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ゴブリン祭りだ!わっしょい!わっしょい!

いらっしゃいませ!

 ”魔の森”の真っ只中!ブッシュの合間から次々と湧き出る、緑色の小人。

 一応、腰ミノのようなものを付けているが…ブラブラさせてとびかかって来る。そう。ゴブリンだ。

 ぜぇ、ぜぇ、これで何匹目だ?今日はやたらにゴブにエンカウントする。

 ゴブリン・フェスティバルか!先に見つけられるので先制できるが…正直しんどいわ。この近くにゴブ村でもあるのだろうか?

 

 「ふぅ、ふぅ、おっさぁ~ん、何匹目?」

 丁度、一匹、突き伏せたところで聞いて来る。

 「ぜぇ、ぜぇ、20から先は数えてないよ。」

 「もうすぐ町があるはずなんだけど…ゴブにやられてたりして。」

 「おいおい。フラグ建てんなよ~」

 「あ、やばいね~っと!」

 ”ばっしゅ”

 躍り出てきたゴブの頭が飛ぶ…容赦ねえなぁ。おっと!こっちも

 ”ずぐぅう”

 槍先がゴブリンのアバラをこすりながら奥へと滑り込む…

 命のやり取りが、もう”日常”になりつつある。肉に滑り込む感覚…アレだけ嫌だったのに。今は何とも思わない。まぁ、今はそんな余裕はないがな。

 

 槍を抜く手間を惜しみ、刺さった槍を捨て、新たな槍を”収納”から、出し、構える。だいぶ様になってきた。出てきては突き!出てきては突く!!周りにはうごかないゴブが散乱している。

 今はただ、刈り取るだけなのでいいが、解体やら、討伐証明部位採取などの作業が入ってくれば、気分下げ下げだろうなぁ。

 ラノベ知識じゃ耳落とすとか…だいぶグロ耐性はついたと思うのだけれどね…

 捨て置いた槍を抜き集め、穂先、柄。槍の状況を確認する。

 

 「まだ行けるかぁ。手入れしたいとこだけどな…」

 大分傷みが見られる…この槍なんか、木柄がポッキリ行きそうだ。

 「まだあるよ。たくさんパクってきたし。」

 「一人補給部隊か!って武器庫空じゃね?そだなぁ、5本回して」

 「らじゃ。だって、無限に入るんだぜぇ~パクってこないほうがおかしい。もちろん、空だが?なにか。」

 「てか、ばれないほうがおかしい…」

 「戦争時備蓄の倉庫からだから?まぁ、いいんじゃね。あの国どうなっても。」

 うん。無問題!

 「備蓄!いざって時武器や、食料が目減りしてるのか!定期的に在庫管理してるといいね…南無… ”ごうぅ!” !うぉ!」

 「おっさん!」

 目の前をソフトボール大の火球が過ぎていく…スピードはそうでもない。魔法?か?

 「あちち、くそ!魔法か!」

 アフロになったらどうすんねん!

 「どこだ!どこから?」

 「!、そいやぁ!」

 トワ選手、振りかぶって投げたぁ~おい!見えんぞ!石!!

 ”どごしゃぁあ”

 食らったゴブリン、頭が爆発っ!まじか!ますます人間離れしてんな…

 「おっさん、遮蔽に入いるぞ!いそげー」

 ふむ。石一つで…skill生えればいけるか?

 「おいらも投球極めるか?」

 「おっさん、考え事はあとだぁ~」

 火球が2個過ぎていく…”ごっ”背中に衝撃!!!ぐぁ!当たった?熱い!熱い?熱い…あれ?

 「すげーな!おっさん!魔法バリアか!結界生えた?」

 「あれれ?生えてないよ…」

 「…結果オーライ…魔法個体風ゴブ、四匹確認!つっこむぞ!」

 「…おう!」

 

 どうもおいらには火球くらいは効かないらしい。吸収、自分の魔力に変換するようだ。

 新しい権能か?魔力量MAXだからか?それよか回復魔法効かなかったら…どうしよう…。

 魔法ゴブを切り伏せ、戦場を離れる。さすがに休憩しないと。

 

 「おいら達…本当に人の領域に近づいているんだろうか?」

 人里に近づくというより、ゴブ里に近づいているのではないのか?…そう思えてくるほどだ。

 干し肉を齧りながら言う。”むぐ…”もう少しスパイス効いてたらいいんだけどな…惜しい。

 「ん…この地図だとね…まぁ、精度は知れてるけど。”むぐむぐ”。テンプレのスタンピードかぁ?」

 肉の塊に豪快にかぶりつきながら答えるトワ君。ん?塊肉?

 「トワ君、それ…」

 「このあいだのバーベキューの残り。冷めないの。マジ”無限収納”優秀。おっさんも食う?」

 「いや、おっさんにはヘビーだよ…若いっていいねぇ」

 「ん?おっさんも若くなってるよ。引き締まったっていうのか。随分と若々しいよ。」

 「トワ君から若若成分吸ってるんかなぁ」

 「キモ、近くに来るなぁ~」

 とたわいない会話。にしてもこのまま進むべきか…

 

 「ん?」

 「どう 「しぃ!」 ん…」

 さっと大木の陰に移動。身を伏せる。

 「向こうのほうに大きな気配?強そうって感覚?が…」

 「やり過ごす…」

 「む!…無理っぽいかもね…向こう気づいてるっぽい…」

 「おいらのバカバカ。油断しすぎた」

 「とにかく迎 《ぐごぉぉぉぉおおおおおおおおおおお~~~~~~ぅううん!》 …撃…だ…」

 「…ひぃ。ひ…」

 あ、あかん!ビビって動けん!萎縮?威圧?

