好きって?
正直に言おうか。
好きという感情を覚えたことがない。
正確には恋愛感情としての好きだけれど。
植物や動物、味覚などの五感、人間としての好きならわかる。
理解できる。
それに対する執着は薄いけど、わかる。
では、恋愛感情の好き、はどうか。
愛するという気持ちはどうか。
幼子に対する、家族に対する愛とは違うもの?
おそらく違うのだろう。
その人だけを請う感情。
モノにもヒトにも執着し得ない自らを考える。
誰かを希う心を持たない自らを欠けた存在と認識しつつ、このように思う自分は誰かを請うているのかもしれないと安心する。
欠けたココロはいつか満たされるのだろうか。
満たされたらどんな気持ちなのだろうか。
執着しないできない自らの、微かな執着とも言える心。
この感情によって自らを人間であると認識できる安心を、人は愚かだと笑うのだろうか。