悪魔っ子召喚!
いらっしゃいませ~
クリスタルがあると思われる部屋…そう。この旅の目的地の一つだ!
「開けるぞ!」
「「応!」」
”ばん!”扉を蹴破り、部屋に躍り込む!
そこには大きなクリスタルと3人の神官、それに…!あれは!オウン?!
「トワ君!奴だ!何か持ってるぞ!斬れ!!雹は神官を!」
「きさまは?! ”びしゅ!” はわわわががぁ…きさ…きさまぁあああ ”ピュン”…」
トワ君に向かって魔道具を持った右腕翳すオウン。その直後、腕は肘から先を飛ばされ、返す刃で、その首を高々と飛ばされ、さらに体にケリを入れられ吹き飛ぶ魔術師長。
そもそもの発端の一人だ。
”どすぅ””ごろり…”
飛ばされた首が、おいらの足下に。じろりと黄色に濁った眼を向け、口ももごもごと動いている…
「ったく、性懲りもなく…コイツは!」
”どがぁ!”
渾身の力でオウンの頭部を蹴とばす”どばっしゅぅ!”ものすごい勢いのまま石の壁に…”ぶちょきききぃ”あれ…潰れてもうた…。
「あれ?」
「珍しく殺気が籠ってたな…おっさん。今度は”魔纏キック”?」
「いや、”魔纏ドライブシュート”としよう!岬君!…しかし、今思うと楽に殺しすぎたよ…もっと」
「?誰だよ、岬君って?」
知らんのかい?
「父さん、トワ兄、早く始末を。」
「ああ、”収納”」…あれ。
「ん?このクリスタル…入らんな?もしや?」
その時4体の屍から、灰褐色の珠が出でクリスタルに吸い込まれる。
予感は的中!臨界!
「トワ君!注意!出るぞ!」
「応!」
<なんだ!貴様らは…この私のクリスタルに気安くさわるな!無礼者め…ん?さっきの爺は?…王国もろとも… 「お前って悪魔?」(トワ) …フフフ…この私の力を見せてや… 「さっさと出てこい、真っ二つにしてやるよ!」(ト) …活きのいい…生贄じゃぁあ無いか…私の姿をみて 「いいから早くしろ!クリスタルごと叩き切るぞ!」(ト) 斬れるものなら斬ってみよ!フフフ私を斬れるものならな!フフフはははははぁ 「お前…おもろいな。ビビり君。君の相手してるの、この世界の最後の勇者だよ?何回も割ってるし。」(ミッツ) はは!?ビビりじゃないよって…本当? 「うん。本当。」(ミ) …>
「さっさと出てきやがれ!」
魔剣を構えて吠えるトワ君!
<あんなにガラ悪いのに勇者?>
ちょっとびびってる悪魔さん。
「うん。間違いないよ。ほら、じれて、勇者の波動が出てる…」
トワ君の呼吸に合わせて、何やら尋常でない気配が漏れている。今にも叩き割りそうだ。
<…あ、ほ、本当だ…あれれ、それ…聖剣?…マジ勇者…今から出るんで…斬らないでお願い!…>
「トワ君ステイ!」
「おっさん。ソイツは…斬る!」
<…ひぃいい!…おじ様許してぇ…なんでもするから!調子こいてました!ごめんなさい。…>
「…こいつほんとに悪魔か?」
「さっさとクリスタル仕舞いたいのだが…出れば仕舞える?」
<うん。斬らない?>
「お前が反抗しなければな」
<でます。でます。…こんにちは」
そこには小さい羊角、こうもり羽、矢印尻尾…元の世界で言うこれぞ悪魔!という見た目のちんまい悪魔っ子(女の子)が居た…
「…これは…斬れんな…たんま。トワ君。」
さすがのトワ君の剣先も鈍るか?
「ふ、ふははっはぁ!やっと私の 「やっぱ、面倒だから…斬っちまおう!おっさん。」 …ホントに勇者!貴方!」
「文句あるか…」
勇者の波動!
「ひぅひぅ…ああ」
あらら…失禁。爆泣きだ。
「トワ君?」
「トワ兄ぃストップ!可愛そうだよ…まだ小さいのに。」
「なぜに、俺が悪役?それにそいつ、見かけ小さいけどババァだぞ。”悪魔”だし。」
「ほんと?」
「わ、わ、私…」
「ほら可哀そうだから。トワ兄。」
雹が悪魔っ子の頭を撫でてる…ほっこっりするなぁ…死体がなければ…オウン…潰れた顔でこっち見んな!
