大人になる
懐かしい昔働いていたお店の中にいた。
そこには誰か顔も見えない子が立っていた。
「私は私のことがわからなくて周りを振り回して流されてやり直してもずっとそうなんだよ」
だれ?わたし?苦しいそんなことない。
間違ってる。
「また同じことの繰り返しなんだよ」
「違う!!」
変な汗をかきながら飛び起きた。
嫌な夢を見た。私同じことを繰り返しなのかな。そんなことを考えながらカーテンの隙間から月が見えた。なんとなく不安でなかなか寝れなかった。
過去に戻れたのに結局変われていないのかなと思いながらふと“なんでもいうこと聞く券”が目に入った。
こんな時間に電話なんて掛けても出ないはずなのになぜかワンコールして電話を切った。
「出るわけないしワン切りとか自分が気持ち悪い」
自分の自己中心な行動に恥ずかしくなってしまった。
はぁと小さなため息をつき。
「切り替えないと、」
〜〜♪
着信音がなり光っている画面を見るとたくまと書いてあった。
安心したのか少し涙ぐんで電話に出た。
「どーしたの!」
少し恥ずかしさが混じって素直になれなかった。
「声が聞きたくなっちゃった」
そう一言いうたくまの声が心地よくてドキドキした。
「実は怖い夢見て、すごいリアルで現実か夢かわかんなくなっちゃってどうしようってなって焦ってたらなんでもいうこと聞く券が目に入ったの」
自分でもないってんだろうと思いながらそんなこと言うと、
「あーはいはい。めっちゃ現実で今夜中の3時半な。しかも明日学校だから寝なさい。」
「そうだよね。ごめん。切るよありがとう」
といって電話を切ろうとしたら少し笑って
「なんできるのさ、ゆりが寝るまで付き合ってあげるよ。安心して寝なさい」
そう言って私が寝るまで電話に付き合ってくれた。
アラームで目が覚めると、
「おはよ、俺のかわいいゆりちゃん」
ん?なんか変な声聞こえた。まだ夢の中ってこと?
「無視するな」
ケータイを見るとまだ電話がつながっていた。
「まって、寝落ち電話してしまったってこと?」
「その、よからぬことをやってしまったみたいな言い方やめてくれない?素直に嬉しがってもいいんだよ?」
「もー、カップルみたいじゃん!!でもありがとねおかげでぐっすりです!」
「なっちゃう?」
その言葉に動揺してからかったような言い方で言ってきた。
「ばかっ、もう切るあとでね。」
たくまの返事も聞かずに切ってしまった。
なに、ドキドキしてんの自分。今までそんなことなかったじゃん。
たくまと顔合わせにくい。でもさ、私から掛けておきながらちょっと失礼よね。
「うみーおはよう」
「おはよー」
「ねえねえ、ちょいと相談があります…」
「なになにーどうしたんだいな」
「実は、たくまと寝落ち電話?してしまって…気まずい」
「はっ??どーゆうことよ!」
「実は昨日私から掛けまして…」
「なんかいい感じになってる?もしかして…ゆりはたくまのことどう思ってるの?」
「うーん、たくまモテるしチャラ男だからなあ。わかんないどうしよう」
「まあまああの人も一途なとこあるって…」
そういい笑いながら私の方に手を置いた。
そんな単純な人かな?うみに話したことで少し気が楽になった。
「こうきくーん、盗み聞きしていけないんだ〜」
「別に聞こえてなかったし」
「俺とゆりがいい感じだからって嫉妬すんなよ」
「あー、はいはい」
「2人ともおはよう。なんの話してたの?」
「なんにも」
「ふーん、ちょっとたくまさんいいですか」
「なになに?どうしたの?」
「昨日は電話ありがとう。どうか昨日のことはご内密に…」
「えー、じゃあ文化祭一緒にまわってよ」
「えっ」
ふとあの頃のことを思い出した。文化祭の最後に上がる花火を一緒に見た男女は結ばれるというよくある噂があって、こうきと一緒に見たんだよね。でもこうきはうみのところに行っちゃったんだ。すごい悲しくて空き教室で1人花火見てたらたくまがジュース持ってきてくれたんだよね。ずっとたくまが助けてくれてたんだ。
「嫌なのー??」
「しょうがないいいよ」
「文化祭、ポテトとチョロスで決定!」
「なんか地味だよなあ」
「揚げ物臭くなりそう」
周りがそんなことを騒いでる中私は外を見ていた。
なんか大人になってみるととってもたくまが魅力的なんだけどどうしよう。
よくあるよね。少女漫画とかで高校生の頃は絶対主人公推しだったのに大人になって見返すと絶対2番目の男にしときなさい的なやつ。
多分それだ。うーーーん。難しい。
大人になるっていいなとふと思った。
「空が綺麗だ」