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一ノ話   「表ト裏、”現実”ト”非現実”」

俺たちは”普通”の高校生。…本当だって。

そうだな…強いて言うなら、”依頼部”なんて非公式の部活に所属しているのと、

”妖魔”と呼ばれる”異形”と戦ってるくらいかな。

どうだ? どこにでもいる”普通”の高校生だろ?

 月が空に昇る夜、本来ならほとんどの生物は眠りにつき、その活動を休止する。

だが物事には常に”例外”が存在し、”彼ら”もまたそんな”例外”に含まれていた。

バァン! バァン! バァン!

本来静かで平和な街には不自然すぎる音…銃声が鳴り響く。

「そっち行ったぞ! ぜってー逃がすなよ!」

そして叫び声。

ここは街の郊外にある廃倉庫。その中で激しく動き回る4人と”1体”の姿があった。

4人が必死に追いかけているのは…人ならざる”異形”。彼らはそんな異形を相手に”戦っていた”。


『グェアアァァァァァ!』

「くっ!?」

目の前を包丁の切っ先が掠っていった。俺は大降りの攻撃の直後で硬直している”ソレ”に銃口を向け、引き金を…引いた。

バァン! バァン! バァン!

『ゲアァァァァアアァァ!』

だが、弾は標的には当たらず、”ソレ”は驚異の瞬発力で俺と距離をとった。

「テメ…さっきからちょこまか動きやがって…。…今だ、晃!」

「…っ!!」

俺の合図に合わせ、”ソレ”の背後から人影───晃が飛び出し、鞘からその刃を抜き放つ。

『グアァァアァアァ!』

ガキィィンッ!

「…おや」

だが、それを察知した”ソレ”は素早く振り向き、その包丁で晃の居合いを受け止めた。

「おいおい…晃の居合い切り受け止めるって…メチャクチャ強くねーか…?」

「アハハハ。今回はちょっと骨が折れそうですね、まったく」

本人は笑顔を崩さず、いたって余裕そうだし…また手ェ抜いてんじゃねぇだろうな?

「やるしかねーか…。奈々美! 外すなよ!」

「はい!」

俺が声を上げると、高台にいた奈々美が弓を引いて矢を…放った。

ヒュン! ヒュン! ヒュン!

…だが、正直奈々美には期待してねーんだよな~…だってあの矢…って!

「うおおおおぉぉぉぉい!?」

ストトトト!

俺が慌てて飛びのくと、さっきまで俺がいた場所に奈々美の放った矢が突き刺さっていた。

「テメ…やっぱわざとやってんだろ!?」

「ご…ごめんなさぁ~い…」

俺が叫ぶと、奈々美は小さくなってしまった。

矢による援護はありがたい…だがそれは”命中精度がよければ”の話だ。

別に13の人みたいな百発百中を望んでるわけじゃない。だけど援護役がノーコンってどうよ?

しかも必ず味方…それも高確率で俺のところに飛んでくるし!

「くっそ…。晃! そいつそのままにしとけよ!」

俺はそう叫ぶと、晃の刃を受け止めている”ソレ”に向かって駆け出した。

『…? グアアァァァアアア!』

それに気付いた”ソレ”は晃の刃を押し返し、そのまま俺のほうに走ってきた。

「うっし、好都合だ。…食らいやがれ!」

俺は銃で牽制しつつ右手に意識を集中する。

そして”ソレ”がすぐそこ…そのまま俺の懐に入ったところで…

「…”しょう”!」

その言葉と同時に、懐にいる”ソレ”の脳天めがけて右拳を振り下ろした。

ドガァン!

