救出作戦!シペラへ!魔力。
いらっしゃいませ!成人の皆さま。おめでとうございます。良い思い出の日となりますように。
トワ君と合流。
「で、どうだった?」
「ああ。いただいてきた。誰にも見られていないと思う。お宝も少々…ね。」
…おいおい。窃盗の称号なんかつけないでくれよ…
「今ヴァートリーの支店で聞いたのだが…ギルドも信用ならないようだ…すっかり忘れてたよ…ナディアや、シアさんたちのこと…」
「あ!」
「街に入るのにも身分書の提示がいるだろう?これからは、”不法侵入”にする。」
「一回国境まで戻るか?」
「そうだな…チラ見しただけだし…変な動きもなかったから、大丈夫とは思うが…」
「少し見張ってみるか…」
…おいおい…なんじゃ、そのワクワク顔は!スパイ戦?
ギルドの裏口の見える場所でティータイム。ん?あの受付か…冒険者風の男に書状を渡しているな…
「まさかな…」
「冒険者、拉致ってくるわ。待ってて」
…おいおい。
暫くすると、トワ君が、件の冒険者を担いできた。
起きる前に、目隠しをし、冒険者の懐を探る。あった。書状に目を通す…
「げ…よくもまぁ…ナンバーまで…」
人相のみならず、ギルド証のナンバーまで…。連れの人数人相も。服などの特徴も。ま、真っ青だし。
「目立つよなぁ…油断してたわ。」
「すげえな…あの短時間で…プロだなぁ。身元がばれてるのはおっさんだけか…やるか?」
「いや、特に違法ってことでもないしなぁ。情報共有はどこでもやってると思うよ。」
「そうか…商人だもんなぁ。その元締めみたいなものだし?情報に重きを置くかぁ。」
「そうだね。これってギルド専用の紙…か…数字のとこ消せないかな?”洗浄”よっしゃ。後は…適当に…人数とナンバーを改ざん…”蒼”か…白装束の白にしとくか…ミッツ…モッコにしとくか。」
「ぷぷぷぷぷ」
「他の通信方法使われたらアウトだが、時間稼ぎにはなるだろう。」
書状を哀れな冒険者殿の懐にもどす。
「おい。起きろ!」”げし”…すまんね。
「はっ!」
「目隠し取るなよ…死ぬぞ…金目の物だせ…さっき商業ギルドから出て来ただろう…」
トワ君に合図。殺気スイッチオン!
「ひぃ!い、依頼は、書状を王都に届けることだ…書状しかない。」
「じゃぁそいつを貰おうか…動くなよ。」
「た、頼む…不履行で奴隷になっちまう!見逃してくれ!頼むよぉお!」
「じゃ、金を貰おうか…依頼料あるだろう?」
「終了後決済なんだ!」
「ちっ、旅費もあるだろう?」
「な、は、端した金しかねぇ!こいつを見せれば、ギルドの宿舎なら泊めてくれるんだ!」
「はぁ?無い!無い!無い!で生きていけると思ってるんか?はぁ、仕方ないな…我らを見たんだ…死んでもらおうかな…」
「見てねぇ!聞いてねぇ!会ってねぇ!た、頼むよ…殺さないで!お願い…御願いしますぅ…」
「お前、本当に冒険者か?良いだろう…冒険者の…ヘンリーか?」
「な、なぜそれを…”鑑定”か?…ですか?」
「ふん。今日は気分が良いから見逃そう…5分そのままでいろよ…俺らを捕まえようなどと…」
合図を送り殺気スイッチオン!
「ひぃい!し、しねぇよ!頼む!頼む!誰とも会っていねぇ!」
足音をさせずに遠ざかる。その前に…小金貨一枚ポッケに。
殺気スイッチ、オンのまま…芸が細かいだろう…そして屋根の上から覗く…ホント悪いな…ヘンリー君!
「頼む…頼むよお…」
「ふぅ…悪いことしたな…」
「おっさん脅しすぎ。」
貴殿の殺気なのだが……
十分くらいしてからか、目隠しをずらし、懐の中の書状、財布を確認し、辺りを見回すヘンリー君。一目散に門の方へ走っていった。ヘンリー君!ほんと、悪かった!大義の為だ!…そっと手を合わす…
「さてと、俺たちも行こうか。」
{応!}
城外でアルスたちと合流。街中での情報共有をする。
「なるほど…」
「それでは正規に街には入らぬと?」
「ああ、先遣隊…を入れる。何らかの手掛かりがつかめたら作戦行動に移る…」
「情報収集が行えないのは痛いな…」
「復路であれば多少問題ないと思う。とにかく…まずシペラへ急そごう!」
{応!}
街道に沿って次の都市、ロリエスに着いたのは野営二泊した後だった。本来なら街に入って風呂でも入ってゆっくりしたいところだが…仕方あるまい…。
例のザックさんもいるかもしれない。涙を呑んで通過。
さらに野営にて二泊、城塞都市ウルマセラが見えてきた。農業国家セネシオラに接した交易都市でもある。雹とゼル殿が先遣隊として侵入。我々は待機だ…あら、マリウスも行くのか?
