スライム最強!
いらっしゃいませ~本日もよろしくお願いします。
くっ……あのジジィ! 舌打ちしやがって! それにあの目。しかもぶつぶつ言ってやがる。
『失敗……じゃな……んじゃ……あれは……まぁいい……一人は当たりじゃぁ。早速王に……?』
考えてることが手に取るようにわかるぞ! ……ありゃ? はっきりわかる?
<読唇術を習得しました>
ん? こ、これが脳内アナウンスってのか? お? おお! ラノベのとおり? ええ! ここホントに現実か……神の声……なんだろうか?
<読唇術に顔色窺いが干渉 読心術を習得>
んんん?統合?! 新skill? マイゴッドぉ! ありがとう! ハレルヤ! ほかにもskill生えないかな。
戦闘系を是非にお願いしたいところだ!
ってか、その前に、ジジィに”破棄”されんようにせんと。
今後の展開……いや、作戦は絶対、永遠君から離れてはだめだ! さもないと殺されてポイ! 確定だ……
『ふん……役立たずのゴミめが……』
くそぉ! ジジィ! 言いたい放題だなぁ! このぉ! 腹立ってきた!
が、力は無いのは事実! くそぉ! そしてまた、生きていくには永遠君に頼らねばならないのも事実。
ん?
……”ごくり”
……永遠君がおいらのことをどう思っているかが知りたい……”心”を見たい……。
いかん! いかん! 『親しき仲にも礼儀あり』と言うしな! まだ会ったばかりだし、寄生しないとだし。
嫌われないようにせんと……信頼を得るには誠実にだ! それに、きっと良いことは無いな。このスキル……封印じゃ!
「それでは部屋を、それぞれに用意してやろう。今、案内させる。ゆっくりするといいだろう。くっくっく」
ジジィ! さっきザック団長に全て任せるって言ってただろうがぁ! 分離作戦か! もうかぁ! くそ! 早速来たか! クソジジィめぇぇ!
そう言い残してザック団長を先に行かせ出ていった。
分断! 片方=おいらポイ作戦か! 入れ替わるようにむっちりメイドさんが現れた。ん? 一人だけ……かよ! 露骨過ぎんだろ! クソジジィぃぃぃ!
「それでは、勇者トワ様はこちらへ……お部屋にご案内させていただきますぅ」
ギュッと双丘を寄せ、永遠君に色っぽく迫る!
くぅ……別嬪巨乳(露出多め)メイドさんか!
うぉ! ピンクの髪って地毛か? 下も? って違う! 強敵が現れた!!!
おいらみたいなおっさんと比べたら、比べ物にもならんわなぁ。天秤崩壊レヴェルだわ。青春ビンビンだろうし。青春リビドーォーーーーーー!
ふっ……淡い期待だったぜ。
おいらでも永遠君の立場だったら、おっさんなんかもう眼中にないもんな。……終わったな。
さらば!
「ん? 俺一人か? おっさんの案内は?」
「……直にきますわ。」
ふふん! 来ないね……きっと! 鎧騎士3人が代わりに来る。と……で、ブスリ! だわ……。
「ふん。大部屋にしろ。ミツルのおっさんと同室でいい。内々で話したいこともある。案内もお前一人のようだし。飯も部屋で摂るわ」
ん? んん?! なんて?! なんですとぉ! 今なんて言ったぁ!!! 神降臨! 勇者降臨! トワ君!!! おおお~~~! マイ・勇者よぉおぅ~~~! 愛してる!
「で、でも……”おもてなし”できませんし……私、オウン様に叱られます……」
再び双丘をよせ、すぅ、と一筋の涙? ウソ泣き? すげぇ! 女優だ!
うん。おいらなら、メイドさんについていくね……絶対だ。
……はぁ。自分の矮小さがつくづくイヤになるわ。永遠君がまぶしい!
ここは異世界じゃなく己の心と向き合う精神の部屋だったのか?!
「どうせ、おっさんを、どうこうしようって腹だろ? おい、ジジィ! そこにまだいるんだろう? 俺はこの国を1㎜も信用してねぇ。あんたもだ。
おっさんともども手だしたら暴れてやるからな。兵糧攻め、毒混入なんかしてみろ! 勇者の力! 存分に使ってやる! ちゃんと衣食住の保証はしろよ! 誘拐犯どもめ! いいな!」
ほ、惚れてまうがなぁ~~~トワ君おいらの初めてを……いらんね。
あぁ~あ、メイドちゃんビビりまくり、威圧したのかな? 本気泣きだ。
「て、手配してまいりますので! しょ、少々お時間をください」
行っちゃった。良いお尻だな……プルンプルン♡と……違うか!
「……永遠君ありがとう。……ビビりのおっさんで申し訳ないわ……」
悲しい。守るって決めたのに……凹むわ~
「いいって。同じ世界の……同郷だし。戦友だろ。頼りにしてるぜ! おっさん!」
二カ!
