救出作戦こんぷいーとぉ!だよね?帰るまでが作戦?遠足か!
いらっしゃいませ~
さて、治療でもするかぁ。集団に近づくとグループが3つに分かれている。
…1つ目は奇跡的に再会できた親子。2つ目はそれを羨ましそうに見てる子供たち。3つ目は同様に羨望の眼差しを向ける大人たち…ここに居ないということは…ほぼ絶望だな…
さて。先ずは2つ目の集団に行くか。子供優先ね。
「どうしたぁ。ほら。ここにいるのが兄弟だ。おじさんもいるし。町に行けばもっといるぞー。美味しいものを作ってくれる兄ちゃんもいるぞぉ!」
「ほんとぉ?」
「お姉ちゃんも?」
「うん。みんな兄弟!」
「ああ。みんなで暮らそうな。」
「うん」
「ほら、もうすぐご飯だ!トワ兄がまたなんか獲ってきてくれるよ。」
「おっちゃんありがと!みんな…解ってるんだけどさぁ」
「あ、ああ。辛いよなぁ。大丈夫だ!おじさんが面倒見ちゃる!食うのには困らせんぞ!」
「ほんと!」
「わーい!」
「…ありがとう…おっちゃん」
えぐえぐ…もう!いい子なんだからぁ!おっちゃん干からびて死んじまうぞ!
気を取り直して…1つ目の集団に言いたくはないけど…
「皆さん…奇跡的な出会いおめでとう。嬉しいのは解るが…あれだけの孤児がいるんだ…もう少し控えてほしい。異論があるなら、どうぞ出て行ってくれて構わん。幸せな家族に援助するほど物資もない。きつい事言うが、孤児を優先する…」
「す、すみません…そうですね…貴方の言う通りです…嬉しさのあまり…」
「はい…申し訳ありません…」
「す…すいません…」
「解ります。本当に。私も祝福したい。だが…あれだけの孤児がいるとね…」
「ええ、ええ。配慮が全く足りませんでした…ずうっとあの…羨ましがる目で見られていたのですね…」
小さな猫耳っ子がじっとこっちを見ていた…近づいて抱き上げる。
「ほら、高い!高い!美味しいジュースがあるんだ。みんなで飲もう!」
「うん!」
孤児っ子の中に混じってジュースと、焼き菓子を出して食す。今度は向うの子が…ん?
「いっしょにたべよう。」
ちっこい猫耳っ子が呼びに行った。おう…
「うん」
「いいの?」
「いいよね。おじちゃん?」
「あ、ああ~もちろんだよ!みんなでたべよう!ほら、大人も。みんなでたべよう!」
1、3番目の…大人の集団も交えておやつタイムにする。良い子やぁ…おじさん涙腺決壊中だよ…大人たちも理解したようだ。皆、通常に戻りつつある。子を失った者たちは進んで孤児たちの世話を買って出てくれた。
ってか、治療、治療。さっさと終わらせんとな。黙々と治療を続ける…ふぅ。休憩。
雹が大きな鹿をしとめてきた。トワ君は…なんじゃそりゃ?”ずるずる”と長さ10m近くある茶色と黒の斑の…
「トワ君…それ食えるのか?」
そこには大きなウツボ?なんで陸地に…ウツボ?