「まぁいい。さっさとここをでるぞ。ほら、こっちおいで。悪魔っ子。”洗浄”。雹、此処に捕虜は?」
「いないみたい。」
「行こう!」
「こっちに宝石の臭い~」
悪魔っ子…
「お前さんは生贄より光物かい?」
「ふん。私が魂を得ていたら…」
「こら、俺の父さんの悪口は許さないよ」
「…ごめんなさい」
あれれ?懐いてるの?
「ここ?」
「うん。ここ。」
”ぎいいいぃぃぃ”
「わお!」
宝石が山盛り?裸石だな?召喚用か?
「まとめて”収納”しておくよ」
「…」
残念な顔すんなよ…
「…それは持ってていいから…」
「うん!」
…よくわからんが光物すきってことか…いや…なんか禍々しいぞ…その石…?
「雹この辺りには…」
「いない。」…
「上に行ってみよう…」
”こんこん”
「はいれ!…なんだ貴様”どっご!”うぐおおおぉ…おぐぇ」
鳩尾にケリ…あれはキツイ。ドバドバ出てるがな…
「きたねぇなぁ。入ってこい言っただろ。」
…鬼畜だな、トワ君。ケリ入れといて…
「おじ様…あれ本当に勇者?」…。
返答に困るのだが…トワ君。
「まぁ、貴方の役職は?」
「ごふぉ、ごふぉ…貴様た”ぼっこぅ”ぐひあぁ」
「質問に答えてください。」
「ぐぅう…」
「さぁ。」
「わ、私は、聖王国の枢機卿、ジダマラーだ控えぇ”ごきぃ”ぐええぇ」
「何だ…今回の元凶じゃん。らっきー」
「トワ君今の強すぎ…さて、生贄の方はどこ?」
「ひぃ。やめ、やめ、」
「教えないともう一発 ”どぐぅ” 「ぶひぃ」 …トワ君早いよ。ほら教えて?」
「ここの、ここの国のごふぉ。この国の者が…」
「もういいじゃん」
「だね…」
「殺しちゃうの?この小汚い魂、貰っていい?」
「ん?力を貯めて悪さすんのか?お前も斬ろうか…」
「ち、違うわよ。こんだけ汚いと食えないわよ。悪魔でも腹壊すわ」
「ぷっぷ、悪魔さえ拒否かい!枢機卿ともあろう方が!ははははは」
「うける~」
「ぷくっく」
「でさぁ、こんだけ小汚いといじめ甲斐があるのよねぇ。ぐりぐりするのよ」
ぐりぐり?
「で。お前の手先にして悪さすんだろ…」
「もう…疑り深いんだから…しませんよ~だぁ!こんな屑!さっきのジジィもげっとしたしぃ。見る?」
「オウンか?見られるの」
「ほら」
…悪魔っ子の左手に握られてるのは…ちいさい人形…オウンだ。判る。散々コケにしてくれたもんな…こいつ。
『は、はなせ!』
「この人形?しゃべるんだな…」
「そうよ。コイツに聞いてみれば?」
「オウン久しぶりだな生贄は?」
『き、気様は!お前”ぶちいいぃ”んんぎゃ!』
右腕を引きちぎる…悪魔っ子。まんま子供が人形遊びしてるようだ…
「ほら言うの。」
今度は右足を…
『うぎょ!ああ!』
”ぶちぃ!”引っこ抜いた…
「死んじゃう?」
「死なないわよ?…ある意味、すでに死んでるし?」
「気が狂う?」
「なんで?」
「…痛みで?」
「なんで?それじゃつまんないじゃない。悪魔に魂を握られるってこういうことよ?ほら。”ぶっつ”」
「…」引っこ抜いちゃダメだろ…首…
”ぶぎちゅ”ぐいぐいと首に頭をねじ込む悪魔っ子。
「ほら、元通り♡」
…だが、
「…前後ろ反対だぞ?」
「ん?あら失礼。”ごっ”これで良いわね。」…おう…
まんま、小さい子のお人形遊びだ…。
「さぁ、質問に答えて。もう一回抜くわよ。」
『いう、いうぅうう。こ、ここから西の開拓村にぃ』
「…ちゃんと覚えるのよ。ご主人様は、私。はいご苦労」
ふっとオウン人形が消える…
