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大立ち回り。

いらっしゃいませ~

 翌日。昨日の憂さを晴らすために、ちょっと良い処に食事に行った。ブロールさんのリストにあった店だ。

 獣人に優しい店だったので良かったよ、あんなことがまた起きたら、この国吹き飛ばす自信がある!

 さすが、”鍛冶師ギルド”!今後、出先は鍛冶師ギルドに紹介してもらうか?

 

 「なぁ、トワ君。」

 「なに?」

 「出先の宿とか、食事処。鍛冶師ギルドに紹介してもらう方がよくない?セツナっちもいるし。」

 「なるほど!それも一つの手だな。おっちゃん達も大変だっただろうから…」

 「そうだな。人族…そんなに優れてる種族…かねぇ。」

 と市場を散策してる。

 

 「「父ちゃん、串焼き」」

 おうおう。食ったばかりだろうに…ま、この脂の焦げる匂い、わからんでもない。

 「おう。小遣いやるから、予算内でな。」

 と銀貨数枚ずつ渡す。 

  「「ありがとう!」」

 「あんまり、遠くへいくなよ~」

  「「おう!」」

 「今日もシンクロ率たかいのぉ~」

 「ぷ!それで、いろいろ構ってたのか?おっさん?」

 「かわおもだろ!」

 「?かわおも?何語だそれ?」

 「可愛いおもろい。」”ははははは”

 当の二人は謎肉齧ってたよ。お!調味料屋かぁ。

 米味噌醤油米味噌醤油米味噌醤油コーヒー!…謎呪文だな。

 「あそこいくぞ!米味噌醤油!」

 「懲りないのぉ~」

 

 …みつけました!魚醤。ショッツルに近いか?あとアンチョビ。謎小魚の塩漬けを謎のオイルで保存してるもの。味見で旨味が大変良かったので即購入!あるだけ。むふ。昔から好きなんですよ!アンチョビ。特にそのまま食べるのが…小骨結構!大歓迎!

 アヌヴィアトの方が幾分海に近い…探せばあるかもな…北の方が産地なら…ま、あれば買う!


 「なんだよ!おっさん!」”がたちゃ!”

  「やめろよ!死んじゃうだろ!父~さん!」

 はっと、声のする方を見る!

 myサン!ライの首にロープ…なんだぁ、死にたいのか…コイツ

  

 「おとなしくしろ!」

  「獣人のガキが!」

  「ひゃ!」

 カイを殴ろうとした衛兵の腕をトワ君が掴む。 

  「貴様!抵抗するか!」

 「…おっさん。」

 口は任せたってことね?

 「衛兵さん?あ、あの、その子達が一体なにを?」

  「貴様は」

 「父親ですよ。養子ですが、その子達は私の子です。なにか?罪状は?」

  「…」

  「こ、こいつらは武器を所持しておる…」

 はぁ?

 「だから?だから何?ギルドで仕事をしています。それに武器?ナイフの所持は違法?」

  「…」

 「ほら、あの青年も所持してますよ。しかも長剣。あの子なんかむき出しのバスターソード。あっちのが危険ですよね?」

  「う、うるさい、獣 「おい、その先言ったら殺すぞ!」 …ぐぅ」

 …トワ君、いつも、いつも良いところを…殺気、殺気。

 「そこのでくの坊!うちの子の首に縄…殺す気ですね。では、貴方も殺されても文句はないと…。それ以上締めたら殺すぞ!」

 雹がでくの坊の首に双剣を当てる。カイが、ライをレスキュー。ナイス!

 「で、どんな容疑で?早く言え!屑が!子供相手、獣人相手じゃないとビビッてしゃべれないのか!何の容疑で子供が縛り首、暴行を受けなければならない?さぁ!」

  ”ひでえなぁ””いつもの事よ…特に獣人や、他種族に…”最低””本当に…”

 常習かぁこいつら…

 「答えなさい…さもないと死にますよ。」

  ”いい気味だ””横暴を許すな!”

  「通せ、通せ。」

  「「た!隊長!」」

 10人くらい?か…

  「貴様らこれは一体…拘束せよ!」

  ”横暴だ!””汚い””かえれ”

  「貴様たちも拘束するぞ!」

  ”…。””…。”ったくハゲが。

 「ちょっとまってください。罪状は?」

  「暴行罪だ!」

 「ふむ、無実の私の子供の首に縄をかけ、暴力を振るおうとした。これは?」

  「子供?獣人だろ」…

 「養子です。まだ、仮証しかないですが…」

  「なら、罪人だ!」

 「へ?なんで?」

  「俺がそう判断した。抵抗すれば斬る!」

 一瞬耳を疑ったよ。こいつ…何言ってんだ?

