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ガンダム哲学 種アンチが抱いた疑問 インド洋の死闘編

作者: 忠柚木烈
掲載日:2026/07/17

 種を見ていて思った。

 色んな不思議の列挙。


 種死、インド洋の死闘。

 現地基地から徴用した、30機もの連合MS部隊がミネルバを強襲。

 戦闘は不可避である為、艦載MSで応戦したエピソード。


 説明がないので、いまいち状況が掴めないが

「それより敵の拠点は?そちらで何か見える?」

とタリアがアスランに確認している。

 強行偵察を兼ねた母艦防衛任務で、第1目標は敵拠点だった様だ。


 種死特有の「現実的制度より感情が優先される」悪点が。

 議長関連の次に、凝縮された様な話でもある。

 理解しにくい話なので、かなり丁寧めに追っていく。




●アスラン:指示の不思議

 しかしアスラン、この時MS部隊の臨時指揮官だった割りに、

「シン出過ぎだぞ、何をやっている」

と抽象的な発言しかしていない。


 フォーメーションの提示や、具体的な指示が欠如している以上、

「文句付けるだけなら誰だって」

とシンが返すのは当然としか言えない。


 ミネルバの防衛構想は、一気に敵が殺到しての飽和攻撃を防ぐ為。

 機動戦力で階層型防衛体制を構築する、縦深防御だったのは確実だ。


 シンは本来の防衛構想上、前衛担当だったのは間違いない。

 特に洋上の戦闘だったので、ミネルバ本来の戦力の中で。

 飛行能力を有するのが、インパルスのみなので尚更だ。


 敵漸減・陽動・命令系統麻痺を狙っての指揮官狙いの斬首戦術。

 それと拠点発見の為の威力偵察を意図して、突出したと思われる。

 つまり基本戦術となる、防衛構想通りの動きそのものだ。


 アスランの出撃は、直前に決まったものかつ、打ち合わせもなかった。

 具体的な指示を出してない以上、シンの行動は全く妥当だ。


 母艦を危険に晒す可能性がある、という意味だったならまだわかるが。

 他ならぬアスラン自身が、ほぼ1機だけにかまけていたので、そういう意味でもない様だ。

 むしろシン以外は皆、敵エース格の1機を相手に、ほぼ掛かり切りになれていた。


 つまりシンは陽動を完璧にこなし、敵に包囲されている状態で。

 果敢に敵指揮官に肉薄しつつ、的確に反撃を行ってみせ。

 効果的に敵を漸減しており、これ以上なく機能していた事になる。


 なのに言う事が「出過ぎ」だけでは、下がるにしても含意があり過ぎて。

 アスランの元へなのか、母艦の直掩なのか、帰艦なのか、戦線離脱なのか

 遅滞戦闘を行うのか、即時離脱なのか、まるで判断がつかない。


 むしろ一気に敵が押し寄せ、母艦が飽和攻撃に晒される危険があったので。

 シンを下がらせるのは、もはや利敵行為となりかねない領域だ。


 何か腹案があったのならせめて、具体的な構想を共有しなければならない。

 有効な戦術を崩そうとする以上、有効性を示せない限り反発されるのは当然だ。

 特にシンは敵包囲下にあったので、指示の有効性には正に命運が懸かっていた。


