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ダンジョン討伐報告と買取査定交渉

 翌朝、ダンジョン討伐の報告であるが全員である必要は無いのでダブスとカレン、私の三人が冒険者ギルドを訪れ、デヴィッドとエリカ、この町のギルド支部長と面会している。

 他の面々は他の冒険者や吟遊詩人に話を強請られている。そうそう、ダンジョンでオーガに襲われているのを救ったパーティは無事、街に戻れたという事で昨日の夜に改めて感謝の言葉を貰っている、カレンの勢いだけの話に比べてジョナサンの落ち着いた口調は平時と盛り上がりを意識して話しており緊張感がある。今は討伐話に聞き入っているだろう。

 それに以外にも朝一で町長さんから討伐記念の祭りを夕刻から開く旨の話しが回って来たのでそれにお酒や食べ物を出資することの対応をしてもらっている。

 ダンジョンを討伐したパーティは祭りにお金を落とすのが習わしである。


 さて、討伐報告だが昨日の酒場のカレンの話で大まかなところはデヴィッドもエリカも耳にしている。それを書き留めた物が既に用意されており、後は細かいところの聞き取りだが、挨拶とお茶が済んだところでデヴィッドが魔物素材のリストを見て、エリカもリストと羽ペンを手に取った。


「で、カレンさんの昨日の話しから魔物素材のリストを簡単に作成してあるのですが、まず大コウモリや大ムカデの数がいっぱいというのはどの程度の数でしょうか?」


 ワンダリングで遭遇し戦闘を回避できなかった魔物だが『催眠:スリープ』の魔法で眠らせ止めを刺したものである。

 これらの魔物は薬の原料としても重宝されるのでちゃんと回収して来ている。


「ええーと、大コウモリが3,40?で大ムカデが10?」


「大コウモリ52匹と大ムカデ13匹ですよ」


 カレンが大体で答えたのに私が正確な数を被せ、エリカがペンを走らせる。


「多いですな。デヴィッドさんが昨日言ってた。人手を集めておけという事はこのことだったんですな」


 支部長が顎髭を擦りながら言うのに、デヴィッドが答える。


「ええ、以前に何回か痛い目を見ていますので‥‥」


 となぜか私の顔を見る。


「後はキメラ、ミノタウロス各1体、戦士の石像と核を10個ずつはギルドの買取り、ブラックゼリーとバジリスクの石像、アイアンゴーレムは買い取り無しという事でよろしかったでしょうか?」


 ダヴスがカレンと私の顔を伺うので二人して頷く。


「それで構いません」


「あなた方にわざわざ言うまでもないことですが、冒険者ギルドの買取り担当者として言わせて頂きます。ブラックゼリーの扱いに関しましては細心の注意を払ってくださいますようお願いします」


「もちろんです。魔法塔まで責任を持って届けさせていただきます。ねぇカレン?」


「‥‥そうね」


「では、最後に『幻燐竜の鱗』についてですが何枚ございますか?」


 心持ちデヴィッドの目つきが鋭くなった。


「ええーーと‥‥」


「68枚です」


 エリカのペンが滑る。


「こちらは全量、買取りでよろしいですか?」


「一度お預けしますので買取見積り額を出して貰えますか?」


 私はにっこり笑った。


「‥‥分かりました。査定させていただきます。ですがその量だとメリッサ・スー魔法古物店としても捌ける量ではないでしょう」


「ご心配には及びません。魔法小物工房で作ってもらった動物たちが踊る『幻影のオルゴール』は人気で追加注文しなければいけなかったところですし、これだけの量があれば今まで出来なかった大型劇場の舞台装置としての魔法道具を作ることができますから、以前から相談されていたのです」


「‥‥そうですか。分かりました」


 今までのお付き合いもあるし見積額次第だが半分くらいは融通してもいいのではないか?後でカレンに相談しよう。きっと高い見積額を提示してくれるだろう。


 あっ、忘れていた。


「ところで概算でいいのですが一枚、幾ら位になりますか?」


「そうですね。品質に依りますが今までの相場ですと一枚当たり金貨10~12枚くらいでしょうか?」


 カレンが黙ったまま両手を勢いよく静かに合わせてにっこりとした。


「ああ、やっぱりそうですよね。今回は最低その三倍、いえ五倍は出していただかないとお売りできません」


「はひぃ?!」


 デヴィッドが顔を歪め素っ頓狂な声をあげ、ダブスやカレン、エリカや支部長まで口をあんぐり開けている。


「カレンの昨日の話しで伝わり切れていなかったことを捕捉します。まず、幻燐竜は『精霊契約』が解除され『精霊界』に帰りました。今後、あのダンジョンで『幻燐竜の鱗』が再び取れることはないでしょう」


「いやいやいや、待ってください。これまでも過去に幻燐竜を倒した冒険者は居ましたが、時間が経てば幻燐竜は再び現れていました。幻燐竜ダンジョンとはそういうものでしょう?そう言い伝わっています!」


 支部長が慌てて捲し立てる。


「聞きますが、その討伐時に幻燐竜の亡骸は回収されましたか?」


「‥‥いえ、『鱗』のみです‥‥」


「という事はその討伐した幻燐竜は幻影だったという事です。本体は討伐されていなかったという事です」


「で、で、ですが、今回も亡骸は無かったのでしょう。であれば、また現れるのでは?」


「それはありません。間接的な証左にしかなりませんがこちらを鑑定ください」


 私は今はただの木の棒になってしまった『解呪杖:キャンセレーションロッド』をテーブルの上に置いた。既に魔法の効果は無いが鑑定すれば元は『解呪杖:キャンセレーションロッド』だったことは分かる。


 エリカが部屋の隅を置いてあるクッションに載った『鑑定の水晶球』をトレイごと、慎重に持ってきてデヴィッドが鑑定に掛ける。


 鑑定中にエリカが入れなおしてくれた紅茶を口にしていると、ダブスとカレンが目を見張ってこちらを見ている。


「間違いないですね。『解呪杖:キャンセレーションロッド』です。高度な魔法契約の解除に使う稀少『魔法古物』です」


「信じていただけるかはお任せしますが、幻燐竜はあのダンジョンにはもう出現しません。それに幻燐竜は唯一龍です。あのダンジョンに居た幻燐竜以外にこの世界に幻燐竜は居ません。ですので、新たに『精霊界』から召喚しない限り二度と幻燐竜が姿を現すことはないでしょう。そしてそれが出来るような高位の魔法使いや精霊使いは現在は居ません」


「そ、それじゃ。この後、幻燐竜ダンジョンはどうなって‥‥」


「このまま、幻燐竜は居ないまま他の魔物が存在するか、新たな主が出現するか、きれいサッパリ無くなるか、どうなるかは誰にもわかりません。経過をよく観察するしかないでしょう」


 肩を落とした支部長に止めとなってしまわないよう優しめに言う。


「とりあえず、『幻燐竜の鱗』の代わりになる素材としては『月光石』や『虹色のオパール』、『幻蝶の鱗粉』、『霧草の葉』などがあったと思いますが、どれも産出量が少なかったり、取れる場所が特殊だったりしています。そして入手できても『幻燐竜の鱗』ほど密度の高い成分や量が抽出できない物ばかりです。10倍でも安いくらいではないですか?」




次回は12/8 16:00頃、更新予定です。

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