報復の報復の報復? 6
いらっしゃい!
「いや、ドワーフのおっちゃん達に見せてからにしよう…こんなに”鑑定”したら頭痛くなるわ…」
「了解。おっちゃん達も喜ぶな!謎金属とか無いかな?」
「父さんこれは?」
あらら。鞘を見ればの…
「お!蛇剣!この世界にもあるんだな!」
「ダケン?」
「ほら、蛇みたいに波打ってんだろ、殺傷力半端ないんだよね…これ。刺すだけで即致命傷…」
「…父さん…」
うずうず雹君。
「だよなぁ…ほら。」
こういう系のナイフ好きそうだもんな。何時からこんな子に…お父ちゃんは!…ま、良かろう…
「ありがとう!ふふふ…」
「おいおい。おっさん、雹にそういうの渡しちゃいかんて!アサシンになっちゃうぞ?」
「大丈夫だよ…トワ兄。ふふふ」
キラリと光る瞳…ああ、夜の猫目だな。
「怖えぇよ!雹!」
「ほらほら。さっさと”収納”して撤退すんべ。この村も信用ならん。関係者もまだいそうだ。さっさと出て野営にしよう。」
…収蔵品と金貨、全て”収納”に納め階段を上る。拘束された三人プラス賊副官は連行されたのかもういない。代わりに爺さんが一人。
「ご苦労様です…この村の長です。この度は驚くばかりで。」
「それは大変ですね。では、失礼。」
「いや、ちょっと、このままお返ししては…」
「ご心配なく。直ぐにこの村を出ます。先を急ぎますので。」
「ま、待ってくれ。」
「行くぞ!」
{応!}
「ん?どういうことでしょうか?」
酒屋を出ると取り囲むように衛兵が。その中に副官もいる…どうやらビンゴだな…
「村長殿、どういう了見で?」
後ろを追ってきた老人に問いかける。
「ふぅ~ふぅー…き、貴様はわしの息子たちを殺したぁ!」ふん。
「知らんな。」
「と、とぼけるな!貴様が盗賊というバルだ!か。仇をとる!他にも若い者たちを…ヘラルドも…」
「長…今なら不問にするが。お前の息子は盗賊団の頭だそんなことも知らなかったのか?その副官がなんて言ったか知らんが、もう”国”に認定されているぞ?それに、盗賊共の首も今頃王都で晒されてる頃だ。それに詐欺師は生きてるぞ。今はな。鉱山労働に耐えられれば会えるだろうさ。」
「!!!どういう…こと、だ…?」
「今ここで剣を抜けば、この村は盗賊の巣窟。殲滅しても文句は言われないでしょう。」
「え!どういう?」
「盗賊だって!」
「村長!どういうことだ!」
「…そ、そんな…」
ったく…
「そう日も経たないうちに王都の衛士が審問に来ると思いますよ。盗賊のアジトとして。」
沸き立つ村民達。
「おい!」
「どういうことだ!」「村長!」
「…ざ、ザイル…お前のいったことは…う、嘘だったのか…」
「そ、そんなことあるはず…」
「おいおい。いまさらか?屑。」
「お、俺は…」
「副官…ザイルだったか?お前、逃げても無駄だぞ?もう王都の詰め所で登記済だ。お前の斬首をもって完了される。ほれ。右の足首…見てみろよ。」
「へ?」
其処には何やら蛇ののたまったような字の書いてある銀色の輪が…
「そ、それって、ざ、”罪人の足枷”?…ほ、本当だ、だった、のか…」
門衛?まぁ、いいや、この町の治安を司るであろう、衛士が呟く。
「な!違う!こんなの偽物だ!」
「…ザイルぅ?こ、これは…」
「村長。嘆いてる暇はないぞ?バーテンの片方はそう長くはないが、肩の傷の奴と、お前さんの息子の女…逃げちまってるぞ、たぶん。
身内の罪人を逃がしたってことでこの村、全体が何らかの罪に問われるぞ。」
「な!」
「おい!ダナン達を呼んでこい!拘束は!」
「村長の指示で解いていますが。」
「早く!」
「ほらほら。捕まえないと大変なことになるぞ。もちろんフィリキの詰め所には報告するがな。」
「村長!ダナンは死亡。こ、殺されてます!」
「と、トトとラーゲはいません!」
「あ~あぁ~あ。知~らんけ。逃亡ほう助だなぁ。村長?」
「まぁ、自分達で蒔いた種だ。ほっとけ。さぁ出発するか。」
「おっさんちょいまち。その前に…貴様の首は貰う!」
「”ぴしゅ”へ?ぐぅう…」”どさ”
「きゃーー!」ザイルの首が落ちる…
「なんという…」
「こいつの刑は決定していた。足環と共に提出の義務があるんでな。村長、衛兵のお前等なら知っているだろう?」
「…」
絶句の村長…その視線は、ザイルだかの顔に注がれいる。今、貴殿の息子は、同様に多くの衆人の目に晒されている事だろうさ。
「ああ…持って行ってくれ…」
右の足首も斬り飛し、足環を回収する。
「さて、村長。あんたが逃がした者、サッサと捕まえることですね。ちゃんと届けは出しておきますから。審問がくるまでがんばってね!」
「…お、お目こぼし願えないだろうか…」もう遅いね。
「はぁ、こっちに槍を向けた敵に情けをと?都合の良い事を…。こち等の話を聞かずに”罪人”を釈放したんだ。折角拘束したのに…ね。おいら達を殺して口封じでもするか?
