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河童スカンク?

 《地下10階》迷宮タイプ


 キリの良い階層なので街でもあると思ったが…普通の迷宮だった…しかもこの階層の魔物はラーテル?にそっくりの魔物だ。黒いボディに、白いストライブ、そして背から頭部に白銀の毛に覆われている。しかもデカい…地球のものの倍はある。凶暴なイケイケ面相もそのままだ。

 

 「…なんじゃこりゃ。おっさん知ってる?」

 「ラーテルのデカい奴だな。さて…どうしたモノか…」

 気性の荒さはギネス級とか、素通りは無理…か。

  「狩るんじゃないのか?どれ!」

 「あ!待て!パテンス!退け!」

  「へ?」

 ”ぶっぱ!”

  「屁?屁だと…くっさぁーーーー!く?くあぁああ!め、目が痛ぇええ!」

 パテンスが怯んだところで、立ち上がる巨大ラーテル!おおお!ガ〇バの冒険の白イタチのノロ〇のようだ!爪でけぇ!

  「バカが!くっ!”ばいん”!!!な!」

 ドネリーどんが割込み斧を振り下ろす!が、くるりと背を向け斧を跳ね返す。ライオンの爪も牙も弾くという。

 斧の一撃も軽かったな。獣人のドネーリーどんも”屁”の匂いがきつかったのだろう…力が入らないか?やっぱりラーテルだ!最強(?)の獣の一種といわれる。ちっ!

 「しゃがめ!パテンス!”太陽の槍”!腹の下なら効くだろう!」

 ”どむぅ!”

 少し、浮き破裂。消えていった…ふぅ。

 「ったく…”洗浄”これで大丈夫…じゃねぇな…目潰れそうだな…”回復”…どうだ?」

  「あ、あぐ、…お、お手数おかけしました…」

  「最後まで聞かぬからだ。馬鹿め…少しは成長したかと思ったが…」

  「くっ!」

 「ふふふ。言ってやるなドネリーどん。治療費は借金に付けておくから。」

  「なぁ!」

  「当然だろうが。よろしくお願いいたします。少しは懲りるでしょう。」

  「くっ…よろしくじゃねぇよぉ…」

 「ドロップは…革か…ほう。弾力があってゴムみたい…おお!これでボールが作れそうだな!よし!少し狩っていくぞ!」

 「ボール?なんのこっちゃ。」

  「狩る…何か攻略法が?」

 ドネリーどんはやる気だが…スタックと雹は一歩下がる…臭いもんな…。

 「そうだなぁ。本来であればひっくり返せばいいのだが…なにせでかい…爪も鋭いし…ここはおいらがやる。皆は下がれ。また屁喰らうぞ。」

 「やっぱり屁かぁ。スカンクと河童足して二で割ったような奴だもんな…」

 …言い得て妙だな。なるほど。

 「実際はライオンやらの方が強いんだけど、ひっくり返されなけりゃ、そうそうやられることはない。それに、闘争本能はすさまじいからな。」

 「へぇ~。地球にも色々いるんだなぁ。」

 「ああ…おいら達の母なる惑星だ。」

 

 「逝けぃ!”太陽の槍”!」

 もちろん、安全地帯から魔法を放つ!”ぼむ””ばむ””どむ”腹の装甲は薄いのか、爆散し、”ぶよい革”をドロップする。何個かスラミに横取りされたが…まぁ、良いだろう。

 「珍しいことがあるもんだ。おっさんがやる気とは。」

 「そりゃ、目的があればな!”太陽の槍”!」

 ”ぼむ”

 「雹も覚えておけよぉ。ああいった派手な奴には”何か”ある。それを利用し、擬態して生きてる奴もいるがね。パテンスもな。」

  「はい。父さん。」

  「はい…」

 

 特にチェックポイントも無いので階段に向かい直進。途中のラーテルはすべて屠った。

 おかげで結構の数の”ぶよい革”が手に入った。早くギャンさんに見せたいな。

 良い時間なので、階段の近く、行き止りを占拠し、野営を行う。明日はどんな魔物が居るのだろうか。

 


 

 《地下11階》迷宮タイプ


 階段を降りると雰囲気は一転。

 沢山の人が居た…前にも似た風景を見たな…そう鉱山区。採掘エリアだ。

 ここでも一般の人工を入れてるようだ。

 ダンジョン組合自体、そのダンジョンを占有する国の組織だ。他の国との情報のやり取りも少なかろう”トラヴィスの事件”についても伝わってはいまい…。もっともトラヴィスにとっても良い話じゃぁない。むしろ恥だ。緘口令クラスかもしれない。

 鉱山夫の様子を見るに専門の鉱山夫、もしくは冒険者兼任の人工の様で奴隷はいないように見える。ところどころに立つ衛兵のような者は人工よりも魔物に対するものだろう。

 先の方から、『ワームだぁ!』『おーい!』と声が上がると「待ってろ!動くな!」と衛兵が駆け付ける仕組みだ。どうやらここは魔物も湧くらしい。

 落ち着くまでは情報収集もままならないだろうし、先にも進めないだろう。一旦戻ってお茶にでもするか。

 

