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余り人が寄り付かない自習室があるフロアのトイレで出るタイミングを逸してしまい困っている
化粧室は女子の噂話が飛び交う場所だということは古今東西変わりないのはわかっているが、合わないなと思いつつ噂話に花を咲かせている女子が出ていくのを待つ
噂話は連休のパーティーについてどこの家のがすごかったとか言う内容が大半だが、時折問題の特待生についても話されている。
話を聞いていてバカなのか?と思ってしまう位には問題を起こしているのである。しかも、全てといって良いくらい入学式に配られたプリントに記載されていることを違反しているらしい
面倒だな。と思いつつ噂話をしていた女子が出ていったのでトイレから出ていくとトイレ前の少し空いている空間のベンチに座って待っている裕太さんがいる
近づいていくと微笑みながら立ち上がって手を引いてくれる。食事前にトイレにいくと少し前に自習室を出ていたのだ。
いつも通りに他愛のない話をしながら食堂に行き食券を買っていつもの席に座ると友人とその婚約者たちが相席を願い出てきたので裕太さんが許可して同席となる
「どうだった連休。二人で花見に行ったんでしょ」と聞いてきた友人に
「綺麗だったよ」と伝える。連休中2・3日足腰が立たないくらい抱かれてしまったが、庭には桜もあったので部屋で寝ながら花見をしていた。
動けるようになったらなったで穴場とされる桜の名所でのんびり散歩しながら花見をして満喫出来た。
「にやにやして。余程よかったと見える」そういっているのは友人の婚約者でり裕太さんの友人でもある人だ。裕太さんはラブラブの婚約者同士しか寄せ付けない節があるが、色目を使ったとか言われるのも嫌なので、そのままにしている
食事を取りながら他愛のない話を友人達としていると
「占領しないで明け渡しなさいよ」と言う声が聞こえる。声の方を見てみるとちょっと可愛い系の女子生とが昼食を持ってたっている。その女子生徒の後ろには友人らしき人が数人いて辞めなよ。規律違反だよ。と声をかけている
占領と言えば占領だが、私がゆっくり食事をとれる様にと学校に親がお願いして私用の物を家から持ち込んでいる場所であるし周りの人に配慮して隅っこの一部分。正確に言えば4人席のテーブルを1つ分のスペースであるから目くじらをたてられることはない。
そしてここは食堂の2階部分のスペースであるから余り人がいなく空いている席も沢山あるのにも関わらすそういってくるのだ
同じように2階スペースで食事を取っていた他の生徒も余っている席があるのにな。と友達同士で小声で話している
あきれたような顔をしながら同席している友人が
「他の席も空いているんだからそちらに行けば良いのでは?それとも食事中の他人をどけてでも自分の要求が通ると思っているのかしら?」と言っている
スゲーなと睨み合っている友人と女子生徒を見ている私に裕太さんが
「伸びるから食べてしまえ」とうどんセットを食べるように促してくる。少食でもなければ食事が遅いわけでもないが、食事に集中出来ないと食べ残してしまう癖があるのからちゃんと食事を取るようにと促されることが度々ある
「食べないと点滴生活になるぞ」と脅されてうどんを食べることに集中することにした。時々栄養不足と摂取量が足りないと主治医に言われて点滴を打たれることがある。
チマチマ食べ始めた私を見て満足したようで頷いてから声を掛けてきた女子生徒に視線を移した
「空いている席があり尚且つ入り口から見え辛い場所にも関わらず脇目も振らずにこちらに寄ってきたと言うことは、私たちに喧嘩を売りに来たのか?この席は我々専用だと校則にも記載されているし入学式の時に配布されたプリントにも記載されている。そもそも入学して2年もたっているのにも関わらず校内のルールもわからないとかあり得ないだろ」と結構ご立腹な様子で近くにいるにも関わらず声が聞こえずらい所があるくらいの低温で話している。
たぶん視線も厳しいものに為っているのだろうといちゃもんをつけてきた女子生徒の顔色を見ながら、うどんセットについてきた鮭おにぎりを頬張る
小さなおにぎりを二つ食べ終わりご馳走さまをしてお茶をすする頃には声を掛けてきた女子生徒は居なくなっていた。お昼を持ったまま先生に連行されていった見たいで、巻き添えを食った形の友人?たちがすみませんでした。と頭を下げて空いている席に座って身を縮めながら食事を取っている
かわいそうにと思ったが手を引かれて移動中で、文句を付けられた側が話しかけたら萎縮するだろうと思って声をかけずに置いておいた
教室で災難だったな。とクラスメイトに話しかられて返答する裕太さんは私をガッチリ離さないように抱き締めている。お気に入りのお人形さんを離さない子供のように端から見えるだろう
見ず知らずの人から暴言?を吐かれてビックリしている私を落ち着かせる意味もあるが、大部分は裕太さんの怒り心頭度合いを示しているのである
ガッチリ抱き締めているわりには私が息苦しくないように配慮されている腕のなかで体を預けてホット人心地付いている私のほほを腰に回していない方の手で撫でてくれるので、頬ずりしておく。それに気をよくした裕太さんが微笑んでいる
「機嫌が直ったようでよかった。で、さっきの女子生徒なんだが」と情報を流してくれているクラスメイト
「今年に入って結構な数の家に喧嘩を売っているんだな。将来就職に困りそうだ。というか、その人間の処分もあり得るんじゃないか?」
「うーん。まあ、理事を勤めている家の関係者にいちゃもんをかけているのは確かだけど、優秀な成績を納めているのも確かなんだよ」
「でも、人間性と言うか問題を問題だと理解できない所や自分が悪くても認めない所に問題があるんだよね」
「名家とか良家とかなら婚約者を配して監視・指導して矯正出きるけど」
「その子。一般人でしょ?」
「難しいね」
とクラスメイトたちが問題の生徒について討議している
名家・良家と言う家なら問題行動を起こす子供には目附役をつけって矯正も出きるけど、頭が良くて今まで放置されていた問題が浮き彫りになった形なのか。今まで猫を被っていたのか知らないが、露見した問題を解決するには一般家庭には難しいのではないか。と言うのが結論が出たようだ
学生の視点からの結論なので学校側がどう問題を解決するのかわからないが、平穏無事で過ごしたいと持っている私としては、今後近寄って来なければ良いなー的な感じである
家に帰ると母親が近寄ってきて
「大丈夫だった」と心配してくれる。家には既に伝達済みであったようだ。
一緒に帰宅した裕太さんが、きちんと説明してくれたので親も安心た様子で裕太さんにお礼を言って見送る母
朝晩の送迎は裕太さんがしてくれるし学校生活についても裕太さんが親に伝えてくれる。幼稚園の送り迎えじゃないんだからとは思うが、一応名家の一族でありそのなかでも劣っていると判断された私のことを心配するなとは言えないし
どう判断して良いのかわからないことは裕太さんに聞きなさいと言われている。それに私が説明するよりも裕太さんがした方が話がわかりやすいと言う理由もある