4 満員電車と嫌がらせ!!!
ギリギリでギュウギュウ詰めになりながらも、2人は電車に乗った。
そんな中、七條は後悔していた。
(俺…なんで「ほら行くぞ」とか言ってんだ…こいつ本当に来ちまったじゃんかああ…)
七宮を見る。こちらに気づいて七宮も見る。目が合う。
(そういえば、一応女の子だよな。俺に着いてくるのって…いや、ないない!!)
七條は顔がみるみるうちに真っ赤になった。
それを不思議そうに見る七宮。
(そうだよ!こいつどうせ俺に嫌がらせしに来ただけだし!…いや、ないから!!)
必死に否定する七條。心拍数も上がってきた。
「七條くん、どうしたの?」
どきり、と七條の心臓が高鳴る。
「なんでもねえよ!」
(あああ…なんか変にドキドキするじゃねえか…やめろおおおおっ!!!!!)
「もしかして…トイレ…?」
七宮が訝しげに尋ねる。
「…は?」
間抜けな声で七條は返した。
「我慢しなきゃ!頑張って七條くん!!」
「なんで応援されなきゃいけないんだよ!!トイレじゃねえし!」
「え、じゃあ…腹痛?」
「なんでもないって言ってるだろ!?ほっといてくれ!」
「じゃあなんで顔真っ赤なのさ!あ、もしかしてオナラでもしたの!?」
「してねえよ!大声でそーゆー事言うな!」
「…七條くんのが大声だよ」
クスクス、と周りから笑いが起きた。
七條はたちまち恥ずかしくなった。
「お前なあ…」と小声で七條が言いかけるとともに、七宮の隣から声が聞こえた。
「仲いいねえ、カップル?」
おばさんが話かけてきた。
(かっ…!!!うわああああああ!!!!!)
「いやいや、そんなんじゃないですよ〜」
「あら、そうかい。微笑ましかったからなあ」
(ばばあ…なんつーこと言いだすんだよ!)
七條は下を向いていた。顔はさっきより真っ赤である。
「あはは〜!でもそういうのあり得ないので私達!」
七條は顔を上げ、七宮を見た。
「ん?どしたの?七條くん」
「あ、いや…何話してんのかと…」
(何してんだ俺!!明らかに聞いてたよね俺!!七宮が言ってる事が正しいから!!うわああああ!!!)
脳内がパニックであった。
「私らがカップルみたいだねって話だよ〜!よかったね彼女いない歴万年!」
笑顔で言い放った。
「よよっ、よくねえよ!!!そしたらお前が…か、彼女に見られて…」
「でも内心嬉しいんでしょ〜?私はどうでもいいんだけど」
「なっ!」
(どうでも…いい…!そ、そりゃそうだよな。どうせ嫌がらせで来たんだし…)
何故かショックを受けていた。
「おや?もしかして…お嬢ちゃんの事…?」
おばさんが七條にニヤニヤしながら言った。
「ちがっ!違います!!こんな奴…!俺に嫌がらせばっかする奴なんて!あはは!」
「ふふ、嫌がらせという名の、一緒にいたいってことかな?お嬢ちゃん♪」
今度は七宮に問いかけた。
(ばばああああ!!!!黙れええ!!!)
七條は耳まで真っ赤であった。
すると、七宮は頬を少し赤らめた。
「…七條くん…」
上目遣いで七條を見る七宮。
状況が読めない七條。
そして、ここの電車内の全員がこちらに視線を向けている。
「なっ…!?」
(え!?なにこれ?えっ!?もしかして七宮…本当に…ええ!??)
口を開けてポカンとしている七條。
「私…さ、七條くんのこと…」
「…」
「ずっと…」
「…」
「好きだったよ?」
微笑む七宮。
視線が七條を貫く。
「七宮…っ」
『ご乗車ありがとうございます。終点、華沢駅でごさいます。』
アナウンスが響く。
そして、ドアが開いた。
七宮が、口を開く。
「ありがとうございました!以上、学園ラブコメでした〜!」
「えっ?」
「さ、七條くん、行こーう!!」
「はあ!?」
乗客全員が七條と同じ気持ちであった。
「何勘違いしてるの?私は嫌がらせしにきただけだよ!!」
「…え」
七條は固まった。
七宮さん素敵!!!