ヴァートリー商会 4
いらっしゃいませ!
「”悪魔”か…それにしても…あの見た目と…」
威圧…想定以上のもの…言われてみればセルなんかとは比べ物にならんな…
「ええ。一応、”大悪魔”だそうです。この世界、思った以上に根深く…古から存在していたのでしょう。ゼクス教自体歪な教義…私の世界から見ると、”悪魔の経典”とも思えるものですし。」
「悪魔の経典か…なるほどね。」
「ほかの神も多くいるようですし、この大陸の神だったのか、人族の守護神なのか…詳細は判りかねますね。他の大陸、まだ知られていない大陸もあるだろうし。」
”神”と”悪魔”か…対極にあるもの…いやむしろ…人というのは”悪魔”に近いのだろうか?”神”とは?大いなる存在?それが”神”…”善”、”悪”…誰に対して?…まぁ、解ったところでどうにもなるまい。話したところで狂人扱いだ。こういった書物…教会指定の禁書にあったが…まさか自分が思い悩むことになるとはな。一応聞いてみようか。
「ミッツ殿の見解は?」
こちらをチラリとみて頷く。
「お察しの通り。どうにもなりますまい。どこまで浸透してるかも判らないし。どう付き合うかでしょうね。存在は明らかなのですから。」
「そうですね。」
そうだな…そこに”居る”のだ。
「おじ様」
先ほどの”大悪魔”ルカと呼ばれていたな…
「ん?どした?ルカちゃん?」
「先方より会談の申し込みがあるわ。どうする?危害の心配はないと思うけど…セツナお姉様も呼ぶ?」
「できるの?」
「ええ。呼ぶわね。…アスタロトにも了承の返事しておくわ。」
「は~い~おじさま。ん?ここは?エルザ…んとこ?」
何もない空間から一人の少女が現れた?転移?この方がセツナ様か。なるほど可憐な、普通の少女だな。
「忙しいところ悪いね。」
「それはいいけど?何の用?」
「おいらの護衛をお願いしたいんだけど。」
「おっけ~お安い御用よ。…アスタロトでしょ?悪さしないと思うけど…ん?来たようね。」
…再び空間が割れ、銀髪の細身の美女が現れる。その後ろから、良く知る二人の男…
「ん?なんであんたが居るのよ…」
「あんたの信用がないからよ。」
「まぁ、いいわ。お初にお目にかかるわね。私がアスター商会の会頭…アスタロト…でいいわ。」
「貴女が…」
悪魔…悪魔王…”魔王”か
「いつもは部下のものが表に出ているわ。この者たちは…」
「ええ。よく存じております。セル…セラ…おっと。私はヴァートリーの会頭ジェルジュです。これは娘のエリザヴェート。とその秘書です。」
「よろしく。こちらの申し出を受けてくれてありがとう。」
「いえ…いろいろありまして…まだ混乱しています。」
「でしょうね。」
「あんた、なにしたのよ。」
「いや、はるか昔…われらの加護を求めてきた組織に、”人員”派遣契約を結んだだけ。うちや、悪魔の支配層と無駄に対立しない為…まぁ、調整役の派遣って感じね。見返りは”情報”ね。」
「ふ~ん。で?」
「そこのお嬢様と使徒様にばれちゃって、困った。ってこと。」
「おじさま?」
「おいらは無関係。知らないできたら…”悪魔”がいたってこと。あとは商会の問題。おいらは知らん。」
「ならいいわ。中断させて悪かったわね。」
「いえ。大丈夫よ。で、今後のお付き合いだけど…今まで通りでいいのかしら?もちろん、商売も含めて。」
「…ええ。どうこうなるものでもないですし。」
「人員…このものらはどうする?引き続き雇用でいいかしら?調整楽だし。ルカの言った件は周知させるわ。」
「ルカちゃん。何言ったの?」
「はい。お姉様、おじ様たちにかかわる、あの場所についてですわ。」
「そう?別にいいんじゃない?どうせ5年もすれば経済の中心よ。?」
「ほう?」
「アンタも乗る?」
「…ユートピア”健駄羅”大商業都市の再来…か。」
「ガンダーラ?」
「ええ。太古の大商業都市よ。その時代の”勇者”が興した商業国家。」
「本当にあったのですね…」「おとぎ話の?」
「ええ。今よりもはるかに進んでいたわ。魔法と科学の融合。多くの種類の魔道具も生まれたわ。今出回っている…ダンジョン産…これもガンダーラ産の物のコピーが多いのよ。それ以外はその残りカス。技術が失われたわ。」そんなことが…
「ユートピア…ガンダーラ…かぁ。おいらと同年代のヤツだったんだろうなぁ。国名は…天竺?」勇者の常識なのか?
