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真珠とってカニ食って


 ……

 

 セツナっちと飢餓スライムのスラミちゃんのススメで浜に降りる。おっと、金欠勇者様も忘れてはいけない。なにせ真珠拾いしないとな。いつまで経っても借金返せんからな。

 真珠拾い、シャコとの遭遇、超巨大ラッコとの邂逅……。どれだけでかいんだ! 雄大な異世界の海。もう、おいら、お腹いっぱいやねぇ

 

 敷物を敷いてラグが真珠を品定めを始めた。女性陣の熱い視線の中で。

 黒檀のような黒色の木材でできた真珠査定セットでね。セツナっちも手を出さないところを見ると、ラグの鑑定眼もなかなかのものなのだろう。

 

 「……ん? アイリ姉も真珠買うか? お安くしておくぞ。……今なら親族特価! ……大変お買い得!」

 「そ、そうね……。綺麗ねぇ。ぅんむぅ~~! む~~ん! お母様にも送ってあげたいわね……」

 腕を組み考え込むアイリちゃん。そうなぁ。親孝行は大事よ。おいら、禄にできなかったもの。孝行したい時分には親は無しというもんなぁ。

 

 うぅん??? そういや、レシスちゃん(スルガ氏のべっぴん新妻。ふんだ!)てばアイリちゃんの義母になるのか? う~~ん。複雑! スルガ氏デビルマンがあんな若くて綺麗な別嬪さんを嫁にするのが悪いんだ! 諸悪の根源めぇ! ……。……。……。羨ましくなんかないやい! 腐れろぉ! 腐れ落ちろぉ! 

 

 「……お父ちゃん。なにやら悪い気が漏れているぞ」

 ちょいちょいと服をラグに引かれる。

 「おっと。少々考え事とをな……」

 おおっとぉ! おいらの暗黒・僻みパワーが漏れてしまったか!

 「おじさまだし。どうせ……ねぇ」

 「おっさんだからな。どうせくだらないことだろ」

 うっさいわーー! 魂の叫びや! てか、トワ君、まだいたのかい! お姉ちゃんに真珠接収されてどっかに行ったと思ってたが!

 

 「……アイリ姉、細工は細工師のテル、コン兄弟がオススメ。腕をメキメキあげている。……まだ新人故、加工費はお安く受注承ることができよう! お得!」

 「そうよねぇ。最近、テルさんとコンさんの名はよく聞くわね。ノーム族の伝統的デザインを取り入れた繊細な宝飾品よね……。う~~ん。旦那様におねだりしようかなぁ」

 お幸せそうでなによりでございます! ふふんだ! 

 「……うむ。評価は高い。真珠磨きの腕も特級だ」

 「そうそう! 繊細と大胆が共存しているのよね。ノーム族の伝統を取り入れてるからか新しいのに懐かしいのよね。新鋭細工師の中でも頭ひとつ抜けてるわね」

 と、セツナっちも絶賛。テル、コン? 確か……ガレッタさんの倅(長男、次男)だよなぁ。頑張ってんなぁ。ソウ坊は真珠磨きの修業中かな?

 

 「ラグ殿、ウチの店舗でもぜひとも取り扱いたいのですが……」

 と、奥様。奥様の目にも叶うようね

 「……まだ修行中」

 「うん? それで、評価が高いのかい?」

 「……うむ。町主催の宝飾品コンテスト、真珠部門で優勝!」

 「へぇ、そりゃすごいな。真珠部門ねぇ」

 パンのコンテストだけじゃないんだなぁ。

 「私もそのコンテスト見てみたいわね……。ここ、『コホーネ』でもできるかしら……。ふむ。今度、ノーム族の職人と、真珠研磨職人、宝飾デザイナーの飲み会を開催するか……交流は大事よね」

 と、カタリーンお嬢様

 「……。……遅し!」

 ふっ――と笑うラグ。お嬢様にライバル視、バチバチね。

 「む!」

 顔をしかめるお嬢様。暖かい目で見守るのは会頭の奥様。なんかいいねぇ

 

 飲み会くらいはもうウチの主催でやっているのだろうなぁ。すでにノーム族の方にかなりの注文があると聞くものなぁ。ノーム族に台座の外注をだすだけでも、ぐっと品質はあがるだろう。ガレッタさんの奥様も苦労したっておっしゃっていたものな。

