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七ノ話   「”静カ”ノ少女」

依頼部に入部して2週間。

私にとってはここでの生活も”日常”の1ページになろうとしていた。

しかし、そんな今でも打ち解けられない少女がいたのだった…。



   〈Another Side〉



「…」

「…(カタカタカタ)」

「…Zzz」

放課後の依頼部室。今、部室にいるのは私とPCに向かっている朝比奈さん、そして机に突っ伏して寝ている篠原の3人。

「…」

「…(カタカタカタ)」

「…Zzz」

なんていうか…すごく気まずい。かなり居心地が悪い。

依頼部に入部して2週間。篠原や久藤君。坂本さんとは割りと話すようになっていたのだが、いつも無口な朝比奈さんとはまだ一言、二言程度しか話したことはなかった。

(ひょっとして私、嫌われてるのかな…)

先日、そんなことを篠原たちに話してみたのだが…。

『あ~…。霞は人見知りするからなぁ…。シャイなんだよ、シャイ』

『僕たちも最初は美里さんと同じことを考えましたからねぇ…』

『少しずつ話してれば、自然と心を開いてくれると思いますよ?』

と、そんな返答が返ってきたのだった。

まあ簡単にまとめると、朝比奈さんは”人見知りだ”ってことなので、ゆっくり時間をかけて接していこうと思ってたんだけど…。

(流石に…気まずい…)

あれから何度か話しかけたりしたのだが、結局会話が続かずに沈黙が訪れてしまう。

なにかきっかけみたいなのがほしいなぁ…。そんなことを考えていた。

(そういえば…朝比奈さんのことはまだよく知らないんだよなぁ…)

他の3人とはよく話すから、大体どんな人物なのかはわかってきたつもりだ。

でもまだ朝比奈さんに関しては、”無口””人見知り””いつもPCに向かってる””背が低い””眼鏡””髪型は藍色のショートカット”etc…。

といった風に”外見的な”特徴しかわかってなかった。

…やっぱり同じ部活に所属している以上、このままなのはいけないと思う。

(ん~…きっかけさえあればなぁ…)

そんなことを考えていた時だった。

ガラガラガラ…

「失礼しま~す…」

扉が開かれ、1人の男子生徒が入ってきたのだった…。


「えっと…何でもやってくれる”依頼部”ってここのことかな…?」

「あ…いらっしゃいませ」

今は坂本さんもおらず、代わりに私が接待係として男子生徒を迎えた。

私のそんな様子を見て、その男子生徒はここが目的の場所であったと確信したらしく、安堵の表情を浮かべた。

「とりあえずここに座っててください…」

私はいつものソファへと男子生徒を案内する。これも坂本さんのを真似てみた。

とりあえず篠原を起こさないと…。

「朝比奈さん、ちょっと篠原起こすの手伝ってくれない?」

私はPCに向かっている朝比奈さんに声をかける。…あ、自然と声かけれた。

「…わかりました」

朝比奈さんはそう答えると、立ち上がった。

…ちゃんと返答してくれたことに少しホッとした。

朝比奈さんはまっすぐ篠原のもとには行かず、色んなもの(ほとんどガラクタ)が置いてある場所から、”何か”を取り出した。

あれは…小さい黒板…?

そのまま朝比奈さんは黒板を持って、寝ている篠原の近くまで行くと、ポケットから耳栓を取り出して耳につけた。

「…耳、塞いでてください」

そう言われて、やっと私は朝比奈さんがこれからしようとしていることを理解した。

隣にいる男子生徒も理解したのか、慌てて耳を塞ぐ。

私たちが耳を塞いだのを確認した後、朝比奈さんは寝ている篠原の耳元に黒板を近づけ、そこに手を添えて…

ギャキキキキキキキキキイイイイイィィィィィィィィ!!

思いっきり爪を立てて引っ掻いた!

耳を塞いだ手をも貫通して響き渡る不快な不協和音。そんな音を耳元で、それもダイレクトに聴かされた篠原は…

「ぬあ゛あ゛あ゛あああぁぁぁぁぁぁっっ!!??」

と、すごい悲鳴を上げたあと、再び机に突っ伏してしまった。

…なんか体が水揚げされたばかりの魚みたいにビクンビクンと痙攣してるんだけど…大丈夫なんだろうか…?


「…驚いたよ霞、いつの間に”ちょうおんぱ”なんて覚えたんだ? なんだ、わざマシンか、何番だ、わざマシン何番で覚えたコノヤロー」

数分して復活した篠原はさっきからずっとこんな調子で朝比奈さんに嫌味をぶつけている。

私と男子生徒はどうしようもないのでとりあえず遠巻きにそれを見ていた。

「…部長が何度揺すっても起きなかったので」

朝比奈さんはいたって冷静に篠原の嫌味に対応していた、ちなみに今のは嘘だ、朝比奈さんは問答無用で黒板を取り出したし…。

「…まったく…そんなだから友達ができないんだ…」

「部長もここ以外で人間関係を作らないあたり、お互い様だと思いますが」

「…orz」

あ、凹んだ。

「あ、あのさ…そろそろ話聞いてあげた方がいいと思うんだけど…」

流石に気の毒になってきた私は、とりあえず話を先に進めることにした…。




「なくした書類の捜索、ねぇ…」

男子生徒が去り、再び3人になった部室の中、篠原は呟いた。

彼はクラス委員長で生徒会に提出する書類があったのだが、それをどこかになくしてしまったそうだ。

数日は自分で探したのだがどうしても見つからず、今日噂を頼りにここまでやってきたのだとか。

「つーかんな大事なモンなくすなよ…」

それについては同感である。

学校でなくしたのは間違いないそうなのだが…。

「まーとにかく、あんまのんびりしてられなさそうだからな、今からパパッと見つけるか」

そう言って立ち上がる篠原。確かに書類の提出はもうすぐらしいからのんびりはできないけど…。

「坂本さんと久藤君はいいの?」

また、あの微量な霊力を探知するのなら人手は多いほうがいいんじゃないかと思っての判断だった。

だが篠原は首を横に振って

「いや、今回はその方法は使わない…というか使えない。けど、”校内”っていう捜索範囲の確定もできてるし、それでコイツがいればもっと楽に見つかるさ」

そう言って篠原はポン、と隣にいる朝比奈さんの頭に手を置いた。

「…」

朝比奈さんは相変わらず無言でされるがままになっている。

「ホラ、行くぞ」

篠原はさっさと部室を出て行く、朝比奈さんもそれについていった。

「…?」

私はどういうことなのかわからないまま、篠原の後を追いかけるのだった…。

更新遅れてすいません。

リアルの方でテストだったものでなかなか執筆に集中できず…。

また少しずつ書いていきます。

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