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スルガさんとアツミ君

いらっしゃい…あ、昨日の分が100話だったのね…

 「すまん! この通りだ旦那!」

  「スルガさん説明しないと……。ミッツ様も困っていますよ。ちゃんとご挨拶するのは初めてですね。アツミと申します。ほら、説明」

 

 目の前に土下座するスルガ隊長。冷ややかな目で見降ろす書記君改め、アツミ君。ツンデレ君か? ツン多めの。

 「そうですよ。スルガ隊長。頭を上げてよ」

 「し、しかし」

 「それ以上すると、土下座の指導をするよ?」

 「指導?」

 「おっさん。土下座マスターなんだぜ! スゲエだろ!」

 何がすごいのだわい? トワ君? おいらにも分からんぞ。

 何とも複雑な表情だな……スルガ隊長……笑ってもいいぞ

 

 「……解かった。それと、隊長はやめてくれ……廃業した。」

 {ええ!}

 まじ?

  「本当です。すっぱり辞めました。この人。業務の引継ぎも無しに」

 「あ!」

  「ほら、忘れてるし。屯所内の申し送りやら事件の引継ぎはしておきましたよ」

 ……デレか! 辛口だけど。

 「すまない……」

 「ぷぷぷ。隊じゃなかったスルガさん、アツミに頭あがらんね」

 「くっ」

 「それで、詫びとは?」

 「それだ! あれだけ譲歩してくれたのに……全てひっくり返りやがった。……領主にギンビスの野郎が!」

  「スルガさん。落ち着いて。まったく脳筋は」

 はははぁ。いいなぁ。アツミ君。

  「恐らく、ギンビスが領主に取り入ったか、領主自身が助け舟を出したのでしょう。領付きの子爵ですし。思った以上の大事になっていると。

 恐らくとても近しい存在でしょう。財務を任せてますし。此方の情報を流し、身の危険を感じた子爵が泣きついた。そして、今回、手柄を立てさせて相殺。不問にする……て、感じでしょうか?」

 「なぜそれを……アツミ……?」

  「普通、解りますよ。領付、財務。ってだけでもツーツーですよ? そこに、陳情するんだもの……ねぇ」

 「何で……?」

  「多分そうだと思いますよ。で、アホなのが相手が全く見えてないってこと。ミッツ様、トワさん、セツナさん”勇者”様でしょ」

 にやり。面白いねぇ

 「流石だねぇ~なぜ?」

  「今さらでしょう? アホみたいに”収納”使ってて? セツナさん……様は……人の頭握りつぶせるでしょ? 見事にぱっかりでしたよ。それにトワ様のお姉さん? だし?」 

 「はははは! お見事!」

 「お、おまえ?」

  「お前じゃありません。何度言わせるのでしょうか? ア・ツ・ミです! 観察すればすぐわかるでしょうに。これだから脳筋は」

 「くっ」

 「アツミ君、ほどほどに」

  「大丈夫ですよ? ミッツ様。酒飲めば忘れます。……困ったことに」

 「……」

 「フフフ切れ者は嫌いじゃないよ」

 ああ! 好きだな!

