ドワーフ最高!(トワ氏談)
いらっしゃいませ~。
…そのまま酒宴になってしまった…
「そうさのぅ。良い剣は高価じゃぞい。安くあげたかったら、いかに自分で素材を集められるかだのぉ。あと、魔力を注げる者が雇えればなお良しじゃわい。」
”ぐびり”。
キノコの丸焼きが現れた!とても美味そうだ…なんでもお弟子さんが”炉”で炙ってくれたらしい…良いのか?そんなことに、鍛冶の命の炉を使って…はっ!腸詰も…か?
酒の席になってしまったが、情報収集にはもってこいだろう。なにせおいら達はこの世界の初心者だ。生きていくためには、情報はいくらあっても良い。
「俺たちがが注げば…って、このキノコうま!」
”ごくごく””むしゃむしゃ”。
「トワ君ワインはお酒ですよ~ジュースじゃないよ~」
「ソーセージと一緒に食うと至福だ!、おっさん達も試してみ」
…聞けよ…
「ふむ。旨いの。それで、魔剣などの製造にはな。込めれば込めるだけ良いようだの。受け止める素材も大事だが、ただ、3年くらい前かの。隣の大国で50人規模でやったそうだが…魔力を上手く集約できずに失敗したそうじゃ。
ワシなら3人くらい、ただし、高位魔法職のエルフ族や魔族に依頼じゃな。まぁ、いくら金がかかるか…ゾッとするがの。」
「魔力かぁ。魔力はおっさんに任した!あとは材料かぁ。」
お!こっちのキノコまじでうまいな!キノコを齧りながら”ちびり”。
「ふむ。魔力量に自信があるのかの。あとは魔石も良いものがほしいのぉ。最近、小物しか目にせん…。冒険者も小物になったものじゃて。」と”ぐい”!
「魔石かぁ。良いのってでかいんだよね?」
あ!今出すなよ、とトワ君に目配せ。解ったようだ。
「ただでかいだけでも駄目じゃぞ?濁りのないものがええの。」
「透明で、でかいのか…」
「うむ。凝縮…圧縮して小さくするんじゃ。圧縮率が高ければそれだけ高性能じゃな。不純物が多く混じっておると上手くゆかぬ。あとは、基になる金属、まぁ、神金は無理じゃが、大抵のものは金で入手可能じゃ。」
神金?お!ファンタジー金属か!
「金属の採掘って個人ではできないのでしょうか?」
…にしてもこのキノコ旨いな…
「いや、できるぞい。”ダンジョン”じゃな。モンスターに金属で出来たゴーレムなぞがおる。倒せれば、まさに動く鉱脈じゃ。ダンジョン産ゆえ純度も申し分ないの。ダンジョンの壁面からも採掘できるぞい。ただ、運搬がの。
まぁ、おぬしらは収納持ちだから問題なかろう。そうじゃ、運搬の仕事せんか?いや、腕に自信があれば専属採掘班としてギルドで雇うぞい。どうじゃ?」”ぐびり”。
つられてこっちも”ちびり”。
「悪い話ではありませんが、世界を見て回りたいんですよ。落ち着いたらいいかもしれませんね。」”ぐい”。
「カッカッカ。そうか。そうか。落ち着いたら来るとええ。」
…。
ふぅ。飲んだ。依頼済んだし。ぼちぼち引き上げるかな。あ!そういえば…
「そういえば…アダマンタイトって使え 「なぁにぃ!アダマンタイトじゃぁとぉ!!何処でそれを聞いた!」 …ます…か?」
びっくりしたわ!急に大声出して!ただでさえ、声デカいのだから!
