大型店舗建設中!
トワ君と別れ、地上部へ。開発の様子の視察だ。カイエンどんに護られてホテル棟へ。
道行く住民も興味ありげに見ていく。屋台の連中が商売の申請をしてきてると。まぁ、工事現場だから…許可は出せないけれどね。危ないし。娯楽が少ないからな。
オペラみたいのも流行るかもしれないな…劇場でも作るか?その辺り、もっと子爵(アイリパパ)に聞いておけば良かったわ…と。到着。関係者入り口から入る。
1階、2階のレストラン街?は建具(ドアやら扉、窓)だけ取り付けられてるようだ。内装は入る店舗にお任せというところか。1階から3階に繋がるゲートも稼働しており、内装資材などが搬入されている。
まだ装飾品などがないので広々として気持ちが良い。完成予定では、ソファーなどが置かれた豪奢なロビーになる予定だ。
お!会頭発見。何やらスタッフと打ち合わせ中のようだ。
「これは、”使徒”様。」
「…やめてよ…で、商談中?おいらに構わずどうぞ。」
「いえ、ここの仕様の確認でして。どうです!このソファ!バジリスクの一枚革!」
にこやか会頭、その反面部下の方か?苦笑い…
「へぇ、凄いねぇ。手触りも良い。さぞかし良いお値段でしょうねぇ。」
「…そうなんですよ…3脚いれたら、このフロアの予算オーバーなんですよねぇ…どうしましょう?」
「はぁ?高すぎるだろう…諦めたら?」
「そうですよ…会頭…上等な牛革だってあるんですよ?それはスイート辺りで使うということで…」
「私もそう思いますよ。」
「そっちは砂蛇の皮も使いたいんだけど…」
「予算オーバーです!」
とぴしゃり。
「ええ。テーブルなどの木材だって…質が良すぎます!建物の建築費が浮いたって…それ以上になっちゃいますよ?」
「うぐぅ!使いたい素材が多くあるのがいけないんだよ!もう!」
「逆切れかよ!まったく!こまったオヤジだな!エルザさん呼べば?彼女なら予算で納めてくれるよ。」
「な!い、いかん!それは!」
「そうですね…オープン前に倒産しちゃいますね。」まじか。
「その手しか残ってないですね…もう…」
「しかし…このソファ良いな…おいらも作ってもらおうかな。」
しっとりして滑らか。首の皮と違い厚みもある。それに染も素晴らしい。
「そうでしょう?そうでしょう!ですのでこのフロアの…」
「「会頭!」」
懲りない親父だこと。
「そうそう!使徒…ミッツ殿、エルザもこちらに越してきております。立ち寄ってあげてくださいますかで、…このことは内密に…」
「…武士の情けじゃ、了解した。寄ってみるよ。」
どうせすぐにバレるのだし?こういうことに関しては女性をなめてはいけない。
建物の中、個室の状況も見て回る。何種類かのタイプがあるんだなぁ。やはり高級路線か…厨房には冷凍庫の魔道具が三台鎮座している。解って置いてるのか?まぁ、尋ねてきたらで良いだろう。何とも楽しみではあるな。
ホテル棟をでて、エルザさんの店や診療所予定地のあるエリアへ。
途中、モール入り口の路上で、数人の冒険者と衛兵さんが口論をしていた。うちの鑑定ゲートにでも引っかかったのか?今現在、工事中なので窃盗に遭わないように一応、ゲートを作動させている。
「どうしました?}
「こりゃ旦那ぁ、騒がせちまったかい?」
「いえいえ。ここの方が建築中ですので騒がしいですよ。で、そちらの方々は?」
「ええ。見に行きたいが通れないと。”結界”があるんですか?ここ?」
「ええ。安全のために。工事中ですので。それに、この道も”私有地”ですよ。ほら、ここに看板でてるでしょう?」
「うるせぇ!道だろ!通せ!」
「ほかの連中は通れて、なんで俺が通れねぇんだ!」
…罪人だからだよ。アホ
「道でも私有地です。解りません?お引き取りください。」
「なにぃ!じじぃ!はりた…」
目を見開き硬直する冒険者。カイエンどんの一睨みは効果抜群だ!
「ほら、カイエンどん。脅さない。ったく。衛兵さん。ちょっと。」
耳打ちで、ここには入れないやつは何らかの犯罪者と伝える。
「ほう…そんなことが。」
「しかし…便利ですねぇ…」
「でしょう?ですので捕まえて功績にしちゃってくださいな。夜の一杯代くらいになるでしょう?」
「ああ。すまないな旦那!そいつらを引っ立てろ!」
「な!」「俺たち、何も悪いことはしてねぇぞ!」
「話は後で聞く”鑑定”してからなぁ。」
一瞬で顔色が変わる冒険者。ぐるりと囲まれ武器を向けられる。観念したのか大人しく縛につくようだ。ちょろっと”鑑定”してみたら、強姦魔と、殺人者。もう一人はセーフのようだがね。まぁ、仲間だ。放置すれば何するかわからん。一緒に連行してもらおう。
良くも城門通れたなぁ。これが所謂”住民”の”鑑定逃れ”ってやつか?…そういや、お貴族様はどうなんだ?そういった称号生えてるのゴロゴロ居そうだが…皆、店に入れなかったりして…ぷぷぷ。
「おお!もう外見は出来てるんだな…木も植わってら。」
「診療所の方も。直ぐにでも開けられるようですな。」
エルザさんのお店は二階建ての作りに。一階が店舗。二階が居住スペースと事務所になってるそうだ。オシャレな喫茶店みたいだ。前のより若干大きいかな?まぁ、どうせ、”家”はうちの町に移すだろう…ゲート出来ちゃえばね。
”がんらかんら”
「エルザさんまいどぉ~」
「あら、ミッツさんいらっしゃいまし。うちもやっと内装に取り掛かったんですよぉ。」
自分の店だもんな。そりゃ、嬉しかろう。天井も高くていいねぇ。
「ふ~ん。親父さんと調整ついたんだ。広いねぇ。」
「おかげさまで、前の店舗よりも倍近く広いんですよ。」
…実際広いのね…
「そ、そうなんだ。」
「ええ。セツナが何やら売りたいと場所を拡張したようなの。まぁ、うちとしても歓迎ですけど。」
「なんかごめんね。そうそう。今日寄ったのはゲートの設置と、これ。”通信機”ね緊急用に渡しておくわ。」
「!良いんですか!それ!父が持ってるのと同じものですか!」
ゲートより食い付き良いな!
