対オーガ戦
いらっしゃいませ!
(2日目 地下1階 所謂ダンジョン?)
「…うう…おはよう…眠い…ってか、寝た気がしないな…安全地帯でこれか…」
カイエンどんは大丈夫そうだが、トワ君、ビルックはしおしおだ。おいら?おっさんは元々眠り浅いし…元から早起きだし?…
でも”暗闇”は確かにしんどい。しかもダンジョン内。安全と分かっていても緊張するわな。
「…ああ。朝日って偉大だな…”ライト”っ…スマホ解禁するか…時間を知る方法…より規則正しい生活が必要だろうなぁ。ふぅ。」
「!モーニングコール!そうだ!モーニングコール!おっさん!無線機!」
「うん?ここは他所のダンジョンだぞ…まぁ、試してみるか…”ポチっとな”…ふぅ…聞こえますか?どうぞぉ。」
『はいはい~聞こえますよぉ~ミッツ様ぁ~どうぞぉ~』
「おお!’ちょこ’聞こえるかぁ。お玉さんに言って、通信状況など解析ってできるかって?」
『はい~トワ様~このままつないだままにしといてくださいねぇ…母ちゃ~ん』
「…やってみるもんだな…じゃ、食事にしようか。」
…母ちゃん…か。
『…解析…シールド強化…シールド強化…アップグレード開始…』
…何やらやってるようだ。飯、飯。
「あれ?壁の地図が…消えた?トワ君なんかやったか?」
「まじ?あらら。本当だ…制限時間があったのか…あぶねぇ…手分けして正解だったな…あ!今日行く予定の壁は!」
「どれ…”鑑定”…大丈夫そうだね。入口はあるよ。」
「ほっ」
『…アップグレー終了…干渉阻害率99.87%…シ-ルド強化終了。』
「お玉さん。他所のダンジョンだけどいいの?」
『…ダンジョンに干渉するわけでもありませんし。戦になったとしても負けませんよ。文句言ってきたら、攻略してコア砕いちゃってください。』
「おいおい。やっぱりいるの?ダンジョンマスターとか。ここって全何階層?」
『…一切調査はしていません。不干渉を徹底しています。こちらから戦を仕掛ける気はありません。』
「うんうん。そうだね。そのスタンスで頼む。トワ君の楽しみも減るしね。で、お願いなんだけど、昼、夕食時。睡眠、起床時毎に知らせてほしいのだけれども。」
『…了解しました。’ちょこ’達に任せますね。それでは。』
…’ちょこ’達…かぁ
「よろしく。そんじゃ、そこの扉から、探索を開始するか。」
トワ君のお楽しみ。行こうかね。
「よいせぇっと。」
”ぐごごごごぉ…”
「ライト!もう一個。っと。”鑑定”…特に怪しいところはないな…範囲がわからんから5mくらい行ったら再鑑定するからね。」
「了解。一応、床たたきながら行くか。」
「一応、ロープでくくっておきましょうかな。失礼しますぞ。」
「ひゃぁひゃひゃ。くすぐってぇ~たんま、たんま。」
楽しそうだな。おい。
”こんこんこん”「”鑑定””」”こんこんこん”「”鑑定”」”こんこんこんこん…”…
「ダンジョン内の”ゲート”みたいのがあればいいな。なぁ、おっさん。」
腰にロープを括られ、床を槍で突きながら先を行くトワ君。そのロープの末端は。太っといカイエンの腕に巻き付いている。安心感半端ないな。
「ありゃ、俺らみたいに住んでる…”生活”してれば必要だが、”命を刈る”ダンジョンには必要ないだろうさ。わざわざ逃がす必要はない。ってね」
「なるほどなぁ。そこそこ稼がせればいいんだからなぁ。後は砂糖に群がる蟻ってわけだ。」
「そういうこと。まぁ、おいら達もその蟻ってわけだ。ははははは。っと、”鑑定”それに、今更、知らんとこの”ゲート”を使うってのもなぁ。」
「そういわれれば…次元の狭間に飛ばされそうだな。お玉さんに慣れちゃってるから…っと。ここが終点?おっさん頼む。」
「”鑑定”…何かが置いてあったんだろうな…ボス部屋の後ろ…創造当時の元コアルームだったりしてな。ここにコアが安置されてた…かもね。」
「おお!説得力あるな。なるほどねぇ。お玉さんも地下一階だったもんな。いまは、コアルームごと、どこぞの次元に引きこもっちゃったけどな。うんうん。もう見るべきものはないな。んじゃ、戻るか。」…
「さぁ!出発だ!新たなダンジョンライフが幕を開ける!いざ!」
…
トワ君が喜び勇んで出口オープン!そう!ここからが本番だ!うん?さっさと出んかい!