「…って、問題 「ある!幻の合金じゃぁ。混合率、製法が失われて久しい…再現しようとしてるドワーフは多いのじゃ。かく言うワシも研究しておるのじゃ。
…じゃが地金が残っておらんのじゃぁ。みな国宝級の武具になっておっての。自由、勝手にできんのじゃよ…」 …製法が喪失してるんですか。」
「うむ、魔力伝導率はいまいちじゃが…素材としては言うことなしじゃな。現存してる国宝級の魔剣は、芯にミスリルや聖銀、神金などを使い欠点を補っておるものじゃ。」
「ほほぅ。神金とは?」
「…そいつは考えなくともよい…まさに神より御降される奇跡の結晶じゃぁ。あるときはある。ないときはない、必要な時にあって、不要の時はない。恐ろしく硬く、水のように姿を変える…」
「???どういう…謎かけ?」
「世界に必要な時はどこからともなく現れる。と…まさに奇跡じゃ」
「実在は?」
「先も言ったが…ごく一部の魔剣、聖剣の芯に今も見られておる…。
昔話じゃ。天災クラスの魔物に狙われた国があっての。そこに神金が御降されたとか。だがの…魔を打つ聖剣に使わず、己の欲のために神金のみでナイフを作った愚王がいたとか。
いつの間にかにナイフは消え、作るべき聖剣もない…どうなったかはお察しの通りじゃな。」
おふぅ…どこにでもいるもんだなぁ。アホは…
「なんだぁ、おっさん、夢金属か?で、アダマンタイト?」
トワ君も知らなわな。おいらが入手したこと。大根役者やってたから。くすくす。
この人ならいいか…トワ君なついてるし。
”収納”からくすんだ銀板を1枚出す。
「ん、な、なん、じゃぁあ…」
「アダマンタイト…のたぶん、地金です」
「なんじゃとぉ!……こ、これが…」
「おっさんどこで?}
「内緒。」お察しだぞトワ君。
「あと数枚あります。トワ君の剣になります?」
「あ、ああ。手に取っても…良いかの…」
差し出された掌にインゴットの板を置いてやる。
「これは…原体か…ふむぅ。色艶、比重…間違いないようじゃの…うむ…」
…だめだこりゃ。夢中でこれ以上、話しにならないな。
「それは進呈し 「ほんとか!」 は、はい!」
ビビるわ!顔、近!
「うむ、ふむぅ。ワシのこさえたものに…あの素材を足し…いや、あ奴を呼んで…一から解析じゃな…」
「ドワーフのおっさん?」
「ん!すまんのトワ。ちと興奮してしもうた。今日は、火茸といい、酒もたらふく飲んだ。なによりトワ達と知り合えた…人生最良の日じゃの。」
「よかったな!ドワーフのおっさん!」
「アダマンタイト…対価なぞだしようもないが…のぉ」
「とりあえずはトワ君の剣を打つときの費用の足しに。」
「うむむぅ…頭が混乱しておるの。とりあえず……飲むか!お主らとの出会いに乾杯!」
「乾杯!」
「乾杯…」
…まだ飲むんかい…
とんでもドワーフだったが良い縁が得られたな。そこそこ飲んだので、念押しで再度整備依頼してお暇する。トワ君も結構飲んでたが…勇者ボディ?通常運転だ。
「ぷっはぁ~。飲んだ飲んだ。そいえば、トワ君、ドワーフ好きなの?」
「普通好きだろ?おっさんはきらいか?」普通て。
「いや、普通。エルフのほうが…」
ジト目やめい!
「相変わらずだな。おっさん。う~ん、俺、小さいときに、夢の国で迷子になったんだ。そのとき助けてもらったんだ白雪姫のに。はいほ~はいほ~ってさ。そりゃ、わかってるさ、当時は素直なおこちゃまさ。」
いや、十分今でも素直だよ。汚れきったおっさんから見たら眩しすぎて目がつぶれそうだよ。
「あと、小説や、映画、ゲームとか。最近ではラノベでも。脇役だけど、職人かつ、戦士じゃん。酒好きで陽気、酒あればオールOK!って、グローヴィンさんもそうだったね。いきなり酒出しちゃったけど、疑いなく飲んじゃうんだもん。ぐびぐびラッパ。依頼もおけ~て。笑える。
それでいて頑固おやじ。かっこいいじゃん!グローヴィンさんてまんまドワーフな!そうそう映画のホビットの冒険なんて感動ものだったよ。」
熱くかたるなぁ。
「そっか。」
「笑えるだろ?」
「いんや。全然、良いんじゃない。せっかくのファンタジーだし。おっさんもエロフやら、サキュバスの夢見てるし。」
「干からびろ~」「「はははははは」」
お宿に帰ってお休みだ。おいらは腹いっぱいで風呂入ってバタンキュー。トワ君はちゃんと夕飯たべてました。
おじさん食事よりせっかくの街だし…夜の街の方に関心が…。まぁ、お金もないし、しばらくは…トワ君もいるしね。ムラムラは封印だな。大人しく寝ようか。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