「で、そこの屑のも欲しいの。ねぇ、おじ様。」
「いいぞ。お前にくれてやるよ。クソ悪魔、だから言うこと聞け!」
「…不良勇者の?」
「斬るかなぁ~」
「おじさまぁ、不良勇者が虐めるの!」
「はいはい。そこまで。で、悪魔っ子はどうすんだ?そいつオミヤにしていいから、魔界とかに還るか?」
「う~ん。おじ様たちが死ぬまでいようかなぁ。どうせ100年そこそこでしょ?戻っても暇だしぃ。おじ様に取り付こうかしら?」
「おいらも一応勇者枠だぞ?」
「…じゃぁ、この獣人のお兄さんにしようかしらかっこいいし。優しいし。」
「迷惑な…」
じろりと一睨みのトワ君。波動出てるぞ。
「な、なによぉ直ぐに聖なる波動を垂れ流すんだから…あ~やだやだ。嫉妬?」
「このクソ悪魔…死んどくか?」
「ひぃ」
「トワ兄…」
「雹のタイプか?」
「?タイプ?ただ小さい子だから。」
「…雹に迷惑かけんなよ。誑かしたりしたら…」
「わ、わかってるわよ!よろしくね。私は…そうね、ルカとでもよんで。」
「…ルサールカ…か?」
「あら、おじ様、博識ね…ホントはもっと長い名なのよ?」
「元の世界と一緒か…」
「そりゃそうよ。元の魔界は一緒よ?何処に呼ばれるかってだけ…」
「あ!そうか!」
衝撃の事実?
「そうよ~おじ様の世界…地球でしょ?あそこは出現しにくいのよ…魔素ないから。大悪魔よ~わ・た・し」
「そうなのか?おっさん」
「ああ。」
「斬るか?」
「何でそうなるのよこの不良勇者!」
「やっぱり…斬る!」
「トワ兄…」
「雹君助けてぇ~♡」
「ほらほら。村に行くよ。ルカ、さっさと抜いちゃえ。あげるよそれ。」
「よ~し!…貴様程度に我を御せると思ったか?愚か者め!」
お!雰囲気がガラリと変わった。ルカの手が枢機卿の胸に吸い込まれる。
「ひぃ!貴様ワシ”ずん”ぐぅうううぅ…やめよ、ワシは、ワシは…助けてぇ、お願いだか…ら…」
胸をまさぐり、引き抜いた手には人形が握られていた…ごとり”魂を抜かれた身体が床に崩れ落ちる。…
『は、はなせ!助けてぇ助け”ぐち”ぶきゅる』
「うっさいわ屑。今から私がご主人様…解った?屑?」
だから抜かないの…首…
「おじ様これも貰っていい?」
うん?オウンが持っていた魔道具…
「それは?」
「ほら、この世界では私に関りのある物なのよぉ。おじ様の知ってるグリモワールみたいな?」
「…効果は?」
「人形入れよ。ドールハウスみたいな?ほら、六芒星の真ん中にさっきの宝石をはめて…と。”しゅいん”」
おお!変形した!パタパタと、壁面?が展開し、ルカの手の一抱えはあろう、大きさの洋風のドールハウスに。
「でここにいれると…」
おもむろにオウンを出して、煙突?に刺し入れる…
”ぶちちちちち”
『えぎやーーーおうおうおうぴぷぷ』…
「自動拷問装置付きよ。」
うぉっぷ…悪魔に魂を売るってこういう…
「…いいよ。」
「さんきゅ~♡」
「国王豚野郎のも抜いちゃえ!」
「いいわねぇ、屑の親分かしら?」
「ああ、大王だな!屑大王だ!今からいくか!」
「行かないよ……ん?…よく見ると、心臓発作みたいだからいいかもな…」
「父さん!目的は…」
「元凶そのものを断つのも…」
「おっさん、惜しいけど、今回は良しとしようか…子供たちの救出が先だ…ここの状況がバレたら、不要の生贄は…」
「殺されるな…証拠隠滅で…」
「そういうこと。急ごうぜ!」
…だな。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




