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楽園へ…

いらっしゃい!

 ディフェンの国軍を屠り、傭兵団”大地の鎚”との間も手打ちとなった。

 一切の禍根無く…ということだが…そうそう割り切れるものでもないだろう。二度と戦場で遇わないことを祈ろう…

  

 「本当に、”勇者”様はお人好しだねぇ…」

 「そう…か?」

  「へぇ…賠償金だってお安いし、おまけに馬もつけちまって…もっと大きなとこだったら、すぐさま撃ってでてきますぜ。」

 「…そういうもの?」

  「へぇ…本来なら、汚名を…ってなわけで。勝ってなんぼの傭兵稼業。負けっぱなしじゃ依頼も減るってなもんで。」

 「そか…まぁ、甘々なのは認めるわ…なんか、やりすぎちゃったかなぁ~って心のどこかで思ってた…かも?」

 うんうん。トワ君の気持ち…解るわ。…おいらも…殲滅!なんて言っても実際はねぇ…傭兵団にも”家族”がいて”生活”があるからなぁ。人の命で稼いた金子だがね…

 盗賊はいかにもならず者…偏見か?まぁいいや。線引きなんかできないわなぁ…敵には死あるのみ!…なんてなぁ…しかし今回だけで何百人と…ふぅ。

  「まぁ、そこが良いっちゃ、良いんですがね。」

 「アルスも言ってくれればよかったのに。おっさんも。」

 「おいら?おいらは、あれで妥当と思ったよ?馬はまぁ、あれだけど…本拠にもたんまりいるからいいかなぁ、って。」

  「…」

 「まぁ、手打ちになったんだ。あれこれ言っても仕方あるまい。トワ君も気分直してレッツ帰還!だ。」

 「そうだな。もう来ないと思うし…そうだ、ロリエスはどうする?」

  「アタシらが覗いてきましょう。」

 「…食料は…あるな。そうだね。お願いできる?」

  「へぇ。10人で行ってきます。」

 すぅっと消える、お師さん…

 「まだ会議途中だろうに…」

 「燃えてんな…」

  「妙に張り切っていますね…あのご老体…」

  「動けるのが楽しかろう。足を斬られた俺は分るぞ。」

 「そうか。」

 「ついでに、暗殺してこなけりゃいいわ。次の議題は?」

 「おっさん…」

  「使徒様…」

 そんな奴、放っちゃいかんわな。

 

 更に馬が増え交換して使えるから多少足も上がった。馬車職人とドワーフたちが馬車の補修をしてはくれるが、魔纏の負担はでかいらしい。ぜひとも、耐えられる馬車へと改良してもらいたいものだ。

 今日も行進は続く、楽園を目指して…fin。なんてなぁ。

 それにしても…子供…孤児が増えたな…さらなる増築をかまそうか。到着次第すぐに周辺の土地の購入について詰めねばいかんな。」

 「どうしたおっさん。心の声が漏れてるぞ?」

 「へ?どのあたりから?」

 「行進がどうのって辺りから。」

 「…」

 おふう。怪しいポエムを聞かれたか…

 「でも、土地購入うまくいくといいね。”街区”辺りの階層ならかなり広がるだろう?」

 「ああ。期待できるね。」

 「建物も、コピペでぽん!だろう?」

 「まあね…」

 「すぐに手を打とう…金子は結構、貯まったろ?」

 「皆に分配せんといかんがな…」

 「貨幣経済回ってないんだし…不要じゃね?それよか住むとこあった方が良いだろ?」

 「人それぞれだからなぁ…」

 「夜にでも聞いてみるわ。」

 「強引はいかんよ。」

 「ああ。」


 代表者が集められ、第一回入植者会議が開かれる。一応、子供の学習義務などの重要案件の再確認も併せて。大まかな街、村の状況も説明されていく。

 皆ポカンとした表情…夢みたいな話だよな…説明が終わっても反応なし…

 し~~~んと静まってる。

  「お話によると未だ貨幣が回っていないと…」

  「ああ。開拓村のような感じだ。”勇者”様の援助により成り立ってるといっても過言ではない。しかしいつまでも…って訳にも行くまい。今回も多くの入植者を迎えるからな。」