  「どうも」

 「旦那、ほんとに 「だから、脳筋のスルガさん、何をあやまるんです?」 ……だから、約束……を、あれ」

 「そう、アツミ君の言う通りだよ何も実害ないし。何もしてないよ。ただ、子供たちは還してあげたかったなぁ」

  「子供たち? ですか? 還す?」

 「ああ、アツミ。どうやら、地下の神殿で生贄にされてたんだよ……」

  「生贄? ……人族は? スルガさん?」

 「ああ。男女とも」

  「……孤児院に居る時に年に2回。男女一人ずついなくなる……まさか」

 「ほんとか! アツミ!」

  「人族……居たんでしょ? たぶん当たりかな。普通の縁組でも顔合わせ位あるって。スルガさんが引き取ってくれた時も何回か会ったでしょ?」

 「なるほど……」

  「で、ミッツ様、そこそこの剣、脳筋ですが。それと、少々知恵の回る小僧。ここで雇って頂けませんか? 多少は役に立つと思いますが?」

 「はははははははは!」

 「だ、旦那?」

 「面白い! 面白いよ! アツミ君! 君に、ニコを鍛えてもらいたい! ニコ! おーい! ニコ!」

  「父ちゃん? 何んだ?」

 「今からこのアツミ君がお前の先生だしっかり学べ!」

  「父ちゃんは教えてくれないの?」

 「そんなことないさ、交渉時は3人だ。」

  「うん。調書の兄ちゃんよろしく! あらためて、おいらニコだ!」

  「良くわかりませんが……こちらこそよろしく。アツミだ。ニコ君」

 「要るものがあったら言ってくれ! できる限りは用意する」

  「ええ。ありがとうございます。僕は就職叶いましたが……ほら」

 ふふふ……ツンだけど……好きなんだな。スルガさんの事が

 「あ、ああ、旦那、俺もここで使ってくれないか」

 「ああ! 歓迎するよ。スルガさん。今日は宴会だ!」

  「マスター」

 ん’ちょこ’さん?

 「何でしょう?」

  「領主の使者というものが……書状とのこと」

 「……この目出たいときに。……どれどれ」

 ……

 

 「こいつは……馬鹿か? 例の子爵が陣頭指揮を執るから出頭せよ! だって。エリクサー代払ってから言えよ」

 「行っても良いわよ。首とりに」

 「まぁ、どうせ自滅すんだろ。丁重にお断りしよう。紙と封蝋を」

  「はい」

 「領主殿もどうするんだろうなぁ」

 「いい評判だったのにね……」

 「まぁ、関わることも無いだろうさ」

 「旦那……」

 

 

 ……ビルックに言って食糧庫開放だ! わいわいがやがや

 「みんな知ってると思うけど、スルガさんが今日からここで暮らすことになりました。それとアツミ君。お勉強を教えてくれる先生だ」

 「改めて、よろしくスルガだ」

  「アツミですよろしく」

  {よろしく~}

 「さぁ! バンバン食ってくれ! お前たちも沢山食えよ! ライとカイとファム! 野菜も食えよ! いただきます」

  {いただきます}

 ……

 

 「旦那ぁ。こういうのもいいなぁ」

 ルル達に纏わりつかれてるスルガ氏……それはおいらのだ。

 「いいだろう! ふはははは!」

 「奥さんいないけどねぇ~」

 「「セツナさん!」っち!」

 二人でクリティカル!

 「ケラケラ笑ってるがセツナっちだって……」

 「いいの。私は。永遠の美少女だから!」

 「ゴリ ”がいぃん” 痛てえな!」

 懲りないのぉ。勇者様は。

 「正義の鉄槌よ」

 ……。

 

 「ふぅ、寝た、寝た」

 「ご苦労様」

 「旦那お疲れ様。くっくっ良いオヤジしてんな」

 「可愛いものだよ」

 「ああ。旦那すまんな」

 「また?」

 「いや、此処においてくれたこともだが……今後あのアホ子爵と領主がちょっかいを出してくるかもしれない」

 「だね。その時は商業ギルドと鍛冶師ギルドから一筆もらうさ。それでもだめなら、その時はここに籠るさ」

 「ここにか?」

 「まぁ、大丈夫でしょ? ギルドが抗議いれてくれれば動けないと思うよ?」

  「ええ、いくら国境の街とはいえ、ギルド無しでは回らないでしょう。ギルドもたぶんこの街よりミッツ様を取るでしょう。可能性無限大だし。最近、ワインが美味しいって噂……ミッツ様でしょ? 今日のワインも美味かったし」

