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エルフっ娘

いらっしゃいませ。

 夜は、キノコを美味しくいただいた。キノコは何でこんなに肉、脂との相性が良いのだろう。案の定、クロックちゃんはビルックを見て目を見開き固まる。エルフは魔法に係る種族だから?(たぶんそうおもう。ファンタジーのほら。鉄板じゃん!)

  「う、美味い!美味い!うわぁうわぁ!」

 であろう!ビルックの料理はエルフにも好評だ。

 「おい、クロック!ゆっくり食え!…野菜、キノコは安パイだ、誰もとらん。先に肉食え、肉。無くなるぞ?」

 安パイって…まぁなぁ。うち、肉食系多いからなぁ。

 「ははは。ほら、お前たちも一個くらいクロックさんに残してやれよ。肉。」

  「だ、大丈夫でぇす!キノコだけでも!」

 賑やかな食卓だ.まぁ普段からそうだがな!未だに戦場だ。

 クロックちゃんは、商人クラスに通ってるそうだ。人族圏の常識なども学べるから引き続き就学を認めてほしいと。勿論オッケーだ。思う存分学んでくれ!

 住居は今のまま孤児院でいいと言ったがそうもいくまい。明日、マゼランさんとこに連れてくか…

 

 早朝。鍛錬に行く時間。エルフのクロックちゃんも参加するようだ。なんでもニャン娘たちや、教祖ビルックの秘密を探るのだとか。まぁ、ともに高め合ってほしいものである。

 

 朝食後、クロックちゃんを連れて、庁舎へ。

 「緊張してるの?クロックちゃん。」

  「え?えへへへ。痛くしないでください♡」

 「しないよ…まったく。」

 何処で仕入れてくるんだ?勇者か?

 拝啓。先代の勇者様。黒歴史が綿々と受け継がれていますよ。

  「室長ぅ~研究所に住んじゃダメですか~通勤0分なのですが。」

 「あほ。朝の鍛錬出るんだろう?」

  「朝食御邪魔していいです?ボク、飯マズなんですよ~」

 「しょうがねぇなぁ。朝の鍛錬終わったらくればいいよ。」

  「らっきー!ありがとうございます!おじゃましまぁ~す!」

 「ん?昼食や夜食はどうすんだ。」

  「お昼は学校、夜はキノコ焼いて食べるから良いですよ?たくさんありますし。」

 「…おいおい。サンプルは食うなよ。てか、飽きるだろう…」

  「はい~?大丈夫です!森の民ですよ~。僕。未知のキノコがボクを待っている!あの、大王シメジも食べていいですかぁ?」

 「どうぞ。お好きに。でかいぞ?」

  「残ったら、乾燥させますよ。」

 「なるほどな…繊維がしっかりしてるから、乾燥もいいかもしれんな…試してみるか…」

  「保存食になりますし…賛成です!上手くいったら、姫姉様に送ってあげよう!」

 「姫姉様?姉貴か?」

  「森林国のお姫様ですよ~長命種ですから、姫様沢山いますけど、公式に”姫”は3人いてその一人です。優しいお姉さんですよ~」

 「なるほど…何代も前のお方も存命なら、姫様だわな…。なるほどなぁ~」

 「そういや、姉貴がぎゃぁぎゃぁ煩いエルフの外交官やらに会ったって言ってたなぁ。本物なら保護してあげる、偽物は野垂れ死ねって言われたって。」

  「げ!それ、うちのクソババだぁ!そういえば、エキドレアに居たな…あのときか…外交官じゃないじゃない。戦争吹っ掛けて歩いてるのね…私の、大叔母か、大大叔母かですよ~よく知らないけど。次あったら、斬っちゃってください。」

 「おいおい。」

  「良いんです。エルフ至上主義の保守派の老害。消えた方が良いのです。あんなの!」

 「エルフでもそういうのあるんだなぁ。何処も一緒か。」

 

 セラミスさんが丁度いたのでクロックちゃんの入村手続きをしてもらう。まさか孤児に混ざってたとは…とびっくり。まぁ、ザルバック村の初期頃からいたようだから仕方ないね。さて。パグのとこにでも行くか。

 「なぜに付いて来るんじゃ。クロックちゃん。」

  「だって~面白そうだもん。コボルト族見たことないもの。」

 「興味があるのは結構だが、”人”ってことは忘れるなよ。」

 「家やら寝具の手配があろう?」

  「やっぱり、孤児院の一室…がいいなぁ。」

 「…シスターに相談してみ。」 

  「了解~」…大丈夫か?

 

 「なるほど。彼らが、深層部にいるコボルト族かぁ。なかなかに勇壮ですね。」

 あら、案外、冷静ね。それに比べて…こら!

 「朝っぱらから…其の方らは何をしてるんだ?」

 子供たちと戯れる、セツナっちとアイリ嬢

 「パグ成分補給中よ!文句ある!」

 「こら、開き直るな。姉貴」

 「姉貴?お姉さん?室長の?」

 「あら、エルフ…なに?また来た訳?」

 「ひぃ!」

 「落ち着け姉貴。俺の弟子だ。ともにキノコの深淵を探るな!」

 「…頭沸いてるわね…トワ。小さいとき、シイタケ食べられなかったくせに。」

 「うぐ!良いのさ、今は楽しめる。大人の舌だな。」

 「そ。で?ああ、治療ね。長は向こうに居るわよ。」

 「あ、あの、ボクはクロックと言います。よ、よろしくお願いします。」

 「はい。私はセツナ。よろしくね。」

  「はわわ…あ、私はアイリよろしくね!」

 「お、お願いします!」

 