 ”しゃらん”

 しかも剣を抜きやがった!そのまま囲み、距離を詰めてくる、衛兵たち。

 頭の隊長がこの様だ。話し合いなんかにはならないだろう。下手すりゃ、クソ領主が治める町だ。武装解除と同時に斬り殺されかねない!こんなところで死んでたまるかよ!

 「トワ君、雹、残念だけど…ライ、カイ…父ちゃんとこに…」

  「「父ちゃん!」」

 子供らを抱き抱える…。

 「そうだ、大人しくし 「やれ!しかし、殺すな!腕を叩き切れ!充填!」 な?!」

  「「おう!」」

 ”どばばゆ!”ぐぎゃぁあああ!

 まずは、雹の怒りの斬撃でライの首にロープをかけていた屑の手首が舞う!

  「ぎ、ぎやぁああぁーーー」

 次に、肘!

  「痛てぇーー!た、助けて」

 己の血の池でもがく屑。それに一瞥もくれずに、抜き身の剣を持ってる衛兵に襲い掛かる雹!

 ”どばぁ!”ずばぁ!”ばしゅ!”

  「お願いだ!俺はぎゃぁあああああぁぁぁ!」

  「き、貴様ら!」

 「おい!お前の相手は俺だ!ふん!」

 トワ君の光輝く魔剣が一瞬で隊長の両腕を肩から斬り飛ばす。

  「?!へぇ?」

 ”ぶしぃいいしゅ~””どちゃちゃ…”

 腕が落ち、一拍後、勢いよく血が噴き出る!

  「痛っ!腕、あれ、俺の腕がぁああ~」

 「ふん!次はどいつだ?」

  「ひ!」

  「こ、このぉ!」

 ”びっしゅ!ざしゅ!””ばしゅ!びしゅ!”どしゅ!”

 衛兵達の手が、手首や肘から斬り飛ばされれ、宙に舞う!

 「た、助け…”びっしゅうぅ~”ぐぅう…」

 雹の体がぶれる…腕が舞う。衛兵たちは両腕を飛ばされてのたうち回る…

 

 「きゃーーーー!」

  「うわわ!」「うわぁ!」

 見物人からも悲鳴が上がる。辺りは真っ赤だ…。

 覚悟したとはいえ、目がチカチカ、込み上げるものがある。うぐぐ…ぐぷぅ

 「し、止血、止血っと」

 火の矢…玉の魔法を傷口向けて放つ。

”じじゅうううぅううううじゅう……ううう~”

  「「「「「「「うっぅぎいぃやぁ~~」」」」」」」

 小さいファイアーボールが傷を焼き、血を止める。我ながら上達したものだな。

 初級だけど…ほんと小さくね?おいらの火の玉。

  

 「ひぃ、っひぃなんでだよぉ~~~」

 鼻水涙まみれの蛆虫。

 「正当防衛です。子供殺されそうになって、普通、反撃するでしょう?それに、あんたら武器を抜いたでしょ。」

  「じゅ、獣人じゃぁないか~」

 「だから?」

  「うで、腕…俺の腕は?」

 魔法?魔法薬、ポーションもありそうだな…

 「憤怒!滅却!」

 蛆虫の目の前で、切断された腕にファイアーボールが当たる。小さいけどね!ぶすぶす燃える腕…消滅…

  「お?お、俺のう、では?」

 「くっ付けられるとまた悪さするでしょう?焼却しておきましたよ?」

  「「「「…」」」

  「へぇ…えへぇへぇ。えっへへ…」

 ふん、いい気味だ。こいつは気が触れたか?散々他人にやって来ただろうに?

 

 「で確かこいつだったか?」

 首に縄をかけて引き倒す。そう、ライの首に縄をかけたやつだ!

  「ぐげぇぁ」

 「お返ししますね。縄。さぁ、領主に出頭しますか。まだあいつだったら、今度こそ灰燼に帰す!」

 直ぐに第二陣が到着したが、第一陣の様子を見て完全に腰が引けている。

  「き、貴様ら!」

 「どうします?第二幕開始しますか?」

 ずぃと、白銀の槍を向ける。

 隊長以外は真っ青、剣を捨ててる…

  「貴様ら!」

 「貴様、貴様ってうるさいんだよ!どうすんだ!土下座すんなら許してやるよ」

  「きさまぁぁああ」

 叫んでばかりで一向に掛かってこない腰抜け。良いだろう!こっちから行ってやる!”魔纏”!

