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救出作戦!シペラへ!帰還~マゼラン一家 出奔

いらっしゃいませ!

 「♪や~みよぉ~にぃまぎれてよ~♪」

 「なんだそりゃ。」

 「今の心境。」

 ”がらがらがらがら…”

 背に人を背負ったものが馬車と並走する…なかなかにアンビリバボーな光景だ。

 ルカちゃん達も”しっかり脅してくるわね!”と気合十分に出かけて行ったが…まだ帰ってこないな。まぁ、そうそう滅せられはしないだろうが…少々心配ではある。

 「ここいらで休憩しよう!アルス止めてくれ!」

 「応!休憩だ!皆、しっかり水分を取れ!背に居たものは、馬車と交代だ!」

  {応!}

 見事な統率力だ。気分が良い。

 「しかし、恐ろしい力ですなぁ…我らの足でも結構かかるのに…」

  「ああ。体の重さがまるで感じない。何よりも空腹感が無いのが凄い。」

 「感じないだけで、ちゃんと減ってるからな。摘まんどけよ。」

  「”使徒”様!」

  「本当にありがとうございます。同胞たちを…」

 「まだだぞ。目的地は遠いし、もう一…二か所、ディフェンに寄る場所もある。治療だってまだ半分だ。」

  「そうですが…」

 「先も話していましたが…我らの魔力量も増えれば同じようなことが?」

 「量も重要だが、制御も必要だな。両方そろわないと厳しいだろうね。」

  「そういった手ほどきを…」

 「ああ。系統立ててやっていきたいな。おいら達、この力を使って”輸送業”してるんだよ。」

  「…”輸送業”ですか?」

 「”無限収納”と合わせれば天職だろう?」

 「…無限の収納力と、高速移動…なるほど…”勇者”のギフトの無駄…おっと、有効利用?ですな…」

 「無駄言うな。どこぞのバカ国の先兵になって剣振ってるより何倍も良かろうが!」

 「それは…その通りですね。」

 「でな、アルスたちも村に閉じこもってるのもかわいそうだから、一緒にやろうと思ってな。最初は”護衛輸送”になるだろうが…マジックバッグ揃えて、バンバン運ぼうと思う。」

 「ほう。…その装束が?」

 「ああ、制服だ。ヴァートリー商会の”蒼”輸送隊になる予定だ。」

 「なるほど…彼の商会なら、身分証も問題なく…ですな?」

 「ああ。そういうこと。リオン達も参加したけりゃ…まぁ、本拠地に着いたらだな。先に宴会して親睦を深めねば。まぁ、それまで頑張ってくれ。」

 「はい。楽しみにしてますぞ。」


  再び”魔纏”し、走り出す。

 その後も様子を見ながら休憩を数度取り、夜通し走り抜け、朝方には鉱山に到着した。

 到着早々悪いが、おじさんは疲れたのでお眠させていただこう。トワ君がすべて良きようにしてくれるだろう!


 「皆、疲れているところ悪いな。明日の夜にはここを立つことになると思う。それまでに、最終確認。俺たちの村に来るかどうか。距離もあるし決して楽じゃないと思う。相応の覚悟が必要だ。受け入れ態勢は整っている。その辺りは保障する。それと、孤児たちは俺たちが引き取る。大切に大きく育てて見せる。その辺は”勇者”トワの名に誓う!アルス、リオン主導で確認してくれ!俺に従うものは、子供でも、老人でも、女でも。人族、獣人、魔族。関係ない!見捨てやしない。必ず連れて帰る。もしも…残る者も…おすすめはしないが、遠慮なく申し出てくれ!意思を尊重する!以上だ!」

