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短編童話シリーズ

クソババア

作者: 敬愛

俺が語るこの詩はフィクションじゃないんだ

信じてくれ


クソババア80歳背筋をピンと伸ばし入れ歯もいれていない

何かと俺に対して説教してくる


戦時中は勉強したくても出来なかったんじゃ

お前にはその学問の有り難味などわからんじゃろ


わかんねえよ


餅にはやっぱりきな粉じゃな そう言って二十個あった餅を全部きな粉餅にした

クソババア 餅は納豆に決まってるだろ


お前は馬鹿じゃなあ

腐った豆なんぞ食えるか ワシの豆は新鮮じゃがな

何言ってるかわからねぇ


何だかアメリカの詩が流行ってるそうじゃな 

ワシの短歌も売れるかのう

馬鹿じゃねえの ああいうのはホントに辛い思いした人の為なんだよ

そう言った 


しばらくしてババアは体調を崩し入院した ガンだった

告知はしなかった まぁその必要はなかったんだよ


黒ずんでいく顔を見られたくないと面会謝絶だったから

葬式の時 皺一つ無かったクソババアの顔は歯が全部抜けて皺くちゃだった


クソババア クソババア 何で死んだ

クソババア クソババア 何で死んだ


これから俺は誰と喧嘩すればいいんだよ

誰に矛先を向ければいいんだよ


わかってくれていたのはクソババア あんた一人だった

一人だったんだよ


俺の涙が皺を伝って ああ運河みたいだ そう思った


後に医師から聞いた 

ぼそっとあの子の顔見て死にたいのうと呟いていたと

俺の事だ この詩はフィクションじゃない

だがフィクションだったらなと今になって思う


フィクションです。(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言]  拝読しました。温かく心に響く物語ですね。おばあさんが死んでしまって悲しい気分になりました。癌との闘病生活は煩悶とした苦しいものだったでしょうね。フィクションでしたか、実際の話しのように思え…
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