奴隷の首輪!
ある意味これがプロローグ。
少し遡る。
修一とレンちゃんは雲海の上で1人の老人と出くわした。
その老人は頭ツルツルに白い髭を長く伸ばしていて、木の長い杖を持っている。
逆なら良かったのにな。
「お主!なかなか失礼なやつよの。」
その老人の発言に修一は驚きをみせる。
なぜなら言葉にはしていないからだ。
「ジジイ、なんで俺の思ってる事が分かった?」
「わしゃ神だからの。」
そう。この老人こそ神である。
神は余裕ぶった表情を見せた。
クソジジイが。
ガツン!!と修一の頭に衝撃が走る。
「っつぅ!!何しやがんだ!?」
「お主が失礼な事を考えるからじゃ。」
この様を見て面白かったのか、修一の隣にいたレンちゃんが「クスクス。」と笑った。
「何がおかしい!!?」
なんだか不快感を感じ、いきり立つ修一。
「貴方の行動が面白いのよ。いいわ。私貴方に決めた。」
そう言って修一の顎を撫で上げ、顔を寄せるレンちゃん。
修一は余りのキモさに後方へと飛び下がる。
「な!なんだお前は!!アレか!?アレなのか!?」
動揺し、テンパる修一をまたレンちゃんはクスクスと笑い、人を舐める様な目つきで修一を見た。
「そうよ。私はオ、カ、マ。」
オカマぁぁぁあ!!!!!
「おっほん」
そんな時、話を遮るように神が空咳をし、また2人は神に目を向ける。
「あー、何から話せばよいか。まぁ単刀直入に言うと君らは空間の狭間に巻き込まれた。だから今から違う世界に旅だってもらう。」
はぁ?ついにボケたかクソジジイ。
ガツン!!!
またもや修一の頭に衝撃が走る。
「つぅー!!俺の頭を木魚みたいに叩くんじゃねぇ!テメェの木魚を叩けジジイ!」
「なんとも口の悪い奴じゃの。顔は兎も角性格に難ありじゃな。お主を異世界へ飛ばすのが心配になってきたぞ。だがこれ以上お主と喋っていたら話がそれるで、まぁ良しとしよう。」
「それで、私達はこれから一体どうなるの?」
妙に冷静なレンちゃん。
「ほう、お主は此奴と違ごうて、なかなか落ち着いておるの。」
「まぁこの場所自体、普通じゃないしね。今更何も驚かないわよ。」
「ふむ。では本題に入るとしよう。先も言った通り、お主達は空間の狭間に巻き込まれてしまった。それ故に元の世界にはもう2度と戻れん。だからこれからお主達には違う世界へと旅だってもらうのじゃが、今から行く世界はお主達がいた世界とは違い、何かと物騒じゃ。そこでこのカードじゃ。」
神は懐からトランプサイズのカードの束を取り出した。
「これは?」
レンちゃんは訝しげに神に問う。
「能力を授かることの出来るカードじゃ。この‥」
神が喋っている最中関係無しにガサッと修一は迷わずカードを抜き取った。
「頂き!」
「やれやれセッカチな奴じゃ。」
修一の行動に神が肩を落とす。
「して、カードに描かれているのは何じゃ?見てみよ。」
修一がカードに目を向けると、其処に描かれていたのは高級な椅子に男が1人。そしてその男によって集るコウモリの羽を持つ美女達が描かれていた。
それを見るなり神は目を見開き驚愕する。
「な、なんてことじゃ。お主にそれが渡るとは‥。」
「あ?どう言うこったクソジジイ。」
ゴツン!!
頭に衝撃が走る。
「っつぅ!!」
「おっほん。そのカードはハーレム能力じゃ。その能力の効果は異性を触れた瞬間に発動する。」
「何が発動するんだ?」
「触れた者の性欲を向上させ、自分の虜とさせる能力じゃ。」
「まぁ。」
レンちゃんは口を手で押さえ驚きの表情を見せたが、修一はそれよりも歓喜の余り発狂する。
「ピャッホォォ!!!来たぁーーー!!!!俺の時代!!!」
修一は余りの歓喜でそこら辺を転がり回る。
そのの行動に呆れてか頭を抱える神。
「全く騒がしいやつじゃの。だがしかし、デメリットもある‥。」
しかし最早修一の耳には入る筈も無い。
そんな矢先。レンちゃんもカードを抜き取る。
「これは?」
「ふむ。それは‥。」
‥‥。
暫くして、修一の興奮が収まってきた時。 神が2人を異世界に送る前にと手から光を放ち、2人に浴びせた。
「身体能力を底上げしといてやる。これで少しは戦えるじゃろう。万が一の事もあるでな。」
光が収まると、修一は確かに身体が軽くなった気がして軽く飛び跳ねると、二メートルぐらい飛び上がった。
「ほう!こいつぁすげぇ!」
修一は感嘆の一言を告げると、神はもう一つ念押ししてこう告げる。
「確かに身体能力を底上げはしたが、最強になった訳ではないぞ。あくまでも今から行く世界の並以上程の力を得たぐらいじゃ。後はお主達の努力次第で成長していくがよい。」
「けっ!言われるまでもねぇ。俺の異世界ハーレムの始まりだ!!」
やれやれ。と神は頭を抱えていると、レンちゃんが神に告げる。
「大丈夫です。私がいますから。」
「ふむ。お主はしっかりとしておるようじゃな。宜しく頼むぞ。」
「はい。」
そう言って2人は異世界に来た訳だが。
現時点に戻る。
「人に俺の効果は発動しないだと!!?どういうことだ!!?」
「神様が注意事項として言ってたじゃない。その能力は人意外の女性にしか効果が出ないって。」
「ぬぅおぉおぉ!!なんてことだ!!俺の、俺の俺の薔薇色人生設計がぁぁあ!!!」
のたうち回り、最早人間として最低の修一。
だが姫は、その能力を聞くなり嫌悪感から興味に変わる。
「その話は誠か?」
「あ?知らねぇよ!けどコレを見る限り本当なんじゃねぇか?」
修一に向かい尻尾を振り回す魔物の狼。
そして性別は雌である。
「気に入った。」
ガチャ。
不意に姫は修一の首に黒い首輪をはめ込んだ。
それをみた従者は驚き慌てだす。
「ひ、姫様!!それは!」
従者の慌て様に修一は怪訝な表情を浮かべる。
「おい。これは何だ?」
「我が王国に伝わるアーティファクト。
【奴隷の首輪】じゃ。」
===== ===== ===== ===== =====
次で展開を動かします