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プロスに到着。

いらっしゃい。お昼のひとときに。なんちゃって。

 アヌヴィアトの南門を出る。さて!走るか!今回はダンジョンかぁ。気が重い。が、走るの一番遅いのは…

 「げぇ!”魔纏”できねぇの、俺だけかよぉ!」

 そう。トワ君だ。

 「勇者様の技で似たようなの無いのか?スク〇トとかバ〇キルトとか?」

 「ドラ〇エじゃねぇし…真面目に鍛錬すっか…」

 「おうおう。その意気だ!んじゃ、”充填”!ゴー!」

 

 ダンジョン国、トラヴィスにはグロスティグマの先の国境を越えて入る。

 国境を越えると国境の町プロスを目指すことになる。

 ここから山間部、鍛冶国との国境の町シラモンと中心部にある目的地であるダンジョン都市フルミへと続く街道とに分かれる。一応、王制を敷くが、ダンジョンの管理はダンジョン組合(協会?)が運営をしているそうだ。冒険者ギルドや、商業ギルド、鍛冶師ギルド、多くの商店もダンジョンから産出する資源や、アイテム。アーティファクトを求めて集まる。まぁ、南下ルートの正規街道?前は素通りだったからなぁ。

 

 「今日は、グロスで宿泊か?」

 「何言ってんだ!おっさん!ダンジョンの予行練習…野営だ!」

 「…お主…ただ単に早くいきたいだけではないか?んん?」

 「そ、そんなことない…肉のストックも増やしたいしな。」

 「了解…」

 まったく…まぁ、異世界わくわくイベントだからしかたないか。

 

 内陸部だから、大型の動物が見られない。空振りじゃね?っと…ありゃ…

 「角うさちゃん?むちむちだな!おい!」

 「おっさん!気をつけろ!突かれるぞ!」

  「お下がりくだされ!」

 「まじ?”がぎぃいいいいぃいいぃぃぃん” 「きゅぅう」 おお!」

 速ぁああ!弾丸のように突貫してきた角ウサギがビルックのフライパンで迎撃される。頭蓋砕けたか…って

 「ビルック?なんぞ?その鉄塊は」

 真四角の…そう、だし巻き卵のフライパンの…特大版…焼く所だけで縦1.5m、横1mはあるのだが?

  「ん?玉子焼き用のフライパン?老師が作ってくれたんだ。最初、絵を描いて説明したんだけど…老師、武器だと思っちゃって…できたのがこれ…一応、卵も焼ける…よ?」

 「あ、そうなんだ…お!」

  「下がって!”ばいぃいい” 「きゅぅー」 ”がいいぃい” 「きゅ!」 ふぅ!」

 突貫してくる、角うさちゃんを器用に迎撃、叩き落とす。”がん”フライパンのかどを頭蓋に叩きつけて、とどめ…フライパンはそんな風に使うモノではありません!

 ”魔纏”のおかげか軽々と振るうものだ。チャーハン100人前とかできそうだな!

 「すげぇ、武器だな。盾にもなる?ほんとそれ、鉄か?凹んでねぇぞ。それに…おっさん!前にも注意しただろうが!ウサギ好きも大概だぞ!」

  「そういえばそうだね。なんでだろう?”魔纏”が良いのかなぁ?」

 「悪い…魅惑のムチムチに…どれ、そいつ、”鑑定”してみっか。どりゃ。」

 

 ・フライパン・オブ・ティターン(巨人族のフライパン)

  タイタニウム(土神鉱)製の巨大なフライパン。どんな攻撃もフライ返しだ!(意味不明)タイタニウム自体が魔力親和性に優れているので”魔纏”との相性は良い。もちろん、だし巻き卵だって焼けるぞ!

