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閑話 ザックの冒険 24

いらっしゃい!

 ……。 


 …。


 「ご苦労様。旅は順調なようね」

 「ああ。おかげさまで…!き、貴様!」

 「もう。怖い顔しないでよ。こっちは約束通り、お嬢様の呪縛を解いてきたわよ。サービスで脅してこようと思ったけど…」

 「外道が…」

 「悪魔ですけど?」…。

 「で…何の用だ。わざわざ夢に現れて…」

 「詰まんない人ねぇ~今の報告が一点。それと、おじ様達が近くまで来ているわ。合流するのもアリよ。」

 「そうか…ミツル殿が…」

 「そうする?」…。

 「いや、やめておこう正々堂々国境を越え、ミツル殿の前に立とうと思う。」

 「ふふふ。そう?わかったわ。邪魔したわね。証拠のサインいる?」

 「いらん。とっとと夢から出て行け!」

 「はいはい。おやすみなさ~い。」

 ミツル殿が…近くに…本来なら預けたほう…いや、独り立ちまで面倒を。エゴだといわれてもな…


 子供たちも想像以上に疲れていたようだ。皆ぐっすり。翌日目を覚ましたのは昼過ぎ。

  「朝、声かけたんだけどねぇ~」

 「すまん。気が張っていたんだな…起きられなかったよ。」

  「まぁいいわ。よかったら隣で食事をとってゆっくりすればいいわぁ。」

 「ああ。そうさせてもらうよ。」

 子供たちを起こし、隣の食事処へ。大盛り定食を人数分。単品肉を3人前。軽くエールを。

  「おじさん、この後どうする?」

 「今日はまったり。お休みにしよう。勉強くらいはする…か?」

  「お酒飲んでるじゃない。」

  「これだから大人は…」

 「まぁ、なんだ。だいじょうぶだ。」

  「本当?」

 …食後、腹ごなしに中庭で武術の訓練。

 夕食までの間、こっくり…”つん”…こっくり…”つん”子供らに小突かれつつ…勉強会を何とかこなす。

 夕食、食べて今日も早く寝よう…こんな日があってもいいだろう。

 

 翌日。早朝より鍛錬。ギルドに寄り、一応、依頼を見て回る…護衛隊関連のモノばかりだな…多くは獣人の冒険者が行っていたが…二度とこの国には戻らぬだろう。人族の冒険者は、死んだやつのことを言いたくはないが、ロッパのように大した腕でもないのに、文句ばかり。

  

 「お、旦那ぁ!護衛受けちゃくれねぇかい?」

 「悪いが休暇だ。」

  「良いご身分で…あ!そっちの強そうな旦那ぁ!…」

  「護衛の冒険者がいないの?」

 「ああ。自分らで捨てちまったからな。獣人が専門でやってたんだよ。夜目も利くし、警戒範囲も広い。もう、協力なんかしたくないだろう?」

  「そうだね。」

  「みんな死んじゃった…」

  「父ちゃん…」…あ。

 「ごめんなぁ。さっさと出よう。気晴らしに門の外にでも行こうか。」

  「うん」

  「いおしし!」

 「猪な」

  「まる焼き!」

 「まぁいいか…」

 小さいラディの頭をなでる。

 

 「で、旦那らは?」

 「特段用事はないが、周囲の様子の確認…猪がいたら狩ろうかとな。」

  「なら、出て南に向かうといい。農地で猪がどうのと…昼から出るそうだ。」

  「そいつは助かる、要請も結構上がってるんだ。」

 「ふむ…行ってみるか…居たら挑戦してみるよ。」

  「ああ。気を付けてな!」


 「ラディ!いったぞぉ!」

 ラナが猪の方向を変える。

  「おお!っしゃあああ!」

 ウイングシールドで叩き落とすように地面にいなす、”ぴぎぃー!”

