異世界海開きだ! (前編)
投降順番間違えました…消すのって良くない?みたいなんで、こっちからお願いします。本日二本。
3時間くらいか、そろそろ休憩しようと速度を落とした時に、この世の『海』が姿を現した。
母なる海…その風の香り…磯臭い。確かに海だな!
「海だぁ~~~~~!」
「と、父さん、あれ全部水なの?」
「うわ~すごーーーーい。」
「前世界と違って魔物もいるんだろうなぁ~食われないように注意だ!」
{おう!}
急げや急げ!みんなテンション爆上がりで速度も上がる…おいらはコケないように必死に足を動かす。まぁ、ご加護?で死にはしないと思うけど…なにせ気まぐれでいらっしゃるからなぁ。マイゴッドは。そっぽ向かれたら挽肉だわ…
海に到着。もうすぐ日没だ…
「みんな、はやる気持ちも解かるが、トワ君、雹周辺捜索、様子見、拠点候補地頼む。海からなんか出てきたら嫌だからそれなりに距離を。ハセルとおいらはこの辺で食材調達を試みるわ。海で泳ぐのは明日な!」
「食材?」
「貝が居れば、貝の味噌汁だ!」
「おお!いいなぁ!じゃ、行ってくるわ。雹は向こうな。」
「はい」
「それで父ちゃん。貝ってなんだ?」
「うん?昨日食っただろうが…。殻に入った…どれ、現物見た方が早いな…いるかなぁ」
波打ち際に近寄る…
「止まって!ぐぉおおおおおお~~~ん!」
「ひ!」
浪間から、急にドでかい魚が躍り出てきた!ハセルの一刀で頭を割られ絶命…
「こ!怖えぇ…サメ?ウミヘビ?ウツボ?じゃないな…助かったよ。ハセル…にしても良い一撃だ!」
「どうした!ハセ?」
ハセルの咆哮を聞きつけトワ君、雹が駆けつける。
「悪い、もういいみたいだ、魚が出てきたところを救われたよ。」
「ふ~ん。どれ引き上げるか」
ズルズル…引っ張り上げたら6~7m近くあった…やべぇな!海!さっき引っかかったとおもったら、尻尾の先の方が無かった…他のが食いちぎったんだろう…まじかよ!海!
「長げぇなぁ。”鑑定”…シーサーペント…あの有名な?これが…魚蛇か?」
「これじゃ、泳げんな…デカい太刀魚?こんなのが居たら…へ?トワ君、今なんて?」
「シーサーペント…だそうだ。前世界でも定番中の定番だろ?」
「ふへぇ~ほんとか!ハセル凄いな!」
「?良くわからないけど?すごい?」
ふっ、お花畑だったぜ…。こんなとこで…泳げるか!
「おっさん、泳いだら…生餌だな…大物がかかるぞ?」
「嫌だよ…異世界の『海』舐めてたわ」
「と!父ちゃん!変なのが出てきた!」
「げ!か、カニか?でけぇ!」
大きいもので甲羅幅2m超えの…ワタリガニとズワイガニを足して2で割ったようなお化けガニが10匹と…
「うげぇ…」…
「うぉおお!グソクムシかあれ!キモ!」
1m近くあるダンゴムシのお化けが”わらわらわらわら”と上がってくる…狙いはシーサーペントだ!
「やべぇぞ!魚食われる!雹兄!避難させよう!」
「おう!」
二人で引き摺って避難…そこに取りつきそうだったカニに…
「いけ、ファイアーランス!」
”ごっじゅ”
「…」
見事口?に吸い込まれ、一匹が動かなくなる。グソクムシのほうはどうやら砂場に上がっては来れないようだ。ギリギリの場所で待機している。
…うあぁ…あの”複眼”…どうにかならんか…気持ち悪い…波打ち際に並ぶ…顔…複眼…顔…
”がぎいんぃ”
「痛って!こいつは剣は無理か…」
そう言って魔剣を引き出すトワ君。…なにも、カニ相手に…
「せい!」
ハサミが切り飛ばされる。
「だりゃぁ!」
気合一発目と目の中間から、甲羅の半ばまで切り込む
「硬てぇえぇ」
「父ちゃん、ハンマー!」
ハセル君、トワ君の様子を見て、斬撃は不利と見たか、ハンマーを取りに来た。
「…ほれ」
収納のデッドストックの盗賊ハンマー (バトルハンマー)を出す。
”ばっきゅああ”
ハセルのハンマーがカニの頭部にめり込む…
「父さん斧あったよね?」
「…ほれ。何も、倒さなくてもいいんだぞ?」
盗賊斧 (バトルアクス)を渡す。
「…なんとなく?行ってくる!」
バトルアックスを担いで戦線復帰する雹。
数分後、海岸には12匹のお化けカ二とシーサーペント?が…サクッと収納して離れる。
グソクムシ?もちろん放置だ。食えるとは言うが…またなんか来そうだな…しかもあの複眼…キモい!