「なんてこった…」
どうしたの…ああ…なるほど。
入り口の扉を開けたら…大渋滞…昨日は半端な時間だったからか?…地図を見るに…当分動かんだろうな…。!…敷地内のテント…あれって前乗り用か!
「ん?兄ちゃんたち何処から湧いて…な!ここに、隠し部屋?!…なんてこった…」
「本当かよ!兄ちゃん!良いものあったか!」
「こんなところに…盲点だな…」
「ヴァートリー”蒼”…なんか道具があるのか?」
「くっ!ひと月は立ち入り禁止?」「おいおい、まじかよ!」
「毎日通ってたぞ…おれ…」
質問と、愚痴の嵐だ。
「あーうっさい!ここはすぐにでも解放するさ。宝?まぁ、ボチボチだ。なに?…勘だよ!勘!」
半分キレ気味のトワ君だが律儀に答えてら。ははは。
「で、毎朝こんな感じなんですか?」
「おうよ!俺らみたいな浅場組は毎日ご出勤だ。泊まるとなると夜警も立てにゃならんしな。夜戻って、敷地内で暮らす感じだな。門が開くのは5の鐘だからな。待っちゃおれん。」
「週に何回は町に戻って、贅沢して、女抱いて、オケラになって、またモグラ生活ってわけだ。がはははは!」
「だめじゃん。浅場でも金になるんか?」
「まぁなぁ。”探し物””探し人”、鉱石の湧く場所も何カ所かあるしな。日銭かせぎにはなるさ。」
…樹液みたいなもんだな…しかし、むさい、カブトムシたちだ…くくく。
「兄ちゃんたちは奥に行くのか?それにしちゃぁ、荷物…ああ、ヴァートリーだもんな、マジックバッグの一つもあるわな。」
「いいなぁ~おい!あんまり、荒らしてくれるなよぉ~」
「気をつけろよ~ダンジョンを根城にしてる盗賊団とかいるからなぁ。」
「ああ。さんきゅーな。ん?騒がしいな?」
「ん?ああ、広場に出たんだろう。そこに魔物と出会ったんだろうさ。さっさと狩ってくれるといいがなぁ。」
「ああ。つかえてるしなぁ。さっさとやってくれるとな」
「なるほどなぁ。この階層、どんなのが出るんだ?」
「ん?…まぁ、いいか。大ネズミ位だな。ちょろちょろいるが、こっちから手を出すか、ケガでもしてねぇと襲ってこねぇよ。あとは、前日に死んじまったやつとか…たまにスケルトンが出るな。なぜ、死んじまったやつかというとな、たまにギルド証を落とすことがある。」
「装備も手に入るし、ラッキーの内だな」
「ふへぇ~死者を返してくれんのか?」
「どうだかなぁ。ダンジョンは、おれらに同士討ちさせて喜んでるのかもしらん。」
「骨も残らねぇぞ?消えちまうしなぁ。」
「お?動くようになったな…撃破したのかな。」
前列が割れ、けが人を担いだパーティが引き返してきた。命に別状はなさげだが、深い…な。それについて引き返してくるものも多数…
「おい!どうしたぁ!」
「やべぇ!オーガだ!しかも、武器持ちだ!一匹だと思ったが…3匹!広場まで登ってきやがった!」
「おいおい!下の連中は!やられちまったのかぁ!」
「わからねぇ。」
「途中湧きのイレギュラーかもしれん!」
「通路が狭いからこっちに来ねぇかと思うが…」
「先に行けねぇぞ…おい!」
「これから協会に報告に行くが…あの狭さで3頭だ…奴らが消えるか、深部攻略組が戻ってくるまでは…」
「ちっ!なんてこった!」
「当分潜れねぇか…」
「よりにもよってオーガかぁ…しかも3頭…。だめだこりゃぁ…」
「ふ~ん…オーガか?いくか?おっさん?」
「ちょい待ち。協会の対応を見てからでいいだろう。依頼が出ればその時でも。どのように動くか見たい。」
「分かった。」
前の方から引き返してくる連中は途切れることも無く、さっきまで話していた冒険者達も
「…ちっ!今日はダメだな。俺らも戻るわ。兄ちゃんたちは?」
「俺たちは、もう少し見てから帰るよ。オーガも見たいしね」