「お、おぅ!そう、機能は一緒…だよ?一応、ヴァートリーの据え置きには直接、おいらに用のある時は家妖精経由になるけどね。あくまでも緊急用で。で、これが一応、据え置き用の魔力集積器…だけど要らないか…?」
「い、いえ、他の者も使えますから!」
「どちらも自由に使うのはうちの町や村内ね。魔の森の中層部くらい魔力があれば行けるかも。まぁ、出ちゃうと魔力供給の恩恵受けられないから。その点は注意ね。」
「はい。問題ありません…でも、ミッツさんのに連絡は?」
…気が付いた?
「おいらは自前の魔力で回せるから。何処でも大丈夫!」
「流石ですね…羨ましい…他の方のは?」
「…内緒。といいたいですが…街を出るとき声をかけてください…本当の緊急用にお貸ししますよ。」
「ありがとうございます!」
「それでゲートは地下で良いのかな?」…。
地下は倉庫。その一角にゲート部屋を設置。これで銭湯まで安全に来られるだろう…もちろん今のところはエルザさんとミツゥーヤさんの一家のみだけどね。
勿論、我が町内に家一軒の購入の嘆願が…ぬかりないな…
帰り際に”ワインの新酒の走り”が出るんだそうだ。なんでも今年の出来を占う味見?のようなものだと。本数は少ないが、楽しみにしてる人も多いそうな?その運搬業務の打診があった。勿論了解の意を伝えておく。ワインの運搬はうちの目玉業務だもんな。お金もがっぽり?だしね。
来たついでに診療所の方も覗いてみる。
…気分が滅入るのぉ。なんで病院はこうなんだろうか(お医者様ごめんなさい!)…この清潔な雰囲気…宿屋とかなら大歓迎なのだが…病院となるとなぁ…消毒液の匂いすらしてくる…気がする。
「これは、”使徒”様。良くいらっしゃいました!」
「ドクター・ノインお元気そうで。どうです?」
「おかげさまで。最近は多くの”検体”をいじる事も出来ましたし、”新薬”や、ローラ様からもたらせた”麻酔”の技、セツナ様より授けられた知識等。多くの検証が出来ました。一気に医術も進歩していますよ。」
…おふぅ…またもや気分が滅入る…
「ん?お気分がすぐれませんか?でしたら…」
「たんま!たんま!大丈夫!で、ここは何時から開けるの?」
「ほぼ準備は終了しております。受付や補助の人員の身分証がそろえばすぐにでも開けられますよ。大分回復ポーションや薬等の在庫も確保できています。」
「手術の設備も?」
「前の設備を使います。病気の特定には時間もかかりましょうが…腹黒死…盲腸でしたか?あれならばすぐに。」
「そう…」
「まぁ、外傷や骨折などがメインになるでしょうけどね。神聖魔法の使える神官殿も交代で詰めてくれることになっています。」
「そうだね。あまり病気らしい病気見かけないもんな。なるほど…魔法、外科、薬草か。」
「それと、寄生虫の駆除…命に別状なくとも、この辺りを推進していこうと思っています。」ぐふぅ。
「うん。任せた!」
…歯医者欲しいな…
「そうそう、歯に詳しい人っている?歯石取ってくれるだけでもいいんだけど。」
「そうですね…その辺りも検討してみましょう。仕組みについても?知識の補填なんかはお願いしても?」
「セツナさんに聞いてみて。じゃ!」
早々に撤退…
この世界あまり虫歯って聞かないな…うちの子達も…歯磨きしてるからか?…!…甘いものがないからか?それだったら不味いな…食生活が変わってきてるから…増えるかもしれん…歯みがきの見直し徹底が必要だな。
で、隣の4階建ての自社ビル…うん!頑張ったな!おいら!…なんてね。こいつは宿屋にしちまおうと思っている。獣人族御用達のね。勿論人族も宿泊できるようにはするさ。素泊まり専用にして食事は周りで摂るって言うのも良いよなぁ。個室と、大浴場。うん。これで良かろう。次の会議の議題としよう。
北側の駐輪場ならぬ馬車置き場もどうやら、”回送”するそうでそんなに場所はとらなくとも済みそうだ。ここにも雑貨店やらが入るのだろうなぁ。うちも家具屋とかだすか?
武器屋のオヤジ…かぁ。なんか、ふぁんたじ~でいいな! 『ん~兄ちゃん。新米剣士か?これなんかどうだ…』 ってな!お師さんに取られそうだが…。
いや!鎧屋になって…オーダーの美女専門の…ドレスアーマー専門店。ふっ…。
まぁ、追々だろう。
ヴァートリーの新店舗の方もチラと覗いたが商品などが運び込まれてきている。大型ショッピング施設…かぁ。なんとまぁ。大ごとになったものだわ。