 …。


 暫くして、現場に戻る。先ほどのワーム騒ぎも落ち着き、

 ”はーん!かーん!”と鶴嘴の壁を打つ音が響く。

 情報を得るために、近くにいた衛兵に声を掛ける。


 「ちょっといいかい?」

  「ん?見ない旦那だな?新人さんかい?」

 「ええ。採掘は勝手にやっても良いのかい?」

  「そりゃ、困る。申請してくれんとな。俺たちの護衛代もあるしな。」

 「なるほど。そいつは筋が通っているな。…入場料と、途中、若いのに金を払ったが?」

  「入場料?ああ。ここは少々高いな。チンピラ共か?運が無かったなとしか言えねぇ…」

 まぁ、回収は済んでいるけどね。利子も含めて。

 「そうか…」

  「この先の町まで行けりゃあ、そこで申請なんかもできるが…攻略者ダイバーなら先に行った方が良いかもなぁ。そっちはガチンコの命懸けだ。その分実入りは良いぞ。

 旦那以外、皆、良い面構えだし…おっと!失礼。」

 「ふふふ。全くですよ。同感。同感。で、街は何階に?」

  「ここは11階。15階に町がある。びっくりすんなよぉ。それまでの間は、まぁ、こんな感じだ。鉱山のようになっている。通るのは自由だ。」

 「ありがとう。行ってみますよ。」

 そっと金貨を一枚。賄賂と情報料ね。

  「お!すまねぇな。気を付けてなぁ。何かったら、俺の名を出してくれ。ジョイだ。」

 「ミッツです。そうさせていただきますよ。」


 「ということは、ダッシュで通過だな…つまらん!」

 「15階かぁ。まぁ行ってみましょうか。闘うこともなさそうだしね。」

  「了解。街かぁ…」

  「結構大きそうですね。これだけの人工…」

 「ああ。どこぞのダンジョンみたいになってなきゃいいけどなぁ。」

 

 それから、各階。下りてすぐ。ジョイさんと同じ腕章を付けた人を見つけては付け届けと軽い会話。

 フロアの警備責任者だそうだ。交代制で日によって替わるらしい。

 地図もあるがご丁寧に最短距離の矢印がある。”魔纏”はできないが急ぎ足で通過する。

 この下の階層が”町”か…さて、どんな塩梅かねぇ。


 

 夜の一コマ

 

 「ふぅぅぅ…」

 汗も拭かずに佇む。旧知の友。先ほどまで重りを付けた斧を振り回していた。

 おいおい。夜番終わったばかりだろうに。この戦闘狂が。

 「休む時は休めよ。ドネリー。汗も拭け。風邪ひくぞ。」

 「うん?なんだ。パテンスか。」

 「なんだ。はないだろうが。」

 「ふん。」

 「しかし、前から熱心だったが…ますます…体壊すぞ?」

 「お前みたいな軟じゃない。こんな様では…。…パテンスよ…」

 「うん?」

 「お前のおかげだ。礼を言う。トワ様と共に戦える栄誉を得た。」

 「…まぁ、そっちは想定外だったがなぁ」

 なにせ、今は”勇者”様のパーティの一員だ。豊富な物資、極上の武器類。もちろん金子。

 それらが、勇者様曰く”冒険”とやらを支える。

 俺らはダンジョンに潜るのは生活、生きるため…若干”己の名誉”ってのもあるがな。

 …トワ様は”冒険”と断じる。

 この前聞いてみたら、生きるためのスパイスみたいなものだ。と。そこら辺の理屈は俺には良くわからない…が、他所の世界から連れてこられたんだ。それも良いだろうさ。

 「俺はまだまだいけると思う。この物資やら武具に恵まれた今…この機会を生かしてな。」

  「…うむ…手合わせしよう。ドネリー殿」

 「は?バクラ?」

  「…俺も…勇者様のそばで戦う事が出来た…この体が…熱くなる」

 「だな。パテンスは感じない…か?」

 「…」

 特には…感じねぇな。そりゃぁ、あの戦い方だ、血の温度も少しは上がろうってな。

  「感じないって。ねぇ、パテンス。生きててなんぼでしょうに。バクラもドネリー殿もそりゃ、冒険者じゃないよ?”英雄”目指すのかい?」

  「…英雄…」

 「カルネラ…ふっ…そうかもしれんな。」

 「まぁなぁ。そりゃ、血は騒ぐ。騒ぐがなぁ。」

 実際、戦いに”誇り”は感じねぇ。生きていく術、金のためさ。…そもそもそれが嫌で。騎士団抜けたんだがなぁ。

 「そうだな…そうじゃ無けりゃ、まだ騎士団にいるな。」

 「ま、そんなもんさ。スタックも目の色変わってたなぁ。」

  「うん。リーダもね。ひょっとして、パテンス、このまま解散?ヤバイ?何気に解散の危機?」

 「ま、当分は大丈夫だろう?なぁ、”攻略者ダイバー”のドネリー殿」 

 「ふん。どうだかな。カルネラ、バクラ。同じチームだ。呼び捨てでいいぞ」…。

 ま、”英雄”様も良いだろうさ。

  「うん。じゃぁ、ドネリーよろしく!」…。    <完>

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