 魔力を纏い、身体強化!その勢いのままに槍の穂先を右腕の付け根にねじ込む。”ごぼく”この手ごたえ、関節が砕けたか?

  ”ぶしゅ!”

  「げああ!あぐがぁ!」

 そのまま、捩じるように引き倒し、地面に縫い付ける。

 「もう、いい加減我慢の限界なんだよ!猿!」

  「ぎやぁあ…熱い!熱いぃいよ!」

 面倒だから槍共(ごと)熱して止血だ…あち!

 もう抵抗する奴はいないな。

 じゃ、仕上げに掛かろうか。お返しに上がらないとな。

 

 「おい、そこの衛兵ども、そのロープでお仲間らの腰を数珠つなぎにしろ!」

  {は、はいぃ}

 …。

  

 「お、おわりました。」

 「じゃ次は、お前らの手を数珠つなぎにしろ、いやならそんな腕はいらんだろう?」

  「は、はい!」

 素直に従う衛兵たち。

 「じゃ、動けないやつに手貸したれ、領主の所に行く!」


 「ま、待ってください!領主に直談判を?」

 「貴殿は?」

  「私はこの街で獣人族のコミュニティのまとめ役をしてます、バァルゥムと申します。是非、是非に!私もお連れください。この命を懸けて私も訴えたい!この現状を。死しても文句はいいません!少しでも、少しでもここにいる獣人の立場が上がれば…この白髪首惜しくは、お願いです。」

 涙ながらに訴える老人…残念ながらうさ耳”男”しかも老人だ。(←台無し)

 「…わかった。いこう。」

  「私もいいかい?」

 恰幅の良い飯屋か宿屋の女将さんだ…

 「?人族の貴女がなんで?住みづらくなるぞ?」

  「私はサリサ、そこの飯屋の女将だ。この街の領主の方針か衛兵のモラルも最低でね。数多くの問題があるんだ…年頃の娘がいる家なんかほかの町に疎開させるんだよ?それに…」

 「それに?」 

  「まだ噂なんだけど…」

 「待ってくれ。どうやら向こうから来たようだわ。」

 

 町の中でも騎馬でやって来る、部隊。昨日の騎士団だな…先頭を来るのは昨日の御姫様だ。昨日の姫のお目付け役だろう騎士殿もいるな。もう一人若いの…は、知らんな。

 子供達を下げる。トワ君もすらりと、魔剣を抜く。抜かれた魔剣が空に白線を引く。

 

 「まってくれー!」

 ”ザッツザッツ”

 ふぅ。囲まれたらヤバいな。マジで、この国から出奔だな、こりゃ。

 「みんな下がって、トワ君、雹!でかいの一発かますぞ!その後各個撃 「ちょっとまってくれ!敵対の意志はない!剣を引いてくれ!」 …。」

 槍の先に鞘に収まった、剣を吊るし、昨日のであろう騎士殿が、馬を降りこちらに歩いて来る。

 「…敵対の意思はないという作法かな?いいかい?トワ君。」

 「ああ。おっさんに任せた。が、油断すんなよ。」

 「そうだな。…了解した!昨日の騎士殿か。交渉はここで?領主館で?」

 大声で会談を受ける意思を伝える。

  「ここで良い。そこの者どもは…生きておるのか?」

 一瞬顔をしかめる騎士殿。凄惨な現場だ。

 「さぁ?悪い事にしか使わない腕だ。いらんだろう?斬り飛ばして止血した。後は知らん。領主殿にお返しする。」

  「であるか。じゃまだ、詰め所にでもぶち込んどけ。隊長格のものはこちらへ。女将すまんが、大きい机と椅子をそうだな、10脚出してもらえぬか。飲み物もあれば助かる。もちろん手間賃は払う。」

  「…わかったよ。ここでやるんだね?」

  「うむ。」

 

 はぁ、めんどくせーなぁ。

 「おっさん顔にでてるぞ?」

 「め・ん・ど・う・く・さ・い。まじで。お姫様もでてくるぞ?」

  「父さん…声」

 「聞こえるように言ったの。はぁ、面倒くさい。」

 どうでもいいじゃん?ここの貴族消し飛ばしたって…。なんか疲れちゃったよ。雹。

 その挑発に乗って若い騎士が前に出る。ふん。若造君だなぁ。戦端を開くつもりかい?

