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月と太陽  作者: 小田桐
14/20

14.都築曜子


 いつかは結婚する。それは当たり前のこと。

 結婚相手は兄のような優しい人が良いとずっと思っていた。

 兄や光輝に守られながら大きくなったわたしは自分や家族にとって名前のある家の者と結婚することが望ましいことを理解した。

「もしお互いに結婚相手が見つからなかったときは俺たち結婚しようか?」

 光輝が提案した。それはお互いの家にとって望ましいこと、だけどわたしはそれで良いのかがずっと疑問だった。

「俺は橘真白が好きだ。だから彼女と一緒になりたいと思ってる」

 つまり光輝は橘さんと恋人になれなければわたしと結婚すると言うことだった。

「だから、おまえも誰かを好きになれ。でないと不公平だ」

 なにが不公平かわからないけど光輝はそう主張する。


 好きな人って言われると真っ先に思い浮かべるのが兄だ。

 兄のような優しい人と結婚できたらわたしは幸せになれると思う。絶対に。

 そして兄のような人にわたしを好きになってもらいたい。

「こんにちわ、曜子ちゃん」

 わたしと接する人たちは家や兄のことを知って媚びるように近づいてくるか、同じ立場の人たちだった。だけど、月島奈々さんは違っていた。

 庶民の出だと言う彼女はわたしに媚びることもなかったし、兄に近づくこともなかった。

 だから兄はそんな奈々さんを好きになったと思う。だけど、隠れた恋心ずっと一緒に居るわたしにしかわからないほどの出来たての小さな想い。

 そして、わたしは知ってる。奈々さんの心のベクトルは兄に向いていないことを。

 奈々さんは兄を嫌いってわけではないと思うけど、好きな男の人がいる。だから、兄のことを苦手に思っていることもわたしは知っている。

 だって、奈々さんが好きになった人は兄とは違うタイプの人だから。



 夜中に目が覚めた。3人で二つの布団は狭かったみたい。

 わたしは起き上がりベランダから外の空気を吸おうと思った。

 みんなは寝ているので音を立てずにゆっくりと。

 ゆっくりと居間に出ると理央さんの部屋が少し開いてるの気づいた。いっぱいお酒を飲んだ彼だからきっと少しぐらいの物音じゃ起きないって予想できる。



 兄に好かれてる奈々さんにわたしは憧れている、彼女みたいになりたいと思った。

 そんな奈々さんは芦屋理央さんが好き。


 芦屋理央、不思議な人。

 わたしに近づいてくる男は媚びを売ってわたしに好かれようとする人ばかり。光輝は違うけど。

 理央さんはわたしに媚びを売ることはなかった。それどころか、わたしの事を子供扱いしてる。嫌われてはいないだろうけど、好かれてもいないのは解る。

 それが悔しかった。

 そしてわたしは思う。兄が大好きな奈々さん、その奈々さんが大好きな理央さんの心をわたしが奪うことが出来たなら、わたしはきっと素敵な女性になれるのかもしれないと。


 そう、芦屋理央の心を奪うのはわたしにとって儀式、ただの通過点。



 わたしは理央さんの布団にこっそりと潜り込んだ。

 朝になって彼がどんな顔をするかが楽しみ。

 わたしが布団に入ると理央さんは腕を広げた、まるで腕枕をしてくれるように。

 彼はわたしに気づいていないはず、でもわたしはそのお誘いに乗ることにした。

 男の人の腕で眠る、初めての体験。

 ちょっと、照れくさいけど暖かかった。

「わたしだと知っていても同じように腕を差し出してくれたのかな?」

 心の中で彼に尋ねてみる、もちろん返事はない。

 彼の体温の中でウトウトしていると不意に彼が寝返りを打った。

「ちょっとやめて」

 驚きで言葉がでなかった、彼の手はわたしの服の中に入ってきたからだ。

 子供扱いしているわたしの胸を直に触っている。

 この布団に入り込んでわたしは後悔した。

 この人はきっと、誰にでもこんな事をする人なんだ・・・・・・。

 そう思ったけど、すぐに手が引っ込んだ。

 そして今度はわたしを抱きしめていた。

 わたしは彼の腕の中にいる。無意識のうちに彼はわたしの髪を撫でてくれていた。

 さっきは怖かったけど、今は暖かい。

 この人が奈々さんの好きな人、そして夕月さんの好きな人なんだと思った。


 そしてわたしは眠りに落ちた。心地よい眠りに。


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