「変わってるだろ!すげぇだろ!陸ウツボ?だぞ!かっかっかぁ!」
悪いけど…
「…まずそう…」
「いや、旦那!こいつはめちゃくちゃ美味いんだぜ!おっかねぇーから手出せねーが…流石…トワ様!」
デカい猪を担いだ虎獣人。
「お!もう狩行けるのか?」
「旦那のおかげでさぁ…二度と狩なんて…うぐ…うぐ…」
そりゃ、泣くほど嬉しいわな…足は生えるもんじゃぁない。
「良かったじゃん!頼りにしてるぜ!…名前なんだっけ?」
「あ、ああ、すまねぇ。おれは、アルスってんだ。冒険者しながら、狩人…獣を主に獲っていた。よろしくなぁ旦那!」
…今日もワイルドに塩焼きだ!うち、今まで子供の獣人しかいなかったが…雹でアレだろう…大人の虎人族のアルスさんなんか…猪の大腿骨食い砕くんだぞ…。優しいオヤジで、背骨割って孤児たちに骨髄食わせてたよ。アバラなんか骨ごとだぜ!音もとってもワイルドだ!トワ君も唖然としてたよ。
ウツボ?ああ、めちゃ美味かったよ。一口食って思い出したんだ。小さいころ良く神奈川の叔父のところで食べてたよ。干物や、かば焼きにして。地上進化?のせいか、皮がめちゃくちゃ硬くゴムのようだったが、獣人達には丁度いい?ようだ。…まぁ、喜んでるから良しだな。
「明日は、マーレンさんに任せているキャンプ地に合流するつもりだ。体調次第で安全地帯に向かいたい。朝早く立つのでゆっくり休んでほしい。くどいようだが、国や村が捨てられない者、俺たちを信用できない者、ここに留まる者は出発までに決めておいてくれ。以上だ。ちなみにノリナに安全地帯はある。そこに入ると当面は村から出られないが、援助はする。」
「旦那いいかい?」
「ああ。」
「残る場合のペナルティってあるのか?」
「ん?特には無いぞ?勝手にやってくれればいいさ。もちろん援助は無しだ。そちらは?」
「村から出られないと言っていたが…」
「ああ。考えてほしい。人族の国の中に、獣人の多い村が”平和”にあるんだぞ?しかもそこには魔物も居ない。秘密が多い場所なんだ。人族が知ったら?」
「奪おうとします…人族のみならず獣人だってほしい。」
「ああ。楽天地か…」
「そうだな…搾取しようとするな…」
「だろう?おいら達の許可もいる。安全は保障しよう。はい、君。」
「俺たちは何をすれば…あんたに払う金も無い…」
「そうだね…当面は村や畑造り?得意な分野の仕事?やりたいこと。特殊技能があれば、子供たちに教える教官にもなってほしい。おいらの村は午前中は基本の読み書き計算を教える。子供は全員参加。大人は希望者だ。午後は技能の習得に当ててる」
「教育…教育が受けられるのか!」
「技能の習得!」
「ああ。子供たちの未来のためだ。未来の種に肥料を!ってことさ。こんなもんで良いかな?ん、どぞ。」
「先の質問と被るのだが…生産活動…金の稼ぐ方法についてだ。出られないことには売れない…な。」
「そこらへんも今後の課題なんだよ。当分は自給になるだろうから問題ないけどねぇ。まだ村としての体裁ができていないんだよ。法もまだ。皆で盛り上げてほしい…って感じ?あ、もちろん、他に生きる術、伝手、親戚など頼る所があればそちらを優先してくれ。後…基本、犯罪者は入れない。他は?まぁ、出発まで決めてね。それじゃ早く休んで明日に備えよう。」
その夜からアルス氏と数人の獣人がおいら達の護衛に名乗り出た。ゲージはもちろん、好意マックスだ。
…昨日はザックさんには悪いが言いたいこと言わせてもらった。スッキリ!だな。さーて、本題だ。ちゃっちゃと移動して、依頼を…お魚天国じゃ!
「はーい、皆さん。おはようございまーす!」
ぜぇぜぇ。久しぶりの大声だ…猪の時の悲鳴以来か?