「まぁ、気をつけろよ。じゃぁなぁ。」
「いろいろ、さんきゅーな。これで、酒でも飲んでくれ。」
「お!すまねぇな!じゃ、またどこかで会おうぜぇ!」
「通してくれ!通してくれ!」
昨日の職員さんと、監察官、兵たちも駆け抜けていった。なかなかの対応の速さだ。
「ちょうどいいな。あの監察官のオッサンに開放伝えるか。」
「ああ。任せるよ。なかなかの対応の速さだな。」
しばらくすると、ゾロゾロと前にいた連中が引き揚げてきた。今日は諦めたのだろう…
「オーガ、3体が確認されている。うち一体が武器持ちだ。無理はするな!」
「オーガに勝つ自信のあるやつはいるかぁ!」…
「…いねぇよ。」
「狩れれば深部に行くって。」
「今日はダメっぽいな…帰るぞ!」
「おう!監察官のオッサン!時間いいか!」
「!昨日の…オーガを狩ってはくれぬか?」
「タダでか?その前に、昨日の場所、開放しようと思うのだが。」
「それはありがたいが…今はそれどころじゃ…」
「あの部屋にはさらに奥に続く道が…私の持論ではありますが、恐らく、創造時の”コアルーム”ではないかと。」
「!ボス部屋の後ろに…地下一階…拡張前の…あり得ますな!とても貴重な発見になるでしょう!」
「あ、再度、ボスが湧く可能性も捨てきれません。調査は慎重に。」
「ええ。ボス部屋にはそういった事例も確認されています。では早速、開放の手続きを始めさせていただきます。それでは…」
「ホビー監察官殿!今はそれどころでは…ヴァートリーの方々…オーガはどうでしょうか…」
「どうと言われてもなぁ…見たこともねぇからなぁ。」
「”武器持ち”ってなんです?」
「ええ。”武器持ち”っていうのは、素手のものに比べて対処が困難。個体によっては”魔剣”を持つものも。」
「んじゃ、行ってみるか…いいかい?」
まったく…わくわくしてるの丸わかりだぞ…
「仕方ないか…で、何か褒賞でも?」
「すまんが…貢献ポイント…のみだ。コレが一週間、一月と続けば懸賞金も付くのだが…どうだろうか。」
「んじゃ、一月後に来るか…」
そんな気、毛頭ないくせに…
「緊急費から、金貨100出そう!これで…」
「ふふふ。冗談だよ。ポイントやらでいいぞ。ただし、あまり見られたくない。ほら、手の内だろう。…ダンジョンから人を出してくれ。上がってくる連中は仕方ないが…こっちにいる連中はな。それが、条件だ。」
「了解した。今から、進入禁止とする。少し時間をいただきたい。」
「了解~」
どやどやと、退去がすすむ。
「で、おっさん。攻略は?オーガだって。」
「知らんがな。カイエンは対峙したことは?」
「そうですな。完全なパワーファイターですな。分厚い皮膚、筋肉、堅牢な骨…ですが、我々にとっては雑魚でしょうな。ふふふ…下賜されたこの”魔剣”…試し切りにはもってこいでしょう…」おふぅ…
「俺も戦いたい。一人でやるなよ!先ずは自力で対峙したい。”魔纏”はいらん。…ピンチになったらヨロ~」
知るか!…とは言えんわなぁ。
「…了解。魔法一発試していいか?」
「剣持ちは俺がもらう!後は適当で。おっさんの魔法で開始な。」
{応!}
「ヴァートリー隊の方々、退去は終了したが…」
「んじゃ、貴殿も。」
「し、しかし、全滅されたら…ケガでしたら、何とか回収も…」
「心配無用。自己責任でしょう?入口しっかり塞いでおいてよ。権力にも屈しないように。」
「了解した…」
「あれがオーガ?オーシュ隊長のご両親じゃねぇか!」
「…トワ兄ぃ…」
「うん…獣人分類も見直さねばなるまい…」
「…父さん…隊長可哀そうだよ…」
そこにはゴリゴリマッチョの巨人。額に角が生えている…と言ってもオーシュ殿の二回り大きいくらいだな。顔つきなんかはオーシュ殿のほうが怖いぞ!