 「当たり」

 「旦那?」

 「その通りさ。”収納”で運ぶんだ。大量かつ、迅速! 温度変化も抑えられる」

  「なるほど。それで品質が……」

 「……さっぱりだ。どういう意味だ?」

 「脳筋さんには難しいかしら?」

 「姉貴、絡むなよ。てか、もうヤザン追わんの?」

 「よく考えたらゴルディア行かなきゃだし? ニコも連れて行こうかしら? アツミ君もくる?」

  「いいんですか? 勉強させていただきます!」

 「堅苦しく考えないで。ケンカしに行くだけだから」

  「楽しみですね!」

 「なぁ、旦那。あいつ、俺のオマケだったのに……」

 「そういうものさ。若者の成長を祝おうではないか!」

 「おっさん実感こもってるな!」

 うっさいわ!

 

 「ところで、魔術の触媒なんか売っているあたりに地下道とかない?」

 「地下道 ?何の……あ! もう一本のクリスタルか?」

 「ああ。もう一個のがそのあたりにある。特に古い建物でも構わない。入口になりそうな?」

 「どうしてあると?」

 「トワ君が”感じた”」

 「古い建物というのは?」

  「あ! 僕わかりました!」

 「はい、アツミ君!」

  「推測ですが……昔、聖王国の前身、聖十字教国だったころより残存する都市に悪魔召喚陣がある……特に、この小国群の都市及び、衛星都市。たぶん帝国領には……もう無い」

 「ふむ。どうしてだい」

  「背丈よりおおきなクリスタルでしょ? 単一結晶、悪魔召喚。膨大な魔力が貯められる。帝国ではすでに他方面に流用されてるかと。で、ミッツさんも狙ってる……」

 「ふむ……」

  「恐らくここは、ダンジョンなのでは? そう仮定すると全てがはまる」

 「アツミお前何言ってんだ? ダンジョンて魔物の巣だろ?」

 「正解!」

 流石だねぇ

 「へ、旦那ぁ?」

 「ほー。切れ者ね。筋肉も頭も切れてなんぼね! 気に入ったわ。ここの宰相にしたげる」

  「ありがとうございます。セツナ様。話がずれましたが、教会は悪魔召喚を利用してあちこちで破壊活動を起こしている……散発的な発生も今思うと、反教会派の領主や代官が多い……! 消えさりし都市、聖地モリマは多数召喚による暴走? なるほど……面白い! 実に面白い。ミッツ様、ここにきて数時間ですが、どんどん知識が更新され、ピースがはまっていく! なるほど、見えないものも見えてくる……次は、エキドレアでしたが……天の柱、清浄の地。

 なるほど、ここにもミッツさんの影が……クリスタルと別件? いや、城にはない? 防衛機能に干渉は? 別の場所にある確率のが大? ここが解決済みとすると……」

 「おいおい。詰めすぎだぞ」

  「いえ、大丈夫。次の発生場所ハグロフィア。王都北西の街、今一番勢いのある町……生贄の可能性も大。いかがでしょう。阻止してみては?」

 「おふぅ……あまり暴走しなさんな。ハゲるぞ?」

 「アツミも人外に……? 俺だけ凡人かよ……」

 「おいらも似たようなものさ……本題に戻るな。……まぁ重要度から言えばハグロフィアの方?……どうよ? 地下道は?」

  「ええ。古い建物は……2軒。いや……スルガさん、広場の祠みたいのって入り口?」

 「ああ、あれか? 謎の石櫃? あったな?」

  「情報としてはこんなものですが?」

 「動いてる可能性は? どうおもう?」

  「多重召喚は暴走、消滅の恐れがある? ……今回の件で新たに始める可能性も? 司祭も逃亡中……新たな犠牲もあり得ますね。見張りを立てられれば……」

 「なるほど。さっさと潰したほうが良いか……よし! 善はいそげ! 今から行くか!」

 「……は?」

 「闇夜に紛れて……か!」

 「行く人~!」

 「俺行く!」

 「私も行こうかしら」「僕もいく!」

 「俺も! いいかい旦那!」

 ……ふふふ。夜間遠足だ。

本日もお付き合いありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

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