くぅう~~~かっこいい、かっこよすぎるよ! トワ君!
「おいらの初……」
「ん?」
アブねアブねえ心の声が。惚れてまうよ~
その後に用意されたのは、だだっ広い部屋。2つの客間の壁を取っ払った感じだ。
調度品はベット2台とサイドテーブル。中央に6人は座れるテーブル。が、椅子4脚。
どの家具も必要以上に装飾が施されている。が、板が薄い。実が無い。この国を体現してるかのようだ。
ありがたい事にトイレと簡単な行水ができる場所がある。まぁまぁの居住性だ。
今日はいろいろあったな……。ごっそりと疲れたわ。早くおねむしたい。朝起きたら元の世界に……棺桶は嫌だが……
「さてと、ちょいと調べますか……」
なにやら床や天井を見てまわるトワ君。
「俺は空間把握と鑑定で調べるから、おっさんも鑑定で調べてよ。不審な点ないか」
「なるほど! やってみるね。鑑定! 鑑定!」
「……口に出さんでもいいぞ? たぶん?」
「気分?」
おお、鑑定できる……「床」「床」……まぁそんなもんだ。
特に怪しい点はないようだ。しかし……トイレに行くまでは……
「と、永遠君! た、大変だ!」
「どうした! おっさん!」
「便所に……便所に……」
「っ!」
便所は、便器は洋式。ぼっとん、て、かんじ。しかし、う〇この回収機能、垂直パイプが無い……
1m位の深さの穴……その底のほうに……
”ぷるぷるぷるん……”
薄緑色のゼリーの状の物体が……プルプルしている。
……あれがリアル・スライムか! 顕微鏡でみたアメーバを硬くした? ような感じ。
蒟〇畑くらいか?
「スライム? かな……充さん?」
「うん……スライムっぽいな……」
うん。トイレだけに……
「充さん……お先にどうぞ……安全確認だ!」
……マイ・勇者よ……まぁここは勇気をだして……
「永遠君、じゃんけんにしない? じゃんけん」
「……よし、わかったフェアにいこう!」
「う、うん」
「さいしょはグーな?」
「おけ」
「3回?」
「……おけ!」
「「さぁ~いしょは、グーじゃんけんポイ!」」
……クソ! 次こそは!
「おじさん、感想よろ~」
……ふっ……三連敗さ。これぞ”勇者様”の御力か!
「なぁ、永遠君……上から、直接かけちゃっていいのかな? これ?」
「知らんて……いってみ? くくく……」
うっ! くっ! ……こ、こんな時に便意が! ……しかも特大だ!
「御池一等兵! これから便所で気張って参ります!」
びしぃ>。
「うむ! 健闘を祈る!」
”げらげらげら……”
笑うなよ~
……
……エコだな! 究極のエコだ! う〇こも、し〇こも瞬間吸収・分解? 臭いも粒子レベルで取るのか全く臭くない! 衛生的にGOOD! だ。これ以上ない! 捕獲できれば連れていきたいくらいだ。
ただ……出てこないよな……穴から……。
異世界便所の感想でした。
「それにしても、この国は陰湿だなぁ。水晶触ってから解放されたのか、いろいろ感じることがあるよ。毒とかは”鑑定”があるから防げるけど、あとは”呪い””暗殺””隷属化”あたりかぁ。”色仕掛け”はまぁ、気の持ちようってことで……おじさん引っかかるなよw」
感覚が鋭敏になってるのか? おいらは変わらんな?
だが! あのクソジジィの悪意だけはビンビン感じるがな!
「ふっ。自信ないぜw色仕掛け……呪いとかの対処は?」
「おじさん……まぁ、”呪い”くらいは平気だな。勇者だぜ俺。”暗殺”も気をつけるしかないなぁ。俺から離れるなよ」
「……一緒に寝てね」
「あ。やっぱメイドさんとこいこうかなぁ」
「悪い。ボケた。で”隷属化”っていうのはなんぞ?」
「異世界転移ものの小説なんかじゃ呪具、首輪、ブレスレットなんか付けられるみたいだな。”呪い”の一種だから俺には効かないけど……奴隷になるぞ? おじさんは要注意な。色仕掛けにかかるなよ~マジで」
「善処します。ところで、これからだけど。どう行動したらいいとおもう?」
「そうだなぁ~。出ていくことは確定!」
「おいおい~そんなこと言っちゃ……」
「大丈夫、空間魔法と結界魔法使ってるから、防音安心。無問題」
「え? 魔法? 空間魔法? そんなのさっきなかったよね?」
「無限収納いじってたら生えたw」
「……さすがやねぇ」
……勇者よぉ。
「で、午前中はできれば剣とかの稽古かな。あのジジィも文句はいわないだろ。おじさんも強くならんとね。skill生えるかもよ?」
「あ、おいらもskill生えたんだ。読心術だけど」
「……使った? 俺に?」
睨まれちまったよぉ……心配無用!