その気になれば十分こちらに来れそうだが…武器持ちはと…ああ…さらにでかいな…
「あれが、本命か。なるほど…あれじゃ、通れても武器は振れないな…”鑑定”…ブルーオーガ?通常種より硬い…か…ん?”魔剣”か…普通の斬馬刀じゃないんだ…アルス辺りにくれてやるか…」
「ふ~ん。回収だな。残ればな。んじゃ頼むな。おっさん。」
「行くぞ!芸術は爆発だ!”太陽の槍”」
ぼぅと突っ立っている、奥のオーガの足元から炎の槍が天?尻の穴を突く!
「がぎょおお?」”ばぎょぉおおん!”
下半身が粉々に…おげぇ…堅いのか上まで刺さらなかったようだ…
「えぐいな…行くぞ!カイエン!」
「応!」
「「ぎゅぎょおおぁあああ!」」
まずはカイエン。バッグより抜きはなった”魔剣・火之迦具土神”真っ赤な刀身がカイエンの魔力で白光を放つ!”ぼっ!”
「ぎょ?」
オーガの右手がらくらく斬り飛ばされる。切り口は鮮やか、血管の断面も見えそうだが…血が出ない?ダンジョン産だから?いや、さっき魔法で吹っ飛ばした奴は臓物、血塗れだ…焦げていないのに焼き止めているようだ…
「おお!なんという切味!全く抵抗を感じぬ!ぬぉおおおお!」
カイエンの覇気に反応してか、周りに火の粉、白炎が龍のように躍る。
「覚悟!」
「ひぎいいいぃいい!」”ぼふぅううん!”
唐竹割りにされた瞬間、一瞬に燃え尽きる…何時ぞやのカイエンの技が更に極悪になったようだ…
「ふぅううう…」
残心のカイエン。魔戦将の本領発揮だな。
”がいん”きん”がきん”剣を打ち合わせる音が響く、トワ君の方からだ。ニタニタ笑いながら剣を振るオーガ。
「ふん…たいしたことねぇなぁ。”魔纏”要らんな。もっとおっかないと思ったのに。期待外れもいいとこだ。」
「ぎぎょ!ぎょぉあぁ!」
言葉を解してか、オーガの表情が変わる。本気になったのか、腕の筋肉がさらに盛り上がる。
”ちぃん”軽くいなして剣を逸らす。流石のタイミング取りだ。
「アホか?合わせるわけないだろが。単調…もう見るべきものはないな。上弦之月!下弦之月!」
「ひぎょぉ!」
上段よりの剣閃、下段よりの剣閃を同時に叩き込まれる。その軌跡、まさに円。左右に分かれ地面に落ちる。
「大したことねぇな…いや、生まれたて?経験が浅いのかもしれんな…」
「…灼」
「ぎぎょぎょぎょぎょおお…」
ん?上半身のオーガがスルメのように反り返り燃え尽きる…忘れてたわ…しかし…ビルック君も容赦ないね。
「やるな!ビルック!よっしゃ!ドロップ品の確認だ!」
「まて!その前に集中!残存兵力の確認!」
{応!}おっさん、サンキュー!」
「よし安全確認。引き続き、カイエンは警戒頼む!おっさん。角かこれ?」
「はっ!」
「そうみたいだねぇ。”鑑定”…用途も彫刻の材料とかみたいだな…」
『…く…ぅ』
「ん?」
「また、スラミちゃんか?やっても良いけど、良いのかいろいろ喰わせて?」
「良いんじゃね。スライムだし。腹も壊さんだろうさ。」
「ふ~ん。まぁ、いいわ。お、”魔剣”となんだこりゃ…金玉?が残ったな…」
「うげ…放置でいいべ…」
『くぅ』
触手が伸びてひゅるり。
「げ、金玉食った!」
「…トワ君…。スラミも変なの食うなよ…嬉しそうだから良いけどさ…てか、良く届いたな…体積合わないぞ?」
「”収納”にボディしまってるのかもしれんな…めちゃくちゃデカかったり…」
「!すでにロケットか!」
う、埋もれたい…かも。
「…おっさん…。」
「こほん。監察官呼んでこようか…」
「流したな。」




