6 都会っこと田舎っこ!!!
「んん〜?もう一回言ってごらん?」
悪意の笑みを浮かべていう七宮。いいこと聞いたと調子に乗っている。
「だから、ここで待ってろって!」
(このどS野郎…!!)
それでもちゃんと言う真面目な七條。
「じゃあ、スルメくれたら待ってていよう!」
「はあ!?そんなもんねえよ!」
「入っちゃおっかな〜?うひひ」
(こいつ…!!!)
七條は考える。どうにかしてでも入らせたくない。
「なあ、スルメがあればいいんだろ?」
いきなり歩き始めた七條。
「え?どこ行くの?」
驚いている七宮に、七條は振り向いて言った。
「スルメ買いにいくんだよちくしょー」
睨まれた七宮は仕方なく七條についていった。
家からどんどん遠ざかっていく。
「なんかザ☆地元って感じだね!」
住宅街をぬけると、大きな道路に車が通っていた。梨原学園のある地域のように、高いビルや高層マンションはなく、古い建物やアパートが並んでいる。
「田舎だよどうせ」
「そうかな、私都会っこだからちょっと憧れるよ〜」
大きな道路の横断歩道を歩く2人。
「結構不便だぞ?デパートなんて車で行った方が近いし」
「その一手間がいいんだよ!やっと着いた〜って!」
「…一回住んでみろ。そんな快感味わったことねえよ」
横断歩道を渡ると、左に曲がる。
また先に車がよく走る道路がある。
「で、どこに向かってるの?おばあちゃんがおやつ売ってる所?」
キラキラした目で尋ねる七宮。
「んな所行かねえよ!コンビニだよコンビニ」
「そんな便利なとこに行くの〜?ちっ」
「舌打ちすんな!!!」
そして、2人は横断歩道をまた渡り、この町の便利屋、コンビニに着いた。
入ると、涼しい風が2人を包みこんだ。
「ほい、スルメ」
お菓子コーナーにて、慣れた手つきで七條はスルメを七宮に手渡す。
だが七宮は受け取らない。そのかわり笑顔でこう言った。
「おごりに決まってるじゃん!七條くん」
「はあ!?そんなの聞いてねえし!!」
「…家、入っちゃおっかなあ」
「あああ!もう買うから!」
どうしても入らせたくない七條は、渋々スルメを買って、コンビニを出た。
「わーい!もっと高いのにすれば良かった〜!!」
七宮にスルメを渡す七條。
「あれ、今何時だ?」
「むふふ、5時だよ旦那!」
「食べるの早えな!って5時!?」
(ここから家に戻って、それから駅へ電車にのっても40分はかかる…!ヤバイ!)
「おい七宮!!走るぞ!」
七條は走り始めた。
「えー!あ!走ったら家に入っちゃおっかな!!!」
七條は止まった。
(こいつ…!!!マジで人の嫌がることしかしねえよ!)
振り返って七宮に言った。
「俺はな、提出物を取りに帰って学校に戻らないといけないんだよ!お前と遊んでる暇なんてないから帰れ!」
真面目に七條は言った。
すると、七宮は笑った。
「七條くん、まだ気づかないんだね!提出物忘れた奴は4時までに出してねって、青山先生言ってたじゃん!」
「え」
七條は今日のおおざっぱなHRを思い出す。
確かにそんなような事を言われた。
「だから遊ぼうって誘ったのに〜」
「…」
七條は絶望した。
スルメおいしいよね…!!!