 

 「ほんと、意味不明だよ…またもや、謎金属。タイタニウム?チタニウムのこと?わからんわ…魔力の親和性が良いって。銘は、フライパン・オブ・ティターンだそうだ。大切にしなさい…」

  「はい。じゃぁ、さっそく解体しちゃおう。今日の夜は角ウサギの香草焼き!」

 「おお!美味そうだな!」

 その日の夜はとても美味い香草焼きだった。そして都合10匹の角うさちゃんが”収納”に…かわいいのに…赤ちゃんから飼えば…いや…じゃれられる度に穴だらけになってしまう…その前に…皆に食われちゃうかなあ…ペットっていうより、家畜だもんなぁ…

 

 「次…ヴァートリー商会?青い旅装?」

 「はい。新しく設立されました。”蒼”隊と申します。今後ともよろしくお願いします。」

  「あ、ああ…紋章もあってるし…問題なかろう。我が国には仕入れか何かかな?」

 「はい。ダンジョン産出品の搬出業務を。ダンジョンにも挑戦したいと思っています。」

  「なるほど。貴会頭の道楽も有名だからなぁ。気を付けていくといい。徒歩か?…ここからだと、馬車を依頼した方が良いと思うが?」

 「お気遣いありがとうございます。」

 ふぅ。無事に国境越え。


 「よっしゃ!ここからがトラヴィスか!で、ここからが本番だな!しかし…こんなに人いたか?孤児とかもいるんだろうか…」

 「どうだろうなぁ。人の行き来は頻繁にあるからなぁ…町の方が暮らしやすいと思うが…その点も注意しながら行くか…」

  {応!}…。

 

 聞き込んだ結果、この辺には、孤児や物乞いはいないようだ。何せ夜は近くの村に帰るか、馬車で砦みたいに囲って夜をやり過ごす。さすがに盗賊は出ないが野生動物や魔物が出るからな。そうすると子供らは住めない…という話だ。

 「んだば、一応、斥候に調査ということで。おいらたちはプロスに向かうぞ。今日は泊まって明日は町巡り。でもう一泊…でいいな?」

 「仕方ないか…じゃ!しゅっぱぁ~つ!」

 どんだけダンジョン行きたいんだよ…おいらは行きたくないのだが…

 

 思った以上に交通量が多い。連続して全力疾走はできないな。ノリナからもトラヴィスからも商人が動いているようだ。何か季節ものの商売があるとか?その辺りも調べないとね。街道を少し離れて走る。


 夕方にはプロスの町が見えてきた。こじんまりした交易都市だ。そういや、【土竜亭】があったな…

 「おっさん、どこ泊まろうか…ギルド行く?」

 「忘れた?丸焼きの【土竜亭】があったろ。」

 「ああ!あった!あった!空いてるといいな!どうも肉食系がいないから忘れてたわ…雹も知ってたよな?

 「ああ。待ってるかもしれんぞ?」

 「あり得るな…」

  「父さん。トワ兄どんな店?」

 「ん?…お肉が美味しいお店だ…時間ないぞ。急ぐぞ!」

  「…はい。肉…か…父さんが美味しいという…」

 うん?まったく…始まったか?

 

 「あ、あそこですか?」

 大きな豚、子豚がぶら下がっている。飴焼きというか、真っ赤だ。うん。うん。

 「そうだ。肉専門店って言ったところだな。ハセルなんぞ、食事代がすごいことになるぞ…宿代がオマケ程度だ…」

  「…ですね…無限に入る気配が…肉はどうしても高価ですもの。」

 「良し…ん?」

  「あれ?雹兄?」

 「やっぱりいたか!お~い!何時着いた?」

 そこには雹とコクヨウ。そして少し年下の、二人の豹人族の青年が。

  「父さん。ご苦労様です。ここには午前中に。ここに泊まるんでしょう?」

 「…ああ。行こうか。コクヨウも体ができてきたなぁ。怪我ない?…そか、その子たちは?」

  「見習いの者です。今回の情報収集をやらせようと。」

  「使徒…ミッツ様、トワ様。私は、クー」

  「俺は、ライナーです。」

 「うん。よろしく。部屋はとったのか?」

  「まだです。ここまでは一緒でも良いと思いまして…」

 「そうだな…フルミじゃ別の方が良いな…よし、【満腹亭】は譲ろう。しっかり喰って事に当たってくれ。ちゃんと追加料金置いて来るんだぞ。」

  「はい。」

 「ん?俺ら、どこに泊まるんだ?」

 「お主…ダンジョンに籠るのだろう?宿要らんじゃん。」

 「…そうだな。なるほど…うん!そうだな!宿はいらん!」

 …宿とってもいいんやで!