 「ふぅ…怖かったぁ…」

 「ああ。クロックの叔母さん?がちょっかい出したのがアレだ。」

 「…そういえば、”勇者”トワ様のお姉さん。あれ?ミッツさんも…”勇者”様、3人いるの?」

 「おいらは”勇者”じゃないよ。でも、”同郷”だ。ディフェンに呼ばれたのはおいらとトワ君ね」

 「姉貴は勝手に来た。」

 「勝手にって…うちのクソババ…あんな化け物に喧嘩売ったの?斬られちゃえば良かったのに!」

 「ははは。お!長、おはよう」

  「おはようございます。”使徒”様。ご足労ありがとうございます」

 「どれ、さっそく診ようか。」

  「はい。こちらへ。指などでもよろしいでしょうか。」

 「ああ。勿論だ。」

 さすが、戦闘部族。骨折やら、足の指?の欠損やら。一番の重傷は膝の粉砕骨折が変に癒着した者だな。どれ。

 「痛いが我慢だぞ。戦士殿。」

  「バゥ。」

 「…”鑑定”…”再生”!」

  「バゥ!」

 ”ばきばきびきびきききき…”“ぐききばきぎきびきい…”

 「う、わわわわわわ…す、すごい!み、ミッツ様ぁ?」

 「静かに」

 両手で口を押える僕っ娘エルフ。

 ”びきくき、こきり”

 「”回復”…と。どうだ動くか?」

  「う…動く…バゥ」

 「ゆっくりならせ。太くなるまでは無理すんなよ。」

  「バゥ!」

 「き、奇跡の技…”使徒”様…かぁ」

 「よし、次。指かぁ。ちと我慢な」

 …骨折が多かったが概ね良かろう。ついでに”虫下し”も3人に施した。明日はもっさりだな。

 

 「すごい…エルフの治癒師でも無理…指が生えるなんて…魔力量と言い…神様…」

 「玩具だな。」

 「え?」

 「なんでもないよ。お参りにでも行くか。」

 「おお。最近行ってねぇからなぁ。」

 「お参りですかぁ?」

 「なんだ、クロックはゼクス教か?」

 「違いますよぉ。悪魔なんか信奉していませ~ん。自然信奉…精霊信奉でしょうか?」

 「なら、”原初の神々”は近いと思うぞ。まぁ、無理にとは言わんがな。」

 

 「これは”使徒”様、いらしゃいませ。」

 「神官殿、変わりは?」

  「特には。朝ともなれば、ブラウン殿とドルトン殿の競演が…最近はそれを見に来る人々も。」

 「…熱心な信者ですね…」

  「神々もお喜びのようで…」うん?

 「ひょっとして…まだいるの?」

  「はい。今日は型の修練とか…」

 「クロックちゃんには刺激がでかいかな…」

 「なになに?教えてくださいよぉ!秘密反対です!」

 …ほほぅ。この隠蔽エルフが…

 「クロック、エルフってこんなに好奇心旺盛なのか?」

 「そりゃそうですよ。そうじゃなければ、エルフ国出ませんて。」

 「…まぁいいか。参拝していく。」

  「はい。こちらへ」

 

 「う…わぁああ…暑苦しい…ここ本当に教会…ですかぁ?」

 「おおぅ…」

 「すげぇなぁ…楽しんでるようで何より。」

 多くの神像…皆、妙にムキムキポージング…そして、参拝する場所を取り囲み睥睨す。その舞台で、筋肉がうなる!軋む!躍動す!二人の巨漢が神をたたえる舞を舞う…ポーズ増えてるな…

 クロックちゃんは既にげんなりだ。

  「ふぅ…これはミッツ殿。」

  「”使徒”様、ごきげんよう。ぬん!」

 「お、おう。」

 ぬん!じゃねぇよ…

 「ひぃ!」

 ぷぷぷ。

 「クロック…ぷぷぷ。大丈夫だ、食われはしないって。」

 「それにしても熱心だ…ん?」

 祭壇に木製のゴブレットが現れる。

  「「お、おお!?」」

 「”鑑定”…何々…筋肉強化エリクシア…筋肉増強、そして優しいケアを?…プロテインみたいなもんか?エリクシアって、エリクサーだよな…」

 「え、エリクサー?」

 「筋肉に良いものらしい。頂くといいよ。その信仰心?に対して下賜されたのだろう。」

  「「おおお!」」

  「い、いやはや…」

  「神々よ…いただきますぞ!」「いただきます。」

 恭しく捧げ持ち、一気に飲み干す巨漢達…

  「「お、おおおお!」」

 体色が頭の先から恐らく、つま先まで一瞬で真っ赤になり…1~2分で元に。

  「素晴らしい…」”ぐぎゅ!”

  「筋肉が生き返ったようだ…」”むぎゅぅ!”…

 ””ぐぎゅむぎゅう!””

 「おいおい。ほどほどにしておけよ…」

  「これは失礼しました。さて。気分もすっきり。服作りに戻りましょうぞ。」

  「わしは、神官の修行を…」

 「おう。頼む。」

 「よかったな、ブラウンさん、ドルトンさん。」

  「お声が聞こえるまで極めますぞ!」

 「ん、じゃ、お祈りしてくか。」

 ”収納”からワイン樽、果物などを並べる。麦も報告を兼ねてお供えし、祈りをささげる。

 「さて帰ろうか。」

 「奇跡を目の当たりにしたんですけど。」

 「ふふふ。この神様は案外身近だよ。で、クロックちゃんは学校?」

 「そうですね。そこですし。室長~午後行きますねぇ。ベッド買おうかなぁ。付き合ってください!」

 「仕方ねぇなぁ。多分研究所にいるから呼びにこい。」

 「お願いします。じゃ、行ってきま~す。」…


 「やれやれ」

 「かわいい娘じゃん。」

 「いや、おばさんだな。」

 「結構こだわるな。くくく。」…。

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