  「突く!」

 ”どすぅ!”ぶびぃびぃーーー!”中型の猪とはいえ。強くなったのぉ~

  「坊ちゃん、小さいのに。」

  「やりますなぁ」

 「これで、5匹かぁ。誰も狩らないのか?」

  「わしらじゃ、逃げられちまう。罠も上手に避けおる。素人のにはかからんわい。」

  「ヤツら、鼻がええからのぉ。」

  「冒険者も来てくれんしな。依頼額が安いからなぁ。」

  「以前は放っておいても、獣人たちが狩って食料にしてたんじゃが…」

 「そういったことも影響してんだな…愚かなことを…」

  「ええ。このあたりの開拓仲間だったヤツらだった者も居なくなっちまった。」

 「どうなるのかねぇ。あ。一匹置いてくわ。皆で食ってくれ。」

  「すまんな。旦那。」

 

 「父ちゃん、たくさんとれたね!」

 太い棒に括り付けて街に帰る途中。その数4頭。ラディは自分で仕留めたものを背負ってる。逞しいな…虎人!

 「ああ。しかし、獣人の数が減ったのがこんなところに影響が…」

  「狩りほうだいじゃん!」

  「ラナぁ違うって、狩れないんだよ。さっきの爺さんもいってたじゃん。ばんばん畑に出てきて、旨いもの食って…どんどんでかくなる…あと数年もすりゃ、魔猪になるかもしんないぞ?」

  「ああ。なるほど。」

 「ローゼの言葉…そういやそうだな…一応、衛兵に言っておくか…国から補助…ないな…」

 

 「お!旦那!大猟だなぁ!」

 「ああ。おかげさまで…まだまだいるぞ…どうも獣人達がいなくなったのも要因の一つらしい。」

  「そうか?あ、そうだな…よくついでに狩ってきてたな…」

 「でだ、うちの若い者の観察でだな…今はまだ小さい。が、人の食糧食って巨大化。2~3年後には…」

  「あ!魔物に?」

 「多分ここだけじゃない。来る途中の村でも困っていた。」

  「それだけじゃないよ。”魔の森”の熊やら、でかい肉食の魔物が猪に誘われて出てきたら?」

  「!…まさか…いや…あり得るな…確かに狭い範囲なら抑えられるが…恐らく…」

  「下手すりゃ…溢れる…?鎧熊のでかいのでもでようものなら…止められねぇぞ?」

  「だ、だが、それは、ガキの予想だろ?は、はは…」

 「まぁ、子供の考えですよ。私も”そうだ”と得心がいったから報告をしたまで。後はあんたらの仕事だ。上と相談するもよし、放置するもよし。じゃぁ、通るぞ。」

  「あ、ああ。」

  「情報ありがとうな。」


 「あらぁ!大猟ねぇ!ラディちゃんもとったの?」

  「うん!丸焼き!」

  「うん。丸焼きにはちょうどいいわね…いいわよ明日の夜焼いてあげるわぁ。」

  「わ~い!」

  「で、そっちのは?」

 「一応、血抜きはしたが…どうだ?」

  「どれどれ。」

 「…わかるのか?お前?」

  「…コック呼ぶわぁ。」

 「最初からそうしろ…」ったく。

 

 翌日はラディが仕留めた猪が夕食に上がる。丸焼きにちょうどいいサイズだ。ラヴィも嬉しそうだわ。かわいいな…いかんいかん。だが…そのうち、丸ごとかじりつくくらいに…ああ…。

 

 イノシシが予想以上に高く売れたので、一日おきに狩りに。いくら狩っても減る気配がない…空白地ができれば他所のあぶれてたヤツが来てるのだろう。

 それに…シマシマの…子供?小さいのを、8頭も連れてらぁ…増えるわけだわ…もはや想像以上に事が進んでるのではないのか…?

 

 「旦那…今回も…か…減らねぇな。本当に。」

 「ああ。空白地ができれば移ってくるのだろう…繁殖力も半端ない。」

  「そうか…よその町にも聞いてみるか…」

  「かといって、そうそう狩れるもんでもないな…猟師を雇うか…」

  「旦那は?」

 「俺か?そろそろ移動しようと思ってる。武器のメンテも終わるだろうしね。」

  「そうか…猪じゃ駆除だけなら、端た金だものなぁ。」

 「肉はそこそこだぞ?しっかり処理をすればな。単価を上げるようにすればいいだろうな…まだ抑えられるとは思うが…デカ物の目撃とかはないのか?」

  「ああ。今のところな…」

  「どうなっちまうんだか…」

  「対策早くしたほうがいいよ?畑食われて飢饉なんてシャレにならんでしょ?」

 「昼間から出てるものなぁ…被害も大きかろう…行政が動かないことには…な。」

 

 …こんな感じで。メンテナンス終了予定日。5日がたった。

今日もお願いします!

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