もう そうだっけ
愛の歌を
忘れていたから
そこに流れる
綺麗な空気を
冗談で済まそうとした
二人の間に
前線が停滞する
もう 梅雨だっけ
命の歌を
忘れていたから
そこで横たわる
獣の死体を
汚ないで済まそうとした
太陽が強くなる
もう 夏だっけ
人の歌を
忘れていたから
そこで沈み込む
人の気持ちを
空返事で済まそうとした
葉の色が赤くなる
もう 秋だっけ
時の歌を
忘れていたから
そこで失う
時間の価値を
知らないで済まそうとした
白い氷が拡がる
もう 冬だっけ
君の歌を
忘れていたから
別れの日を
空元気で済まそうとした
花弁が邪魔になる
もう 春だっけ