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子供が増えました。

いらっしゃいませ~

 さぁ!マイホーム初のグッドモーニングだ!…意味不明。

 

 ちゃんと、外界、町と同じように”朝”が来る。遮蔽物がないかのように、寝室に朝日がさす。柔らかい光が頬に当たるのを感じる。心地よく起きることが出来た。

 横に目を向けると丸まって寝てる雹。そっと、頭を撫でる。

  「おはよう。父さん。」

 「ああ、おはよう。」

 今日は庭で型をなぞる修練を行う。

 忘れてた…地下草原計画…あとでコアに聞いてみよう。

 朝食後、出発だ!はやる気持ちを抑えて!

 

 教会に到着”コンコン”緊張するなぁ…ひっひっふ~。違うな…

  「はい、ミッツさんお久しぶりですね。雹君もちゃんとやってるようですね。」

 「依頼であちこち行ってまして、無沙汰してました。その後どうですか?」

  「おかげさまで、つつがなく」

 「それは良かった」

 

 院長室に案内される。

  「今日は…」

 「突然すいません。何とか目途がたったので、雹の妹たちを引き取ろうと思うのですが…もちろん、良い縁組や、職等が決まっていたら。」

  「どのような形で?」

 「養子にします。」

  「獣人ですよ?」

 「今更でしょう?ここだけの話、私この世界の人間ではありません。ですので全く違和感はないですね。」

  「そうですか…突然に帰るとか、消滅とか?」

  「と、父さん?」

 「解りません、が…いなくなっても生活が成り立つ目途が立ったってことで理解いただきたい。そうそう、噂程度は聞いてると思いますが…”家妖精の家”ってあるでしょう。そこを手にいれました。」

  「…そうですか」思案顔…

  「解りました。」

  「シスターこちらに連れてきますね。」

 「お願いします。」


 「まずはビルック。おはいりなさい。」

  「なんですか?シスター。あ!ミッツさん、トワさん、レッグの兄貴こんにちは!」

  「こちらに座りなさいな。ビルック、ミッツさんが養子に迎えたいと。あなたの気持ちは?」

  「は?い、いいんですか、僕みたいな無能でも…」

 「無能じゃないよ。料理上手だろ。おいら、コホン、私、これでも食堂やる夢あるんだよ?それに家で料理してもらえば美味しいご飯も食べられる。どう?無理にと…」

  「行きたいです!父さんになってくれるの?」

 ぷるぷる子豚ちゃん。泣かないで。

 「ああ、内緒にしてたけど、レッグ…雹はもう息子だ。」

  「え!」

 こくりと頷く雹。

  「父さんたちと準備してたんだ。家が安く買えて予定が大分早まったんだ。」

 「来てくれるかい?」

  「うん。…とうさん?」…

  「では、次はふたりね。呼んできて。」

  「はい」

 

 「「あ!パパだぁ!」」

 おおぅ、子猫ちゃん。

 「元気してたか?」わちゃわちゃ。

  「ルル、メメ、聞いて。今日は、ミッツさんはあなた達の本当のパパになってくれるっておっしゃってるの。どう?」

  「本当の?」「パパ?」

  「一緒に住むの?」

  「「パパと行く」」

 おおう、可愛いのぉ。

  「「でも…」」

 「ん?友達出来たか?ここにはまた来れるぞ?」

  「違うの…」

  「キキもパパにパパになってもらいたいって?」

 パパパパ?ん?キキ?

  「ここに、キキという年も同じ黒猫人族がいるんですよ。姉妹のようにいつも一緒にいるんです。この子たち」

 「…じゃ、その子も引き取ることは…」

  「「パパ!」」

  「い、一回も会ってないのにですか?」

 「ですよね…でもこの子たちも数回程度です。縁ですから、こういうのは。」

  「初めてお会いした時と変わりませんね…わかりました。キキつれてきて。」

  「はい」…


 「なぁに。あ、ルルちゃんのパパだ!」

 年の頃同じくらいか?ちっこい黒猫ちゃんだ。

  「キキ。この方はミッツさんというの。キキのお父さんになってくれるっておっしゃてるわ」

  「キキのパパになってくれるの?」

 「うん。みんなでおうちに行こう。」

 クロネコちゃんわんわん泣いちゃった。つられて猫姉妹も大泣き。おじさんも泣きそう…。

 「”ずびぃ”申請はこっちでやっておきます。今後も顔を出すのをお許しください。これからもお付き合いしていただけると助かります。」

  「ええ、こちらこそ。そうそう、お金返さないと」

 「いえ、そのままで。この子たちの”最初の家””家族”なんですから。これからも遠慮なくおっしゃってください。大物の解体もお願いしたいですし。」

  「シスター今までありがとう。兄妹も。俺も稼げるようになったから。」

 そういって小袋をシスターに渡す。雹。

  「こ、こんなに…無理しなくとも 「大丈夫だよ。弟妹たちがいるんだがんばるよ。俺」 …雹君」

 シスター達号泣。おいらも…

 

