今度は、森の中ぁ~獣人さん達にであったぁ~
いらっしゃいませ~
”ゆさゆさ”
「おじさま…起きて。」…
誰じゃぁ~ワシの安眠を妨げる奴わぁ~祟るぞぉ~なんてね。
結構日が高いな。寝たわぁ。
「ふあぁ~良く寝たわ。復活!で、何事?」
まだついてないようだけど…臭いヤツの襲撃か?
「盗賊さん?がいるのよねぇ…」あら。
「さん?殲滅しないの?」
「それがねぇ…」
そこにはずらりと土下座する獣人たちが居た…
「盗賊が殲滅・討伐対象だってわかってますよね…」
土下座する、いかにも純朴そうな…農民だろうか…獣人達に問う。
「はい。しかし…もう…何も無いのです…本当に何も…」
「どこの村にも、街にも入れず…ここら辺の木の実も取りつくしました…」
「家財も盗賊に壊されて…何とか撃退はしたのですが…子供もいるので…」
追い詰められてるなぁ…
「どうしてこのような事態に?」
「私たちは、ディフェンの者で…ノリナの国境近くの村で農業…小作人でした…ただでさえ場所が無いのに…ディフェンで子供狩りが始まりました…」
「抵抗した…多くの者が…」
「なんとか国境を…越えたのですが…こちらでも我々の扱いは変わらず…」
「教会が手を貸してくれると聞いたのですが…」
「こ、子供狩り?」
物騒ワード!
「ええ…獣人の子供を軍が連れて行くのです…隣町に来たと聞きましたので…」
「そのタイミングで脱走しました…」
「もう…後が…で、お願いして…少しでも…食料を分けて頂けないか…と。」
「他の村の者も合流して…人数が増え…とうとう賄えなく…今日…」
「今日が盗賊始めってわけだ。」
「はい…」
「そんなガリガリで…農民が冒険者とかの護衛に勝てると思ってるの?」
と、呆れ顔のセツナっち。
「お願い…って。いきなり斬られちゃうかも知んないぞ?」
と、心配顔のトワ君。優しいからなぁ君は。
「い、いえ…我々は…口減らしです…特に能力もありません…」
「食料を貰えれば上々。死んでも、他の者に私たちの分の食料が回ります…」
「逃げて…あがいてきたのですが…我々には厳しいようです。」
「この世界…もはや未練はありません…この命と引き換えに…食料を…」
ここまで追い込まれているのか…難民問題かぁ。
「はぁ。仕方ない…皆はどこに。案内して。」
「おっさん?」
「!、皆の命は…金も…何もありません!」
「食料を分けてあげるよ…こう見えて、マジックバッグにはいってるんだ。」
「あ…ありがとうございます…」
「ありがとうございます。」
「さぁ…どうしようか…な。今後…」
「…受け入れよう。おっさん。」
「が、…依頼の途中だよ?」
ま、それしかないわなぁ。物資だって尽きる。そうすればまた同じことを…この国は獣人には厳しい。
「日程的にも余裕はあるよ。食糧を出して、ゴルディアにダッシュ!一回戻ろう…」
「ふむ…しかし…どうやって街に…」
これが問題だ。南門からでも無理だろう…
「一足早くおっさんに帰ってもらって…転移門の設置…ってのは?」
「父さん俺も…お願いします。」
「取りあえず獣人たちの話を聞いてからね。セツナっち達はどうする?ここにいる?すぐ戻るよ?」
「う~ん。お爺ちゃんどうする?」
「ふむ。ワシ等は、此処で待機でいいかの。丁度休憩ほしかったんじゃ。」
さすが老師。流れを見てくれる。年の甲だな。
「じゃ、トワここ良い?軽くなら飲んでても良いわよ?」
「…わかった。おっさんを頼むよ。爺ちゃん飲るか!」
「「「「おう!」」」」
…ヤルが、飲るに聞こえるのだが…
「ほどほどに。」
…森の中を進む。この辺りはまだごく浅いところなのだろうか?
「魔物はいないの?」
「この辺りでは見ていません…少し先には盗賊のアジトがあります…」
「この先です…」
…そこにはモンゴルのパオみたいな大きなテント2つ…
「長…」
「おお、帰ったか…首尾は?」
「それが…」
「援助を申し出る方が…」
「何?」
中からのそりと熊人族の男が現れた…
「その人族がか?なぜ、殺して奪わないのだ?」
「…助けていただき、援助の申し入れを頂いたのです。」
「人殺しなんて…」
「あんたが長?農家には見えないが?そのガタイ。」
「俺は元冒険者だ。パーティで此処を守ってやってる。」
「へ?貴方達が食料調達をすればいいのでは?さぞお強いのでしょうに。」
「ふん。俺たちは守るためにいるのだ。」
「何だ…腕力を傘に着た屑か…」
「な、なに!」
「俺たちは一応襲われたんだ。盗賊のカシラとして斬っても良いんだぞ!」
「お前のようなジジイに?ふはは。相手してやるよ。」
「抜く?いいよ」
「ジジイ!覚悟 ”ごきぎぎぃ” ご?ごぐうううぃいてえ!」
腰の剣を抜いた熊男。その右手を素早くつかむセツナっち。どうネジったらああなるのか…手首、肘が完全に破壊され、古びた雑巾のようにネジくれている。
「はい。抜いた。右手は貰うわねぇ。」
「ぐぅぎぎぎいぃぃ」
そのまま地面に突き刺すように、叩きつける。
「さぁ、この村の住人は何人います?」
「さ、35人です。この方のパーティ5人合わせて40人です。」
「ぎぃ、ぎ、貴様!」
「なにごとだぁ!」
「うるさいわねぇ?殺すわよ?」
「近寄ったらこの女殺すぞ!」
パオから屑が半裸の女性を盾に出てきて吠えている…バカが…知らん女に怯むか。アホ!