 ゴブリンの叫び声?こんな大音量?脚が…指が…固まる…。と、トワ…

 

 「うぉおおおおおおおおお~~~」

 ゴブリンの叫びに対抗するかのような勇者の咆哮!!その裂帛の気魄が、おいらを呪縛から解き放つ!

 う、動ける!よ、よし!槍を!

 

 ”ずん、ずん、ずん!”

 向こうから悠々とあるいてくるゴブ…でかいがな2.5mはあるのでは?…小鬼違うんかい…ゴブって。

 オーガってやつかぁ?でも緑でゴブを引き連れている。なるほど…ゴブが進化するとオーガになるんだな?

 

 …ヤツ!は余裕があるのか、ニタニタ笑いながら、周りのゴブに指示を出してる…こっちをなめ腐ってるな!


 鑑定!

 ・ゴブリン指導個体 ”キング” ゴブリンの指導個体(♂)。ゴブリンに指示を出し、通常は集落にいる。大抵【指揮】のskillを持ち、率いられてる個体のSTを増加させる。多くの上位個体の中に埋没しているので、討伐は非常に困難。個体能力も非常に高い。侵攻が始まれば大きな村も地図から消えるだろう…やるのか!死ぬな!…まぁ、観ててあげよう!がんばりたまえ!ふはははは!

 危険度★★★★☆


ぐはぁ!キングかぁ!オーガじゃないのね…トワ君もさぞかし…。ん?ヤル気に満ちてらっしゃる…。いつから戦闘民族に?

 「油断してるぞ!あいつ!なめやがって!これでもくらえ!」

 トワ君、振りかぶって…投げた!ってそれ!魔石のかけらに魔力ビンビン込めたやつじゃん!一掴みって…散弾銃?いや、対人地雷?

 辺りに轟音がとどろき、土埃で覆われ、視界が制限される。

 まさにクラスター爆弾だ!

 

 「油断するなよ!おっさん!」

 「応!」

 …もうもうと土埃が舞う。

 

 「油断するなよ。」

 「おう。」

 …もうもう…なんか…臭いな…

 

 「油断…するな…よ?」

 「お…う…?」

 …土煙が晴れて来た…

 

 巨大ゴブの居たところはきれいさっぱり薙ぎ払われ、モザイクが必要な状態に…。ああ~あ。周りにいた普通のゴブリンも一網打尽?巻き込まれて木っ端微塵だ…。で、肝心のキング…は?

 ”ずるり、ずるり…”

 あ、上半身だけで生きてら。さすがキング…下半身は臍の辺りで吹き飛び、出ちゃいけないものを引きずりながら、手だけでこちらに、にじり寄る…その目…異様にギラつかせながら。

 

 「おっさんトドメ!」

 トワ君の叫びで我に返る。

 「えぇ!」

 な、なんですと!

 「経験値がっぽりかもよ?レベルあるか知らんけど?」

 「お、おう…。で、では…頂きます…」

 

 槍をキンゴブの首に差し込む。寸前まで、たぶん罵声を浴びせていたキングも口と首から大量の血を吹き出し、動かぬ物となった。

 

 「使えるな!おっさん謹製、御池印魔石爆弾!」

 「物騒な名前つけるなよ…まぁ十分物騒だけど…」

 

 これは召喚の部屋にあった上質な魔石をナイフの形加工できないか試したときにでた欠片や削屑だ。

 加工のほうはナイフの形になったが刃が付けられずお蔵入り。脆そうだし…

 で削屑に魔力パンパンに込めてトワ君が結界に包んでもってた。実験が実戦になってしまったけど、攻撃手段が増えるのは喜ばしいものだ。

 

 「ゴブリンの魔石も集めるかぁ。ゴブリン魔石弾!うまく加工できたら”銃”の火薬になったり?」

 「トワ君が投げたほうが兵器だよ…」

 「試しに”キング”バラシてみて魔石取ってみる?」

 「…そうだね。剥ぎ取りは何時か通る道…やってみようか…」

 「どこにあるかぁな~♪どこにあるかなぁ~♪」

 メンタル強いのぉ~おぬし…

 

 ”ぶすり、びーーーーーぃ…ぐちゅり。”

 

 「…おふぅう」

 無事に心臓のわきにありました。直径20cmくらいのスモークブラウンの玉だった。

 

 「…あふうぅ。こ、これか。」

 「げ、結構くるね…てか、召喚の間の魔石…デカすぎね?キングがこれだし。ドラゴンとかだよ絶対!」

 「かもね~一財産になりそうだね。売れればだけど…ドラゴン魔石爆弾!ロマンやぁ!」

 「おっさんロマンって…使用済みじゃん…城、半分消し飛ばしたじゃん。」

 「あ。」

 「でも、今回は相手が油断しまくりだったから良かったけど、まだまだ鍛錬しないとだね。」

 「そうだね…ほんと、咆哮食らったとき死んだとおもったよ。さんきゅ~」

 と、強敵?との邂逅は何とか乗りきることができた。ふぅ。背筋が凍ったぜ。変な汗でびっしょりだ。はぁ。熱い風呂に入りたいよぉ。 


本日もご利用ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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