 「また来ますね。さぁ、帰ろうか!」

 拝まれて、帰路に就く。やべ、また神殿に寄るの忘れたよ…

 

 「どうよ?トワ君?」

 「なんだ?」

 「兄弟大増殖だ!」

 「…バイキンみたいに言うな!…まぁ、がんばって食わせんとなぁー」

 子猫ちゃん達は

  「「「トワ兄」」」ってまとわりついてる。いいなぁ…

 雹とビルックはなにやら談笑中…おいら早くも家庭内孤立…?

 「なぁ、おっさん?どした?このあとは?」

 うっさいわ!

 「…マシューさんとこだな。縁談申請丸投げじゃ!」

 「おっけ~みんなもう少し歩くぞ?ん、屋台のジュースの飲むか?」

  「「「うんトワ兄」」」

 こういう気配りが、モテるんだろうなぁ。このリア充め!

 

 …。

 

 「……で、一体、私にどうしろと?」

 子供たちの顔をグルりと見回すマシュー女史。

 「ええ。養子縁組申請一括でお願いしたいんですが…出来れば立会人も」

 「まったく、聞いてたより一人、多くない?」

 「気のせいでは?」

 「…」

 ちっ!覚えてるのね。

 「勢いで?」

 「勢いで養子にね。人頭税とか考えてるのかしら?」

 「!人頭税!」

 「この街に住むんでしょ?」

 「ふ、ふん!無問題!稼ぐさ!」

 「…ちょいヌケてるのよねぇ~ミッツさんは…高いわよ…」

 「うっ…おいくら万円?」

 「お金じゃぁねぇ…書類整理10回でどう?あ、手数料は別途徴収ね。」

 「…承りました…」

 「商談成立ね。」

 握手…悪手だったか?なんてね。頼るとこここだけだもんな。

 「そうそう。お国の研究機関に通達しといたから、追って調査依頼がくるとおもうわ。よろしくね。」

 「へぃ~~~~」

 「もう…そうそう、エキドレアいかない?今年のワインの出来がいいみたいなの。ここで売りたいから買ってきてくれない?」

 「へぇーーい。って依頼?」

 「もち。大型依頼よ。購入代金はギルド内で決済してるから、運搬だけ。”収納”だから破損もないでしょう?鮮度も落ちないんだったら色もたんまりよ!」

 「…いい依頼流してくれて感謝です。」

 「はぁ?なんか勘違いしてない?贔屓なんかしてないわよ。純粋に商売よ。馬鹿にしないで。ミッツさんたちは今までも早く正確に、依頼熟してきたじゃない。伝令馬より早いなんて…ふざけてるわ。

 今回の依頼もたんまり稼ぐ予定。知ってらして?ワイン運搬って大変なのよ。やれ盗賊だ、悪路だ、樽が割れただ、漏れただ。気温が高くて劣化するわ、攪拌されて滓が舞うわ。今回、完璧に運ばれたらぐふふな展開よ。」

 「おいら達の”収納”がバレちゃうんじゃ?」

 「…トップは知ってるわ。最初の守秘義務内ね。荷渡しも仲介業ってことで話はつけるし。一般職員、外部に漏れる心配はいらないわ。」

 さいですか。これだけお膳立てされてたらやるっきゃないわな。

 「で、普通に行って馬車で何日ですか?」

 「馬車ならひと月、大抵向こうに馬車とか用意させるから、普通の馬で10日くらいかな、で、帰りが、一月半~二月ね。」

 「そんなに…」

 「わかるでしょ?大金が動かせるのも。早く帰ってきたら人件費、警備費そのまま上げてもいいくらいよ。それだけでも金貨数千枚よ?」

  「す…数千?」

 雹君びっくりだよね

 「雹、結構な数の馬車、キャラバンだ。その荷車にそれぞれ、馬、御者、見張り、護衛が付くんだ。野営もするだろうし、街では2~3日の休憩も挟む。延べ人数にしたらすごい数だ。それぞれに賃金がかかる。馬車が軋めば樽も破損する。大変な行程なんだよ。」

 「そうミッツさんの言う通り。君たちなら”収納”にしまって、短時間で駆け抜ける。下手したら往復20日で帰ってくるかもしれないし。しかも3人で。差が解るでしょう?

