ニャンコの性能とやらを見せてもらおう!1
いらっしゃいませ!
ちょっとゴタゴタしたので大掛かりな狩は中止。周辺散策とした。
ケットシー達も何やら一生懸命拾ってるようだが…ガラクタ?
ケットシーの狩人が兎を仕留めたり、農夫が薬草や食用の草を取ってきたりと…村の様子はこんな感じなんだろうなぁ。村の縮図のようで見ていて飽きない。
遠くから3人のケットシーが走って…いや。逃げてくる?
「トワ君!ハセル!」
「「応!」」
ケットシーたちをデカいヘビが追いかけてきた。体長10m近く…まんま、コブラだ!
「毒持ちだ!気をつけろ!吐くかもわからん!」
{応!}
ハセルの顔に向けて、毒ブレス!サイドステップで躱し一撃!鎌首をもたげてるせいか、衝撃を上手く吸収したようだ。斬撃のダメージは浅い。
「”充填”!ブレスに気をつけろ!毒よ!消え去れ!”解毒”」
「ああ…」
ん?リリルか?危ないぞ。下がらせるか。
「この!へび!!!」
ハセルが地面に接してる胴の部分に切り下す。半ばまで断つが、まだまだ動く。
「硬たぁ!」
「よけろ!ハセ!」
「っと!」
食いつきをかわす…にしてもデカいな…太さも1.5lのペットボトルより遥かに太い…
「アイスフィールド!」
ヘビを中心に直径5mの範囲に冷気が満ちる…しょぼい…ええい!ままよ!
「アイスコート!」
ヘビの表面が薄っすら白くなり、動きが鈍る。
「ナイス!おっさん!ちゃーんす!せや!」
アッパーのように下方より剣を振り上げる。首?を半ば断つトワ君の剣撃!”びしゅ!”
「もらいー!」
「あ!」
ハセルの横なぎが、トワ君の斬撃の跡を寸分狂わずになぞる”ずひゅん!”完全に首を斬り飛ばす!出血量は少ないが…にしても良く動くなぁ…首なしの胴体がウネウネと…
「ちっ。美味しいところハセルにとられたぜ」
「ふふふ~ん!」
「お疲れ様ぁ~”解毒”…”洗浄”具合はどうだ?ハセル?…”鑑定”…大丈夫そうだな。食えるのかこれ?前のは美味かったが…」
「食うニャ!」「食うにゃ!」「食うニャ!」
「し、し…」
…し?死?
「ど、どうした?リリルちゃん?」
おいらに死ねと?
「し、しょーーー!凄い!凄い!ま、まほー!」
「どう、どう、落ち着け。」
「ふ、ふー。師匠すごいです!無詠唱の高度魔法の数々…ああ…ついてきて正解だった…」
「教えられんぞ?」
「…でした…それでも!」
「おじ様、プロセス…考え方を教えてあげればいいのよ。化学、科学とか。」
「ふ~ん…解るか!」
「…小娘早まったんじゃない?」
「…そんなことはありません…多分…きっと。」
「今からでも遅くないぞ?」
「ついて行きます!」
「はいはい。結構頑固ねぇ。」
ケットシー達が飛ばされたコブラの頭辺りに集まっている…「ニャー!」「ニャ!」何やら騒がしい…
「…みっつニャ。」
「ん?」
「噛まれたニャ…死ぬニャ…」
がっくし。
「何やってんだよぉ…長…」
長が来てからテンプレ、フラグの全てを回収してくれる…希有な存在だ。助けねば…くす。
にしても…本当に何やってんのよ…。斬り飛ばした頭に噛まれるなんて…
「どれ…トワ君ここ押さえて。」
「おう!」
「死にたく無いニャ…」
「助かるにゃ。動くにゃ。」
トワ君…ケットシー語?
「解ったニャ…」
「うーん…人族と同じ…か?…”鑑定”…”解毒!”」
牙の跡からドロリと黄色い液体が出てきた。これが毒か?
「”洗浄”…もう一回な。”解毒”…”洗浄”と。これでいいべ。」
「あ!ありがとうニャ!みっつニャ!」
「トワ君、コブラの頭仕舞っておいて…」
「ああ…あ!」
「この!この!噛んだニャァ!このニャ!とニャ!”ぷす!”あ!…うニャ!」
コブラ頭に八つ当たり中の長…”ぷすぅ”?