 

 「いらっしゃい!お!旦那!毎度!」

 「毎度~部屋空いてるかい?連泊2泊で!」

  「大人数だな。お~い!お客だぁ!」

  「あいよぉ~あら、いらっしゃい。旦那。大部屋と二人部屋一つだねぇ…」

  「大丈夫ですよ。俺たち兄弟ですから。一緒で。」

  「そうかい?おや?大食いの坊ちゃんは留守番かい?」

 「ええ。今回は留守番を任せていますよ。今晩もお願いします。そうそう。余裕があれば焼いてください。買い取らせていただきます。」

  「あいよぉ~」

 「で、夕食まで少しあるが…雹達はどうすんだ?」

  「予行演習…買い物なんかもさせようと思っています。」

 「そうか。ほれ。小遣いな。【満腹亭】の追加料金分も渡しとくわ。使うのも修行だぞ。」

  「はい!では。”散”」…

 「お?行ったか…ますます忍者だな…さておいらたちは買い物でも行くか。」

 「おっさん。テントあったかテント!」

 「馬車でいいだろうが…快適だし。」

 「…詰まんないな。おっさんは楽しみじゃないのか!ダンジョン!」

 「ああ。全然。前から言ってるだろうがぁ!」

 「往生際の悪い。松明…ランタン買おうぜ。どのみち街に繰り出すぞ!」

 「ん?どうした?腹減ったのか?」

 じぃーーーとオヤジの手元を見つめる。問題児。いつもの発作…か…。

  「いえ。その壺で蒸し焼きに?」

  「ああ。余分な脂も落とせるしな。丸焼きは直火でじっくりだな。」

 「おい!ビルック!買い物行くぞ!」

  「…」

 「始まったよ…おっさん。父ちゃんだろう。何とかしろ。」

 「無理いうな。こうなったら動かん。頑固だからなぁ。」

  「ん?旦那?」

 「おいらの子なんだが、”料理”に興味がありまして…。」

  「そうか?家はただ焼くだけだぞ?」

  「そんなことありません。焦げやすいはずなのに…しかもこの塊に火を通すのでしょう?すごい腕です!」

  「おおぅ?だ、旦那?」

 「まぁ、邪魔じゃなかったらそこに置いておいてください。」

  「お、おう。」

 「んじゃ、おいらがここに…」

 「ビルックはカイエン頼む。オッサンは買い物だ。」

 「なぜに?」

 「おっさんには、俺か、カイエンが付く。俺は買い物だ。必然的におっさんは俺と一緒だ!往くぞ!」

 「へいへい。んじゃ、頼むわ、カイエン。」

  「お任せくだされ」

 

 「おお!ここにしよう!俺の直感がここだと言ってる!」

 「あまりあてにはならんが…」

 トワ君について道具屋に入る。ほぅ。なかなかの充実具合だ。

 「お!このランタンかっこいいな!」

 お主…光球ライトの魔法使えるだろうが。

  「いらっしゃい。良いでしょう?オイルでなく、魔力を燃料にするタイプですよ。魔石の交換で半永久使えます。煤も出ませんし。”かちっ”それに明るいでしょう?」

 「これ幾ら?」

  「魔力灯ですので…金貨10枚…」

 「高!やっぱり高級品かぁ。普通のでいいか…」

  「それですと…ここら辺の鉱石の物がおすすめですね。ここらへんまでなら、ダンジョンでも使えますよ。」

 「そう?そういうのが欲しかったんだよ!ほかにあった方が良いものってある?」

  「そうですねぇ。目的によって…でしょうか。素材狙いの討伐でしたら麻袋、丈夫なカバン…ポーション入れ。小さな折り畳み式の荷車なんかもありますが…採掘ですと鶴嘴など…あると便利なものは箒なんかも」

 「ねぇ、この国のダンジョンって何階層あるの?」

  「そうですなぁ。私が先日、挑戦した時は、最高到達点、51階って聞きましたね。」

 「オヤジさんも潜るのか?」

  「潜ると言っても10階まで。護衛付きですよ。」

 「?」

  「持ち回りでポーションの移動販売を。」

 「?地元にも道具屋あるでしょ?職員も。」

  「ええ確かに。ですが、法外な値段で粗悪品を…ってなわけですよ。問題が多くてダンジョン協会からの依頼で。」

 「へぇ。面白いですね。」

  「ははは。ついでに採集もできますし。一攫千金も。そこそこの売り上げになるし楽しいですよ。」

 「オヤジさん、さっきのランタン買うから、いろいろ教えてよ。」

  「そうですね…”探検許可証”は、面倒でも協会ギルドで登録した方が良いですね。身分証一人、金貨3枚かかりますが…地元のクランで発行するものは、安価ですが…産出品の件で多くの問題がありますね。いつの間にかにクラン員にされて叩かれたり。30~50%の手数料取られたり。酷いところじゃ、奴隷のように…。