「そんな感じね。そう、”使徒”様の同期なのねぇ。時間軸…どうなってるのかしらね。」
「どのように滅んだの?」
「確か…勇者亡き後、後継者争い、周辺国巻き込んでの抗争。大陸も割れるほどだったそうよ。”勇者の呪い”…これが何やらは不明。魔法なのか…魔道具なのか…契約なのか…ギフトなのか…はたまた、神罰なのか…魔の森に沈んだようだわ。」
「まぁ、良いわ。滅んじゃったんだし。で、どうする?」
「良いのかい!…”使徒”様の住処…今の”神”の大いなる加護があるわ…入るのは遠慮したいわね。商売についてならのるわよ~」
「算盤をシャカシャカすな!胡散臭い。」
そう言うと何やら取引が始まった。なんでも”勇者”様の世界の古いが実用性のある計算道具だそうだ。私も商売柄存在は知っていたし、取り扱ったこともあったが…使い方がはっきりしない。それにミッツ殿…商人顔負けの交渉術だな…
「おじさま、後でにしてくれない?」
「あ、悪い…どぞ。」
「じゃ、話し戻すわ。我らは入れないから、外部的に協力…まぁ、商売ね。あれ、ルカ、あんた平気なの?」
「…慣れたわ」
「へぇ?慣れるんだ。」
「もっとも。私のクリスタル,おじ様の収納の中だし?」
「そうだったわね…。ある意味”最強”ね。で、セル?セラだっけ?置いてくれる?」そうだった…
「了解した…お前たち今まで通り仕えてくれるか?」
「「はい」」
「良し、じゃ、仲直り。商人としてね。今後ともヨロシク!」アスタロト…真の”魔王”と握手…か…
「あ、ああ。」
「じゃ、ついでに…セツナんとこの鉱床。あんたのとこ乗るの?」
「ああ。そのつもりだ。聞いているだろう?」
「ええ。今回はうち7ね。」
「…仕方あるまい。それで。」
「そうだ。おいらも鉱床らしき場所見つけたんだけど。」
「5ね」「…うむ。」
「うちで調査するわ。」
「いえ、話はうちが先。6ね」エルザ?
「…次代さん?…ふふふ。まぁいいわ。ご祝儀ね。」
「俺。まだ引退しないが?」
「私から見れば瞬きみたいなもの。いいわよ。それで。」
「でも、ことごとくブロックしちゃまずくない?」
まぁ、心配もごもっとも。
「大丈夫ですよ。どうせ報告時点で金を出すものもいませんし。うちとアスター商会の連名であれば文句は出ないでしょう。」
「そそ。じゃ、そういうことで。後なんかある?」
「算盤。」「70」「55」…「62でお願いできない?」「ああ。それで頼むわ。」
「じゃ、でき次第、ここに納入するわ。追加は要相談ね。」
「おっけーまとめて注文するよ。」
「じゃ、セツナ、あんたはさっさと死になさいよ~」
「斬るわよ。あんたも還れば?何なら送ってあげるわよ?」
「「ふふふふふ…」」
笑い声とともに消えてしまった…
「じゃ、私も…」
「ちょい待ち。セツナっち。今どのへんで、何時戻るんだ?」
「まだ発掘作業中よ。おじいちゃんたち、もう夢中で…」
「あ、これもってけ。果物各種。」!あれが果実だと?
「ありがとう!一回切り上げて戻るわ。アツミもしんどそうだし。」
「それと、これ。ギルドで扱う?」
「でっかい砂金?”鑑定”…ミスリル…かぁ。これだけ?」
”ごとり”
木箱を一つ。見る限り、原石類のようだが?
「だいたいこれで半分。ちょこちょこ集まるかんじ?」
「ふ~ん。お爺ちゃんに聞いてみるわ。直に扱えたら…いい儲けね。じゃ。帰るわ。ルカちゃん座標ちょうだい。」
「はい!お姉様!いきますわよ。」
「じゃ、またねぇ~」
「ミッツ様…」
「まぁ。人外?の集会?」
「貴重な体験…なのでしょうな。」
「さて。どうでしょう。はたから見れば銀髪ねーちゃんと幼女2人。どこぞのお買い物?ってな場面ですね。ははは。」
「ですね…ん?セラ。お前がここにいちゃまずかろう?」
「はい…ぼちぼち戻りますよ。」
「心配をおかけしました。」
「まぁ、二人とも、今後もよろしく頼まぁ。」「「はい。」」
これで元にもどった?二人のことも良く知れたしな。無駄じゃないだろう。
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