  「無礼者!この、へぐ!”ずがぁあん”…」

 おいらに文句を言った騎士が壁に生えてる…

 「すまないな、この状況を分かってない阿呆で」

 蹴りの体勢を維持してる”姫”様。蹴り倒しちゃいけんでしょ。

 「はぁ。これは姫様。」

 面倒だ…。


 テーブルをつなげて並べ、テーブルクロスをかけ即席の”会談場”ができた。集まっていた町民の方々も手を貸してくれて短時間で準備が調った。

 会談と言ってもなぁ。こちらは”無罪””正当防衛”を訴えるのみ。この領主、そして国が認めないというのであれば、戦だ。ま、勝ち目はないだろうからダンジョンに籠るかなぁ。トワ君とセツナ嬢が納得するとは思わんが…。

 おいら達の事より、この町、領主の方が問題だろう。会談会場の大テーブルのお誕生席に陣取っている、女将とバァルゥムさんそして、住人の方々。彼らの訴えがメインになるだろう。


 こちらは5人(といっても、ライとカイは寝ちゃうだろうね。)。対面中央は、お姫様。その左手に、騎士殿。右手に、この町の行政府の人間?かな。先ほど、姫と馬を並べていた若者だ。彼には二人の護衛が後ろに立つ。騎士団は半分は衛兵の手当、運搬。もう半分は姫様の後ろに整列している。中々の練度だな。

 

 先ずは姫様の挨拶で始まった。

 「会談を受け入れてくれて礼を言う。先日も名乗ったが私はこの国の第二王女、リュラータ=フィカス=ノリナという。良しなに。」

 手を上げる。

 「先に良いでしょうか?お姫様。私たちは王宮で使うような礼儀を修めていません。ご無礼お許しください」

 「礼儀など不要!いわば、戦後の会談だ。立場に上下はない。むしろこちらが敗者のようなものだ。」

 ふむ…頭がおキレになる。おいら達の正体も知ってんな?

 「では、遠慮なく。先ず、”あの”領主様のお姿がお見えにならないようだが?この状況で話を進めて良いのでしょうか?」

 姫様の右手に座っていた若い男が軽く手を挙げる。

 「問題ない。父が色々と迷惑をかけたようだ…申し訳ない。」

 ほう、頭をさげられるか!

 「頭をお上げください。許される所業ではないので。」

 「…うむ。それで父は今朝”病死”していただいた。本人の口からの詫びができない。まぁ、あれは悪いとも疑ってないがな。忌々しい…。あ、失礼。私は、テクスティリス=ムーサ=エキドレア、テクスと呼んでくれ。俺が父、サジャックに代わりここの領主となる。で、こいつ等が腹心のガルペン、ディシィだ。」

 「…私はミッツ。しがない商人です。で、」

 「俺はトワ」

 「あとは私の息子、雹、ライ。カイ。です。そちらの方がこの街の獣人を束ねるバァルゥムさん、で、こちらの女将さんのサリサさん。」

 わんこがぺこり。ん?姫様ピクったな?モフラーか?

 「で、此度の、経緯、聞かせては貰えぬだろうか。」

 

 姫様に促され、順に経緯の説明をしていく。


 突然衛兵が、ライの首に縄を掛けたこと。それを止めようとしたカイを殴ろうとしたこと。子供に対する暴力。

 罪状が”獣人の子供だから””仮の親子申請は犯罪””そちらの隊長の判断で有罪”そして、何処が罪なのかを問うていたら”剣を抜いて襲い掛かってきた。恫喝、恐喝。職権乱用。

 そして悉くを”返り討ちにした”。正当防衛。

 以上に就いて。見ていた町民も賛同の意を示す。

  

 「何がいけないんです?獣人でしょう?」

 と教会の聖衣を羽織った屑が3人。人垣をかき分け、乱入してきた。

 「あんた?そんなに偉いのかい?」

 場が凍る…何を見ていたんだこの屑は

 本気で排除しようとしたが、姫様に制止され、騎士団に連れていかれたようだ。一応顔は覚えた。町であったら…


 衛兵の各隊の隊長格、副官クラスが、引き出され、尋問…証言とのすり合わせが行われる。

 「その方ら、申し開きは?」

  「「サジャック様に従っただけです!」」…ほう。例の領主か…。もう、死んだといったな。その手際を見るに狙っていたな…このテクス殿は。

  「その…小さい獣人だって…」

 「ん?」

 「すまぬミッツ殿、父はその…病気なのだ…」

 「ああ。」

 幼児性愛者か…しかも男児…それだけ…か?