「おっさん…」
長の足の甲にぶっすり牙が刺さっている…
「みっつニャ…わし、死にそうニャ…」
「はいはい…全く…先仕舞って。」
「…おう…長…」
「しょうがないなぁ。トワ君は蛇の回収だから、リリルちゃん、ここんとこ押さえておいて」
「はい。でも”師匠”なんで、ここを押さえるんですか?」
「ここに大きな血管がある。少しでも毒が回るのを防ぐためだ。」
「魔法で間に合うのでは?」
「心臓に到達したら心臓を破壊する毒なら間に合うまい?血管にだって良くないだろう?」
「あ、そうですね…すいません。」
「いや、疑問に思ったら聞いてくれ。魔法自体は教えられんが…そういった予備知識は大切だ。」
「はい!」
「み、みっつニャ…早く魔法ニャ…死ぬニャ…」
「長も少しはコリなよ…”解毒”」
…やれやれだよ…。
その夜はヘビパだ。皮が臭いので剥ぐ。蛇は簡単に剥げるから良い。
げぇ…骨が多すぎ…思った以上に食うところが無い…と思ったけど…ハセル達やケットシー族の獣人の皆さんはカリカリに焼いて、骨ごとバリバリ食ってたよ…。
試したけど…直火焼きで収縮した筋肉、太い背骨、肋骨と細かい骨…味は悪くない。臭みも無い。…。
が、食えんぞ!硬い!火鶏の燻製に通じるものがあるな…人族は野菜スープとパン。ソーセージを焼く。ハセルたちや、長も来たので、結局大量に。皆自分で焼いていたから良いけどね。10mのコブラが皆の腹に収まった。凄いな…皮はセツナっちに売りつけよう。
夜はリリルちゃんに一台馬車を進呈。ケットシー達も一台。うちの一家で一台。”洗浄”してからお休みだ。リリルちゃんに”洗浄”を教えてくれと言われたが…当分見学とした。
夜行性と豪語していたケットシー一族…皆爆睡だ…よくもまぁ、生きてこれたな…。おいら達を信頼してくれているからか?
腹を上に向けて爆睡する息子たちを見る…ふふふ。一杯飲んべ。
「あら、おじ様。幸せそうね。」
「ああ。」
「また大所帯になったわねぇ…」
「だね。まぁ大丈夫だろうさ。」
ワインをグラスに注ぐ…
「飲む?」
「ええ。」
「俺にもくれ」
「起きてたん?いいよ。飲もう。」
「で、おっさん、先ずは、あの子、リリルだっけか?どうよ?」
「おいらの目じゃ異状なし。」
「私も。」
「おっさんたちの目を抜けてくるならば…神クラスになるな…なら普通の子だろうな。大丈夫だろう。」
「ええ。普通の娘だと思うわ。」
「それで?」
「ああ、ケットシー達だが…獣人達と一緒で良いのか?」
「良いんじゃね?魔の森もアルス達が監視してるし。採取も出来るだろう?おいらたちよりケットシーについても知ってるだろうし?最初に相談してみよう。」
「そうだな…どういった位置づけかもわかんないし。」
「長もどういうとこに住みたいか希望もあるだろうしな。」
「あ!リリル何処に住まわす?」
「…居住区で良いだろう?普段は先生の助手でいいべ。」
「そうだな…」
「話はお終い?飲みましょうよ」
「ああ。」「乾杯!」
「それにしても、長…テンプレみな持ってっちゃうな。おっさん」
「いや、あそこまでとは…わざとやってるとしか…」
「そんなことないだろ?下手したら死んじまうぞ。」
「だな…コブラ二連撃だものな…蜂ならショック死だ。」
「コブラでも確定だろうが!」
「そだな…神も喜んでくれると良いけどね。」
「案外楽しんでるかもよ。思わぬ伏兵って。」
”こんこん”
「ん?リリルちゃんか?はい?」
「みっつニャン、とわニャン。ワシも一杯混ぜてニャ。」
「くぷぷ…ここで長か!」
伏兵来襲!
「ははは。どうぞ。どうぞ。」
「うニャン!」
つまみを出して一杯。
長は話も巧みで、ケットシーの常識やら、暮らしを面白おかしく語ってくれた。チョットした喜劇だな。最後は帰るのも面倒と道具入れの木箱にすっぽり入り込んで寝てしまった。
やっぱり狭いところが良いようだ。
本日もお付き合いありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