  「トワ様!」「勇者様!」{わぁーーー!}{勇者様ーーー!}

 「頼む。アルス!リオン!」

 「「はっ!」」

 「まだ治療の終わっていない者達も安心してほしい!順次治療できるだろう!」

  「これっぽっちも心配していやせん!」

  「神の…使徒様の御業…ありがたいことです…」

  「本当にありがとうございます…」

  「再び歩けるなんて…」

 「ドワーフのおっちゃん達はもちろん来るだろう?」

  「ああ!トワんとこに世話になるぞい!」

  「皆の包丁から、武器まで任せとくれ。」

 「ああ!歓迎するよ!」

  {おおう!}



 ~マゼラン一家~


 「ねぇ、お父さん…これからどこに行くの?」

 「う~ん外国かな?」

  「外国…ですか。」

 「ああ。”勇者”様が新しい町…いや、国を作るそうだ。それに協力できたらと思っているんだよ」

  「”勇者”様!本当?絵本の中の!」

 「う~ん。どうだろうなぁ~まだ会ったことないからなぁ。これからお会いしてお父さんを使ってくれるように頼むんだよ。」

  「ふ~ん…そうなんだ。」

 「ほら絵本みたいに、勇者様の周りは獣人さんが多いんだよ。仲良くできるかな?」

  「うん。お友達にも居たよ!」

 「そうか…」

 

 娘、フィンの頭をなでながら、馬車に揺られている…御者は要らないようだ。マリウス様が駆る魔馬に付き従うように馬車は走る。途中途中休憩をはさみながら。

 その時も上級な茶を馳走になり、フィンもルカ様に大分慣れたようだ。ルカ姉様と付いて回る。

 …普通の少女にしか見えないのだが…大悪魔の一柱…今なお信じられんがな。

  「あなた…」

 元気が無いな…。仕方ないか…お嬢様には少々キツいかもしれない…な。

 「…すまないね。まさかこんなことになるとはね。…レイン…起きてるのだろう?」

  「…うん」

 「こっちに来なさい。」

  「…いいの?」

 「ああ。お前は長男。まだ早いが…聞いていなさい。解らないことがあれば遠慮せずに。その場で聞きなさい。」

  「はい」

 「事の起こりは、この国がディフェン国と一緒に”悪魔召喚”に手を出したことなのだ」

  「”悪魔召喚”…ですか…本当にそんな事…」

 「その際に多くの生贄がいる…その辺りはディフェンが…いや、我が国も無関係ではあるまい。」

  「…」

 「多くの獣人を奴隷にし、あるものは生贄、あるものは鉱山に連れていかれた…」

  「そんな…」

 「鉱山に連れていかれたものは逃亡、反抗防止に、妻子を人質に、あるいは”足”を斬るんだ…」

  「う…ひどい…」

 「ああ。この国が…王族の持つ、隠し鉱山で行われていたのだ。」

  「隠し鉱山?王族が?」

 「ああ。私腹を肥やすためにな。本来であれば、公にして…まぁ、今更だな。」

  「…」

 「それが、”勇者”様の逆鱗に触れた…すでにすべての鉱山は制圧されたようだ。獣人たちは解放され、皆、”勇者”様の街に移動するそうだ。」

  「当然です!我が国は奴隷制度廃止国家です…いや、でした!」

 「そうだね。国が破っていたんだ。それが発覚。そして、その場にいた我ら、関わっていなかった大臣たちが拘束された。」

  「え!それはどういう…」

 「そうだよ。私もセラミスも牢屋に入れられていた…。口封じに…見せしめに殺されていただろう。」

  「…」

 「そこをルカ様…マリウス様に助けられ…この話を頂いたんだよ…」

  「あ?ルカ様?さま?」

 「ああ…ルカ様は人ではない…”悪魔”の一柱だ…」

  「あ、悪魔…」

  「あ、あなた!」

 「ああ。ディフェンと聖王国、そして我が国が”無責任”に召喚した悪魔だ…」

  「はっ!フィン!フィンは!」

 「大丈夫だよ。悪魔といっても上位”大悪魔”…そこいらのくだらない貴族より、ずっと清廉で話もできる。」

  「…そういうものなのでしょうか…」

 「私も初めて知ったよ。”大悪魔”の召喚例なんてないからね…大きな力をもっておられる。」

  「…」

 「どうだろうか、大いなる知識がそこにある…学んでみるのも良いだろう。」

  「知識…」

 「まぁ、すぐには無理だろうが…もう、そこに存在しているのだから。」

  「…そうですね。」

  「あなた…」

 「私は全然心配はしていないよ。新たな仕事…”勇者”様のお手伝いができるかもしれないからね」

  「かも?」

 「そりゃそうさ。雇ってくれるといいね。そうしないとみんなのご飯も稼がないとね。」

  「僕、僕も頑張るよ!」

 「そうだね。シャインにも成人前には教える…いや、私達より、詳しくなっているのであろうな…」

  「そうだね!」

本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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