第6話 新しい道具
その一言で、世界は再びひとつになった。
もちろん、平和のためではない。
全員で同じように震え上がっただけである。
人類は思った。
終わりだ。
彼らは星を越える技術を持っている。
その彼らが武器を作る。
こちらのミサイルも戦闘機も艦隊も、きっと何の役にも立たない。
だが、彼らの武器は、地球人が想像していたものとは違っていた。
光線は出なかった。
都市も消えなかった。
空から巨大な火柱も立たなかった。
ある朝、世界中の銃がただの重い金属になった。
引き金は動く。
弾も入る。
だが、発射されない。
火薬は燃えず、内部機構は妙に礼儀正しく沈黙した。
次に戦車の砲が止まった。
ミサイルの誘導装置が、なぜか近くの花畑を観測し始めた。
戦闘機は飛べるが、攻撃機能だけが眠った。
軍事衛星は、世界中の作物の発育状態を配信し始めた。
核兵器も例外ではなかった。
弾頭は爆発しない。
必要な反応は始まらない。
ただし、原子力発電所は止まらなかった。
各国の専門家たちは驚いた。
宇宙人たちは、核反応そのものを禁じたのではない。
発電に必要な制御された反応は残し、兵器として使うための反応だけを、まるで雑草を抜くように取り除いたのだ。
「どうやって区別したんだ」
ある技術者がつぶやいた。
宇宙人は答えた。
「育てる火と、殺す火は、目的が違います」
その言葉は美しかった。
美しすぎて、各国政府はさらに怒った。