まぁ、遅れは取らないさ。これでもそこそこ腕に自信はある。(おいら以外…ね)あんたら全員斬るけど?さぁ、どいてくれ。もうここに用はない。」
「…。」
まだ諦めのつかない村長にトワ君の爆弾投下。それは村人たちに向けてのものだった。
「…なぁ、あんたら。盗賊の頭の親が村長…しかも、ここにアジトがあって、独断で盗賊の仲間を逃がしたんだ。真意はどうあれ、普通は関係を疑うね。俺なら更迭して拘束するがね。生け贄じゃないが、村長一族を引き渡さにゃ事は済まんだろうさ。さもないと、村人皆…ってな。」
皆の視線が村長に集まる…
「そういえば…」
「審問には村長が…」
「全部こっちが悪かったのね…」
「わ、ワシは知らんかった!か、関係ない!」
「そちらの若い方の言葉にも一理ある。残念だが審問が来るまで拘束させてもらうよ。」
「な!ワシではなく関係ない旅人の言うことを聞くのか!お前たち!どうにかしてるぞ!」
村長の恫喝が響く!一瞬の静寂…
「…盗賊よりかは何十倍も信用出来るさ」
ぼそりと民衆の中から聞こえた。
「そうだ!そうだ!」
「お前の息子のせいでこの村は!」
「な、わ、ワシは知らん、関係しとらん!」
「裏切り者!」
「牢に入れろ!」
大衆の抗議を後ろに聞きながら歩を進める。
「さぁ~て。行こうか。」
{応!}
正に…自業自得ってやつだな。ざまぁ~
混乱極まる村をでて”充填”し走り出す。今日は…稼いだな。不謹慎?正当な報酬だ。
ん?前方に徒歩の男女。まさか…
「ありゃりゃ、追いついたな…斬るか。」
「そうだな…よし。おいらが女を斬るよ。」
「…気にしないで良いぞ?」
「いや、大人のお仕事さ。そっちこそ気にすんな。」
「…わかったよ。行くぞ!」
「応!」
そのスピードのまま駆け追い付きざまに抜刀する。トワ君の方が速い。綺麗に男の首が飛ぶ…
「な!」
驚愕の表情の女に追いつく。今度はこっちの番だ!新しい剣を抜き。横なぎを放つ!
”ぞぉどん!”
…女の上半身が消し飛んだ…上半身を構成してたであろうパーツが前方に散る…はぁ?な!何と水鳥拳?どいうこった!…おえぇ。
「お、おっさん…やっちまったなぁ。」
「……まぁ、なんてことでしょう…」
「どこぞの匠か!…たぶん、加速と超重量の剣…それとおっさんの仕業だな…斬るんじゃなくて、剣の腹で叩きつける形になったんだろうさ。鈍器で殴ったような?」
包丁だって引かにゃあ綺麗に切れないんだ…
「な、なるほど…明日から斬撃の練習しよう…」
「普通なら剣もどうにかなっちゃうが…流石は魔剣、ダメージ無さそうだな。」
「ああ、助かったよ…魔剣にも悪いことしたわ。」
「おっさんらしいな。こいつ等、放置でいいな…バラバラだし…さっさとこの場を離れよう。」
{応!}
トワ君の号令のもと出発する。己のせいとは言え、久しぶりのグログロだわ…心臓に悪い…
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