「…初日からえらい目に遭ったな…異世界海恐るべし!」
「ほんと。まさかのカニとは…早速食ってみるか?カニ。おっさんの魔法でこんがりと…」
「…焼きガニか…ワタリガニは蒸し焼きにした方が美味いが…ズワイは焼きかぁ…よし、やってみるか…と…その前にもう少し海から離れよう…寝込み襲われたらつまらん。」
「ああ。そうしよう…雹、ハセ移動するぞ!」
さらに内陸に移動。結界石を多めに設置。いつもの馬車を出し、夜営の準備は完了だ。さしものカニもここまでは上がっては来まい。
さてと。
「おまたせ!」
”収納”よりカニを一匹だす。最初に殺ったやつだ。
「うっは!でけぇ!父さん食べるの?カニ!」
カニすきだもんな。ハセルは。が、これは殻ごとは流石にムリだろう。
「ああ。たぶん美味いぞ?フレイム…なんだろう?…イメージ…は炎を纏わす?」
「俺が結界魔法で覆って、おっさんのファイアってのは?」
「おお!ナイスアイデア!勇者焼きだな!”充填”トワ君よろ~」
「おう!”結界”ここから入れて。」
「おう!ファイア大!、っち、あちちちちぃ。熱っち!」
轟轟と結界内で火が踊る。”ぼん””びきびぃ””ぱきき”カニ焼けているのだろう、甲羅が爆ぜる音が響く…
「大丈夫か?魔力”充填”さらに火力を持続させる…」轟!
「こんなもんかな?」
「いや、10分は焼こう。」
「おっけ~」
…10分後トワ君が結界を解く。爆発的にカニの焼けた芳醇な香りが周りを埋め尽くす。
「うわ!」
「すごい!父さん!」
「うっは!いい匂いだな!勇者印の焼きガニだ。早速食おうぜ!」
「紅茶に引き続き、焼きカニか。勇者御力料理シリーズ。マシューさんが頭抱えるな。ははは。トワ君、先どうぞ」
「あち!…硬くて割れねぇぞ…これ…」
「トワ兄これ!」
先ほどのバトルハンマーを持って来たハセル…おいおい…が、名案でもある?
「待てハセル!”洗浄”それでいいぞ?」
「いいのかよ…おっさん…まぁ頼むわ。ハセ。やってみ。」
「おう!」
”ごかん”
周りにカニの身の繊維と熱いカニ汁が飛び散る…
「あちあち」
「ハセ強すぎだ!」
ほっぺに付いた繊維とカニ汁をなめながら
「生の時より脆い?熱ちいけど…美味いね!」
ハセル君逞しいね。
殻の割れたところから、世に言う脚肉。うどんのように太い繊維を手づかみで喰らう…
「濃いな…美味い…どれ、」
足肉は子供達に。おいらはメインを頂くとするか。
本体をひっくり返して、フンドシの処に槍をねじ込む。その槍を梃子に甲羅を外す!
”ばっかっか!”
より濃厚なカニの香りが漂う…甲羅の中は…あらら内子?オレンジ色の塊と、濃灰色のミソ…じゅるり。こいつは美味そうだ!
収納から匙を出してミソを掬い、テイスティング!ペロリ…うっは!
何とも尿酸値が爆上がりしそうな濃厚なスープだ。…ふっ…これなら痛風発作の痛さも我慢できるな!
……嘘です…激・我慢できないのが痛風…風が触れただけでも痛いのが痛風…おいら、かかとに出るから…歩けなくなるんだよなぁ…そういや、ティラノサウルスの死の一因だって聞いたな…
ハセルとか雹大丈夫か?…こっちの獣人は…。
オレンジの塊が目に入る…今までの考察がすべて無になる。『痛風発作…出たらその時に考えよう!』と…おもむろにオレンジ塊に齧り付く。…ふ、ふははは…笑いしか出ない…内子ってこんなに旨かったか?
「ゴクリ…と、父ちゃん…それ美味いのか?」
「オレンジのだけにしておけよ。こっちのは大人の味だ。」
「わかった!”もぐもぐ”う、美味ぇーーーーー!」
ミソはエビで懲りてるからな。絶叫後、オレンジの塊をもって雹の方へ。御裾分けか?可愛いのぉ。
じゃ、お次は、肩肉を甲羅にほじくりだし、ミソをかける…
「身にミソをよ~~~~く絡めて…ちょい、ファイア!と。」
”ぼふ”
ミソの焦げる臭いが…あ、ああ…。所謂、甲羅焼きだ。ミソも沢山ある!かけほうだいだ!
「…おっさん…美味そうだな、それ。」
「おう、おう。食え食え。っと、ルカちゃん、ルカちゃん。おいでませ。ついでにマリウスもくるか?」
”ぼわん”
と音が出るような白い煙が…
「呼ばれて飛び出てジャじゃじゃじゃぁじゃぁ~…?…。…小娘よ…ウケける事間違い無いとの事だったが…どういうことであるか?」
…現れたのは、マリウス。ご丁寧にクルクルお髭を装備して…
何がしたいんだ?マリウスよ!だが…おいらは好きだぞ!
「あら、思い切り滑ったようね。…アホね。クスクス。おじ様、何の用?」
…こいつ…確信犯だな…遊ばれてるぞ。マリウスよ…
「カニで一杯、如何かと。」
「嬉しい。ごちそうになるわ。ビアで?」
「いや、ここは、蒸留酒のお湯割りだな!」
「いいな!お湯割り!ほら!」
”どん”開封済みの蒸留酒の樽。お湯を沸かして、お湯割りを造る。
「こりゃ、酔うわ。カニも美味いし言うこと無いな!」
「…本当に美味しいわね。」
「フム…蒸留酒とやらも捨てたもんではないな…」
「ああ、楽しみ方は無限だ。果汁をいれてもいい。」
レモンをいくつか出す。スライスしたもの、皮のみ、果汁を絞ったりと各々で楽しむ。
大カニをおおいに喰らい、飲んで騒いだ。皆カニ汁まみれだったので、念入りに”洗浄”を掛ける。
さぁ、寝るか…明日は海だ!…でも、楽しみは半減だ…怖すぎ!異世界の海!
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




