…林檎とオレンジ
「~年、…魔の………人間をほ……」
耳に声が響きわたる、目を開けると黒い板に白い文字が書かれていく。それに合わせるようにコツコツと音がする。時計に目を向けると15:34分を示していた。そういえば今日はお弁当が多かったな…どうせ残り少しの授業時間だ。もう一度睡眠を…
と思考を唱えると共にチャイムがなり響いた。
「起立!礼!」
席につく、鞄に参考書をしまい込み担任を待っていると後ろから声がした。
「龍牙!授業中寝てたでしょ!先生こっち見てたよ~」
彼女は俺の幼馴染みの『咲宮 時雨』
茶髪のロングで黄色っぽい目をしている。
クラスの中では人気だが、俺は幼馴染みということもあるのか何がいいのかよくわからない。
……林檎
「あぁ少し昼寝しちゃったよ」
「龍牙って寝るとき口空いてるけど喉痛くなるよ?」
「そうなのか。じゃあせめてマスクしようかな…」
「まず寝ることに対策を練ろうよ…」
そうやって時雨と談笑していると担任が来たので前を向き、終礼を終えた。
そして家に帰ろうと思い鞄を肩に下げると
担任は俺を職員室に呼び出した。
「失礼します。」
「おぉ十六夜、こっち」
担任の名は『五十嵐 知里』黒い髪でショートヘア、蒼い綺麗な目をしている。
……オレンジ
「どうされましたか?」
「お前、大会の出欠、どうするんだ?」
「だから出ないですって」
この学園には[滅学]という授業があり、単純に滅力の大きさを高める授業である。
「そうか…でもこのままじゃ評価されないからもう少し考えろよ。私は出た方がいいと思うが…」
「はい、分かりました。失礼します。」
扉を閉めた。正門へと鞄をもち、歩く。
「あれがあってからもう6年…制御できてると思うけどなぁ…」
五十嵐知里のその発言は扉越しに龍牙には届かなかった。