同時に開放される衝撃。それによってあたりは土煙に包まれる。

「…チ…今のは当たったと思ったのによ…」

土煙の中、俺は呟いた。

やがて土煙が晴れると、思ったとおりそこには”ソレ”の姿は無く。小さなクレーターが床にできていただけだった。

『グェアアアアァァァアアァ!』

「そこか!」

俺はすぐに声のした方へ銃口を向け、引き金を引いた。

案の定、そこに”ソレ”はいた、だが”ソレ”は弾を避けるとそのまま倉庫の隙間から外へと飛び出した。

「ヤッベ! 逃がすな!」

俺たちも慌てて外へ出る。だがどこにも”ソレ”の姿はなかった。

「くそ……霞。わかるか?」

俺は隣にいた小柄な女の子…霞に聞いた。

「…東に逃走中。現在、800m」

霞はその方向を見つめて言った。

「この短時間でもう800mかよ…流石に追いつくのは難しいな…」

俺はため息をついた。

「でも、僕たちも結構弱らせましたからねぇ。しばらく大きな動きは見せないと思いますが」

隣では相変わらず笑顔を浮かべた晃が、お気楽そうに言った。

「あの…でも、あの方向って、学校が…」

「ゲ…」

奈々美の言葉に俺はがっくりとうなだれる。

「学校あるのかよ…面倒なことになりそうだなオイ」

「…いえ、部長。逆にこれはチャンスかもしれません」

「んぁ?」

霞の言葉に俺は顔を上げた。

「あれだけ弱っているのなら必ず学校を隠れ家として利用するはずです。そして誰か1人に目をつけるはず。その人を特定し、囮にすれば…」

「なるほど…いっそ被害にあう奴を餌にしておびき出すってわけか…」

俺はしばらくその案に問題がないか考えると

「…うん。それが一番確実そうだな」

そう言って、その案に同意したのだった。




 俺の名は篠原俊樹。私立零命高校に通う2年生だ。

部活は非公式ながらも”依頼部”という部活の部長をやっている。…まあ、この部も俺が作ったんだが。

”依頼部”は基本的に”大掛かりなことでも個人的な悩みでも報酬さえもらえりゃ何でも解決”ないわゆる”何でも屋””便利屋”のような部だ。だがそれは表向きのもので、実際俺たちの目当てはああいった異形…”妖魔ようま”を初めとする”人ならざるモノ”関係の仕事だ。


 この世界には表の世界と裏の世界がある。

表がいわゆる俺たち普通の人々の世界で、裏が幽霊とか”妖魔”みたいな化け物の世界。

2つの世界には境界線みたいなものがあって、本来その境界線はどちらからも越えることができないものだ。

だが、稀にそういった境界線を越えてこっちの世界に紛れ込むやつがいる。

そいつらを倒すなり説得したりして元の世界に戻し、世界のバランスを守るのが俺たちの”仕事”だ。

…で。今回俺たちは1体の妖魔の情報を入手し、なんとかあの倉庫まで追い込んだのだが…あと一歩のとこで逃げられてしまった。

そして霞の予想通り奴はこの零命高校を隠れ家にしている…それは気配でわかったのだが、いかんせん細かい場所は特定できない。

そこで霞の案の出番だった。アイツがここの生徒を標的にし、襲う前にこちらでその標的にした生徒を特定。そいつを餌にしてこの学校に閉じ込め、確実に息の根を止めるというものだ。…息の根はもう止まってるか。

まあとにかく、その案を採用した俺は早速標的にされた生徒を探しているんだが…流石に全校生徒が多い。数日探しているが、まだそれらしい奴が見つからなかった。

ちなみに霞は部室で学校全体を大まかに探索。俺、奈々美、晃の3人が実際に歩いて探しているんだが…どーせ晃はサボってんだろうな…。

晃は一見すると女性のような顔つきをしていて、つねに笑顔を浮かべているさわやか野郎だが、実際はかなりのサボりグセがあってなかなか仕事をしようとしない。

あと俺からしてみれば”常に笑顔”はなに考えてるかわかんなくて気持ち悪い。

あんなのでも女子生徒の人気があるから不思議だ。

…で、そんなサボり野郎ひかるを戦力外とすると…奈々美も…頼りない。

去年霞と同じく”1年の美少女ランキング”の上位に入っていて、人当たりもよく、おしとやかで清楚な雰囲気のある彼女もひとつの欠点がある。

彼女、”ド”がつくほどの天然なのだ。…いやもうシャレになってない。

何もないところで転ぶわ晃の冗談を真に受けるわ…本人にも”少しは”自覚があるらしいから割合するとして…。

「…って、やっぱり俺が頑張るしかないのかぁ…」

結局のところ一番頑張らないといけないのが俺だと自覚して、俺はがっくりとうなだれたのだった…。


「やっぱ…無理じゃね?」

まさかこうも見つからないとは思ってなかった。なにか名残みたいなものが標的にされた生徒からは感じられるんだが…それが見つからない。

今は昼休み。俺はトッポを口の中に入れて噛み砕くと、またポケットから新しいトッポを取り出して口にくわえた。

想像以上に困難な捜索に、半ば心が折れかけていたときだった。

ふと視線を向けた教室の中。そこに…いた。

確かな”妖魔”の名残。それを纏う女子生徒…。

「…ビンゴ」

俺はそう呟くと、ついに見つけたという達成感から笑みを浮かべたのだった…。

序章は美里視点でしたが実際は俊樹が主人公です。

期待した方はご了承下さいm(_ _)m

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