 あの女傑のマリアさんのことだ。ちゃんと一枚噛んでいるだろう。熱血真珠担当のミキさんもいるしね。たぶんヴァートリーがハブられているということはないだろう。

 

 「宝飾業界界隈もずいぶんと賑やかだなぁ」

 「……うむ。セツナ姉がいるから。デザインだけでなく、新しい真珠の研磨技術。宝石のカット、研磨方法等々。……これぞ勇者様の叡智! ……それにセツナ姉と迷宮の光の方々から大量に宝石が持ち込まれた」

 「なるほど?」

 ほほぅ。この前のセツナっちのダンジョン大遠征で大量に入手したと聞いたものな。

 「いや、それほどでもあるけど?」

 と、胸を張るのは小さい勇者様だ。

 

 まぁ、おいらの人生にゃ、まったくと言っていいほど関係ない代物だからなぁ。

 真珠の宝飾品なんて、葬式につけるタイピンくらいなもんだし。指輪なんかも興味なし。婚約指輪? 結婚指輪? ふん! 縁もないしな! しくしく(涙)

 

 「……どうした? お父ちゃん?」

 「おじさまだし。どうせ……ねぇ」

 「おっさんだからな。どうせくだらないことだろ」

 うっさいわ!

 「さて! おじさまは放っておいてと。場所を移して、第二ラウンドといこうかしら!」

 「そうね……ラッコさんのおかげでここらは大物もいないだろうしね。トワ君も真珠拾わんといつまでも借金勇者だもんな。行くかぁ!」

 「おう!」

 ……

 

 その後は怪獣クラスの大物に遭遇することなく、じっくりと真珠拾いと大物漁を行う事ができた。

 怪獣クラスが出現せずとも危険度はマックスだがなぁ。波間から飛んでくるサメ! 砂地を腹を擦りながらにじり寄ってくるサメ! 見える範囲には無数の三角の背びれが。おかげでスラミちゃんの”収納”と胃袋? が満たされたけどね。

 獲ったサメは以前はスラミちゃん、マルとドチのおやつくらいの利用価値しかなかったが、最近は街でも肉は食用。牙、革も素材として人気が出てきた。今回のおいらの”収納”の中のサメはダンジョンにも潜るし、スラミちゃんのおやつで消費されちゃうだろうがなぁ。少しはマルたちに残しておかないとなぁ

 

 大物漁にしても、ブルーメールだっけか? 青いでっかいイセエビの。イセエビ系のものは安全だが、ハサミのついた甲殻類は非常に危険だ。特に高機動型巨大ワタリガニこと、”殺人ガニ”は超・脅威といっていいだろうね。なにせ、まんま名前が”殺人ガニ”だもの。人の胴すら楽々と切断せしめる、するどい大ハサミ! だが、食材としては大歓迎だがね


 「くぅ~~! やはり、ワタリガニ(殺人ガニ)は美味いなぁ! ぜっ・ぴ・ん!」

 束ねたそうめんのようにみっちりとした脚肉を頬張る

 しっとりしたカニ肉、香り良く旨味の強いミソ。内子(体内にある卵ね。黄身のように濃厚。体外に出たら外子。外子はプチプチ食感であっさりめ)ボーナスも楽しみだ

 おいら、カニの中じゃワタリガニは上位と思うさ。ほら、地球じゃ小さいく、食べづらいからから人気が低いだろう。でも、肩肉やミソは絶品だったものな。それが、この世界じゃ、びっくりするほどデカい。脚肉だって十分に楽しめる。殻がものすごく硬いから食うのが大変だがな。ハセルたちが薪割りのようにバンバン割ってくれるから、おいらは座っているだけでいいのだけれどもね。

 日本酒をちびり。くぅ~~! やめられん!


 「最初は”勇者焼き”なんてアホなことしてると思ったけど、馬鹿にできないわね~~。カニうんま」

 と、セツナっち

 「文句あるなら食うな!」

 と、弟君……。ふぅ、大人しく食えないのかいな。君たちは。ま、仲良きことは良いことだけどもな。

 「どれ、ミソ和えでもこさえるか」

 「「待ってました!」」

 仲いいのぉ……。

 身をほじってワタリガニのトマトクリームパスタもいいなぁ。これだけ大きいから、普通のカニ鍋もいいなぁ。

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