 その後、シンと敵エース格との一騎打ちの構図に、

「シン下がれ、乗せられてるぞ!シン!」

と言っているが、別に敵の陽動だったとかでもないので、1機如きに構うなというニュアンスだった様だ。

 だったらお前がさっきまで、1機に掛かり切りだったのはなんだったんだよ。


 戦場全体の把握と、機動戦力の配置転換といった。

 指揮官としての具体性な差配と、シンのバディ役としての支援。

 それらが両方とも、かなり欠如している様に見える。




●アスラン:敵基地の不思議

 そして敵を深追いする形で、目標の敵前線基地を発見。


「シン!」


 ……ホントうるさいだけで、役に立たない指揮官だなお前は。

 というか、ここで制止はおかしいだろ。

 まさか基地攻略の功績を、奪おうとしていたのか。


 そしてシンはこの基地で、現地住民が強制労働させられている実態や。

 戦闘から避難しようと敷地外に出ただけで、連合兵士に銃殺される非道を目撃。


 自身が戦火で家族を失った原体験と重ねて、怒りを爆発させ基地を徹底的に破壊し。

 囚われていた民間人を開放し、それぞれの家族と再会する手助けをした。


「シン……何をやってるんだやめろ!もう彼らに戦闘力はない!」


 ……いや無力化と見做されるのは、投降・停戦を表明した場合だ。

 例え沈黙したとしても、戦力再編や不意打ち狙い等。

 反撃の機会を伺っている場合もあるので、主観だけでは無力化とは判断できない。


 例え基地から逃げ出す敵兵を、背中から撃ったとしても。

 それは退却後に戦力を再編し、逆襲を始める事になる脅威だ。

 投降した敵兵・傷病兵・捕虜等の、本当に無力化された兵士や民間人以外。

 攻撃するのは、正当な軍事行動と見做される。


 むしろ敵地ど真ん中で、戦闘行為を中断しろ等。

 シンを徒に危険に晒している、としかいえない。




●アスラン:ヒーローごっこの不思議

 しかも帰投後、シンに対して無言で平手で殴打。

「殴りたいのなら別に構いやしませんけどね、けど俺は間違った事はしてませんよ!」

 抗弁したシンを更に平手で殴打。


「戦争はヒーローごっこじゃない!自分だけで勝手な判断をするな!力を持つ者なら、その力を自覚しろ!」


 ……え?

 感情的に裏切って、祖国の勝利を奪った?

 軍人規範から、最も遠い存在のお前が?

 どの口でそれを言うの?


 むしろ、種死がバンクの使い回し絵が多いのもあって、アスラン自身がこの戦闘中。

 飛行形態への変形バレルロール、旋回、上昇からMSへ変形してドアップで見得切りを繰り返し。

 それこそヒーローごっこで、遊んでいた様にすら見える。


※映像中で確認できる、明確なアスランの撃墜は最後に1機のみ。もしかしたらシンと入れ違いに撃墜された、最初の1機もそうかもしれないが判断つかない

※一応シンが敵指揮官に迫った時、ガイアの横やりを受けて逆襲されそうになったのを支援射撃で妨害しているが、そもそも十分に支援できていれば横やり自体発生しなかったどころか、指揮官機を落とせていた可能性がある