 おまけにロスもなく品質が特級なら儲け放題よ。物によっては瓶詰して…ぐふふふ…これで稼げなかったら商人やめた方がいいわね。」

  「なるほど…」

 そう。勉強、勉強。

 「じゃぁさ、マジックバッグは?」

 「トワ君の言う通り、使われる場合もあるわ。高級品にね。それでも襲われて奪われたら大赤字…容量の大きい有用なバッグ程、高価ですもの。もちろん、盗賊連中も狙って来るわ。」

 「ふ~ん…上手く行かないなぁ。」

 「そこで上手く行きそうなのが貴方達…って訳。」

 「なるほどねぇ~。あ、マシューさん悪いけど茶菓子とジュース追加してくんない?おチビが退屈だ。それと、”卸”で俺も買えるように手配してくんない?そうしてくれれば行くよ。」

 「…トワ君商売?私のライバルになるの?ふふふ」

 キラリ!怖えーよ

 「いや違う違う、2~30樽くらい?自家消費用とドワーフのおっさんとの飲み会用だよ。」

 「…ドワーフ?まさか?…トワ君達ってブロール師と知り合い?」

 「ブロール…? 「ツルッパの…」 ああ、禿げてるおっさんか!エルザさんの紹介で知り合った。グローヴィンさんもだぞ?飲み友だ。なんで?」

 「また、ヴァ―トリー商会か!やっぱり雹君のベルト、本物なのね…グラディアシリーズっていってブロール師のお手製、高級ブランドなのよ…うちでも取り扱い無いわ。気に入らない人には売らないって有名よ。ベルト一本でいくらするか…」

 へぇ…ブランドかぁ…やっぱりあるのだな。

  「これ、ブロールさんにもらったんです。当時お金なくって大きめのズボンをはいてたので。」

 雹…

 「そうぅ。大事になさいね…」

 「じゃぁ、俺達の剣帯もブロールさんの手の物だな。」

 「良いわねぇ売らない?」

 「売らないよ。今度、共同開発でバッグ作ってもらうんだ。あ!おっさん!一週間すぎてるぞ!いかないと。」

 「バッグ?、共同開発?いいなぁ~うちで売らせてよぉ」

 「トワ君、マシューさん壊れちゃったよ?」

 「…っと、じゃぁ、運搬のほうは受けてくれるのね?」

 「はい。承ります。いつまでに向こうに?」

 「そうね…10日後までいける?」

 「馬と競争ですか…まぁ、馬みたいに休憩そんなにしないから、行けると思います。」

 「…じゃ、アヌヴィアト発、エキドレア酒類倉庫積み込み。アヌヴィアト酒類倉庫荷下ろし。数量大樽100できれば…200でお願いするわ。決済は、品質等を加味して算出。前金5000000Kで。どう?」

 「はい。承りました。そうだ!マシューさん醤油、味噌、イネって手に入ります?」

 「…異世界人”黒髪”セットね…今は行商の時期ではないのでしばらく先になるけどいい?」

 …”金髪”セットはチェインソーとゾンビか?

 「行くってのは?」

 「行っても売ってくれないわよ」

 「え?」

 「相手エルフだし。余剰分を流すという商売だから。相手待ちになるのよ。でも、”勇者と明かすのなら。その後が面倒よぉ。”勇者信奉”すごいし。エルフって異世界文化大好き勇者マニアだから。」

 「…しばらく我慢ですね…」

 「うん?おっさん。エルフでハーレムできるかもよ?行ってみる?」

 「いや…勇者はトワ君だろうに?おいら、また命狙われるかも…」

 「”文化”なら、おっさんの方が適任だろうに?」

 「あり得るわね。”勇者様”なら受け入れられると思うけど…”エルフ至上主義”他の種族なんか、これっぽっちも気にしない人たちですし?エルフ以外の人種も奴隷としてくらいしか見てないわ。」

 

 …この国以上の人種差別?まぁ、設定だと長生きで、魔法も操り…高飛車ってのが鉄板だものなぁ。はぁ。その、勇者マニアのおかげで、コメやら、味噌、醤油があるのだろうなぁ。模倣という意味で。

 当分良いわな…


 大口依頼も受け、子供たちの話も済んだ。おねむのおチビ達をそれぞれ装備して帰路につく。

 さぁ、我が家だ。ルルの頭を撫でる…ふふふ。今日から皆、家族だ。

本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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