表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

183/2127

閑話 ザックの冒険 Ⅰ

サイドストーリーザックさんのその後…「第二騎士団長 Ⅴ」の後の話です。キレた中間管理職の実力を!という訳で投稿していきます。

 

 散々国に扱き使われ、挙句の果てにポイを喰らった中年…よりは若いな。お節介悪魔のルカちゃんと取引。”制約の呪い”を解く代わりに、生贄候補だった獣人の子供ををミッツの元へ送ることに。だんだん父性が頭を上げてくる…独身元騎士団長の無事に旅を終えられるのか!ミッツ同様、独身なのに子だくさんか!というおはなし。

 役所に駆け込み、貯蓄のことごとくを下ろす。なんてこった…退職金はおろか、今回の遠征手当も入っていない…どうなっているのだ…。

 しかも…意味不明な”税金”が引かれている…特別徴収…だと。

 

 ギルドを含め、国民の”預貯金”に強引に掛けられたそうだ…今は落ち着いたが、施行当初はすさまじい混乱だっただろう。

 誰も預けなくなるな。次は各家に無理な徴収が行われるのだろうな…そして、肥え太り、化粧にまみれた奴らの遊興費に消えるのだ。

 

 しかし、金貨にして50枚…俺の忠誠はこれっぽっちのモノだったか…

 部屋の隅に放っておいた親父の形見のバスターソード、着替えの入った小さな鞄…それらが、今の俺の全財産…か。

 悪魔の言葉じゃないが、ほんと、騎士崩れのゴロツキ…だな。ふっ。泣けてくるぜ…。

 

 知り合いの馬屋に拝み倒して格安で馬を借り、街道を開拓村に向け疾駆する。野営をしても明朝には着くだろう。

 街道筋の大きな木の下で野営を行う。夜走るよりはいい。一睡もせず、明るくなったと同時に馬を走らせる。昼前であろうか…件の開拓村に到着。馬屋に馬を返し、村長の家に行く。

 

 「すまぬ。誰かおらぬか?」

  「こ、これは、ザック騎士団長殿。お久しぶりでございます。何か緊急の御用でも?」

 「ここに…獣人の子が…何人かいると聞いてね」

  「ええ。軍からは”もういらぬ”と言われ…困っていた次第です…このままですと…。」

 「俺が引き取る。案内せよ!」

  「は、はい?こちらですが…ご案内します。」

 

 村長の敷地内、厩のわきに子供たちはいた…一番大きい子は豹人族の女の子、成人はしていまい。12才位の犬人族の男女。少し小さい、10歳くらいの豹人族の男の子…弟か?。一番小さいのは5歳くらいの猫人族の女の子…いや、男の子か?鎖で繋がれて…皆、ガリガリに痩せている…。

 何とか間に合ったようだ。

 「村長、外してくれ」

  「はい…」

 村長が母屋に消え…子供たちを見回す…強烈な憎悪だ。こんなに小さいのに。

 「なによ!?殺すのならさっさとどうぞ!生かしておいてもしょうがないでしょ!」

 小さい子らを背に隠し、豹人の女の子が凄む。

 「話を聞いてほしい。私の名はザック。元騎士だ。」

  「で、その元騎士のザック様が獣人に何の用よ!」

 「話を聞いてほしい。このままだと君たちは殺される…少し遠いが、安全な村があると聞く。そこまで送ろうと思うのだが。」

  「はぁ?親兄弟殺しておいて、勝手に連れてきて、送り返す?何がしたいのよぉ!お母さんを返せ!外道!」

  「お、俺たちが何をしたって言うんだよ!」

  「殺せよ!父さん達みたいに!」…

 「すまぬとは言わぬ…謝ってすむのならいくらでも頭を下げよう。だが、問題なのはこれから…この先の事だ。俺と共に…行くか?出来得ることはしよう。」

  「で、飽きたらポイね。人族らしいわ」

 「…その辺は信用してくれとしか言えない。頼ってはくれぬか?」

  

 {…}

 「…わかったわ。ここにいても近いうち”処分”されるだけ…付いて行くわ」

 「有難い…頼ってほしい。先も言ったが、俺はザック。名を教えてくれないか。」

  「…あたいはアルマ。弟のローゼ。この子はラナ、ラナの妹のディア。この小さいのはラディよ。」

 「よろしく頼む。今、鎖を外す。村長!鍵を持ってこい!」…

  

 「はい…これを。ザック様本当に?」

 「ああ、死なすことも無かろう。心当たりのある場所へ連れて行く。」

  「そうですか…お気をつけて」

 そういう村長はホッとした表情だ。ここは、己の手を汚さずに済んだ安堵の顔としておこう。厄介払いではなくな。

 「さぁ、これで自由だ。君たちの生まれた町や親族は?」

  「はぁ?何処かすらわからないわよ。開拓村のどこかでしょう?親族?そんなのはあなた達に皆、殺されていないわ。」

  「俺たち、村から出たことない。」

  「村の名前も…開拓村?」

 「そ、そうだな。普通、町の外には出ないな。」

 人族、獣人問わずに…行商や、冒険者、軍人位だな。

  「で、そのザック様がなんで私達を?」

 「…俺は、この国の騎士だった。お偉いさんのな。だが…色々なものを見た…」

 そう…直接”悪魔”に関わるなんてな…

 「もうたくさんだ!」

 ”ビクっ”

 子供たちが怯える。

 「あ、すまない。大きい声を出して…俺の知ってる場所は此処から結構な距離がある。二つの国を越える。そこに獣人に優しい村があるという…そこまで送って行こうと思う。」

 「任せるわ。私達、さっぱりですもの。」

 村長にいくばくかの金を渡し、古着、布地などを譲ってもらう。パンを購入し、村をでる。さて…どうなることやら。



本編は夜に。短編の方が時間軸あまり考えなくていいから楽です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