「あ、あなた…」
「な!何で…長!襲撃に参加すれば家族は…こ、子供は!」
「ふ、ふん!どうせ死ぬんだ、お前にはいらんだろうが!」
半裸の女性は娼婦ではなく?決死隊の妻…屑確定だなこりゃ。
「屑共…」
「おじさま。いいわね?」
「ああ~いす、ランス!」
返事と魔法の複合スペル?だ!人質をとってた男の足元から氷の槍が…股間から貫く!”ぐちゅぐ”
「くえ?ひぃひいィい…ぃ?いいいぃぃぃ…」
はい。かっちこちの氷像のできあがり!
「おおぎききぃ」
”ごきりぎきき”
顔があらぬ方に向いている男…
雹君…それ、マイブーム?やめようよ…父ちゃんドン引きだよ…
「くそがぁ!」
テントから猫系の獣人が踊りでてきた!瞬間に! 「ふん!」
”ざおう”
真っ二つ?ハセルちゃん。お主もか…にしてもすごい膂力だな…ちっこいのに…普通の剣だぞ。流石、獅子族!
「これが最後ね…」
女の首根っこを掴んでセツナっちが現われた…
「このパオこいつ等だけで使ってたようね。金貨もあったわよ。後、女の人も…屑ね」
「あ、あんた!クソぉ!放せガキが!殺…”ぐぎゅむ”…すぅ…」
「うるさいわねぇ ”ごきぃい” 「てひ?」 …はい。静かになった。」
プラプラさせないの!おもちゃじゃないんだから!
「あ、あ、何で殺した…」
地面に這いつくばっていた熊男。
「お前たちが先に仕掛けてきたんだろうが…。賊は処刑だ。」
「くそ!じじ ”ぴしゅ” …」
”どさっつ”
「がふ、がふがはぁ、が…」
雹のナイフで真一文字に喉を掻き切られた自称、長の熊男。
「うるさい。それ以上父さんに馴れ馴れしく語るな!」
雹君…おいらはどんな顔をしたらよいん?
「さぁて、皆さん、ごろつきは死にましたが…これからどうします?」
「あ…あ、なんてことを…」
「貴様!」
「違うぞ…盗賊になって、襲った時点で、我々は命を掛けたんだ。」
「そ、そうだ!お前たちだって盗賊の末路くらい知ってんだろ!」
「し、しかし!」
「ええ~と、別に全員でなくていいんで。そちらの不満のある方は席を外していただいて結構。こちらの話ですので。」
「これ以上グタグタ言ってないで今後の身の振り方でも考えれば?死にたいの?」
不満を言っていた人物たちが席を立つ。
「その子はあなたの子じゃないでしょ?孤児はおいてって。」
「私が面倒を見るのよ!文句ないでしょ 「あるわよ。お金、食料があればいいわよ。道連れはやめて。」 …っ」
「さて、残った人は…25人ですね。私の村?に受け入れる準備はあります。ただし、生活と引き換えに村から出られなくなります。奴隷とかではなくて…とても特異な場所のためです。皆様には農業を共同でやってもらおうと思います。」
「奴隷にされても文句は無いが…せめて子供たちは…」
「皆様を奴隷なんかにしませんよ?面倒だし。ただ、村があって、畑がある。それだけ。ああ、子供たちには将来のために学びの場を用意しています。手に職のチャンスですよ。」
「…条件が良すぎて…かえって不安になるのですが…」
「んだ。」
「まぁ、そうでしょうね。自分でもそう思いますよ。でも、これ以上は。”うちの村で畑つくれ!”って言ったほうが良かった?」
「先の、反対した者も、話せば…」
「いえいえ、慈善でやっていないので。信じられない方、不平不満のある方は今からでも席を立ってもいいですよ。今の状況では孤児の子は大きな負担でしょう。孤児の子はうちで引き取りましょう。」
「引き取る?人族だろ!」
「このまま飢えて死ぬよりいいでしょうに?それとも、人族の情けより、飢え死に?あなた達ならいいですが、判断の利かない子供たち。それが獣人族の矜持です?」
「…」
「まさか、売るのか?」
「そんなことしませんよ。私はすでに10人以上の獣人の子を養子として得ています。この子たちもそう。それに孤児院もある。」
「解かった…孤児たちは託したい。お願いいたします。」
「お、おらはいくぞ!」
「此処にいても、いっぱい、いっぱいだ…」
「あ、ああ。元々小作だぁ!畑作りだって苦じゃねぇ。こき使われても…な!」
こき使わんて…たぶん?
「行くもの。残るもの。よく話し合ってください。こちらも忙しいので、いったん離れますが、夕方には戻ります。食糧はおいていきます。彼方の方と分けてください。」
「俺、残ろうか?」
「雹…任せたいけど…大丈夫か?」
「俺ものこるよ。」
「…ハセル?」
「心配なのは解るけど…任せるのも彼らのためよ。おじさま。」
「…わかった。危なくなったら、盾になろうとせずに逃げる事。いいね。これができないなら無しだ。」
「「わかった」」
適当に食料をだす。粉物も。
「セツナっち。急ぐよ。」
「大丈夫よ。心配性なんだから…もう。」
「まだ子供だ!」
「はいはい。」
すぐ戻るから…無理すんなよ。
本日もご来店ありがとうございました。