 それと、道具屋の私が言うのもなんだが、装備品はこの町や、違う町、王都以外で買った方が良い。目利きに自信があればいいが、玉石混交。しかも粗悪品が多すぎる…特にランタンや消耗品ね。ほとんどが”遺品”だったりするしね。ははは。

 確か10階層までに連続して暗闇のフロアがある。あと地図は、考え方?できれば自分で作った方が良いね。ほら。この車輪がついてるのが距離を測るやつと、方位磁石。他人の地図に命を懸けられるかって話ね。罠にしたって、見破る目が無けりゃ直やられちまう。」

 「ごもっとも。」

 「宝箱ってのもあるの?」

  「稀にあるよ。私は一度だけ見たことある。浅場だったので中身は金貨50枚だったけどね。いつの間にかに現れる場合もある。前有ったところも覗いてみるといい。宝箱に擬態したミミックという化け物もいるから注意ね。」

 「水場ってあるの?安全地帯とか?」

  「うん?そうだねぇ。水は基本準備した方が良い。魔道具があるが…高価だし、今切らしてるね。…毒を流すやつもいるからな…盗賊もどきがね。安全地帯はクランの連中が力で切り取って提供してるが…さてね。」

 「盗賊みたいの斬ってもいいのか?」

  「ああ。構わないよ。手持ちに隙があれば、首を持ってくるといい。賞金首やもしれん。あと、出来れば、相手の”探検許可証””ギルド証”等も回収。礼金が出るよ」

 「で、さ、魔物の素材も解体するの?」

  「いや、死体はすぐにダンジョンに吸収されちゃうね。魔物はあっという間に。私たちも同様。死んだら、じわじわと”喰われる”いやなら、布でぐるぐる巻きにして担いですぐにダンジョンを出るんだね。で、その場に素材が残る形だね。牙とか骨ならいいが…臓器や、器官だと処理に困る…保存液の瓶は重いし。高価な素材以外は放置だね。そういうものを狙う場合は荷車前提の大人数での探索になる。武器や装備が散乱してるところは…まぁお察しだね。」

 「なるほどねぇ。じゃぁ、そこの上鶴嘴5本と、さっきのランタン。麻袋(中)を…在庫も無かったな…100枚。(大)も100。そのコロコロと磁石ももらおうか。あと、皮製じゃない…軽い金属の水筒があれば、4つほしい。」

 「おっさん?」

  「毎度ぉ~届けるかい?」

 「いや、担いでいくわ。」

  「じゃ、合計は…旦那、多いが?」

 「情報料だ。もらっておいてくれ」

  「毎度ぉ~」

 

 「ぬくくく。かっこ良いところおっさんに取られてしまった…」

 「はぁ?そいつは悪うございやした。」

 お子ちゃまめ!

 「そんなことより。ポーション類は?」

 「そんなことって…まぁ、おっさんのケガした時用だな。俺らは…頼むぞ!おっさん!」

 「…で数量は?」

 「沢山。在庫あるだけ持ってきた。心配するな!」

 「じゃぁ、後は適当に屋台飯を買っていくか。」

 町をぶらぶら散策。

 「ウンコするとき、恥いから、箱みたいの作る?」

 「くくく。だなぁ。トワ君が気張ってるの見るのもなぁ。」

 「…風呂は、おっさん任せでいいか。寝るのも馬車で…結界石効くかな…」

 テントはどうしたんじゃ?まったく…

 「後は現地調達でいいんじゃない?ダンジョン協会?組合だっけ?そこでも情報が得られるだろうさ。それからでも問題ないだろう。」

 「おぉ!とうとう腹くくった?」

 「行くのだろう?なら準備万端せにゃな。今回は防寒具無いから雪山フロアとか出たらお仕舞いな。いいね。」

 「了解。しょうがないな…”魔纏”でどうにかなると思ったが…要検証だね。」

 「それじゃぁ、宿に戻ろうか。」

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