Gの在り様…
らっしゃ!
清算してから宿を出て、支店に向かう。
「おはようございます。店長います?」
「あら、”紅”輸送隊の方ですね。こちらへどうぞ」
…特に何もなく職務をこなした。依頼の品の引き渡し確認作業…ギルドと違ってなんとスムースなことか…。
人種差別もないように見える。各支店に1~2名、獣人がいるし。なるほどギルド以上の権勢を保てるわけだな。本気に就職してもいいかもしれん。
夢の役員待遇だし?前世でも青色申告だったけど、やってることがアレだし?なかなか役員にはねぇ。トカゲのしっぽの実行部隊のつらいとこだわ。今となっては良い?思い出だわな。
店内の物を物色し、日用品などを購入する。この時ルカちゃんも居たのでルカちゃん用の日常品も揃える。
『私には必要ないわ』とは言っていたが、なんだか嬉しそうだった。歯ブラシがお気に入りのようだ。もちろん豚毛の良い奴だ。家用にも大量購入。子供って普通歯磨き嫌がるけど、獣人の子は好きだそうだ。木片やら齧る感じか?傷みが速そうだ。…
養豚が盛んと聞いたので…。
はい。ありました!食肉加工ギルド。子供たちの楽園だ!職員さんに地図書いてもらってゴーだ。
「いらっしゃいませ~」
「仕入れ可能でしょうか?」
「証を…ええ、どういったものをご購入予定でしょうか?」
「これから海洋都市に向かう予定です。」
「でしたら、ドライタイプの腸詰がおすすめです。日持ちがしますし」
「なるほど…一通り見させてもらいます」
ここでは漁港に行く予定なので、肉の加工品がよいようだ。まぁ、売らないけどね。ハム、ソーセージを多めに購入。雹なんかも好きに色々買ってるようだ。しっかり交渉、味見までしてる。ハセルもさっき金貨2枚引き下ろしに来た…20万?そんなに買うなよ…肉。
トワ君もなぜか、豚足を大量購入してた…好きなんだ…そういや、食いすぎるとワキガになるとか言われたな…ははは。おいらもつまみになりそうなものをどんどん購入だ。
「思った以上に時間を食ったな…おまえら聞いてるか?」
…3人そろって豚足食うなよ…父ちゃんの分は?
「”もむ”聞いてるよ。」このやろ。
「まぁ、いいや。本日中にフルミに着きたいね。」
「”もむもむ”ダンジョン寄るのか?」
「今回は無理。依頼優先で。街ブラくらいはしたいね。掘り出し物もあるかもしれない。」
「「賛成!」」””もむもむ””
ん?お前ら!豚足はしゃぶるものじゃないぞ!ちゃんと食え!ちなみにおいらは焼く派だ!新聞紙で手に着いたコラーゲン?を拭きながら食うのが良い…雹じゃないが、骨をゴリゴリ…筋のところを…前歯に挟まるんだよなぁ…でもやめられない。
フルミに向かって進撃中。今日はやけに”G"と遭遇する…
「ハセ!右!雹は直進!おっさんは待機!ぶっふ!」
「笑うなよ~充填!ふぁいあ!」
「おっさーん!森中でファイア!は無し!」
「あ!わりぃ!」
こんな感じで撃破していく。冒険者ギルドに属していないので耳は取らない。放置だ。魔石も面倒だから放置。大物がでればその限りじゃないが…。
「にしても…多いな。」
「村あるかもしれないね…」
「父さん行ってみる?」
「う~ん…G村かぁ~」
「いってみよう!」…
「いるな…うじゃうじゃと…」
「うーん、奴らは奴らでちゃんと生活してんだなぁ。」
原始的とはいえ、火も使ってるようだ。栽培らしき痕跡は無し…森の恵みに頼っているのだろうな。
「ん?どうした?おっさん?」
「Gといえど、ついでに殲滅っていうのはどうかなぁ。と思ってさ。」
「なるほど…そういわれると。そうだね…」
「でも迷惑なんでしょ?」
「誰に?」
「誰にって…誰?」
「そう、おいら達に直接来るんだったら…まぁ、やっちゃうけど…それに他所の国だしなぁ」
「でも、街道は?」
「うん。奴らも頑張って広げた最前線だろう?人類とGの交戦点だな。」
「勝ったほうが占有する。…か。」
「おいら達も一緒だろ?むしろGに近いぞ。獣人っていうだけで。」
「…そうだ…」「…うん」
「というわけで…放置!で。一応王都の商業ギルドには村の存在は報告しよう。撤収!あ~んど…”充填”!」
ダッシュで街道に戻り、再びフルミに進撃!夕方、何とか列に並ぶ事が出来た。
「おっさん、慣れたせいか早くなったな…新幹線並み?」
「うん…身体機能も上がってるし。木に激突したとき”死んだぁ~”っと思ったよ…今でもあの時の恐怖が…」ガクブル…
「まったくだよ…年甲斐もなくハセと競るからだろう…俺も一瞬、やべぇ!と思ったわ。」
…そうなのだ…ハセルと競って森林ダッシュをかましたんだ。トワ君、雹には敵わないまでも、ハセルになら勝てると思ったんだが…思いっきり木に激突してしまった。
幸い防御が上がってたのか、木が爆散、おいらは無傷…みんな真っ青な顔をしてる中、脳裏に爆笑が木霊した。神様のおかげと思いすぐさま祈りを捧げた…笑いのネタ一つ献上出来たようだ。