「いんや。トワ君には使ってないよ。使ってたら、じゃんけん負けて、便所一番乗りしてないって……」
ジジィには使ったがな!
「……正解。俺には使うなよ~。信用してっかあな~。今なら感じるかも」
惚れてまうよ……
「ああ……おいらも信用してるよ」
よかった使わんで。あの時の自分をほめたい。
「で、午後は情報収集。自由に動けるようなら城内把握しつつ、情報収集ね。で、金目のものも収納にGETだぜ!」
「はぁ? 情報収集はわかるけど窃盗?」
「慰謝料、慰謝料。俺たち文無しだぜ? 脱走した後大変だぞ?」
「納得。ばれないように細々とだね」
「だね。がんばって生き抜こうぜ! おじさん!」
そういって右手をだす、マイ・勇者。
「ああ。生き抜こう。よろしく頼む……」
おいらの目からなにか熱いものが……かっこいいなぁ。
……
さて、何が出来るか……持ち物チェックでもしようか。持っているものを出す。
……ビジネスバックどこ行った? あっちに置いてきたのかな?
財布。名刺入れ、手帳、ボールペン、シャープペン、スマホ、my箸(銀製のオーダーメイド。カンフー映画に出てきそうな箸を元に友人の宝飾屋に作ってもらったんだぁ。熱伝導率舐めてたぜ! ラーメン食えないの。馬鹿にされましたが……なにか?)、電卓……ろくなのないな。
まぁ、現代日本! 刃物なんか持ってたら速攻、捕まるし。……こっちの世界じゃ、使えないな。”収納”にいれておくか。
トワ君もお店を広げてる。
「ろくなのねーな。やっぱ、現地調達か……」
おもむろに壁に近づき、飾ってあった剣を手にして……
「ゲットだぜ!」
”収納”に……
「バレるよマジで……速攻で」
「冗談冗談、出ていくときにもらおう」
と、”収納”からだす。
……もらうのは確定らしい。
「おじさんのほう、使えるのあった?」
「これくらい?」
と自慢の箸を見せる。
「おお! かっこいいな! 金属製の箸? 俺も作ってもらおう! ドワーフいるかな!」
キラキラした目で箸をみるトワ君。見る目のある青年ではないか!
……一応の行動方針が決まったな。油断せんようにしないと。メイド・ダメ・ゼッタイ……
その日の夕食は『勇者召喚成功パーティ』? 王族主催の立食パーティが行われた。
王の言とは逆に、国の困窮具合が全く感じられない華美なものであった。
食事はどれもこれも薄味。肉もあんまりうまくないな。薄味のくせに妙に脂っこい……すべての料理がラードで処理してるのでは? って、レベルだ……豚にもなるな。王よ。
だが、ワインは若いが上質だった。ソムリエじゃないから表現できないけど
……今まででの人生の中でも上位かな?
パーティ中何度かトワ君はメイドさんに拉致られそうになっていた。
代わる代わるタイプの違う女の子が来る……何という事でしょう! が無事に脱出できたようだ……羨ましくなんかないやい! てか、虎視眈々と狙ってるんだな……おいらの命……。そんなに邪魔?
パーティを中座。おいら達、見世物じゃぁない!
部屋に戻ると。外から開けられないようにドアノブに飾ってあった剣を結び付けて早々に寝た。
風呂に入りたかったがしょうがないな。
……その日の夢でスライムに襲われたのは言うまでもない。トワ君も同じような夢だったって。それだけトイレのスライム君は笑劇……いや、衝撃だった。
今朝も早速世話になろうか……。
ちなみに、お風呂事情はというと。風呂はおいらたちは使用人のを使えとのこと。ちゃんと湯船のある大浴場だったよ。しかもサウナ完備の毎日営業。朝と夜に火を入れるみたいだ。
お城の使用人だから綺麗にってことで一日おき、順番だそうだが……おいら達は毎日入ることにした。
日本人だもの。もちろん石鹸なんてものはない、シャンプー? なにそれ? なんか石? や、木の棒? でこする。案外気持ち良いものだ。
トワ君も気に入ったようだ
……ぅうん! で、でかいな、トワ君……勇者様が降臨されていたよ。
「はぁ~。おじさん。良かったなぁ、風呂はまともで……」
「ふぃいいぃ……まあね。スライムに埋まるとか想像してたよ……でも王城だからかもよ? 一般ではこうはいかないと思うよ」
「……なるほど。銭湯あればいいなぁ~」
カポン~こんな感じだ。
使用人の方に聞いたところ、村とかでは主にサウナ……蒸し風呂で垢をこそぎ落とすようだ。江戸時代風? 川での水浴びもあるしね。
大きな町なんかは宿にも風呂完備ってのが結構あるって。薪式、魔道具、魔法……方法は色々あるようだ。ちなみに、ここはお湯を沸かす魔道具だそうだ。
どのみち、風呂があるのはありがたい!
本日もありがとうございます。またのご来店をお待ちしてます~