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行こう。鹿角さん!

いらっしゃい!

 落ち着いたであろう頃合いを計り、食事に誘う。草食性が強いようで、野菜類が好評だ。こんな事件の後だ。生鮮野菜大放出だ。

 ハセル…肉の分け前が減らないってホッとすんなよ…ちゃんと肉食わせてんだろうが…雪も…。

 食後軽く談笑。子供たちは馴染みが速い…一緒に丸まって寝ている。

 

 「明日から走ります。おいらが魔力でアシストするので幾分か楽かと。」

  「お世話になります。」

 「で、エイルクのおじさん、今回の襲撃犯に心当たりは?」

  「…人族が我々の存在を知れば…」

 「くそだな。でも、この国は人権認めてんだろう。立派な殺人じゃん。」

 「そうだな。が、残念ながら”盗賊”にはそんな常識は効かん」

 「あ!…盗賊だな…襲撃犯じゃなくて…盗賊だ。」

 「そういう括りになってしまうんだよ。」

 「そうか…この辺りに盗賊のアジトない?」

  「残念ながら…存じません…」

 「クソ!」

 「落ち着けって。トワ君。」

 まぁ、気持ちはわからんでもないが。

 「そうだ!マリウス!おい!」

 「あのエセ執事殿はリタイヤ中だって…」

 神様に逆らって半身吹き飛ばされたそうだし…

 「そうだった…ったく、肝心な時に…役に立たないな!アイツは!減俸だ!」

 「だから、落ち着けって。どう、どう。」

 「馬じゃぁないんだが?…そうだな。焦ったって仕方ないか。」

 「角…売るんだろう?帰ったらマシューさんとエルザさんに調査依頼しようか。この時期にたくさんの角を卸した商会も同罪だ…報いを受けてもらおう。犯人自供してもらってね」

 「…いいな。それ。それまで我慢だね。」

 「ああ。」

  「み、ミッツ様?」

 「こっちの話。さぁ、朝も早い。寝よう。」

 「そうだな。子供たちは…このままでいいか…」

 「掛け布団かけてやればいいだろうさ。」

 「じゃぁ、おやすみ。」

 「お休み…せめて…」

 せめて…良い夢を…

 

 …ふぅ。今日は結構魔力使ったなぁ。ゆっくり休ませてもらおう…

 夜中…夢の中?件の神様登場… 

  <おい~。死ぬ気か?魔力の使い過ぎだぞ。> 

 あれ?夢でも説教か?ヒンドゥの神のようにも見える…あ、経典みてねぇーな。そういや。 

  <まったく。お前っちゅうヤツやつは…> 

 お初にお目にかかります…昔マレーシアで買ったヴィシュヌ神の木像に似ていますね… 

  <そうか?お前の世界ではシヴァ神とか呼ばれることもあるが…まぁいろいろ呼ばれるな。> 

 なんとまぁ…破壊神様でおられますか… 

  <失敬な。…まぁ、破壊はライフワークだが?> 

 ライフワークかい!し、失礼しました。思わず突っ込んじゃった。テヘ。 

  <まぁいい、破壊は得意だが、創造は苦手だからほどほどにな!> 

 は、はい。心配おかけします。 

  <ふん。目が覚めたら覚えていないだろうが…達者でな。存分に俺を楽しませるがいい> 

 ははぁーー!善処します。で何の御用で?ご忠告だけでしょうか? 

  <うむ?だよ。> 

 …おやすみなさい。

 

 …なにやら物騒な夢を…”ぴこん!”って覚えてるがな…鮮明に。

 忘れるんじゃなかったんかい…って、それ自体、只の夢、おいらの願望かもしれんし?まぁ、いいや。マイゴットの余興を提供できるようにがんばろう。

 暇持て余して”天罰”連発されても困るからなぁ。

 

 「おはよう、カイエンすまなかったな。夜警任せてしまって…」

  「いえ。トワ様、雹様も替わっていただいたので。フウガも良く頑張っておりました。少しでも休ませてもらいなさい。」

  「いえ、大丈夫でさぁ。スタミナだけは自身があります。」

 「徹夜したのか?少し寝ろよ。」

  「余裕ですぜ。2~3日寝なくても大丈夫なんでさぁ。種族特性と言いますか…」

 熊さんの冬眠か!

  「それに、奴らが…襲撃犯が戻って来るやもしれんと思うとのんびり寝てられなかったんで。」

 「そうか…ご苦労だったな。フウガ」

  「何よりの励ましですよ。」

 

 …トワ君たちは並んで型を修めている…ん?昨日の重体だった子が一生懸命ナイフを振っている。

 「おはよう。坊主も練習か?体の調子はどうよ?」

  「お、おはようございます。ミッツ様!昨日は助けていただきありがとうございました!調子はすごくいいです!…ぼ、僕も強くなりたいんです!し、鹿角族は、武器を取るより逃げろ。と教えられます…それじゃ、何にもならないんです!皆!みんな!」

 「解かった。解かった。落ち着いて。修練に加わりなさい。名は?」

  「…ここに置いていきます…新しい名を…ください!」

 「わかった…ヴォルト!君は今日からヴォルトだ。電気…雷を表す。逃げ足を立ち向かう力に。」

  「ありがとうございます!」

 「ライオットとダブるぞ。」

 あ…

 「…ぶ、武器も持ったことないだろう?ドワーフの職人に会ったら聞いてみようか…」

 「流したな…」

 ほっとけ。

 「いや、その突進力…これを使ってみなさい」

 ”収納”から木製柄の槍を出す。

  「槍…」

 「君に合うと思うぞ。突いて突いて突きまくれ!」

  「はい!」

 