「うん。父さん無理しないで。」
「父ちゃん。」
「もうやらないよ。肝も冷えた…心配かけたね。ごめん。」
門は問題なく通過出来た。ヴァ―トリーのご加護だな…子供たちの就職先筆頭だな。もっと高度に教育してねじ込もう。
「こんにちは。ここからポリシアヌの国境までの情報あります?と、手紙ね。」
「証を、確認できました。ゴブリンの目撃と、国境付近で盗賊の被害が3件確認されてますね。」
「あ、そうそう、プロスからここへ来る途中、半分からちょいこっち側の森の中にゴブリンの集落がありました。約200人いました。」
「!ほんとですか!マスター!マスター!」
「お静かに…情報ですよ?」
「あ…失礼しました…」
「なんだ?騒々しい…ヴァ―トリー?」
「マスターこちらの方の情報が…」
「…時間よろしいでしょうか?」
「ええ。」
「こちらへ。わたしはここのギルドマスターのサイと申します。」
「私はアヌヴィアトのミッツです。」
「どうぞ、で、情報とは?」
「こことプロスの中間点より、ややこちらよりの森の中に200超え規模のゴブリン集落がありました。街道で会敵撃破数、18ですね。」
「なるほど…目撃例と合致する…情報感謝する。」
「正確には確認はしてませんが上位個体もチラホラ見えました。」
「分かりました…王、領主と協議します。ありがとうございました。」
「いえいえ。失礼します。」
…荷物の確認を終え、宿の情報を得てギルドをでる。ここでは依頼は受けず、海洋国でのんびり?する予定だ。情報料は確認次第もらえるとのこと。
「この足で支店に行くぞ。」
{応!}
「ハセル、我慢しないで食っていいぞ?小遣いやったろ?」
「うん…目移りする…」
「ちゃんと計算してから買うんだぞ?」
「うん」
あっち、ふらふら。こっち、ふらふら。ダンジョン都市だけあって、意味不明なものも多く並んでいる。
…。
「あら、これはいい具合に穢れてるわねぇ」
「あら、ルカちゃんどこへいってたの?」
「いたわよ?おじ様が木に激突したときも。でも、物凄い気配がして吹っ飛ばされたの。危うく消滅するとこだったわ…まったく!」
プリプリ怒る悪魔っ子。
「ああ…爆笑してたからなぁ…」
「…忌々しい…ところで、おじ様~この指輪欲しいわぁ~」
「マジで?呪われてんだろ?」
「人族はダメね。」
「…オヤジさん、この指輪いくら?」
「…こいつかい?止めといた方が良いぞ?大した石でもないし、呪われてるみたいだ…売っても必ず戻ってくる…俺に憑りついてるのかもな…」
「だそうだ?どうよルカっち。」
「ふん!借りていいかしら?」
「止めといた方がいいぞ…嬢ちゃん。」
「祓ったら貰っていい?」
「ああ、大歓迎だ。この指輪もつけるよ。こっちのは粒は小さいが、良い石だよ。」
「おじ様?」
なぜに左手の薬指?親指に装備!
「乙女心が解らないのねぇ」
そう言って人差し指にはめなおす。
「…いうこと聞かないと憑り殺すわよ?……ふん。生意気な子ね。はい、これでここに来ないと思うわ。」
「本当か…なんだか肩の荷が下りたような?ありがとう嬢ちゃん」
「本当に祓ったの?」
「え?祓う?とんでもない。復讐の手助けの約束しただけよ?」
「復讐?」
「私と”契約”したのよ。今後一緒にいる代わりに、”ユー”としとこうかな。この子の持ち主だった子の恨みをはらすって。」
「…なるほど…なぜさっきの店に?」
「あそこに売られたそう。また売りに来るのを待ってたんだって。」
「…なるほど…何された…聞かない方が良いね。」
「ええ。おじ様、この子に魔力下さらない?」
「?いいよ。”充填”ん…ぬお?結構入るな。」
「ありがとう。この子も完全復活よ。」
「あんまり、悪さすんなよ…」
「失礼ね!復讐よふ・く・しゅ・う。なんて高貴なのかしら!」
「はいはい。」
「おっさん、あんまり甘やかすなよ?そいつ悪魔だからな。」
「びーーーーだ。」
「わかってるよトワ君。お!珍しい。教会だ寄って行こう。」
「ホントだ、ゼクス教じゃないな。」
「私は退避してるわ。」
「悪霊退散?」
「違うわよ!不良勇者!ふん!」
ポンと消える。あんま、いじめるなよ。
「こんにちは。お祈りしても?」
「どうぞ。こちらへ。」
そこは小さい教会だが、掃き清められており、中に入ると神聖な気にあふれていた。うちの神像と意匠が違う神様だ。まぁ、うちのは姿が変化しているが…神像の前に両膝を突き祈りを捧げる。…
「ここまで熱心にお祈りをされる方にお会いできて幸せです。」
「いえいえ、いつも見守っていただいてますし。」
「素晴らしい…」
「これ少ないですが…」
浄財を納める。
「こ、こんなに…ありがとうございます。」
「それでは。」
…眷属なのであろうか…神聖な空気が心地良い…
まいどぉ!またのご来店を!