「だいぶ慣れたようだな。」
ストレッチをしている獣人たちに声をかける。
「はい、以前のような疲労は感じませんね。」
「だいぶ楽になりました。」
「それに、使徒様が言った通り…足に理想の筋肉が付きました。今まで以上に踏ん張りがきき、上体もぶれません。」
「そいつは良かった。」
皆、魔纏走行に慣れてきたようだ。そういや、ビルック辺りなら自力走行できそうだな…何気に皆を、”神眼”で見てみる。
…ん…ハセル?ハセルの魔力量がでかい…ゴリゴリ魔法剣士か?カイエンは…まぁお察しだな…今でも半分自力走行だ。種族特性…魔族の強さの秘密であろう。
「ミッツ様?」
「ん、あ。誰が最初に、自力でできるかなぁ~と思って。カイエンはまぁ、できてるな。後はもっと細かい制御が必要だな。」
「そうでしょうか…」
「手を。」
「はっ」
カイエンに魔力で干渉する
「な…」
「ほら、ついてこい。」
「ぬ、ぬ…ぬ」…
「とまぁこのような鍛錬をすると、魔力量も増えるし、操作も容易になる。」
「な、なるほど…」
「今のところ、ビルックがその域に達している。」
「なんと…」「ビルック様が…」
「まぁもっとも、”料理”にしか使わんだろうが。”魔纏”して食材採りに行くようになるかな?」
「お、お聞きしても?」
「ん?」
「で、この中には?」
みんなの視線が…
「それが、驚くことに…ハセルおいで。この子が魔力量が多い…驚きだ。伊達に爆食王じゃないな!」
膝の上に乗せる…でかくなったな…骨…太っと!
「俺?」
「「食事量に関係が?」」
先ずそこか!
「ないな。」
皆がっくり…。備蓄を食い尽くす気か?己らは。
「使徒様…」
「どれ、ハセル、修行に魔力操作も組み込むぞ!」
「おお!何だか知んないけど!」
「皆も今から魔力量増やすように瞑想などもするのが良いかもしれんな。体の切れなんかは良くなると思うぞ。」
「瞑想…ですか?メメ様たちがやっている?」
「座って寝てるんじゃないのか!」
おいおい。
「この格好…まぁ最初は、自由で、楽な体勢で、精神統一。腹式呼吸…腹へ吸い込み、ゆっくりと息をはき、ゆっくりと息を吸う…深呼吸な。後は自然にまかせる。精神、心の修行と共に…魔力の在り方を探る。と。難しいかな。まぁ、ただ座り、精神統一するだけでもいい。…ハセルは飯のことを完全に忘れるようにな。」
「え!ええぇ!飯のことのが、一番精神集中できるぞ?」
「まさか、それで…か?それなら、爆食王も伊達じゃないな…」
「ハセル様の食への執着…執念でしょうか?」
「ははははは。かもな。あ、それと、子供らに”様”付けは不要…まだ何もなしていない。おいらの子ってだけならなおのこと、人格が歪む。」
「し、しかし…」
「まぁ、ビルックはよくやってたようだから良いが…ほかの子はな。思い上がりのアホになっちまう。いいな?アルス。カイエンも。」
「…はっ…」
「はっ。しかし、私は執事ですので。」
「そう言うモノ?ま、皆にも徹底させてくれ」
「はい…」
そうこうしてるうちに、ゼル殿、雹が帰ってきた。
「どうだった?」
「特段不審な点は。不穏な施設なんかは見られませんでしたねぇ。」
とゼル殿
「残念ながら、魔石は無いようですな。…大した宝も…」
マリウスが続く。宝漁りに出たのか…
「大きな教会と孤児院があったよ。平和そうだったけど…」
と、何処か引っかかってる様子の雹。
「ん?何か引っかかるのか…」
「うん…少しね…何だろう?」
「…探ってみるかい?」
「良いの?空振りかもしれないよ?」
「いいさ。それでも。そうだな…コクヨウ、プラシオ…ゼル殿頼めるかい?」
「へぇ…はい。使徒様。」
「おいらたちは、シペラに行く…一週間から、10日くらいか。これは資金な。頼む。」
{応!}
「では、雹様、あちらで打ち合わせをしましょうかい。」
「ああ、ゼル殿、皆にも言ったが、子供らに”様”付けは不要!雹、コクヨウ、プラシオ。ぜル殿を師と仰ぎ、技術を盗め!」
「はい、父さん。」「はい!」父さん…」
「し、使徒様ぁ?」
「そういうことだ、子供らを預ける。手加減無用。」
「は、はいぃ!」
「何かあったら、逃げろ。生きてりゃ次があるってもんだ。正規に入るかどうかは話し合ってくれ。」
「いいのか?おっさん。」
「ああ。もう、独り立ちしても良いだろう…」
「…血涙が出そうだぞ?」
「子離れ、子離れ、子離れ…」
「なんだ、その呪文は…」
…うるさいわ!
まいど~!