 …良い筋してんな…まだ触りしか教えてないぞ?お…今のなんか穂先見えんぞ…

 「おっさん、もう抜かされてんぞ?たった一日で…しかもお子ちゃまに。」

 「…だよなぁ。天才っているんだなぁ。天賦の才って言うのだろうなぁ。しっかし、獣人ってセンスいいよなぁ。武器もマッチしたようだしね。こりゃ楽しみだわ。」

 「…少しは悔しがれよ…」

 「え?だって、おいら、大魔導士だし…だれが大魔導士だ!」

 「…一人ノリツッコミ…むなしいのぉ~」

 「…はっきり言わないでください…トワちゃあ~ん~。」

 「離れろ!」

 「些事はさておき…カイエン、どうよ。わが軍は!」

  「軍?でしょうか?」

 「ほっとけ、おっさんの病気だ」

  「…何やら良くわかりませぬが…訓練状況ということでよろしいでしょうか。」

 「…病気って…まぁ、そういうこと。」

  「雹様は師がいるのでしょうか?すでに完成されつつありますね。」

 「…独学だろ…って…暗殺者確定かぁ。」

 「暗殺者って…忍びと言いなさい、シノビと!」

  「…コホン…ハセル様はこのままでよいと思います。まだまだ体も大きくなるでしょうから。」

 「やっぱ、ゴリゴリかぁ。」

  「ゴリゴリ?で、ライオット様は盾と剣の正統剣術も良いですが…」

  「父さん…俺…弓を持ちたい。」

 「飛び道具…か?」

  「俺の膂力なら…木登りも得意だし…」

 「うむ…やってみなさい。ただ…」

  「ただ?」

 「金かかるぞぉ~矢は。」

  「うん…でも…必中を目指す。」

 「そういや、エセ商人のとこに弓あったっろ?トワ君」

 「エセ?商人?」

 「ほら!ライオットに絡んだ。盗賊村の。ちょうどいいじゃん。」

 「おお!あったあった。因縁感じるな。…これだわ。小手もセット?」

 「どれどれ。鑑定!」


 ・鑑定…禍々しい鉄弓…(隠ぺい 天弓…ヴィジャヤ)…剛弓。形状変化もお手の物。お!見つけたね。使用許可をやろう。使わせたい子の魔力を登録させよ。君に『勝利』を!

 

 ・鑑定…鉄の指当て(隠ぺい 無限の矢筒)…弓の形状にあった矢を出せる。神話じゃ炎の矢とか、太陽の矢とかだけど…ねぇ?そこまでいらんだろ。矢代浮くな!


 「すげぇな…おっさんが使えば?」

 「いらんて、子供にって言ってるじゃん。ライオットに打って付けだわな。たしか…シヴァ神の弓の一つだったか…」

 地に跪いて、神に御礼奉っる。もちろん五体投地だ。

  「ミッツ殿?」

 「気にすんな。ご神託だ。」

 「…トワ様…十分に気を掛けた方がよろしいかと…」

 「ふう…ライオットこっちにおいで。」

  「はい。」

 「この弓が天より御下された。持ってみなさい。重いぞ」

  「はい。…???重さは感じませんが…」

 「なら良し。自分の魔力をゆっくり…そう、走ってる時の感覚で…注いでみなさい。」

  「は…い…」

 「ゆっくり…な。」

 弓の色がさび鉄色から黄金色に変わる…形状もシャープに。だんだん大きくなり、和弓の大きさで止まる。

  「ふ…うぅ…」

  「美しい弓ですな…」

 「ああ…目立つな…何やら大きさも変えられるって言ってたぞ?」

  「はい。試してみます。」

 するするとショートボウくらいの大きさに。

 「便利…だな。」

 「ああ…あ!小手、小手。こっちが右で、こっちが左っと。…大きさ調整付きか…矢が出せるらしい…魔力を練る修行も行いなさい」

  「はい。父さん…ありがとうございます。」

 「ライ、試射してみ!試射!」

 ん?ライ夫って…ぷぷ

  「うん。あの木狙ってみるね…」

 弓の弦に指を近づけると自動で番えるように矢が現れる…

 「スゲエ…」

  「ゴクリ」

 矢を持つ手に力が入り、気持ち良いくらいに引き絞る。”こーん”…へ?何時射た?

 「いつ…射た?」

 「速…見えねぇぞ…」

 …木に深々と…貫通してるなこりゃ…この距離で…

 「ふむ…修行をな…帰ったら、一日何本出せるか、威力の検証とか…やること多いな…狩りの時も注意して扱うように。後、接近戦もあろうから、ナイフでもショートでも慣らしておけよ」

  「はい。約束します」

 余程嬉しいのか、尻尾が揺れる。

 「とんでもおもちゃだな。」

  「”神器”というものでは…」

 「とも言うな。じゃ、次はヴォルトか?」

  「ミッツ様…流してよろしいので?」

 「ん?あれは良いものだ。ライオットに丁度よかろう?」

  「…では、ヴォルト君は、ミッツ様の指摘とおり、槍が良いようですね。基本のナイフからと思ったのですが。」

 「あ…ごめん…カイエン。余計なことをした…」

  「そんなことありませんぞ。私は短剣を薦めようとおもっておりました。」

 「これからもみてやってくれ。帰るともっといるぞ。」

  「ははは。楽しみですね。」

 「じゃ、ここは任すわ。おいらは飯の支度をしよう。」

 

本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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