  「その辺は、人族に慣れている者がいるようなので検討してもらっている。」

 こんな感じで、村長のアルスを中心に、リオン、マゼランさん達が話を進めていく。

 貨幣経済、学校の仕組みが説明され、トワ君発議の金子の使い方、土地の買収についても了承が得られた。皆、安全な場所、家がもらえるのだからこれ以上は望まない…と。それに伴い畑なども広がることも説明。皆納得してくれたようだ。

 ルシア神官発議の”宗教”についても説明される。特に人族に向けて。まぁ、教会が嫌で逃げてきた人たちなので…概ね好意的に受け居られているようだ。

 最後にゼクス教の教会は必要?という議題には”必要ない”と”即”決まった。あらまぁ。

 

 住民の質問、要望などは文官たちがまとめ、応えていく…が、現地を見ないと判らんだろうと。結局そうなるわな。

 途中、お師さん達が帰ってきて報告。特になし…だそうだ。ゼルが暗い表情をしているのは、お泊りしようとしたところ、師匠に折檻でもされたのだろう。ざまぁ。

 斥候隊はすぐに警戒に出て行ってしまった。帰ったらゆっくり休ませてあげよう。

 ゼルは…いいか。扱き使ってやろう♡。

 

 到着後についても説明される。今回は都度都度鑑定してきたのでフリーで通れるが、病気の検査、戸籍との照合に少し時間がかかることが説明される。皆、概ね納得したようだ。

 国境までに集会を開き説明を行い。意志の確認を行う。国を出る前までに心変わりがあっても不問とし、残る場合は速やかに申し出てること。

 勿論無条件で解放する由が告知される。国を出たらもう戻れないと徹底してもらう。戻るときは各自で…越境になり、罪になる可能性もあるとも申し渡しておく。

 まぁ、主に人族に向けたものになるな。獣人族たちは行く気満々。心はもう行ってしまってるかもしれない。ふふふ


 早朝。野営地を見回す。概ね良好。普段通りの光景だ。馬を使っての粉ひき。作れる時に作れるだけ、”収納”に入れる分もとバンバン焼かれるパン。お!ソニー坊も混ざってる。一所懸命捏ねてる姿にほっこりする。

 その周辺で、訓練をするもの、瞑想をする者。皆思い思いに過ごす。お!良い香りがしてきたな…スープが出来たようだ。

 

 「ミッツのおじさん。」

 「お?確か、リッキだったな?どうした?」

  「…”勇者”ってこと隠してなんて。ずっこいぞ!」

 「隠してないぞ。」

  「はぁ?」

 「おいら、”勇者”じゃないしぃ。まぁ、転移者?異世界人ってのは当たってるけど。」

  「ほ、本当?」

  「でも”収納”使ってたって。」

 「ああ。ほんとも本当。はずれ勇者だって、ここの王様に何回も殺されそうになったよ…ああ!頭来る!勝手に呼んでおいてな!」

  「…本当なんだ…」

 「ああ。”収納”使える人も少ないけどいるだろう?」

  「うん。大きな商会の創始者なんかが”収納”持ちだって聞いたことある。」

  「そうなんだ…」

 「ん?がっかりしたか?」

  「まぁいいや、どっちみち変わらないよ。今日から、ミッツのオヤジと呼ばせてもらうぞ!」

 「はぁ、お前たちも俺の子になるんか?」

  「ん?ならないぞ?俺達は兄弟でやっていく。でもミッツのオヤジは、俺たちに第二の人生をくれたんだ…新しい人生のオヤジとして尊敬したい…」

 「…そか。息子になってもいいぞ?」

  「そこまでは求めないし、甘えちまうからな!俺たちは、最底辺から成り上がる!良かったら見守ってくれ!…と成人までの援助はおねがいします!」

  {お願いします!}

 「お、おお…う…ああ。ま、まかせろ!オヤジとして面倒見てやる!成り上がって見せろ!」

  {応!}

 おおぅ…涙出てしまうがな…羽ばたけ!子供たちよ!

本日もお付き合いいただきありがとうございました。

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