 「ま、許される話ではないが、私たちの話は以上だ。で、私たちの罪状は?それ次第ですが尻に帆を立てて、出奔しないといけませんので。」

 「この状況…正当防衛を認めましょう。すまなかった。良いでしょうか?姫様。」

 そう言って、頭を下げられる、若領主殿。中々にできる事じゃぁないな。こんなことで会いたくなかったよ。そう思える人物だ。

 「うむ…それでよかろう…で、其の方らはこの後は?」

 「2~3日で出ると思います。そうそう、この後、時間おありで?町人たちの決死の訴えを聞いてほしいところです。こんな衛兵がはびこっていたんだ。現状を聞いて改革すれば、新領主殿の株も揚がるだろう。」

 「うむ。エキドレア卿の件は置いておいても聞きたいな。どのようなことが行われていたのかを。」

  「姫様。エキドレア領内の事でありますので。」

 「良いではないか。最近差別がまた問題になってきている。国の縮図のようなものだろう?聞かせてもらうぞ。」

 「はい。では、其の方らの訴えを聞こう」


 …その後、滔々(とうとう)と、バァルゥムさんが今までの惨事、現状を語り。

 同じ人族の女将の口から前領主と、衛兵の悪事が怒涛の如くってやつだ。

 聞くに堪えん!

 

 特に最たるものは、若い女性についてだ。成人の儀式、余程の美貌持ちであればその前から目を付けられ、手を出される。それも領主の命で。教会に逃げ込んでも、相談しても、教会と領主はグル。

 町の外に逃げたら悲惨な道が待ってるという。門は楽に通し、その後衛兵が追って来るそうだ。町の外で汚され、命まで奪われ放置された娘が何人いた事か…と女将が涙ながらに訴えた。

 声を上げれば、衛兵に。教会に相談し、かくまってもらおうにも、神父らに…。そして領主の元に…と耳を疑う話も出て来た。

 平民はどうにもならないと。この町の平民の心はゼクス教から完全に離れているらしい。


「ふぅここまでとは。姫様、今までの話、先ほどのくそ坊主どもにも聞かせてやりたいものですな。」

「同感だ…ここまでのものなのか?獣人差別は。それに女性差別も。人の行いではないな…これでは”あの”王国を笑えないぞ…」

「姫…ここまで”教義”が捻じ曲げられて解釈されてるとは…予想外です。」

「テクス殿だったか、悪いが、あんたにはそれは言わせない。いくら広い家とはいえ知らぬはずは無いだろう。”病気”も知ってたし。

 あれだけの権力主義者だ。数人の男娼だけで満足できまい。それに違和感…私の子に向けられた目はねじれた愛情ではなく”物”のようだった…。まだ何かあるかもしれない…。嫌な予感がする…

 アンタの処の地下牢とか隠し部屋とかあれば探してみろよ…まだ間に合うかもしれないぞ。

 後ろのお二人さん、あんたらも前の領主と同罪だ。御曹司の耳に入れないようにしてたろ?主人を見ればわかる。まぁ、親父と同様の思考になってなくて幸いだが…」

 「!はっ!す、すぐに屋敷を調べよ!…離れ…離れを!地下もあるやもしれん!急げ!」

 「それにしても…貴族、人?人族?猿に毛が生えた程度でしょう。言うなれば猿人族って自覚ないのかねぇ~。」

 「上手いこと言いますね。過去の召喚勇者に同じような思想の方がおられました…結局、教会に”処分”されたようですが…」

 やっぱり身元はバレているなぁ。ま、手配書やらの通りの、のっぺり中年だし?


 「皆の者、すまぬ…すまぬ。今後はこのような事のないように。内政に力を入れよう。先ずは、衛兵、門衛の罪…領兵も調査しないといかんな…姫様、騎士団をお貸しください。」

 ほう、おいら達だけじゃなく一般人までにも頭を下げるか。

 「それでは、仕事に戻りたいと思います。お騒がせしました。では、行こうか!」

 「ではまたどこかで会おう…」

 「…いえ、お互いもう会わない方がよいと思います。今回の貴族殿の件で覚悟が決まりました。立ちふさがれば…斬り倒してでも進みますので。では」

 …行ってやるさ…

本日もお付き合いありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言]  誤字報告をしながら読み返させてもらっています。  リュラータ姫が前話では第一王女、今話では第二王女となっていますので、報告を。  誤字報告は明らかな誤字以外にも、漢字の使い方が変だと感…
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