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引退

「りりさんご指名です」今日も一日が始まる。

キャバ嬢を始めて10年が経っていた。29歳ともなれば引退を考える時。私も30歳の誕生日の生誕祭で引退することになった。


「りりさん10年間お疲れ様です。」

次々に高額シャンパンが開いていく中で私が物語の主人公のような気がしてならなかった。


帰り道、今までのことを思い出し少し懐かしく思えて寂しくなった。

ドンッ

気がつくと私は地面に倒れていた。背中から熱い何かが伝わる。

「りりが悪いんだ。」そう呟いてその男は立ち去った。

「あのくそジジイ…」あ、私刺されたんだ。

ちょっとやばい気がする。私死んじゃうんだ。

意識が遠のく中思い出したのは、ずっと思い出さないようにしていた彼の姿だった。

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