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ノリナ国

ミッツからの親書を受けてのお国の対応です。

 ノリナ国南方、商都アヌヴィアト。高い城壁に囲まれた”城塞都市”でもある。南からの侵略に対する最初の防波堤。町の中心にその中枢、行政区と領主館があり、そこに蒼一色の使者が飛び込む。

  「領主様、ヴァートリー商会より急ぎの手紙が届いております。」

 ヴァートリー。この大陸に多くの店舗を構える老舗だ。

 「ふむ?備蓄の件か?世話になってるからなぁ。ラインどう思う?」

 傍らのよく似た青年に問う彼こそが、この領の領主、イシリーシス=デ=アザゼリア伯。辺境伯の地位にある。

 「どう思うも…見ればいいでしょうに。勿体付けないで。」

 ラインと呼ばれた青年、辺境伯の末弟にして”頭脳”のラインハルト卿。そっけなく返す。

 「…」

 「くくく…言ってやるな。ライン。」

 その様子を笑いながら見ていたこの青年。次弟のランスロット卿、主に軍部、治安を司る。彼ら三人を持って次代の光、希望と民は称える。先代の放蕩がこの領に大きな影を落としたからだ。

 「ったく…可愛くないな!幼きときなどは兄さま!兄さまと付いて回ったものを…どれどれ…差出人は…ミッツ様!…内容は………なんと…」

 

 書面には今問題となってる各国からの難民。それがとうとう暴徒化したと。グロス周辺の衛星村は食いつくされる勢い、人族、獣人族問わず。グロス領主も何も手を打たない。暴徒も増長していると。教会の扇動も見られるとある。保護するにしても除けるにしても方針を固め、備えろというもの。

 

 「むぅ…ライン。いかがしたものか」

 と、その書状を末弟に渡す。

 「どれ…。」

 一読後、

 「…ちっ…面倒な…。大方、教会の連中がノリナを混乱させるためにでしょう…国も悪い。方針を示していないからな…グロス…あの辺りの領主は…ああ…がめついツルマン伯爵…か。大方、労働力確保と受け入れたが、手が付けられなくなったか…こいつは王に報告しておくべきでしょう。追い詰めれば難民のことごとくを処分しかねない。伯爵は金勘定だけの御仁だからね。国で対処せぬと全ての批判をノリナが受けると。無抵抗の農民を斬る国とね。緊急用の魔道具で知らせてやりなさい。」

 忌々し気に答えながら書状を返す。

 「そうか…うちの対応も返事待ちで良いな?なにせ食わす麦がない…」

 そう。先代とそれに寄生する宿臣共のおかげでこの領に全くの余裕はない。そう考えればこの兄弟の治世も良くやっている方だろう。

 「その辺りも重ねて国に陳情を。うちの内情も良く知ってるはずですので。」

 「分かった…魔石を持て。緊急回線を開く」

  {はっ!}…。


 

 ノリナ王都。会議室には王をはじめとして多くの大臣、将軍が集められている。

 「で、トライデン。緊急会議とあるが?議題は何だ?」

 緊急故か、前置きも無く王の問いから会議が始まった。

  「はい。アザレリア伯から緊急の情報が。とうとうディフェンよりの難民が暴徒化したと…」

 宰相トライデン。頭の切れも特級。この国の公爵であり、王の義理の兄。影響力は計り知れない。

 「なに?難民が増えてることは聞いていたが…あの辺りは…」

 何かに気が付いたように忌々し気に口を開く王…

  「ランス卿の報告にあった…ツルマンの件…おそらく、働き手と多くの難民を受け入れたがいいが、あ奴の事、援助を渋ったか…。難民側には教会の連中も紛れ込み、扇動もあるようです。ツルマンを追い込むと大虐殺が起きかねんと。この辺りは私の見解とも合致します。処分についてはすべてが終わった時に。」

 「ではなんとする。アザゼリア伯のアヌヴィアトじゃ受け入れられぬであろう。…くっ、この一連の動き、よもや聖王国の策略か?」 

  「いや、まさか、そこまでは…」

  「しかし王…どうしたものか…」「受け入れるしか…」

 騒めく会議室。

 「戯言だ…しかし、ここまで来たら国として受け入れねばなるまいな…ティネル、エキドレア。王都の備蓄も出せ。各領主に早馬…いや、緊急網を使え。北部の町にも供出要請を。王都に集め順次出せ。近場の領にも後で補填することを伝え麦を出させろ!時が重要だ!それと、軍を付け、ツルマンには一切触らせるなよ。変に関わってきたら斬れ。ヴァルクにも話を通せ。ナハスを先行させよ。」

  「分かりました。軍、衛兵隊、鑑定士、文官の派遣が必要になりましょう。先ずは犯罪者の選別を。新しい場所、既存の村に振り分けが必要となるでしょうな。」

 「そうよなぁ。上手く定着すればよいが…その点も各領主に伝えておけ…しかし情報元は…?」

  「はい。細かくバラし、振り分ければ。元は農民。大人しくなるでしょう…情報元はミッツ…殿から書状でもたらされたと。」

 「やはりそうか…しかしよく一報をくれたものだ」

  「よき関係を築いているのでしょう。」

 「よし。こうしてはおれぬ。すぐに手配を!」

  「はっ!」{はっ!}

 「今の麦価はどうか?」

  「昨年来高騰を…ディフェンの件もありますれば…」

 「仕方なしか…ヴァートリーに協力を仰げ。」

  「しかし…これ以上…大きな借りになるのでは…」

 「ふん。借りられるうちは借りろ!今が正念場だ。」

  「はっ!」


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