「父さん。大声出さなくてもみんな獣人だから聞こえるよ?耳良いし。」
「なに?ほんと?」
「ああ、旦那大丈夫だ」
後ろの方の人も頷いている。
「では。改めまして、おはよう。」
{おはようございます。}
「早速ですが、此処に残る人はいますか?」
「はい。私達は残ります。皆も、もう一度考えろ!相手は人族だぞ!奴隷にされるか、売り払われるかだ!」
ああ、どこぞの金持ちだった人か…あの子の親だな。可哀そうに…
「誹謗中傷はやめてください。そんなことのために、大国にケンカ売るバカは居ないでしょうに…失礼ですが、あなた達に渡した食料や、足の治療のほうが遥かに高価ですよ?例え、皆さん全員を売っても、一人分の再生費用にもなりませんよ?」
「そうだ!旦那の言う通りだ。」
「金貨何百、何千て聞くぞ!」
「無くなった足をくれたんだ…俺は奴隷でも構わん。尽くすぞ。俺は。」
「ああ。」
「…し、しかし、お前達!人族だぞ!私が新しく村を…」
「貴様等も足を治してもらった口だろ…なぜ、治してもらう前に言わない?人族の世話にはならんと!昨日だって何も言ってなかったではないか!卑怯者め!」
「そうだ!治療費払ってから言え!」
「村長になりたいだけか!」
「まぁまぁ、あなたの家族は残ればいいでしょう。この国に。皆の和を乱すものは要らない。決定ね…そちらの家臣?さんも自分の意志で決めてな。子供のために。さて、ほかには?」
「おい!私の家臣に余計なことを吹き込むな!」
「先に余計なことを言ったのはあんただろうに…これ以上喋ると…斬るぞ。消えろ!」
「くっ…行くぞ。…おい?どうした!」
「給金は頂けるので?」
「…今は無い」
「なら私たちは残ります。」
「…恩知らずが…勝手にしろ、いくぞ。」
「坊主だけでもいいいぞ?」
ちらりとこちらを見て親の後についていってしまった。
「子供だけでも救いたいが…仕方ないな。家族を取ったんだ…」
「ああ。」…
「昨日、生えた…治った方、調子はいかがですか?」
「自分の足なんですが…感覚が…」
「笑っちゃいますね…生やしてくれてありがとう。半分くらいの力なら…」
「よし。」
「旦那…お願いがあるんだ…」
「え~と…アルスさん、どうしたの?らしくない。」
何時もワイルドなのに?妙にしおらしい…便秘か?
「無理を承知で…旦那の早駆けの力を借りて…もう一回、パキュラに連れて行ってはくれないかい?」
「何も無いよ”屑”以外。」
「門の近く、街道でいい。最後に、最後に確認…運よく到着してるやつが…」
「解ったよ…みんなの意見は?」
{お願いいたします。}{同胞を}
「解りました。ルカちゃん。ルカ?…あれ?いない?」
「ここは俺がいるよ。」
「じゃぁ、雹頼む。」
「大丈夫。カイアさんや、トニさんもいるから。」
「?」
「元冒険者なんだって。昨日から稽古見てもらってるんだ。」
精悍な若者が列から出てくる。長い漆黒の頭髪、鋭い黄金色の眼光…跪き、
「足を治していただき感謝します。私はカイア。黒豹人族の戦士だ。この力、ミッツ殿の自由に使ってくれ。」
その後ろに、ああ。いたな。第二テントに。最初にどうすっかなぁ~って悩んだ獣人だ。デカいんだこれが…誰も担げんて。白髪じゃなくハクハツか。筋肉の塊が跪く
「俺はトニ。白熊人族だ。貴殿は俺に足をくれた。感謝する。」
「息子がお世話になったようで。トニさん、足は大丈夫か?まだ細いようだが…」
「心配無用。そのうち。食ってればもどる。」
「そ、そうか…武器渡しておく?」
「まだ我々は信用を得ていないでしょう。人族位、素手で大丈夫ですよ。あ、失礼。」
「それはいいけど。何使うの?」
「私は双剣。」
納得…
「俺は斧」
もっと納得…
「う~ん、とりあえずコレをカイアさん、で、おっと、こいつをトニさん。鹵獲品だけど一応ね」
「いいので?」
魔眼で見ても友好度…もはや忠誠心だな…
「構わないよ。裏切られたら見る目がなかったってことで。ただ、同胞には向けるなよ?」
「期待に応えますよ。それに、呼び捨てで結構ですよ。」
「うむ」
「雹たのむな。じゃぁ、ちょっくら行ってくるわ。充填!」
さて。幸運の持ち主はいるのか!
本日もご来店ありがとうございました。




