繰り返し
「ゆりー起きなさい」誰かが呼んでるどこか懐かしい。これが走馬灯ってやつなのかな。叩き起こされ、意識がはっきりしてるのがわかる。
「え…お母さん?」眩しい光がカーテンから差し込む。理解が追いつかない。
「学校遅刻するわよ」の一言に、私は目を丸くした。飛び起きて近くに、あったケータイを見ると4月7日だった。部屋を見渡すと、実家の自分の部屋にいた。
挙動不審な私に、「あんた、どうしたの?」と心配するお母さんの顔を見て涙が出た。
「ねぇ、本当に大丈夫?」
少し冷静になり、「今何年だっけ?」
「もう、何言ってるの?2015年よ」
12年前の、18歳の頃に私は戻ってしまった。
もしかしたら夢を見てるのかもしれない。よく物語であるようにほっぺをつねっても痛みだけが感じる。
若返っちゃったの?どうしよう。もしかしたら、昏睡状態で危ないとか?全然わかんないけどせっかくなら、高校生を楽しもう。夢が覚めるまでは。12年前の頃を思い出して懐かしく思えた。
また会えるのかな。彼に。
制服に着替えて、緊張しながら学校へ向かう。
今日は始業式のようだ。
「ゆり! おはよう」と懐かしい声がした。
「うみ、めっちゃ久しぶり!」
「久しぶりって昨日会ったばっかじゃん」
確か、記憶では昨日はうみと遊んでいて
始業式のクラス発表では同じのクラスになって喜んでいた。また同じことを繰り返しているなら、
彼も同じクラスになっていたはず。
クラス表を見るとB組の中に
「須藤こうき」彼の名前があった。
「なんだ、俺の名前フルネームで呼んで」
ずっと聞きたかった声がした。
この人の事すごく好きで、
あの頃の私はキラキラ輝いていたんだ。
「な、なんでもないよ」緊張で微かに声が震えた。
そうだ、あの頃はうみ、こうき、たくまの4人で
よく一緒にいたんだ。
12年前を繰り返してるなら、もう一度やり直したいことがある。卒業の日、みんながバラバラになった日。何があったか思い出せないけど後悔が残ってる日。
席に着いてぼーっとしていると、こうきが顔を覗き込み
「今日のゆりなんか変じゃね?」
「変じゃない!どこが変なの!」
「いつも騒がしいのに大人しいなんかあった?」
「何にもないよ!いつも通り…」
昔の私ってどんなんだっけ…もうアラサーだよ中身。騒がしくできないよ…
ん?待ってよ。
今日って、私がこうきに初めて振られた日だ。
友達としてしか見れないって言われたんだ。思い出したら、悲しくなってきた。
このままだとおんなじことの繰り返しじゃん。
前と違うところは、キャバクラで働いたスキル活かして振り向かせよう。
夢の中なら自由にやってもいいよね。覚めるまでは。
「振り向かせよう作戦決行だ!」
「おーい、ゆりうるさいぞー」
みんなが注目する中、先生の一言で自分の声の大きさに気づいた。
あ…やってしまった。
周りが笑う中に一際輝いてるこうきをみて自分も笑った。
「ねぇ、それニヤけただからね。どうせこうきに笑ってもらえて嬉しいかなんかでしょ」
「なんでわかったの!さすが人の心を読むプロたくまさんやな。」