 アスラニズムここに極まれり。




●シン:ヒーローごっこの不思議

 何より本当に酷いのが、シンの抗弁内容が。

 実は100%、正しいところだ。


 独断専行と見做されるのは、命令違反や味方に不利益を出した時だ。

 アスランの指示は破綻しているので、不服従には当たらない。


 僚艦が沈められてはいるが、明らかに直掩チームの失態な上。

 そもそも水中の出来事なので、責めるのは到底無理筋だ。

 むしろそれで責めるなら、アスランは完全に同罪どころか。

 指揮官だった以上、最も責任があった立場だ。


 破壊した敵基地は、ザフトの重要な地上基地カーペンタリアへ。

 対抗する為に、急ピッチで建設中と示唆される。

 完成した場合の機会損失は大きく、接収目的でもない限り、破壊は妥当だ。


 発見時に報告し破壊の許可を得るべき、反撃が止んだ時点で投降を呼びかけるべき。

 通常なら確かに必要な手順だが、今回の事情だとそれも免責されるだろう。

 目の前で民間人が虐殺されていた以上、早急な対応が必要だった。

 この状況は介入が義務付けられる、緊急避難と見做される事態だ。


 更に民間人を開放したのは本来、国を挙げて表彰されるべき、勲章ものの働きだ。

 人道面だけでなく、自国の正義と敵の非道を象徴する、政治面でも強いカードだ。


 30機のMSへ突貫、殆どを撃墜。

 前衛として母艦を守り抜き。

 重要な敵拠点まで攻略。

 囚われていた大勢の民間人を助けた。


 非の打ちどころのない大戦果で、100点満点中200点といえる。

 ヒーローごっこどころか、掛け値なく本物のヒーローと言っていい。




●ネット記事:ヒーローごっこの不思議

 余談となるが。


 執筆時点のピクシブの「戦争はヒーローごっこじゃない」の記事が。

 公平性の欠片もない、シンバッシングとなっているので、一応反論しておく。


・「基地を壊したせいで後で連合軍が戻ってきて、現地住民により酷い労働が課されたらどうする。助けたら一生責任を持て」という指摘


 むしろ基地を残した方が再利用しやすい為、戻ってくる可能性が高まる。

 しかも今度は、基地の存在と犯罪行為隠ぺいの為。

 徴用どころか、口封じに殺される可能性が高い。


 後半についても例えば、クマに襲われている人を助けたとしても。

 その後も獣害に苦しまない様に、一生面倒を見なければならない、なんて道理はない。


 一生の面倒を見るなんて、もはや国にも不可能な要求だ。

 あらゆる災害救助、難民保護、紛争介入が否定される。

 それこそ悪魔の論法と言っていい。


 何よりあの記事を書いた本人が、もし災害やテロに遭遇したとしても。

 見殺しにされるのが正しい、という事になるがいいのかそれで。


 それにもしも再占領で、彼らの生活が損なわれた場合でも。

 当然悪いのは生活を壊した、連合側に決まっている。


 泥棒に盗まれた財布を、人に取り返してもらって。

 また泥棒に盗まれたとしても、取り返してくれた人は何も悪くない。


 総じて一兵士であるシンは疎か、ザフトに責任を求める事すら。

 筋違いだし、烏滸がましいといえる。




●アスラン:越権行為の不思議

 上官が与える罰とは本来、謹慎・降格・減給・独房入りといったものだ。

 それらについても、査問・軍法会議といった手順が必須となる。

 それらを無視した暴力による即時制裁など、何があろうと許されない。


 それどころかアスランは、臨時の戦闘指揮官であり上官ですらない。

 そして本来の上官たるタリアから、シンにはお咎めがなかった。


 後のステラ逃走の一件では、タリアは毅然とシン達を拘留し、送致の手続きをしていた。

 もし問題があったのなら、同じになった筈だが、実際は注意すらされていない。

 よってシンの行動は、確実に命令の範疇内と見做せる。


 アスランの所属する特務隊は、作戦立案と下命権や戦力の徴用権という、強い権限を持つとはいえ。

 いくら何でも任務をこなした、他部隊の兵士に懲罰(というか私的制裁)を下すのは異常だ。


※特務隊の設定の不透明性から、その権限は超法規だと解釈して、今回の事例を正当化すると、完全に軍組織を私物化できるので破綻する

※そもそも特務隊の権限を理由にしようにも、本来の上官であるタリアも同権限を持つので、管轄権・専権事項の侵害となる


 事実タリアもアスランの懲罰を見て、ため息をついている。

 特務部隊所属として同格であり、止められない事から来る、諦観の表れの様だ。


 しかも後に判明するが「個人的な感情で戦ってはならない」という旨で叱責している。

 義憤、復讐、愛国心、功名心、個人的動機。

 どんな理由で戦っていようと、そんなものは内心の自由だ。


 むしろそれで罰していいとなると、部下にとっての善悪は作戦遂行ではなく。

 上官に気に入られるかどうかになってしまい、軍組織の構造が破綻する。


 というか「後に判明する」と記した通り、当時は懲罰理由すら明かしてない。

 これではもう懲罰・制裁という、最低限の体すらなしておらず単なる暴力だ。


 今回の事を現実社会で例えるなら、飛込で大手企業との話題性バツグンの契約を取ってきた若手に。

 本社から出向してきた社員が、無言でいきなり平手を2発入れて。

 「ヒーロー気取りか!どうせエロい事考えながら仕事してたんだろ!」と難癖をつけた様なものだ。

 しかも「わかるよ、俺も昔エロい事考えながら仕事してたし」という、謎同調で締め括ろうとする。


 そして普段からまともな指示も出さず、文句を付けるだけの仕事ぶり。

 パワハラカス上司以外に、どう例えればいいのか。

 お前が昔どんな失敗したかとか、そんなの知らないからまず謝れ。




 いかがだったろうか。

 正直、種アンチだった以上、シリーズにほぼ思い入れがなく。

 別にシンの事は、好きでも何でもないのだが。

 特に肩入れしなくても自然と、シン上げ・アスラン下げになった。


 筆者は種シリーズを食わず嫌いで、見るまでは。

 キラよりはアスランの方が好き、だったぐらいなのだが。

 実際に見てからはアスランの評価が、キラと同レベルにまで落ちた。

 客観的に見てアスランは、言動がガンギマリすぎる。


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