもね。因縁の召喚陣。この国自慢の逸品だ。今後のためにも是非とも破壊したいところだ。立つ鳥跡を濁したいじゃん!

 「ぶっ壊わさない?場所知ってるし。」

 「おっさん…本物はさらに下層だぞ。知ってた?」

 「ほえ?あの部屋じゃないの?」

 あら、びっくり!さらに下…かぁ。あの石テーブルの部屋じゃないのか…

 「ん。もっと下、あの部屋からさらに5階くらい下、なんか感じるんだよね~」

 「そ、そっか。もうおいら達みたいに拉致られないように潰しておきたかったんだけどなぁ。無理かぁ。」

 「そうだなぁ。…で、おっさん…心の叫びは?」

 「…新たに強い勇者とか召喚されて追っ手にされたらしんどい!死ねる。確実に。」

 なにか?あったりまえじゃん!

 「あははは、だよねぇ~腹いて。でも、一理あんな。次の”召喚”まで充填にどれだけかかるか知らないけど。」

 「生贄とか(ぶるぶる)」

 「こわ。そすると召喚陣破壊を第一目標にしようか。」

 「ほかにもある?豚の首なんかいらんよ?」

 まじで。

 「それじゃ、豚面トンヅラ…上手いこというな。トンズラにならんでしょ。宝物庫だよ!宝物庫!お宝!慰謝料たんまりもらわんと。」

 「なるほど。でも結構かっぱらったもの収納にはいってるよ。足がつきやすい宝物なんか面倒くさくね?」

 せっせと花瓶やら、壺?廊下に飾ってあった品など、金色のものやらちょこちょこっとね。

 「いやぁ~聖剣の一本でもないかなぁ~って。」

 「納得。二兎追うものは…っていうし、同日に実行はキツかんべ。先に宝物庫忍び込んでみる?」

 「!やってみっか。結界魔法でなんとかして…鍵の性能だって知れてるだろ。よし。」

 いや、逆に、魔法でガチガチだったりして…

 「だが、あの王、王妃だろう?宝物庫、空っぽかもよ~」

 「ありえるな~じゃ、明日下調べしてその次の日の夜、決行で。」

 「らじゃ!」

 いやぁ~若い子が相手してくれるとこっちまで若返ってくるよ。若気充填!ほんといい子や~最悪、この子だけでも逃がさないと…ね。


本日も読んでくださりありがとうございました。またのご来店お待ちしてます。

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